ジンクス本編外
「キバナさん、今日が何の日か知ってますか?」
「今日……11月11日って何かあったか?」
「今日はいい出会いの日なんですよ」
「いい夫婦の日は知ってるけど、そんな日もあるんだな」
「11月はいっぱいあるんですよ。いい〇〇の日」
「へぇ。ほんとだ。いい肉の日、いいリンゴの日?なんか無理矢理なもんもあるなぁ」
「キバナさん、覚えてますか?来月の十一日は、私がキバナさんと出会った日なんです」
「……ごめん、それは覚えてなかった」
ですよね、とユウリは笑みを浮かべた。
けれどその瞳が僅かに下を向いて、オレは悲しませたのだと悟った。
この子はそんな昔のことですら大事に覚えていたのだろう。
意識したのはもっと後になってからだったから、オレは覚えていなかった。
どう返したらいいかわからなくて、とりあえず膝の上に呼んで抱きしめた。
やっぱりキバナさんは覚えていなかった。
当然だと思う。出会った日なんて覚えていることのほうが珍しい。
あの日のことはたまたま私が覚えていただけ。
ごめん、と俯いた彼に、言わなければよかったと後悔した。
「気にしないでくださいね。一か月早かったらよかったなぁってちょっと惜しいと思っただけだったので」
これは本音だ。
「あの頃は、まだユウリを意識してなかったんだ」
「それはそうですよね。私ももっと後ですもん。たまたま昔の日記を見つけて気づいただけなんです」
あの頃は、まだジムチャレンジ中でそんな余裕はなかった。
彼を知って、その何年もあと。
あの時は、こんな風に二人で過ごす未来は見えなかった。
だから本当の記念日はやっぱり付き合い始めた日。
「今日……11月11日って何かあったか?」
「今日はいい出会いの日なんですよ」
「いい夫婦の日は知ってるけど、そんな日もあるんだな」
「11月はいっぱいあるんですよ。いい〇〇の日」
「へぇ。ほんとだ。いい肉の日、いいリンゴの日?なんか無理矢理なもんもあるなぁ」
「キバナさん、覚えてますか?来月の十一日は、私がキバナさんと出会った日なんです」
「……ごめん、それは覚えてなかった」
ですよね、とユウリは笑みを浮かべた。
けれどその瞳が僅かに下を向いて、オレは悲しませたのだと悟った。
この子はそんな昔のことですら大事に覚えていたのだろう。
意識したのはもっと後になってからだったから、オレは覚えていなかった。
どう返したらいいかわからなくて、とりあえず膝の上に呼んで抱きしめた。
やっぱりキバナさんは覚えていなかった。
当然だと思う。出会った日なんて覚えていることのほうが珍しい。
あの日のことはたまたま私が覚えていただけ。
ごめん、と俯いた彼に、言わなければよかったと後悔した。
「気にしないでくださいね。一か月早かったらよかったなぁってちょっと惜しいと思っただけだったので」
これは本音だ。
「あの頃は、まだユウリを意識してなかったんだ」
「それはそうですよね。私ももっと後ですもん。たまたま昔の日記を見つけて気づいただけなんです」
あの頃は、まだジムチャレンジ中でそんな余裕はなかった。
彼を知って、その何年もあと。
あの時は、こんな風に二人で過ごす未来は見えなかった。
だから本当の記念日はやっぱり付き合い始めた日。