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「あれ?いない」
「あ、貴美さんならさっき」
私が探してる相手を察知した勘の良いれいが貴美ちゃんの居場所を教えてくれる。
「貴美ちゃん」
「キキちゃん、どうしたの?」
「えへへ、会いたくて来ちゃった」
花組時代、組替えしてすぐ心細くなって泣きそうになってた私に手を差し伸べてくれたひと。
歌もお芝居もダンスも完璧な娘役上級生さん。
風斗ちゃんと同期さんだから期は少し離れるけど、仲良しで大好きな大好きな人
「もう2月ですね」
「本当だねー。こないだ年越したばっかりな気がするけど」
「2月といえば?」
「2月?んー、節分は終わったし、受験シーズンだね。はっ、受験生へのメッセージ考えとくように言われてたんだった」
一生懸命首を捻って考えて出た答えがそれですか。
すっかり仕事を思い出してしまったようであわあわしだしちゃった。
2月といえば一大イベントがあるやんか。
バレンタインやろバレンタイン。
毎年貴美ちゃんから貰えるかどうかドキドキしてこの日を待ってる。
組違うし、みんなに負けたくないから存在をアピールしとかな。
「バレンタインがあるやん」
「あー!そうだね。キキちゃんは今年も大量なんじゃない?」
「そやなー」
そうやない、貴美ちゃんから貰いたいんやって。
また強がってしまった。
ばいばいした後ももやもやが消えない。
「貴美さんに今年こそ告白する」
「ついに?」
「作ってみようかな、チョコ」
「え?芹香ちん作るの?」
「もうやきもきしてられへん」
お稽古場に戻ってもなんか落ち着かなくて。
こんなんしてる間に誰かのものになってしまうかもしらん。
そんなん嫌や。
「恋する乙女だねぇ」
「バレンタインは戦争やで」
のほほんと私を眺めるゆりかさんをよそに決心をした。
一念発起や。
「あ」
「あ、キキちゃん」
こんなとこで会うやなんて。
お稽古がお休みやったから重い腰を上げて買い物に出かけたらこれや。
普段会いたいと思っても会えへんのにこういう会わんでええ時に会うんよね。
手作り用のチョコキット片手に固まる私。
「キキちゃん、チョコ作るの?」
「あはは、作ってみよかなぁなんて」
「へー、キキちゃん好きなひといたんだ」
「私かて好きな人くらいおるわ」
心底意外そうな顔されるから私の気持ちなんて全然気づいてへんのやって悔しくなって思わず冷たい口調になったのが自分でも分かった。
「そっか。両思い?ってそんな事聞かれても困るよね」
一生懸命話を繋げようとしてくれるのは分かってる。
でもそれって全然私の気持ち気づいてくれへんし眼中ないやん。
「貴美ちゃんには関係あらへん」
「そうだね、ごめん。ゆっくり選んでね。また」
貴美ちゃんは手に持ってたチョコを棚に戻して泣きそうな顔してるくせに無理に笑って私に背を向けた。
違う。貴美ちゃんにやって言えたらどんなに良かっただろう。
意気消沈してしまった私は手に取っていたチョコキットを棚に戻して、家路に着いた。
***
Side Nozomi
2月14日
劇団が甘い香りで包まれる一日。
今年も早々に沢山娘役さんからチョコをいただき、両手にパンパンの紙袋をぶらさげて歩く劇団の廊下。
ロッカー入るかな。
そろそろ貴美も来てくれるはず。
私が雪組になっても毎年必ず朝渡しに来てくれる。
それより気になっているのはキキと貴美の関係が全然進展しない事。
キキに作ってるチョコだけ特別なのキキは知らない。
早く思いを伝えてしまえばいいのに。
うじうじしてたらチャンス逃しちゃう。
でもまあ、キキもキキで熱い視線を送ってるくせに言わないからお互い様か。
チョコの入った紙袋から視線をあげれば貴美。
なんか暗いな。
「貴美どうしたの?」
「あやちゃん、失恋しちゃった」
「え、なに?フラれたの?キキに」
「好きなひとがいるんだって」
「はあ?」
半泣きの貴美を取り敢えず空き教室に連れて行き問い詰めれば先日私に材料を買いに行くと言った日の経緯を聞かされた。
貴美も貴美だけどキキもキキだ。
いやキキの好きな人ってあんただよ!ってここまで出かかったけどぐっと堪えた。
あのキキがチョコを作ろうだなんて相当な覚悟なんじゃ。
むしろあちら側からくるパターンで、待ってたら今日チョコと共に告白されてってなりそうだけど。
「なんかよく分かんないけどさ」
「え?意味わかんなかった?」
「とにかく、チョコは?渡したの?」
「え?作ってない」
「はあ?」
なんだか勇気がなくなって、買いに行かなかったとか何考えてるわけ?
***
「とにかく!チロルチョコでも5円チョコでもいいから今から買ってきて」
「え?お稽古始まっちゃう」
「稽古とキキどっちが大事なの」
「そりゃあキキちゃんが」
「適当に誤魔化しとくから行ってこい」
「はいっ」
凄い剣幕のあやちゃんに背中を押されて教室を飛び出し左に曲がった途端何かにぶつかった。
「わあっ。すみませ・・・」
そのままぎゅーっと抱きしめられびっくりしたけど
顔は見えなくても香りで分かる。
「キッ、キキちゃん」
「貴美ちゃん、どこ行くん」
「えっと・・・買い出し?」
「何を誰のために買いに行くん」
そんな事聞いてくるなんて
もしかしてだけど、さっきの話聞かれてたんだろうか。
恥ずかし過ぎて顔から火が出そう。
でもこんな所で嘘ついたって仕方ない。
一呼吸置いて口を開いた。
「5円チョコ・・・きっ、ききちゃんの為に」
「愛少なっ」
笑いながらぎゅーっと抱きしめる力が強まる。
「なぁ、それって義理チョコ?」
「・・・ちっ、違うよ」
「本命って思ってええの?」
「・・・うん、本命。キキちゃんに好きな人がいても私はキキちゃんが好き。あ、でもどうなりたいとかじゃないから心配しないで」
重くならないようにと思えば思うほど色々口をついて出るのは言い訳みたいな言葉ばかり。
「黙って」
キキちゃんの黙って、は凄く優しい口調で。
顔を上げた瞬間キキちゃんの優しいキスが降ってきた。
「私、貴美ちゃん以外好きになれへんのやけどどうしてくれるん」
「なっ、キキちゃんの好きな人って」
「両思いやったみたいやね」
可愛い声色で首を傾げる姿にキュンとなる。
いや、前から姫だとは思ってたけど。
私の中の庇護欲がくすぶられる気がする。
「とっ、取り敢えずチョコ買ってくる」
「行ってらっしゃーい。愛多めでなぁ」
慌てて腕から抜け出した私にひらひらと手を振るキキちゃんをチラッと見れば目が無くなるくらいにこにこしてて私の大好きな笑顔。可愛すぎてにやけそうになって慌てて前を向いて走り出した。
チロルチョコも5円チョコも売り切れちゃってて
えっ、そこにこだわらんでもなんかチョコあったんちゃうん。まぁしゃーないな、チョコの代わりになるもん貰わんと
なっ、何するの
チョコより甘いもんあるやん。捧げてもらおか。
ちょっ、どこに手っ、全然姫じゃない!
当たり前やん、油断させてパクりや
「あ、貴美さんならさっき」
私が探してる相手を察知した勘の良いれいが貴美ちゃんの居場所を教えてくれる。
「貴美ちゃん」
「キキちゃん、どうしたの?」
「えへへ、会いたくて来ちゃった」
花組時代、組替えしてすぐ心細くなって泣きそうになってた私に手を差し伸べてくれたひと。
歌もお芝居もダンスも完璧な娘役上級生さん。
風斗ちゃんと同期さんだから期は少し離れるけど、仲良しで大好きな大好きな人
「もう2月ですね」
「本当だねー。こないだ年越したばっかりな気がするけど」
「2月といえば?」
「2月?んー、節分は終わったし、受験シーズンだね。はっ、受験生へのメッセージ考えとくように言われてたんだった」
一生懸命首を捻って考えて出た答えがそれですか。
すっかり仕事を思い出してしまったようであわあわしだしちゃった。
2月といえば一大イベントがあるやんか。
バレンタインやろバレンタイン。
毎年貴美ちゃんから貰えるかどうかドキドキしてこの日を待ってる。
組違うし、みんなに負けたくないから存在をアピールしとかな。
「バレンタインがあるやん」
「あー!そうだね。キキちゃんは今年も大量なんじゃない?」
「そやなー」
そうやない、貴美ちゃんから貰いたいんやって。
また強がってしまった。
ばいばいした後ももやもやが消えない。
「貴美さんに今年こそ告白する」
「ついに?」
「作ってみようかな、チョコ」
「え?芹香ちん作るの?」
「もうやきもきしてられへん」
お稽古場に戻ってもなんか落ち着かなくて。
こんなんしてる間に誰かのものになってしまうかもしらん。
そんなん嫌や。
「恋する乙女だねぇ」
「バレンタインは戦争やで」
のほほんと私を眺めるゆりかさんをよそに決心をした。
一念発起や。
「あ」
「あ、キキちゃん」
こんなとこで会うやなんて。
お稽古がお休みやったから重い腰を上げて買い物に出かけたらこれや。
普段会いたいと思っても会えへんのにこういう会わんでええ時に会うんよね。
手作り用のチョコキット片手に固まる私。
「キキちゃん、チョコ作るの?」
「あはは、作ってみよかなぁなんて」
「へー、キキちゃん好きなひといたんだ」
「私かて好きな人くらいおるわ」
心底意外そうな顔されるから私の気持ちなんて全然気づいてへんのやって悔しくなって思わず冷たい口調になったのが自分でも分かった。
「そっか。両思い?ってそんな事聞かれても困るよね」
一生懸命話を繋げようとしてくれるのは分かってる。
でもそれって全然私の気持ち気づいてくれへんし眼中ないやん。
「貴美ちゃんには関係あらへん」
「そうだね、ごめん。ゆっくり選んでね。また」
貴美ちゃんは手に持ってたチョコを棚に戻して泣きそうな顔してるくせに無理に笑って私に背を向けた。
違う。貴美ちゃんにやって言えたらどんなに良かっただろう。
意気消沈してしまった私は手に取っていたチョコキットを棚に戻して、家路に着いた。
***
Side Nozomi
2月14日
劇団が甘い香りで包まれる一日。
今年も早々に沢山娘役さんからチョコをいただき、両手にパンパンの紙袋をぶらさげて歩く劇団の廊下。
ロッカー入るかな。
そろそろ貴美も来てくれるはず。
私が雪組になっても毎年必ず朝渡しに来てくれる。
それより気になっているのはキキと貴美の関係が全然進展しない事。
キキに作ってるチョコだけ特別なのキキは知らない。
早く思いを伝えてしまえばいいのに。
うじうじしてたらチャンス逃しちゃう。
でもまあ、キキもキキで熱い視線を送ってるくせに言わないからお互い様か。
チョコの入った紙袋から視線をあげれば貴美。
なんか暗いな。
「貴美どうしたの?」
「あやちゃん、失恋しちゃった」
「え、なに?フラれたの?キキに」
「好きなひとがいるんだって」
「はあ?」
半泣きの貴美を取り敢えず空き教室に連れて行き問い詰めれば先日私に材料を買いに行くと言った日の経緯を聞かされた。
貴美も貴美だけどキキもキキだ。
いやキキの好きな人ってあんただよ!ってここまで出かかったけどぐっと堪えた。
あのキキがチョコを作ろうだなんて相当な覚悟なんじゃ。
むしろあちら側からくるパターンで、待ってたら今日チョコと共に告白されてってなりそうだけど。
「なんかよく分かんないけどさ」
「え?意味わかんなかった?」
「とにかく、チョコは?渡したの?」
「え?作ってない」
「はあ?」
なんだか勇気がなくなって、買いに行かなかったとか何考えてるわけ?
***
「とにかく!チロルチョコでも5円チョコでもいいから今から買ってきて」
「え?お稽古始まっちゃう」
「稽古とキキどっちが大事なの」
「そりゃあキキちゃんが」
「適当に誤魔化しとくから行ってこい」
「はいっ」
凄い剣幕のあやちゃんに背中を押されて教室を飛び出し左に曲がった途端何かにぶつかった。
「わあっ。すみませ・・・」
そのままぎゅーっと抱きしめられびっくりしたけど
顔は見えなくても香りで分かる。
「キッ、キキちゃん」
「貴美ちゃん、どこ行くん」
「えっと・・・買い出し?」
「何を誰のために買いに行くん」
そんな事聞いてくるなんて
もしかしてだけど、さっきの話聞かれてたんだろうか。
恥ずかし過ぎて顔から火が出そう。
でもこんな所で嘘ついたって仕方ない。
一呼吸置いて口を開いた。
「5円チョコ・・・きっ、ききちゃんの為に」
「愛少なっ」
笑いながらぎゅーっと抱きしめる力が強まる。
「なぁ、それって義理チョコ?」
「・・・ちっ、違うよ」
「本命って思ってええの?」
「・・・うん、本命。キキちゃんに好きな人がいても私はキキちゃんが好き。あ、でもどうなりたいとかじゃないから心配しないで」
重くならないようにと思えば思うほど色々口をついて出るのは言い訳みたいな言葉ばかり。
「黙って」
キキちゃんの黙って、は凄く優しい口調で。
顔を上げた瞬間キキちゃんの優しいキスが降ってきた。
「私、貴美ちゃん以外好きになれへんのやけどどうしてくれるん」
「なっ、キキちゃんの好きな人って」
「両思いやったみたいやね」
可愛い声色で首を傾げる姿にキュンとなる。
いや、前から姫だとは思ってたけど。
私の中の庇護欲がくすぶられる気がする。
「とっ、取り敢えずチョコ買ってくる」
「行ってらっしゃーい。愛多めでなぁ」
慌てて腕から抜け出した私にひらひらと手を振るキキちゃんをチラッと見れば目が無くなるくらいにこにこしてて私の大好きな笑顔。可愛すぎてにやけそうになって慌てて前を向いて走り出した。
チロルチョコも5円チョコも売り切れちゃってて
えっ、そこにこだわらんでもなんかチョコあったんちゃうん。まぁしゃーないな、チョコの代わりになるもん貰わんと
なっ、何するの
チョコより甘いもんあるやん。捧げてもらおか。
ちょっ、どこに手っ、全然姫じゃない!
当たり前やん、油断させてパクりや
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