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ジンクス本編外

カーテンの隙間から漏れる優しい日差し。
ココガラの囀りと時計が奏でる規則正しい音。
程よい硬さのマットレスと手触りのいい寝具。
自然に目が覚めて、怠さや痛みのないすっきりとした寝起きだった。
それでも持ち上げた瞼はまだどこか重く、視界はぼんやりとしている。
徐々にはっきりと輪郭を現した視界に映ったのは彼の横顔。
いつも優しく光る青い瞳はない。
穏やかに上下する体にまだ眠っているのだと、伸ばした手をもう一度布団の中へ戻す。
久々に二人重なったオフが嬉しくて、昨夜はずいぶんと遅くまで二人で起きていたと思う。
時刻を気にすることなく過ごした。今だって時計を見ようとは思わない。
特に予定もないのだから、今が何時でも構わない。
ぼんやりと穏やかな寝顔を見ながら朝食でも作ろうかと思ったものの、布団の温もりが離れがたい。
もう一度眠ってしまおうかと思った矢先、彼の瞼が数回短く震えた。
ゆっくりと澄んだ青が露になる。
数秒程ゆっくりと何度か瞬きを繰り返し、ようやく瞳に僅かな光が宿った。
「おはよ…今、何時?」
たまにしか聞けない、まだどこか微睡んでいるような声。
低く掠れたその声はとても耳に心地いい。
ちらりと壁掛け時計に視線を向けると、長針は八を指している。
「まだ、八時すぎですよ」
声を潜めてその問いに答えると、彼は折りたたんでいた腕を伸ばした。
体だけを動かしてその腕に頭を乗せる。
暖かな彼の体温と彼の匂いに安心感が沸き起こる。
「キバナさん。せっかくなので、もう少し寝ませんか?」
「そーしよっか」
起きる気配のなかった彼に二度寝の提案すると、間延びした返事が返ってきた。
抱き枕を抱えるように覆いかぶさった彼の腕の隙間から顔をだし、ごそごそと身じろいで体制を整えて目を瞑る。
規則正しい寝息に誘わる様に意識を手放した。
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