ジンクス本編外
年末年始の大掃除を前に、時間に余裕があるうちにと始めた自室の書棚を整理していると、一番端の方にアルバムを見つけた。
アルバムにしては高級な装いのカバーの埃を掃い、表紙を捲る。
分厚い紙をさらに捲ると、幼いころのユウリの写真が貼られていた。
振り返った姿、ジュラルドンたちのと遊んでいる姿、バトル時の写真。
「へぇ、懐かしいな」
写真の下のコメント欄には自分の筆跡で日付が記されていた。
おおよそ十年前の日付だ。
一枚、また一枚と捲るごとに、ユウリの成長を感じた。
あの頃は、一年経っても二年経っても、それこそ成人間近になっても昔と変わらない、なんて思っていたけれど、こうして振り返って見れば明らかに違っている。
そのアルバムは、少女から女性になる間までで終わっていた。
最後の写真の日付は五年前。ユウリの見せる表情も変わっていた。
気がつけば、持っているには少し重量のあるアルバムを見ながらデスクに移動し、座ってじっくりと見ていた。
デスクの端にアルバムを置いて、今度はパソコンからクラウドサービスを呼び出し、写真を一枚一枚スライドさせていく。
丁度、アルバムに保存していないころからの写真だ。
ユウリの歳は十八くらい。このころからはもう女性と呼ぶに相応しくなっていた。
それでも映っている光景は変わらなかった。キャンプをしている写真、手持ちたちと遊んでいる写真。
今現在に近づくにつれて、確かこの時は…なんてその写真を撮った時のことまで浮かんでくる。
懐かしさに手は止まらずにいると、とうとう最後の写真になった。
つい先日、二人で新居に越した日の写真だ。
家具も荷物も搬入前の、がらんとした部屋で撮った写真に思わず笑みがこぼれる。
最初は一緒に写真を撮るだけで固まってしまって、どうにも引き攣ったような笑みを浮かべていたけれど、この写真に写るユウリは自然な笑みを浮かべている。
随分、ユウリと長い間一緒にいたのだなと思いながらパソコンを閉じる。
どれだけの時間、こうして思い出に浸っていたのかはわからない。
室内はだいぶ暗くなっていた。
部屋の廊下を伝って優しいコンソメの香りが部屋にも漂い始めた。ユウリが夕食を作り始めたのだろう。
「キバナさーん」
キッチンから呼ぶユウリの声に立ち上がって向かうと、エプロンをつけてせかせかと動くユウリがいた。
唐突に抱きしめたくなって、スープをかき混ぜていたユウリを後ろから抱きしめると、小さく悲鳴が上がった。
「どうしたんですか?危ないですよ」
「んー……ごめん。今日の夕飯は?」
「ポトフです。温まるかなぁって思って」
コンソメの香りとユウリの温かな体温に、なんだか幸せだと感じた。
アルバムにしては高級な装いのカバーの埃を掃い、表紙を捲る。
分厚い紙をさらに捲ると、幼いころのユウリの写真が貼られていた。
振り返った姿、ジュラルドンたちのと遊んでいる姿、バトル時の写真。
「へぇ、懐かしいな」
写真の下のコメント欄には自分の筆跡で日付が記されていた。
おおよそ十年前の日付だ。
一枚、また一枚と捲るごとに、ユウリの成長を感じた。
あの頃は、一年経っても二年経っても、それこそ成人間近になっても昔と変わらない、なんて思っていたけれど、こうして振り返って見れば明らかに違っている。
そのアルバムは、少女から女性になる間までで終わっていた。
最後の写真の日付は五年前。ユウリの見せる表情も変わっていた。
気がつけば、持っているには少し重量のあるアルバムを見ながらデスクに移動し、座ってじっくりと見ていた。
デスクの端にアルバムを置いて、今度はパソコンからクラウドサービスを呼び出し、写真を一枚一枚スライドさせていく。
丁度、アルバムに保存していないころからの写真だ。
ユウリの歳は十八くらい。このころからはもう女性と呼ぶに相応しくなっていた。
それでも映っている光景は変わらなかった。キャンプをしている写真、手持ちたちと遊んでいる写真。
今現在に近づくにつれて、確かこの時は…なんてその写真を撮った時のことまで浮かんでくる。
懐かしさに手は止まらずにいると、とうとう最後の写真になった。
つい先日、二人で新居に越した日の写真だ。
家具も荷物も搬入前の、がらんとした部屋で撮った写真に思わず笑みがこぼれる。
最初は一緒に写真を撮るだけで固まってしまって、どうにも引き攣ったような笑みを浮かべていたけれど、この写真に写るユウリは自然な笑みを浮かべている。
随分、ユウリと長い間一緒にいたのだなと思いながらパソコンを閉じる。
どれだけの時間、こうして思い出に浸っていたのかはわからない。
室内はだいぶ暗くなっていた。
部屋の廊下を伝って優しいコンソメの香りが部屋にも漂い始めた。ユウリが夕食を作り始めたのだろう。
「キバナさーん」
キッチンから呼ぶユウリの声に立ち上がって向かうと、エプロンをつけてせかせかと動くユウリがいた。
唐突に抱きしめたくなって、スープをかき混ぜていたユウリを後ろから抱きしめると、小さく悲鳴が上がった。
「どうしたんですか?危ないですよ」
「んー……ごめん。今日の夕飯は?」
「ポトフです。温まるかなぁって思って」
コンソメの香りとユウリの温かな体温に、なんだか幸せだと感じた。