ジンクス本編外
石材で作られた螺旋状の階段を一定のリズムで登っていく。
数年前まで息を切らすほど登るのが大変だったのに、今ではほんの少し、呼吸が早くなる程度だ。
最上階まで登り切って重厚な木のドアを押すと、開けた空間が広がる。
ナックルシティのどこよりも高く、ワイルドエリアが見通せるナックル城の屋上は、私のお気に入りの場所だ。
目の前に広がるナックル丘陵は、いつの間にか秋になっていた。
湖の色は夏よりも濃い青に染まり、木々は黄色や赤に色を染めている。
草むらの色も、以前に比べて濃い緑だ。
木々の足元には秋に生るきのみが落ちていて、ホシガリスたちがたくさん広い集めているだろう。
様々なポケモンが生息するワイルドエリアに、もうすぐ冬が来る。
冬眠をするポケモンたちはホシガリスを退けながらきのみを集めて冬支度を始めているのだろう。
ひゅう、と音を立てて吹いた風に、思わず身震いをした。
夕暮れともなれば、気温もだいぶ下がってくる。
標高が一番高い山の頂上が白く光っていた。
そういえば、数日前の冷え込んだ日に初雪が降ったとニュースで聞いた気がする。
その山の向こうに、赤と黄色と橙が混じりあった夕日が沈みかけていた。
この景色を、ここから見るのが大好きだ。
春も夏も秋も冬も、ここへ降り立って景色を見る。
ワイルドエリアを駆け回るのも大好きだし、こうして景色を見ているだけでも楽しい。
春は咲き誇る桜を見て、夏は涼しそうな湖を優雅に泳ぐラプラスや勇ましいギャラドスが跳ねている様子を見て涼を取る。
秋はこうして紅葉を眺め、冬は暖かい飲み物を片手に冬にしかお目にかかれないポケモンたちの様子を観察する。
キバナさんが貸してくれた双眼鏡は、借りっぱなしで数年が過ぎた。
暇さえあればここで街並みやワイルドエリアを見ている私に、もっとよく見えるからと貸してくれた双眼鏡は、いつも大切にバッグの中に入っている。
そして、私がここに来るもう一つの理由は、彼がここに降り立つから。
巡回から帰ってくるキバナさんは、いつもジムの入り口ではなく、この屋上にフライゴンで降り立つ。
目を閉じて、深呼吸をし、耳を澄ませる。
街の喧騒に混じって微かに聞こえてくる心地の良い音色が大きくなる。
段々とはっきりと聞こえるようになってから目を開けると、そこには新緑のような鮮やかな色をしたフライゴンの体と、真っ赤な目が見えてくる。
夕日に照らされていてはっきりとは見えなくとも、その背に乗っているのは彼しかいない。
大きく手を振ると、振り替えされているのがはっきりと見える。
「おかえりなさい、キバナさん」
フライゴンが降り立つと同時に駆け寄って、ぎゅっと腰に抱き着く。
フライゴンの頭が体にぐりぐりと擦り付けられて、フライゴンにも抱き着くと、嬉しそうに喉を鳴らす。
「ただいま、ユウリ」
目尻を下げて笑う彼のこの笑顔が、彼の守るこの街が、四季折々の景色を堪能できるこの場所が、私はとても好きだ。
数年前まで息を切らすほど登るのが大変だったのに、今ではほんの少し、呼吸が早くなる程度だ。
最上階まで登り切って重厚な木のドアを押すと、開けた空間が広がる。
ナックルシティのどこよりも高く、ワイルドエリアが見通せるナックル城の屋上は、私のお気に入りの場所だ。
目の前に広がるナックル丘陵は、いつの間にか秋になっていた。
湖の色は夏よりも濃い青に染まり、木々は黄色や赤に色を染めている。
草むらの色も、以前に比べて濃い緑だ。
木々の足元には秋に生るきのみが落ちていて、ホシガリスたちがたくさん広い集めているだろう。
様々なポケモンが生息するワイルドエリアに、もうすぐ冬が来る。
冬眠をするポケモンたちはホシガリスを退けながらきのみを集めて冬支度を始めているのだろう。
ひゅう、と音を立てて吹いた風に、思わず身震いをした。
夕暮れともなれば、気温もだいぶ下がってくる。
標高が一番高い山の頂上が白く光っていた。
そういえば、数日前の冷え込んだ日に初雪が降ったとニュースで聞いた気がする。
その山の向こうに、赤と黄色と橙が混じりあった夕日が沈みかけていた。
この景色を、ここから見るのが大好きだ。
春も夏も秋も冬も、ここへ降り立って景色を見る。
ワイルドエリアを駆け回るのも大好きだし、こうして景色を見ているだけでも楽しい。
春は咲き誇る桜を見て、夏は涼しそうな湖を優雅に泳ぐラプラスや勇ましいギャラドスが跳ねている様子を見て涼を取る。
秋はこうして紅葉を眺め、冬は暖かい飲み物を片手に冬にしかお目にかかれないポケモンたちの様子を観察する。
キバナさんが貸してくれた双眼鏡は、借りっぱなしで数年が過ぎた。
暇さえあればここで街並みやワイルドエリアを見ている私に、もっとよく見えるからと貸してくれた双眼鏡は、いつも大切にバッグの中に入っている。
そして、私がここに来るもう一つの理由は、彼がここに降り立つから。
巡回から帰ってくるキバナさんは、いつもジムの入り口ではなく、この屋上にフライゴンで降り立つ。
目を閉じて、深呼吸をし、耳を澄ませる。
街の喧騒に混じって微かに聞こえてくる心地の良い音色が大きくなる。
段々とはっきりと聞こえるようになってから目を開けると、そこには新緑のような鮮やかな色をしたフライゴンの体と、真っ赤な目が見えてくる。
夕日に照らされていてはっきりとは見えなくとも、その背に乗っているのは彼しかいない。
大きく手を振ると、振り替えされているのがはっきりと見える。
「おかえりなさい、キバナさん」
フライゴンが降り立つと同時に駆け寄って、ぎゅっと腰に抱き着く。
フライゴンの頭が体にぐりぐりと擦り付けられて、フライゴンにも抱き着くと、嬉しそうに喉を鳴らす。
「ただいま、ユウリ」
目尻を下げて笑う彼のこの笑顔が、彼の守るこの街が、四季折々の景色を堪能できるこの場所が、私はとても好きだ。