nclのmobシリーズ+他者視点
朝、飛び起きるようにベッドから出て、弁当を四人分作り、朝食を作り、旦那と子供を送り出して自分の身支度は最低限に家を出る。
毎朝同じ道を歩き、勤務先のスーパーに向かう。
もうここに努めて随分経った。来月末で更新回数の上限を迎えるから、再来月からはしばらく専業主婦になるのだと思うと幾分か気持ちは楽なような、楽ではないような複雑だ。
ここで努めている間に息子は中学生になったし、娘は大学生になった。
月日の流れは早いものだと思うようになったあたり、だいぶ歳をとったのだろう。
今日も変わらずにレジに立つ。そろそろ足腰も限界かもしれない。
次はできれば座っていられるような仕事に就こうかなと考えながらレジ回りの整理をしていると、彼が来店した。
もうすっかり馴染の客になって、誰も騒がなくなった。
彼の隣にはまだ娘と歳のそう変わらないチャンピオンがいる。
仲良く手を繋いで、時たまスマホを見ながら商品を選んでいる姿はなんとも微笑ましい。
公式には発表されていないが、ナックルシティの住民は以前から薄々二人の交際に気づいていた。
チャンピオンが成人してしばらくした頃から、彼女をナックルシティで見かけることが多くなった。
そしてその場所は駅、スーパー、ドラッグストア、コンビニ。まるでここに住んでいるかのような行動範囲なのだ。
そして二人の様子。
最初は少し距離を持っていたけれど、今ではもう隠す気がないような雰囲気だ。
すっかり青年を通り越して男性と言った方がしっくりくるようになったドラゴンストームは、相変わらずここに通ってくれている。
もう再来月からはこの光景を見ることもないのだなと思うとなんだか少し寂しくなった。
「いらっしゃいませ」
レジから一歩下がってお辞儀をする。
この動作ももう条件反射のように体に染みついた。
「お願いします」
少し高めの、可愛らしい女性の声。
きっとこの若いチャンピオンには表も裏もない素直な子なんだろうなと感じた。
なぜなら、一人で買いに来ているときも同じだから。チャンピオンだからとお高く留まっている感じは一切ない。娘と変わらない、普通の女の子だ。
その後ろに立つドラゴンストームの雰囲気もだいぶ柔らかくなった。
年月が経っていろいろと余裕が出来たのかもしれない。
カゴの中身もだいぶ充実した。
野菜、肉、果物、調味料。そして毎回入っている二人分のスイーツ。
以前は明らかに一人暮らしの男性といったメニューだったけれど、最近は量も品も倍になった。
きっと、二人で暮らしているのだろう。
こんな時期もあったな、と遠い昔の記憶を手繰りながらバーコードをスキャンしていく。
ドラゴンストームが手にしているマイバッグに袋の有無は聞かない。
ポイントカードだって、もうすでにトレーの上に乗っている。
支払いも今はスマホ一つで解決するし、本当に楽になったなと感じた。
「ありがとうございました」
ああ、もう再来月からはこの光景が見られないのだ。
仲の良さそうな二人を見るのがここ最近の癒しだった。
この二人が来店した時は不思議と旦那にもエールを買って帰ろうかななんて思えたのだけれど。
もはや二人に視線を向ける人はいない。
ナックルシティの住民には、もうこの光景は当り前のことになっているのだ。
毎朝同じ道を歩き、勤務先のスーパーに向かう。
もうここに努めて随分経った。来月末で更新回数の上限を迎えるから、再来月からはしばらく専業主婦になるのだと思うと幾分か気持ちは楽なような、楽ではないような複雑だ。
ここで努めている間に息子は中学生になったし、娘は大学生になった。
月日の流れは早いものだと思うようになったあたり、だいぶ歳をとったのだろう。
今日も変わらずにレジに立つ。そろそろ足腰も限界かもしれない。
次はできれば座っていられるような仕事に就こうかなと考えながらレジ回りの整理をしていると、彼が来店した。
もうすっかり馴染の客になって、誰も騒がなくなった。
彼の隣にはまだ娘と歳のそう変わらないチャンピオンがいる。
仲良く手を繋いで、時たまスマホを見ながら商品を選んでいる姿はなんとも微笑ましい。
公式には発表されていないが、ナックルシティの住民は以前から薄々二人の交際に気づいていた。
チャンピオンが成人してしばらくした頃から、彼女をナックルシティで見かけることが多くなった。
そしてその場所は駅、スーパー、ドラッグストア、コンビニ。まるでここに住んでいるかのような行動範囲なのだ。
そして二人の様子。
最初は少し距離を持っていたけれど、今ではもう隠す気がないような雰囲気だ。
すっかり青年を通り越して男性と言った方がしっくりくるようになったドラゴンストームは、相変わらずここに通ってくれている。
もう再来月からはこの光景を見ることもないのだなと思うとなんだか少し寂しくなった。
「いらっしゃいませ」
レジから一歩下がってお辞儀をする。
この動作ももう条件反射のように体に染みついた。
「お願いします」
少し高めの、可愛らしい女性の声。
きっとこの若いチャンピオンには表も裏もない素直な子なんだろうなと感じた。
なぜなら、一人で買いに来ているときも同じだから。チャンピオンだからとお高く留まっている感じは一切ない。娘と変わらない、普通の女の子だ。
その後ろに立つドラゴンストームの雰囲気もだいぶ柔らかくなった。
年月が経っていろいろと余裕が出来たのかもしれない。
カゴの中身もだいぶ充実した。
野菜、肉、果物、調味料。そして毎回入っている二人分のスイーツ。
以前は明らかに一人暮らしの男性といったメニューだったけれど、最近は量も品も倍になった。
きっと、二人で暮らしているのだろう。
こんな時期もあったな、と遠い昔の記憶を手繰りながらバーコードをスキャンしていく。
ドラゴンストームが手にしているマイバッグに袋の有無は聞かない。
ポイントカードだって、もうすでにトレーの上に乗っている。
支払いも今はスマホ一つで解決するし、本当に楽になったなと感じた。
「ありがとうございました」
ああ、もう再来月からはこの光景が見られないのだ。
仲の良さそうな二人を見るのがここ最近の癒しだった。
この二人が来店した時は不思議と旦那にもエールを買って帰ろうかななんて思えたのだけれど。
もはや二人に視線を向ける人はいない。
ナックルシティの住民には、もうこの光景は当り前のことになっているのだ。