ジンクス本編外
ジムチャレンジが始まり、忙しさに忙殺されているキバナとなかなか会えない寂しさを感じていた頃。
休ませたもののどうやら仕事をしているみたいだとリョウタから連絡が入った。
彼の真面目さ故の行動ではあるが、寝食もそこそこに業務をする姿に周りはいつも心配をしている。
訪ねると、やはり今回も自宅で持ち帰った仕事をしていた。
顔は青白く目元には隈。歩く姿はどこかふらついているように見える。
「キバナさん、何徹目ですか」
刺を含んだ言葉にもあっけらかんと2徹目、と帰ってくる。
「いくらタフなキバナさんでもその姿じゃ平気とは思えません」
罰が悪そうに頭を掻いて苦笑いをしているキバナの手を引き、デスクからリビングのソファーへ座らせる。
大きな窓から差し込む光が眩しいのか、眉をしかめている。
「リョウタさんから伝言です。キバナ様の抱えている事務作業は明後日以降で大丈夫ですので今日明日はゆっくり寝てください、とのことです」
勝手知ったるなんとやら、キッチンでお湯を沸かし、買ってきた食材を冷蔵庫に入れていく。
「なんでそんなになるまで仕事してたんですか?リョウタさんに聞いたら前倒し気味に仕事してるって聞きましたよ」
てきぱきとハーブティーを淹れ、砂糖たっぷりの焼き菓子と一緒にキバナの前に差し出して、呆れたようにため息をつく。
「ユウリとキャンプ行きたかったから」
仕事をすることを諦めたのか、観念したように焼き菓子を頬張りながら呟く。
やはり今日はいつもの余裕はなさそうだ。
普段は始終笑顔の彼が今日は無表情である。
「喜んで行きますけど、それは今度にして今日明日は寝ててください」
いいですね?と念を押し、食べ終わったキバナの手を引こうと差し出した手をぐいっと引っ張られ、抱きしめられる。
「オレさまが寝たら帰る?」
恥ずかしさ半分、嬉しさ半分。
付き合って一年近く経つとこうも変わるのかと思いながら抱き返す。
「一通り片付けたりしたら帰るつもりですよ?」
「…帰したくない」
ああ、やはりそうきたか、と苦笑いしながら、わかりました、と答える。
これが彼の素なのだろうか。最近は度々こういった『我儘』が増えたような気がする。
18歳で付き合い始めて1年。
出会った頃から頼れるお兄さんといった印象だったが、今では二人きりの時はこうだ。
無理に笑うこともなければ気も張っていない。
「どのみち私はキバナさんが誰も通さないのでヒマですし。明日の夕方までいますよ」
力なくだらんと巻きついていた腕からするりと抜け、何とか立たせた背中を押して寝室へ導く。
「家事とポケモンたちのお世話はしておきますから、寝てください」
ふらふらとベッドに入る彼を見届け、そっと扉を閉める。
極力音を出さないように気をつけながら移動し、溜まった洗濯物を洗濯機に放り込んでいく。
2日分の事務作業を終えて獲得した休日はどうやら忙しくなりそうだ。
休ませたもののどうやら仕事をしているみたいだとリョウタから連絡が入った。
彼の真面目さ故の行動ではあるが、寝食もそこそこに業務をする姿に周りはいつも心配をしている。
訪ねると、やはり今回も自宅で持ち帰った仕事をしていた。
顔は青白く目元には隈。歩く姿はどこかふらついているように見える。
「キバナさん、何徹目ですか」
刺を含んだ言葉にもあっけらかんと2徹目、と帰ってくる。
「いくらタフなキバナさんでもその姿じゃ平気とは思えません」
罰が悪そうに頭を掻いて苦笑いをしているキバナの手を引き、デスクからリビングのソファーへ座らせる。
大きな窓から差し込む光が眩しいのか、眉をしかめている。
「リョウタさんから伝言です。キバナ様の抱えている事務作業は明後日以降で大丈夫ですので今日明日はゆっくり寝てください、とのことです」
勝手知ったるなんとやら、キッチンでお湯を沸かし、買ってきた食材を冷蔵庫に入れていく。
「なんでそんなになるまで仕事してたんですか?リョウタさんに聞いたら前倒し気味に仕事してるって聞きましたよ」
てきぱきとハーブティーを淹れ、砂糖たっぷりの焼き菓子と一緒にキバナの前に差し出して、呆れたようにため息をつく。
「ユウリとキャンプ行きたかったから」
仕事をすることを諦めたのか、観念したように焼き菓子を頬張りながら呟く。
やはり今日はいつもの余裕はなさそうだ。
普段は始終笑顔の彼が今日は無表情である。
「喜んで行きますけど、それは今度にして今日明日は寝ててください」
いいですね?と念を押し、食べ終わったキバナの手を引こうと差し出した手をぐいっと引っ張られ、抱きしめられる。
「オレさまが寝たら帰る?」
恥ずかしさ半分、嬉しさ半分。
付き合って一年近く経つとこうも変わるのかと思いながら抱き返す。
「一通り片付けたりしたら帰るつもりですよ?」
「…帰したくない」
ああ、やはりそうきたか、と苦笑いしながら、わかりました、と答える。
これが彼の素なのだろうか。最近は度々こういった『我儘』が増えたような気がする。
18歳で付き合い始めて1年。
出会った頃から頼れるお兄さんといった印象だったが、今では二人きりの時はこうだ。
無理に笑うこともなければ気も張っていない。
「どのみち私はキバナさんが誰も通さないのでヒマですし。明日の夕方までいますよ」
力なくだらんと巻きついていた腕からするりと抜け、何とか立たせた背中を押して寝室へ導く。
「家事とポケモンたちのお世話はしておきますから、寝てください」
ふらふらとベッドに入る彼を見届け、そっと扉を閉める。
極力音を出さないように気をつけながら移動し、溜まった洗濯物を洗濯機に放り込んでいく。
2日分の事務作業を終えて獲得した休日はどうやら忙しくなりそうだ。