バレンタイン
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「なんでなーん。今年こそ約束したやん」
「わかってるけど、断れないじゃない」
今年こそ私以外からは貰わへんって約束したくせになんであっさり破るん。
しかもこんな大量に貰ってきて。
バレンタインデーはお休みやからって前日の今日から会う約束をしていた。
家にやってきた貴美ちゃんは両手にでっかい紙袋を下げていた。
見た瞬間溢れたため息
「だって娘役さんの涙には弱いんだもん」
へー。貰ってくれへんかったら泣きますってか
テーブルの上に置かれた紙袋を眺めればわざわざお手紙まで付いてたり、手作りしたんやろなーってチョコばっかり。
「私より娘役さんなんや」
「そんな訳ないじゃない。さやかだっていっぱい貰ったでしょう」
「組子以外からももらってるでしょ」
もうほんま嫌。
私かてこんな事言いたい訳じゃないんだけど、組が違うから見えない部分も沢山あって不安になる。
形式的にくれてるだけじゃないんよ、貴美ちゃんを本気で好きやって子が沢山いて辛いって事まだ分かってくれん。
「貴美ちゃんは私じゃなくてもいいんや」
「そんな訳ないじゃない」
「こんなに好きなん私だけ」
「さやか」
強めに声を発した貴美ちゃんに紙袋をじっと見ていた顔を上げれば腕を広げて待ってるけど、その腕に飛び込む気にはなれなかった。
みかねた貴美ちゃんがそっと近寄って来て抱きしめられそうになった瞬間、反射的に思わず押し返してしまった。
はっとして貴美ちゃんを見れば悲しそうに笑ってて、私の方が泣きそうになる。
「分かった。こめんね、今日は帰る」
「え、」
「さやかを傷つけたかった訳じゃなないの、ごめんね。さやかが大好きだよ」
テーブルの上の紙袋に手を伸ばして玄関へと向かう貴美ちゃんの背中を立ち尽くして見ていた。
引き止めたいのに足が動かなくて、"行かないで"のたった一言が出てこない。玄関の扉が閉まる音に膝から崩れ落ちた。
何でこんな事になったん。
こんな風にしたかったわけじゃない。
2人で楽しく過ごしたかっただけなのに何してるんやろ。
ひとしきり泣いたら水分が欲しくなってキッチンへ立った時、ふとテーブルの上に紙袋が置き忘れてある事に気づいた。
「貴美ちゃん忘れてるやん」
他の人からの貴美ちゃんへの想いを目にするのは居た堪れない。
どっか避けといて今度返そうと紙袋に手をかけた時ふと目に入った中のメッセージカード
「さやかへ」
見間違うはずもない貴美ちゃんの字や
私へって事?開けてもいいんかな。
紙袋から箱を取り出せばチョコともう一つ小さな箱
中を開けてみればかっこいい指輪
さっきのメッセージカードを広げればもう涙が止まらなくなってしまった。
大好きなさやかへ
これからもより素敵な男役になってね。
その指輪はお揃いです。
さやかの不安が少しでも軽くなるといいな。
これからもよろしく
さやかだけの貴美より
「私ってば、ほんまあほや」
貴美ちゃんが私だけ思ってくてるって分かってたのに。
会いたい。
会って謝らなきゃ。
まだ追いつけるだろうか
着の身着のままで部屋を飛び出した。
「わあっ」
「遅いよ」
玄関を開けたら貴美ちゃんが扉の横に頬杖をついてしゃがみ込んでいた。
なっ、なんで。
帰らんでいてくれたん。
立ち上がった貴美ちゃんはまた眉を下げた。
「また泣かせちゃったのかな、私」
「もう、貴美ちゃんのせいで私ずっと泣きっぱなしや」
「さやかの涙に一番弱いんだから」
その胸に今度は全想いを込めて飛び込んだ。
「責任とって」
「いいよ」
「好きや」
「知ってる」
優しい優しいその声
そっと抱きしめ返してくれて一気に暖かくなる。
「戻ろう」
「うん」
私も今日のためにチョコ作ったんよ。
貴美ちゃんを想いながら。
もらったどのチョコより愛が詰まってるんやからね。
それだけは忘れんとって。
指輪いっぱい自慢してええ?
ふふっ、いいよ
みんなに羨ましがられるやろなー、楽しみや
「わかってるけど、断れないじゃない」
今年こそ私以外からは貰わへんって約束したくせになんであっさり破るん。
しかもこんな大量に貰ってきて。
バレンタインデーはお休みやからって前日の今日から会う約束をしていた。
家にやってきた貴美ちゃんは両手にでっかい紙袋を下げていた。
見た瞬間溢れたため息
「だって娘役さんの涙には弱いんだもん」
へー。貰ってくれへんかったら泣きますってか
テーブルの上に置かれた紙袋を眺めればわざわざお手紙まで付いてたり、手作りしたんやろなーってチョコばっかり。
「私より娘役さんなんや」
「そんな訳ないじゃない。さやかだっていっぱい貰ったでしょう」
「組子以外からももらってるでしょ」
もうほんま嫌。
私かてこんな事言いたい訳じゃないんだけど、組が違うから見えない部分も沢山あって不安になる。
形式的にくれてるだけじゃないんよ、貴美ちゃんを本気で好きやって子が沢山いて辛いって事まだ分かってくれん。
「貴美ちゃんは私じゃなくてもいいんや」
「そんな訳ないじゃない」
「こんなに好きなん私だけ」
「さやか」
強めに声を発した貴美ちゃんに紙袋をじっと見ていた顔を上げれば腕を広げて待ってるけど、その腕に飛び込む気にはなれなかった。
みかねた貴美ちゃんがそっと近寄って来て抱きしめられそうになった瞬間、反射的に思わず押し返してしまった。
はっとして貴美ちゃんを見れば悲しそうに笑ってて、私の方が泣きそうになる。
「分かった。こめんね、今日は帰る」
「え、」
「さやかを傷つけたかった訳じゃなないの、ごめんね。さやかが大好きだよ」
テーブルの上の紙袋に手を伸ばして玄関へと向かう貴美ちゃんの背中を立ち尽くして見ていた。
引き止めたいのに足が動かなくて、"行かないで"のたった一言が出てこない。玄関の扉が閉まる音に膝から崩れ落ちた。
何でこんな事になったん。
こんな風にしたかったわけじゃない。
2人で楽しく過ごしたかっただけなのに何してるんやろ。
ひとしきり泣いたら水分が欲しくなってキッチンへ立った時、ふとテーブルの上に紙袋が置き忘れてある事に気づいた。
「貴美ちゃん忘れてるやん」
他の人からの貴美ちゃんへの想いを目にするのは居た堪れない。
どっか避けといて今度返そうと紙袋に手をかけた時ふと目に入った中のメッセージカード
「さやかへ」
見間違うはずもない貴美ちゃんの字や
私へって事?開けてもいいんかな。
紙袋から箱を取り出せばチョコともう一つ小さな箱
中を開けてみればかっこいい指輪
さっきのメッセージカードを広げればもう涙が止まらなくなってしまった。
大好きなさやかへ
これからもより素敵な男役になってね。
その指輪はお揃いです。
さやかの不安が少しでも軽くなるといいな。
これからもよろしく
さやかだけの貴美より
「私ってば、ほんまあほや」
貴美ちゃんが私だけ思ってくてるって分かってたのに。
会いたい。
会って謝らなきゃ。
まだ追いつけるだろうか
着の身着のままで部屋を飛び出した。
「わあっ」
「遅いよ」
玄関を開けたら貴美ちゃんが扉の横に頬杖をついてしゃがみ込んでいた。
なっ、なんで。
帰らんでいてくれたん。
立ち上がった貴美ちゃんはまた眉を下げた。
「また泣かせちゃったのかな、私」
「もう、貴美ちゃんのせいで私ずっと泣きっぱなしや」
「さやかの涙に一番弱いんだから」
その胸に今度は全想いを込めて飛び込んだ。
「責任とって」
「いいよ」
「好きや」
「知ってる」
優しい優しいその声
そっと抱きしめ返してくれて一気に暖かくなる。
「戻ろう」
「うん」
私も今日のためにチョコ作ったんよ。
貴美ちゃんを想いながら。
もらったどのチョコより愛が詰まってるんやからね。
それだけは忘れんとって。
指輪いっぱい自慢してええ?
ふふっ、いいよ
みんなに羨ましがられるやろなー、楽しみや