バレンタイン
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「え、貰えなかったんですけど」
2月14日
バレンタインデー
世の中の人が好きな人に愛を送る日
私は男役というものをさせて貰っているので送る機会は少ない。
貰う方が多い訳なのだけど・・・。
欲しかった人から貰えなかった。
しかも私以外の人は結構貰っている。
なんで?私のアピール足りなかったですか?
自問自答しながら歩く2月15日の劇団の廊下。
今日もお稽古なのだけど気持ちは上がらないまま。
こんな気持ち引きずってお稽古なんていけない。気持ちを切り替えなければ
そう思えば思うほどなんで私は貰えなかったんだろうという気持ちがわいてくる。
「おはようございます」
「あ、れいこちゃんおはよう」
お稽古場に入ればまさに私の頭を悩ませている人。
ちなつさんと同期の貴美さんは月組の中でも群を抜く芝居上手な娘役さん。
しかもお顔立ちも美しくて気を抜くと見とれてしまっているなんてことも少なくない。
元々雪組時代に一緒に舞台に立たせていただいたりしてて
最近月組に組替えしてこられたのを喜ぶのもつかの間
貴美さんの愛らしい姿に皆虜になってしまって気付けばいつも組子に囲まれている
なんで私にはチョコ無かったんですか?そう素直に聞けたら苦労はしないんだけど。
貴美さんの愛情を勝ち取りたかった。
あんなに昨日貴美さんの近くをうろうろしていたのに。
「貴美さーん」
「ゆのちゃんおはよう」
「おはようございます。昨日はありがとうございました。すっごく美味しかったです」
「本当?なら良かった」
貴美さんと話をしようと思ったタイミングで風間が元気いっぱいにお稽古場に入ってきた。
しかも私が貰えなかったバレンタインの話なんて始めてくれるものだから話に入れやしない。
なんで風間にはあって、雪組時代から交流もあってあなただけをずっと想っている私にはないんだ・・・。
なんだかむなしくなって2人から離れて柔軟を始めた。
「ねえ、貴美さんあれって本命だったりします?」
「ふふっ、ゆのちゃん面白い事言うね」
2人に背中を向けて柔軟を始めるけど、結局会話が気になるものだから柔軟に集中出来ない。
ひとりで悶々としすぎて貴美さんが背後に立っていたことに気付かなかった。
「れいこちゃん」
「わっ。どうしました、貴美さん」
「手伝おうか?柔軟」
「へ?」
「全然出来てなかったよ?」
見られてた。
私が風間との会話に聞き耳立ててた事バレてしまってるのかも。
はいはいって前を向かされて優しく背中を押してくれる。
手が触れてる背中に意識が集中しちゃってどきどきで柔軟どころじゃないんですけど・・・。
「れいこちゃんは沢山チョコ貰った?」
「まあ、ある程度は貰いました」
「さすが」
今その話はしたくないんですけど。
でも知りたい、あなたが誰にチョコをあげたのか。
「でも欲しかった人からは貰えなかったんです」
「あら。れいこちゃんでも貰えないとかあるんだね」
背中を押してくれてる貴美さんの方を恨みがましく見つめる。
あなたの事なんですよ。
私の気持ちなんか知らずに首をかしげる貴美さん
「貴美さんは?」
「え?」
「あげたんですか?好きな人に」
何を自分から玉砕するような話を振ってるんだ、私。
貴美さんは目を見開いた後、ふっと微笑んだ。
「私、意気地なしだからあげれなかったの」
はい、失恋決定。
自ら片思いの終わりを告げさせるとは。
振った話題がよろしくなかった。
一気に力が抜けて貴美さんの背中を押す力と共に前にぐったりと倒れた。
「すごっ、一気に解れたね」
あなたのせいです。
さよなら私の恋。
まあ、チョコ貰えてない時点で眼中にもなかっんだろうけど。
貴美さんに愛される人は幸せ者だ。
「貴美さん」
「ん?」
「髪飾りが」
ぽろっと私の目の前に転がった小さな貴美さんの髪飾り。
拾って、貴美さんの髪に戻してあげるべく貴美さんの方に向き直る。
「れっ、れいこちゃん自分で直すから」
「はいはい、良いからこっち向いてください」
恥ずかしがってる貴美さんが可愛すぎて意地悪したくなってわざと頬に左手を当てて至近距離で見つめながら髪の毛に右手を伸ばす。
「ふふっ」
「何で笑うの」
「可愛いなって」
「・・・もうっ。れいこちゃんの意地悪」
ガチャッとお稽古場の扉が開き自然と私たちの視線だけはそちらに向く。
「あれ?貴美、れいこちゃんおめでとー。うまくいったんだね。でもこんなとこでキスはちょっと情熱的すぎじゃない」
「ちょっ、ちなつ」
稽古場に入ってくるなり笑顔でそんなことを言い出したちなつさん。
貴美さんは慌てて立ち上がってちなつさんところまで走って行ったかと思えばそのまま口を手で塞いだ。
私と貴美さんがうまくうまくいった?どういうこと?
「ふ?」
「ちなつ勘違いだから」
「ふふ?」
ちなつさんの角度からは私たちがキスしているように見えたのだろう。
口ふさがれちゃってるからなんて言ってるのか分からないけど、慌ててる貴美さんの顔は真っ赤
「それってどう言う意味ですか?」
「れっ、れいこちゃん何でもないの」
「それより、ちなつさん息出来ないのでは?」
ちなつさんの口から手を離した貴美さんは泣きそうな顔をしている。
でも、私の気持ちは誰にもまだ言ってないからちなつさんが知ってるはずがない。
私の行動でバレちゃってるのなら話は別だけど。
もしかして・・・。淡い期待が膨らむ。
「ほっ、ほらお稽古始まっちゃうよ」
「貴美さん」
「なっ、なに?」
「貴美さんのチョコを渡せなかった好きな人って誰ですか」
私の静かな口調に貴美さんの視線が泳ぐ。
「私は柔軟してこようかな」
貴美さんの頭をぽんぽんと撫でて行ってしまったちなつさん。
俯いたままの貴美さんに歩み寄ればやっと顔を上げてこちらを見てくれた。
「私だって言って欲しいです」
「え」
「どうなんですか?」
「あっ、あの・・・」
数歩後ずさった貴美さんは急に背を向け走ってお稽古場を出て行ってしまった。
突然の事に追いかけることも出来ず私の手は空を掴んだ。
自惚れ過ぎたな・・・。
ショック過ぎるけどお稽古に向けて気持ちを切り替えるとしよう。
しばらくがっくり肩を落としたままお稽古場の入り口を呆然と眺めていたけど、力無く踵を返したところで左腕をぐっと引っ張られた。
「へっ」
「これっ」
真っ赤な顔の貴美さんがついっと差し出した綺麗にラッピングされた箱
「本当は昨日渡したかったの。でも勇気が無くて」
「昨日ずっと待ってたんですよ」
「そんな風に思ってくれてたなんて思ってもみなくて。れいこちゃんには可愛い年下の女の子が似合うし」
その涙目反則じゃないですか。
攻めれないじゃないですか。
「れいこちゃんが好き」
「私も貴美さんが好きです」
貴美さんの手ごと箱を引き寄せて抱き締める
「こんなに焦らされたバレンタインないです」
「ごめん」
腕を緩めて、そっと口づける。
「これで許してあげます」
さっきよりさらに顔を真っ赤にして口をぱくぱくさせている。
してやったり。
鼻歌を歌いながらお稽古の準備を始めるのだった。
美味しいチョコの食べ方知ってます?
え?知らない
口移しです。上からと、あと下からも
へ?
楽しみだなあ今夜
2月14日
バレンタインデー
世の中の人が好きな人に愛を送る日
私は男役というものをさせて貰っているので送る機会は少ない。
貰う方が多い訳なのだけど・・・。
欲しかった人から貰えなかった。
しかも私以外の人は結構貰っている。
なんで?私のアピール足りなかったですか?
自問自答しながら歩く2月15日の劇団の廊下。
今日もお稽古なのだけど気持ちは上がらないまま。
こんな気持ち引きずってお稽古なんていけない。気持ちを切り替えなければ
そう思えば思うほどなんで私は貰えなかったんだろうという気持ちがわいてくる。
「おはようございます」
「あ、れいこちゃんおはよう」
お稽古場に入ればまさに私の頭を悩ませている人。
ちなつさんと同期の貴美さんは月組の中でも群を抜く芝居上手な娘役さん。
しかもお顔立ちも美しくて気を抜くと見とれてしまっているなんてことも少なくない。
元々雪組時代に一緒に舞台に立たせていただいたりしてて
最近月組に組替えしてこられたのを喜ぶのもつかの間
貴美さんの愛らしい姿に皆虜になってしまって気付けばいつも組子に囲まれている
なんで私にはチョコ無かったんですか?そう素直に聞けたら苦労はしないんだけど。
貴美さんの愛情を勝ち取りたかった。
あんなに昨日貴美さんの近くをうろうろしていたのに。
「貴美さーん」
「ゆのちゃんおはよう」
「おはようございます。昨日はありがとうございました。すっごく美味しかったです」
「本当?なら良かった」
貴美さんと話をしようと思ったタイミングで風間が元気いっぱいにお稽古場に入ってきた。
しかも私が貰えなかったバレンタインの話なんて始めてくれるものだから話に入れやしない。
なんで風間にはあって、雪組時代から交流もあってあなただけをずっと想っている私にはないんだ・・・。
なんだかむなしくなって2人から離れて柔軟を始めた。
「ねえ、貴美さんあれって本命だったりします?」
「ふふっ、ゆのちゃん面白い事言うね」
2人に背中を向けて柔軟を始めるけど、結局会話が気になるものだから柔軟に集中出来ない。
ひとりで悶々としすぎて貴美さんが背後に立っていたことに気付かなかった。
「れいこちゃん」
「わっ。どうしました、貴美さん」
「手伝おうか?柔軟」
「へ?」
「全然出来てなかったよ?」
見られてた。
私が風間との会話に聞き耳立ててた事バレてしまってるのかも。
はいはいって前を向かされて優しく背中を押してくれる。
手が触れてる背中に意識が集中しちゃってどきどきで柔軟どころじゃないんですけど・・・。
「れいこちゃんは沢山チョコ貰った?」
「まあ、ある程度は貰いました」
「さすが」
今その話はしたくないんですけど。
でも知りたい、あなたが誰にチョコをあげたのか。
「でも欲しかった人からは貰えなかったんです」
「あら。れいこちゃんでも貰えないとかあるんだね」
背中を押してくれてる貴美さんの方を恨みがましく見つめる。
あなたの事なんですよ。
私の気持ちなんか知らずに首をかしげる貴美さん
「貴美さんは?」
「え?」
「あげたんですか?好きな人に」
何を自分から玉砕するような話を振ってるんだ、私。
貴美さんは目を見開いた後、ふっと微笑んだ。
「私、意気地なしだからあげれなかったの」
はい、失恋決定。
自ら片思いの終わりを告げさせるとは。
振った話題がよろしくなかった。
一気に力が抜けて貴美さんの背中を押す力と共に前にぐったりと倒れた。
「すごっ、一気に解れたね」
あなたのせいです。
さよなら私の恋。
まあ、チョコ貰えてない時点で眼中にもなかっんだろうけど。
貴美さんに愛される人は幸せ者だ。
「貴美さん」
「ん?」
「髪飾りが」
ぽろっと私の目の前に転がった小さな貴美さんの髪飾り。
拾って、貴美さんの髪に戻してあげるべく貴美さんの方に向き直る。
「れっ、れいこちゃん自分で直すから」
「はいはい、良いからこっち向いてください」
恥ずかしがってる貴美さんが可愛すぎて意地悪したくなってわざと頬に左手を当てて至近距離で見つめながら髪の毛に右手を伸ばす。
「ふふっ」
「何で笑うの」
「可愛いなって」
「・・・もうっ。れいこちゃんの意地悪」
ガチャッとお稽古場の扉が開き自然と私たちの視線だけはそちらに向く。
「あれ?貴美、れいこちゃんおめでとー。うまくいったんだね。でもこんなとこでキスはちょっと情熱的すぎじゃない」
「ちょっ、ちなつ」
稽古場に入ってくるなり笑顔でそんなことを言い出したちなつさん。
貴美さんは慌てて立ち上がってちなつさんところまで走って行ったかと思えばそのまま口を手で塞いだ。
私と貴美さんがうまくうまくいった?どういうこと?
「ふ?」
「ちなつ勘違いだから」
「ふふ?」
ちなつさんの角度からは私たちがキスしているように見えたのだろう。
口ふさがれちゃってるからなんて言ってるのか分からないけど、慌ててる貴美さんの顔は真っ赤
「それってどう言う意味ですか?」
「れっ、れいこちゃん何でもないの」
「それより、ちなつさん息出来ないのでは?」
ちなつさんの口から手を離した貴美さんは泣きそうな顔をしている。
でも、私の気持ちは誰にもまだ言ってないからちなつさんが知ってるはずがない。
私の行動でバレちゃってるのなら話は別だけど。
もしかして・・・。淡い期待が膨らむ。
「ほっ、ほらお稽古始まっちゃうよ」
「貴美さん」
「なっ、なに?」
「貴美さんのチョコを渡せなかった好きな人って誰ですか」
私の静かな口調に貴美さんの視線が泳ぐ。
「私は柔軟してこようかな」
貴美さんの頭をぽんぽんと撫でて行ってしまったちなつさん。
俯いたままの貴美さんに歩み寄ればやっと顔を上げてこちらを見てくれた。
「私だって言って欲しいです」
「え」
「どうなんですか?」
「あっ、あの・・・」
数歩後ずさった貴美さんは急に背を向け走ってお稽古場を出て行ってしまった。
突然の事に追いかけることも出来ず私の手は空を掴んだ。
自惚れ過ぎたな・・・。
ショック過ぎるけどお稽古に向けて気持ちを切り替えるとしよう。
しばらくがっくり肩を落としたままお稽古場の入り口を呆然と眺めていたけど、力無く踵を返したところで左腕をぐっと引っ張られた。
「へっ」
「これっ」
真っ赤な顔の貴美さんがついっと差し出した綺麗にラッピングされた箱
「本当は昨日渡したかったの。でも勇気が無くて」
「昨日ずっと待ってたんですよ」
「そんな風に思ってくれてたなんて思ってもみなくて。れいこちゃんには可愛い年下の女の子が似合うし」
その涙目反則じゃないですか。
攻めれないじゃないですか。
「れいこちゃんが好き」
「私も貴美さんが好きです」
貴美さんの手ごと箱を引き寄せて抱き締める
「こんなに焦らされたバレンタインないです」
「ごめん」
腕を緩めて、そっと口づける。
「これで許してあげます」
さっきよりさらに顔を真っ赤にして口をぱくぱくさせている。
してやったり。
鼻歌を歌いながらお稽古の準備を始めるのだった。
美味しいチョコの食べ方知ってます?
え?知らない
口移しです。上からと、あと下からも
へ?
楽しみだなあ今夜