ジンクス本編外
「で、ホップとカレー作ったらリザードン級に…」
「それよりユウリ、これ見てくれ」
スマホから顔を上げて楽しそうに話していたユウリを見た瞬間、しまった、と瞬時に悟った。
にこやかに今日のキャンプのことを話していたはずのユウリから一瞬で表情が消えたのだ。
「…どれですか?」
冷たい温度を纏った冷静な声に、一瞬で全身に鳥肌が立った。
怒らせたのだ、ユウリを。
「いや、あー…この動画見てほしくて…」
恐る恐るソファーの背後に立っているユウリを見上げる。
すっと感情が消え、ピリピリとした空気を纏っている彼女。
「この間のジムチャレンジの開会式ですか?」
「そう。珍しくハクリュー連れた人がいたからユウリにも見てほしいなぁ…と…」
様子を伺いながら一つ一つユウリのげきりんに触れないように説明していく。
「カントー地方にいけばミニリュウ、いるみたいですよ。レアらしいですけど」
なんだか刺々しい物言いである。
ふーん、とさほど興味がないような態度でスマホを眺めるユウリは、天真爛漫な普段とは180度違う。
「…ユウリ、オレさま何かした?」
「別に」
とてつもなく不機嫌な彼女に念のため尋ねてみる。
やはり容易には答えてはくれない。
自分の失言に気付いてはいた。
キャンプの話をするユウリにそんなこと、とはないんじゃないかと数分前の自分に即座にツッコミを入れたい。
ただ、ガラルには生息しない美しいハクリューを一緒に共有したかっただけだったのだが、口から滑り出た言葉に自分で自分を殴りたくなる衝動に駆られる。
「キバナさんにはキャンプした話なんてつまらないことですもんね」
「…悪かった」
ソファーから立ち上がって、ラグの上で中断していた洗濯物を再び畳み始めているユウリのそばに腰を下ろす。
「うっかり口が滑った。悪い」
山のように積み上がった洗濯物を畳みながら告げる。
ユウリは相変わらず下を向いたままだ。
「うっかり…ですか。今までもそう思ってたんじゃないんですか?」
「違うって。そりゃ…多少は嫉妬するけど。じゃなくて。ただオマエと一緒にハクリュー観たかっただけなんだよ」
悪気はなかったと誠心誠意を込めて伝えてみる。
それでもふいっと畳み終わった洗濯物を抱えて、ユウリはウォークインクローゼットに行ってしまう。
慌てて追いかけて、次々としまいこんでいる彼女の横にしゃがめば、今度は邪魔だとでも言うような呆れた視線を投げられた。
「…どーしたら機嫌、治してくれるんだ?」
「…キョダイマホミルクリーミーフルーツパフェ、明日連れて行ってくれたら」
「わかった」
わかった、とは言ったものの、キョダイマホミルなんとかパフェがどんなものかがわからない。
なんとなくそんな名前をSNSで見たような、見なかったような。
「…私が楽しかったなって思ったことをそんなことって言われたのがちょっと悲しかったんです」
「ごめん」
伏し目がちに俯いた彼女を見上げて、言葉一つでこんなに怒らせてしまったことに素直に謝る。
「明日、パフェな」
下を向いているユウリの前に小指を一本立たせてると、小さな小指が絡んでくる。
「約束ですからね」
「それよりユウリ、これ見てくれ」
スマホから顔を上げて楽しそうに話していたユウリを見た瞬間、しまった、と瞬時に悟った。
にこやかに今日のキャンプのことを話していたはずのユウリから一瞬で表情が消えたのだ。
「…どれですか?」
冷たい温度を纏った冷静な声に、一瞬で全身に鳥肌が立った。
怒らせたのだ、ユウリを。
「いや、あー…この動画見てほしくて…」
恐る恐るソファーの背後に立っているユウリを見上げる。
すっと感情が消え、ピリピリとした空気を纏っている彼女。
「この間のジムチャレンジの開会式ですか?」
「そう。珍しくハクリュー連れた人がいたからユウリにも見てほしいなぁ…と…」
様子を伺いながら一つ一つユウリのげきりんに触れないように説明していく。
「カントー地方にいけばミニリュウ、いるみたいですよ。レアらしいですけど」
なんだか刺々しい物言いである。
ふーん、とさほど興味がないような態度でスマホを眺めるユウリは、天真爛漫な普段とは180度違う。
「…ユウリ、オレさま何かした?」
「別に」
とてつもなく不機嫌な彼女に念のため尋ねてみる。
やはり容易には答えてはくれない。
自分の失言に気付いてはいた。
キャンプの話をするユウリにそんなこと、とはないんじゃないかと数分前の自分に即座にツッコミを入れたい。
ただ、ガラルには生息しない美しいハクリューを一緒に共有したかっただけだったのだが、口から滑り出た言葉に自分で自分を殴りたくなる衝動に駆られる。
「キバナさんにはキャンプした話なんてつまらないことですもんね」
「…悪かった」
ソファーから立ち上がって、ラグの上で中断していた洗濯物を再び畳み始めているユウリのそばに腰を下ろす。
「うっかり口が滑った。悪い」
山のように積み上がった洗濯物を畳みながら告げる。
ユウリは相変わらず下を向いたままだ。
「うっかり…ですか。今までもそう思ってたんじゃないんですか?」
「違うって。そりゃ…多少は嫉妬するけど。じゃなくて。ただオマエと一緒にハクリュー観たかっただけなんだよ」
悪気はなかったと誠心誠意を込めて伝えてみる。
それでもふいっと畳み終わった洗濯物を抱えて、ユウリはウォークインクローゼットに行ってしまう。
慌てて追いかけて、次々としまいこんでいる彼女の横にしゃがめば、今度は邪魔だとでも言うような呆れた視線を投げられた。
「…どーしたら機嫌、治してくれるんだ?」
「…キョダイマホミルクリーミーフルーツパフェ、明日連れて行ってくれたら」
「わかった」
わかった、とは言ったものの、キョダイマホミルなんとかパフェがどんなものかがわからない。
なんとなくそんな名前をSNSで見たような、見なかったような。
「…私が楽しかったなって思ったことをそんなことって言われたのがちょっと悲しかったんです」
「ごめん」
伏し目がちに俯いた彼女を見上げて、言葉一つでこんなに怒らせてしまったことに素直に謝る。
「明日、パフェな」
下を向いているユウリの前に小指を一本立たせてると、小さな小指が絡んでくる。
「約束ですからね」