その他
鍋底にこびり付いたカレーをガシガシとスポンジで擦る。
焦した覚えはないのだが、所々に黒い焦げ。
あの手この手で擦ってはみるもやはり取りきれないコゲに力が入る。
流しては洗い、流しては洗いを繰り返す。
「ユウリ?」
風呂を沸かしに行ったキバナがキッチンを覗いた。
「あーコゲか。オレさまがやるから座っとけ」
「え?いいですよ。たぶんもうちょっとで…」
腕を巻くってずいっと割り込んで大きな体で押し退けられると、小柄なユウリは踏ん張れない。
ガシガシと鍋底を擦る音が再びキッチンに響く。
ただ、あからさまに違うのは力。
乱暴なわけではないが、ユウリが洗っていた時よりもはるかに早い。
ただ見ているだけなのも手持ち無沙汰で、さっと洗剤のついていた手を洗って皿を拭き始める。
「キバナさん、ありがとうございます」
正直、腕が痛み出して辛くなってきていた所だった。
この後は何をしようかと考えながら次々に片付けていく。
想像に胸を膨らませるユウリはとても温かい気持ちに包まれていた。
ーーーーーーーーーーー
「ソニア、これも頼むぜ」
ガシガシと力任せに鍋底を擦っていると、ダンデが置きっぱなしだったマグカップを二つ持ってキッチンに現れた。
「ダンデくん〜そういうのは先に持ってきてよー」
「すまない、リビングに置いていたのを忘れていたんだ」
大きな男がしゅんとしている姿が可愛く見えて、ソニアはふふっと笑みを漏らす。
「鍋なら俺が洗うぜ!」
前のめりでガシガシと鍋をこすり続けているソニアを横から覗き込んでいる。
「あー…」
ちらりと横目に不格好に歪んだフライパンを見る。
先日ダンデが洗い物をした際に力加減を誤って曲げたフライパンだ。
買ったばかりだし使えないこともなくはない。残念な気分になるけれども。
「鉄鍋のときは頼むわ」
ダンデならば買ったばかりのステンレス鍋も曲げてしまいそうだ。
持ち手一つでも曲げられてはたまったものではない。
ガシガシ、ゴシゴシ、ガン!と派手な音がキッチンに響く。
うっすらと額に汗を浮かべて、痛んできた右腕を軽く上下に振る。
こんな力馬鹿じゃなければ、と半ば恨めしい顔でダンデを見れば、ずっと見ていたのだろう、黄金色の瞳と視線が混ざる。
「…その鍋でお湯を沸かしたら落ちるんじゃないか?」
「へ?」
ふわっと飛んできたダンデのスマホロトムの画面には『鍋 焦げ 落とし方』で検索したサイトが並んでいる。
「あ~~~なるほど!」
ささっと流し読みをして洗剤を落として水を張る。
ガン!とコンロの上に勢いよく置いて火をつけた。
ふうっと一息伸びをしていると、香ばしいコーヒーの香りがした。
「ありがとうな、ソニア」
焦した覚えはないのだが、所々に黒い焦げ。
あの手この手で擦ってはみるもやはり取りきれないコゲに力が入る。
流しては洗い、流しては洗いを繰り返す。
「ユウリ?」
風呂を沸かしに行ったキバナがキッチンを覗いた。
「あーコゲか。オレさまがやるから座っとけ」
「え?いいですよ。たぶんもうちょっとで…」
腕を巻くってずいっと割り込んで大きな体で押し退けられると、小柄なユウリは踏ん張れない。
ガシガシと鍋底を擦る音が再びキッチンに響く。
ただ、あからさまに違うのは力。
乱暴なわけではないが、ユウリが洗っていた時よりもはるかに早い。
ただ見ているだけなのも手持ち無沙汰で、さっと洗剤のついていた手を洗って皿を拭き始める。
「キバナさん、ありがとうございます」
正直、腕が痛み出して辛くなってきていた所だった。
この後は何をしようかと考えながら次々に片付けていく。
想像に胸を膨らませるユウリはとても温かい気持ちに包まれていた。
ーーーーーーーーーーー
「ソニア、これも頼むぜ」
ガシガシと力任せに鍋底を擦っていると、ダンデが置きっぱなしだったマグカップを二つ持ってキッチンに現れた。
「ダンデくん〜そういうのは先に持ってきてよー」
「すまない、リビングに置いていたのを忘れていたんだ」
大きな男がしゅんとしている姿が可愛く見えて、ソニアはふふっと笑みを漏らす。
「鍋なら俺が洗うぜ!」
前のめりでガシガシと鍋をこすり続けているソニアを横から覗き込んでいる。
「あー…」
ちらりと横目に不格好に歪んだフライパンを見る。
先日ダンデが洗い物をした際に力加減を誤って曲げたフライパンだ。
買ったばかりだし使えないこともなくはない。残念な気分になるけれども。
「鉄鍋のときは頼むわ」
ダンデならば買ったばかりのステンレス鍋も曲げてしまいそうだ。
持ち手一つでも曲げられてはたまったものではない。
ガシガシ、ゴシゴシ、ガン!と派手な音がキッチンに響く。
うっすらと額に汗を浮かべて、痛んできた右腕を軽く上下に振る。
こんな力馬鹿じゃなければ、と半ば恨めしい顔でダンデを見れば、ずっと見ていたのだろう、黄金色の瞳と視線が混ざる。
「…その鍋でお湯を沸かしたら落ちるんじゃないか?」
「へ?」
ふわっと飛んできたダンデのスマホロトムの画面には『鍋 焦げ 落とし方』で検索したサイトが並んでいる。
「あ~~~なるほど!」
ささっと流し読みをして洗剤を落として水を張る。
ガン!とコンロの上に勢いよく置いて火をつけた。
ふうっと一息伸びをしていると、香ばしいコーヒーの香りがした。
「ありがとうな、ソニア」
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