ジンクス本編外
「ごめん、限界だわ」
大きな欠伸をして、キバナはソファーから立ち上がった。
隣で映画を観ていたユウリは何度も瞼が閉じては開ける、を繰り返していた事に気づいていた。
連勤続きでさすがに疲れが溜まっていたのだろうと、邪魔にならぬようにユウリはテレビを消した。
「また今度、続き見ましょう。隣で起きていてもいいですか?」
「うん。多分すぐ寝ると思う。ごめんな」
キバナはユウリの頭を軽く撫でて寝室へと入っていった。
まだ飲み物が入っているマグカップを片付けてユウリが寝室へそっと入ると、キバナはすでに規則正しい寝息を立てていた。
まだ眠るには少し早い時間。
少しだけSNSでも見ようかとうつ伏せでスマホを操作する。
みんなの近況、拡散されてきたニュース。コラム。
ふいにキバナが寝返りを打ち、ユウリの方を向いた。
じっとその顔を見ると、目の下には隈がある。
はらりと頬に垂れ下がった漆黒の髪を払い除けようとそっと手を伸ばすと、瞼の隙間からエメラルドグリーンの瞳が覗いた。
まだ触れてはいなかったものの、振動で起こしてしまったのかと慌てて手を引く。
ゆっくりと瞼が持ち上がり、ぼんやりとしたキバナの瞳がユウリを捉えた瞬間、キバナは満面の笑みを浮かべた。
投げ出されていた手が伸びてきて、ポケモンたちを撫でるように頭を撫でられる。
2度ほど撫でて、力を無くしたキバナの手は布団の上に落ちた。
同時に瞼が下がり、また寝息が聞こえてくる。
無意識下の行動に、ユウリは嬉しくなると同時に寂しさを覚えた。
その腕の中に包まれたいけれど、疲労が溜まっている彼の腕を痺れさせてしまうのはなんだか気が引けた。
諦めて視線をスマホへ戻す。
眠気はないのに文字を文字として認識しない。
要は頭に入ってこなくなっていた。
布団の上に投げ出されていたキバナの手が動く音に視線を向けると、何かを探すように動いている。目は閉じたままだ。
その手がユウリの背に触れた瞬間、強い力で引き寄せられる。
声を上げる間もなく、マットレスの上でごろりと反転させられて、ユウリは腕の中ですっぽりと納まってしまった。
「キバナ、さん?」
小さく声をかけてみるが返事はない。
頭上からは寝息が聞こえてくるだけだ。
キバナの腕はしっかりとユウリの腹の辺りで抱えている。
まるで抱き枕だな、と思いながらもスマホに手を伸ばすが、もう少しの所で届かない。
まあ、いいか。
そんな風に思って、ユウリは目を閉じる。
背中に感じる体温に、睡魔はすぐにやってきた。
大きな欠伸をして、キバナはソファーから立ち上がった。
隣で映画を観ていたユウリは何度も瞼が閉じては開ける、を繰り返していた事に気づいていた。
連勤続きでさすがに疲れが溜まっていたのだろうと、邪魔にならぬようにユウリはテレビを消した。
「また今度、続き見ましょう。隣で起きていてもいいですか?」
「うん。多分すぐ寝ると思う。ごめんな」
キバナはユウリの頭を軽く撫でて寝室へと入っていった。
まだ飲み物が入っているマグカップを片付けてユウリが寝室へそっと入ると、キバナはすでに規則正しい寝息を立てていた。
まだ眠るには少し早い時間。
少しだけSNSでも見ようかとうつ伏せでスマホを操作する。
みんなの近況、拡散されてきたニュース。コラム。
ふいにキバナが寝返りを打ち、ユウリの方を向いた。
じっとその顔を見ると、目の下には隈がある。
はらりと頬に垂れ下がった漆黒の髪を払い除けようとそっと手を伸ばすと、瞼の隙間からエメラルドグリーンの瞳が覗いた。
まだ触れてはいなかったものの、振動で起こしてしまったのかと慌てて手を引く。
ゆっくりと瞼が持ち上がり、ぼんやりとしたキバナの瞳がユウリを捉えた瞬間、キバナは満面の笑みを浮かべた。
投げ出されていた手が伸びてきて、ポケモンたちを撫でるように頭を撫でられる。
2度ほど撫でて、力を無くしたキバナの手は布団の上に落ちた。
同時に瞼が下がり、また寝息が聞こえてくる。
無意識下の行動に、ユウリは嬉しくなると同時に寂しさを覚えた。
その腕の中に包まれたいけれど、疲労が溜まっている彼の腕を痺れさせてしまうのはなんだか気が引けた。
諦めて視線をスマホへ戻す。
眠気はないのに文字を文字として認識しない。
要は頭に入ってこなくなっていた。
布団の上に投げ出されていたキバナの手が動く音に視線を向けると、何かを探すように動いている。目は閉じたままだ。
その手がユウリの背に触れた瞬間、強い力で引き寄せられる。
声を上げる間もなく、マットレスの上でごろりと反転させられて、ユウリは腕の中ですっぽりと納まってしまった。
「キバナ、さん?」
小さく声をかけてみるが返事はない。
頭上からは寝息が聞こえてくるだけだ。
キバナの腕はしっかりとユウリの腹の辺りで抱えている。
まるで抱き枕だな、と思いながらもスマホに手を伸ばすが、もう少しの所で届かない。
まあ、いいか。
そんな風に思って、ユウリは目を閉じる。
背中に感じる体温に、睡魔はすぐにやってきた。