「いってらっしゃい、ダンデくん」
オフの翌日はこうしてソニアに見送られる。
「ああ、…行ってくるぜ」
次はいつ？なんてことをソニアは言わない。
研究で徹夜をしてもこうして欠伸を噛みしめながら見送ってくれる。

付き合う前も付き合ってからも、ソニアはいってらっしゃいと言う。
一緒に住んでいないのだから、正確にはまたねなどが相応しいのだろう。
何も言わないのは、俺がこの台詞を気に入ってるから。

ワンパチを抱えて眠気眼な彼女が手を振っている。
もう少し一緒に過ごしたい、そんな後ろ髪を引かれるような思いでリザードンの背に乗る。
バサっと羽を広げれば周りの草木が揺れて、一気にソニアが小さくなる。

今夜ここに来れたなら。
今度の台詞は「ただいま」だ。