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「お待たせしました」
「全然。今日も可愛いなぁ」
付き合って初めてのデート。
わざわざ家まで車で迎えに来てくださった。
車に駆け寄れば開いた助手席の窓からサングラスをちょっと下にずらして私を見るさやかさん。
その仕草とさらっと褒めて下さるさやかさんにどきどきしながら、お邪魔しますと小さく声をかけて助手席へ乗り込む
「荷物いっぱいやね」
「お弁当作ってみました」
「ほんまー?嬉しい」
今日は自然があるところに行きたいという話になったので、張り切って早起きしてお弁当を作ってきた。
大きな公園でのんびりレジャーシート広げてお弁当でも食べて日頃の疲れを取ってもらいたい。
発進した車、チラッと横目で盗み見たさやかさんの運転する姿があまりにかっこよすぎて見てられなくて反対側、窓の外の景色に目をやった。
さやかさんの香りでいっぱいの車内はギュッと抱きしめられているみたいで鼓動が落ち着かない。
きゅっと力の入ったまま座っている私にさやかさんはにやりと笑う。
「どうしたん、しおらしくなっちゃって」
「なっ、いつもしおらしいです」
「ふふっ。なあ、貴美の後ろの紙袋開けてみて」
言われるまま後部座席の紙袋に手を伸ばして中を見れば可愛くラッピングされた袋。
リボンを解いて中を取り出せばすみれ色のひざ掛け
「これから出かけたりする時要るやろ」
「嬉しいです」
「ここに置いといてええから」
これからもお出かけ出来る。
またさやかさんの隣に座っていい、自分の私物がさやかさんの車にあるっていうだけで幸せすぎて涙が出そうだった。
「勿体なくて使えません」
「いやいや、使わな意味ないやん」
袋にしまいそうになる私の手を制止して信号待ちの間に膝に掛けてくれた。
「ありがとうございます」
「あ、なあそこのダッシュボードから飴ちゃん取ってくれん?」
ダッシュボードを開くと飴ちゃんボックスが入っていた。
その中から一つ摘んでさやかさんに手渡そうとしてふと気づいた。
運転中だし私が開けてお渡しすべき?
「あの、開けていいですか?」
「そこはあーんしましょうかやろ」
まっすぐ前を見たまま笑いだすさやかさん。
これが大人の余裕ってやつなのか。
袋から取り出してさやかさんの口元へ持っていく。
「あっ、あーん」
「あーん。ん、ありがと。貴美も食べてな」
嬉しそうに微笑んださやかさんのお言葉に甘えて一つ飴ちゃんを手に取った。
「あ、貴美それ貸して」
飴を手に取った瞬間止められた。
この味は食べたらだめだったのかな。
差し出された手のひらに飴ちゃんを乗せた瞬間、ぎゅっと手を握られた。
「へっ」
「ふふっ、手ぇ繋ぎたかってん」
さやかさんはずるい。そうやってすぐ私をドキドキさせて。
左手は私の右手を握ったまま器用に運転して走る事20分
目的地に着いた車は駐車場へと綺麗に停まった。
「ああ、離したくないけど仕方ない。降りようか」
きゅっと力を込めて握って下さり、名残惜しそうに離れていく手に私も切なくなる。
さやかさんの温もりが残った右手をそっと握りしめた。
目の前には辺り一面の菜の花畑、その横にはシロツメクサが広がる木の下にレジャーシートを敷く。
「あ、忘れ物してしもた」
車へ取りに戻ったさやかさんの背中を見送ってシロツメクサに手を伸ばす。
小さい頃よく作った花冠
意外と覚えてるもので綺麗な形で出来上がった。
「おっ、上手やなぁ」
さやかさんの声に見上げれば感心したような表情のさやかさんが私を上から覗いていた。
ふと振り返れば、夢中になり過ぎて気づけば陣取った場所からまあまあ離れたところにいた事に気づいた。
「お花畑にお姫様がおるんかと思ったわ」
「ふふっ、さやかさんお上手」
「本気で言ってるんやで」
座り込んでいる私の前にしゃがんださやかさんが私の手から花冠を取り、頭に乗せてくれた。
「ほら」
「じゃあさやかさんは王子様ですね」
「さあ、お手をどうぞお姫様」
片膝をついて手を出す仕草は王子様そのもの。
何てかっこいいんだろう。
そっと手を乗せればすっと薬指にはめられたシロツメクサの指輪。
そのままぐっと引っ張られて立ち上がる。
座り込んでたからお尻のところに草がついてたみたいで払ってくれる。
何から何まで完璧な人。
手を繋いだままレジャーシートの所まで戻って並んで腰掛ける。
「おべんと、おべんとー」
「味の保証は出来ませんけど」
「わっ。ほんま美味しいよ」
次々と口に運ばれるお弁当のおかず達
こんなに美味しそうに食べてくれたら私も嬉しい。
「指ばっか見てんとご飯食べよ」
「だって嬉しくて」
どんな高価な指輪より嬉しい。
だってさやかさんが作ってくれたんだもの。
「はぁー。お腹いっぱい。ご馳走様でした」
「お口にあったなら良かったです」
「ちょっとお散歩しよっか」
のんびりと歩き出した私たち。
「私も麦わら帽子かぶってみようかしら」
可愛い女の子みたいな声を出したさやかさんがるんるんで私の麦わら帽子を被って足取り軽やかに少し前を歩いていらっしゃる。
その男役さん的お洋服とつばの広い麦わら帽子のバランスの悪さに笑ってしまった。でもご本人は女の子の歩き方を誇張したような歩きをしてらっしゃるから余計面白い。
麦わら帽子の端を掴んで振り返って目をパチパチする仕草は完全に娘役そのものだった。
可愛い。
「可愛い」
「やだ、恥ずかしいわ」
思わず口から出ていた。
さやかさんは可愛いなんて言われ慣れていらっしゃるから何て事ない返事だけど。
緩やかな丘に差し掛かった時、ふわっと吹いた風が髪をさらっていった。
さやかさんが被っていた麦わら帽子も攫われそうになったけどぱっと押さえて頭から外して手に握ってまた歩き出した。
ふとさやかさんが振り返って左耳に髪をかけてくださる。
その手が頬に触れて顔が熱くなるのがわかる。
「そんな反応されたらキスしたくなるやん」
「なっ」
「ふふっ、さすがにこんなとこで出来んからお預けやけど」
笑ってまた前を向いて歩き出した。
私は歩く足が止まってしまい、さやかさんとの距離が離れてしまう。
歩かなきゃ。
「ほら、何してんの。行こう」
いつの間にか戻ってきてくれて手を引こうとしてくれるけどなんだか足が重くなっちゃって一歩を踏み出せずにいた。
これじゃキスして欲しいって言ってるようなものだ。
「キスしてもええって事?」
「えっ」
見上げた顔は真剣な顔をしていて。
思わず息を呑んだ。
「だめって言われてもするけどな」
握っていた麦わら帽子を私の頭に深くかぶせて屈んでくれてそっと触れた唇。
「これで歩ける?」
「あっ、あの」
「足りひん?」
そう言ってちゅっちゅっと軽く2回触れた後、深く口付けられてもう何も考えられなくなる。
「あかん、このままやと止まらんくなる。行こ」
少し余裕の無さそうな表情が見えたけど更に深く被らされた帽子のせいでさやかさんの表情は見て取れない。
そのまま手を引かれる。
「帽子はそのままやで。そんな可愛い顔誰にも見せたくない」
私、どんな顔してるんだろう。
さやかさんが好きって全面に出ちゃってるんだろうな。
手を引かれるまま歩いて元の木の下に戻ってきた。
「風が気持ちいいね」
「はい。さやかさんと居るから余計居心地がいいです」
「なあ、私の事試してる?」
「へ?」
「・・・何でもない」
帰りの車内、程よい揺れと疲れで瞼が重くなってしまう。
だめ、さやかさんは運転してくれているのに寝たりしたら。
睡魔と戦いながら一生懸命口を動かしてお話をする。
「貴美」
「ん、さやか・・・さん」
王子様の格好をしたさやかさんが私の顔の横に手をついて見下ろしている。
ああ、寝ちゃったんだ私。だめ、早く起きないと。
「お姫様は王子様のキスで目を覚ますんやで」
そういってさやかさんのお顔が近づいてきてそっと触れた唇。
キスで目を閉じた私は唇が離れた後、そっと目を開けると至近距離でさやかさんが見つめていた。
「ふえっ」
「ぷっ、貴美寝てしもてたから」
はっ、恥ずかしい。
キスする夢見るなんて。
しかもこんなご本人がいらっしゃる前で。
今日の私は変だ。さやかさんに触れたくて仕方ないみたい。
いつの間にか帰り着いていたようで車はさやかさんの家の駐車場に停まっていた。
「どんな夢見たん」
「いっ、言えません」
「何でよ」
「絶対に無理です」
何だか怪しまれている。
まさか変な寝言言ってたとか?
「あ、他の男が出てきたんやろー。やから言えんのや」
「ちっ、違いますっ」
頬を膨らませてぶーぶー言っている。
そんな訳ない。
変な誤解を生みたくなくて慌てて否定する。
「こんな夢やなかった?」
シートベルトを外してこちら側に身を乗り出してきたさやかさん。
身構える前にシートを倒され、私を見下ろす姿はまるで先程の夢の中の出来事みたい。
「お姫様は私のキスで目を覚ますんやで」
夢と同じ、そう思った時にはもう唇はくっついていて柔らかいその感触さえも同じ。
「可愛い。うちでお茶飲んで行くやろ」
「・・・はい」
その甘い罠へと落ちていく
抜け出せない甘い甘い罠へと
今日は襲えん場所で散々煽ってくれたからたっぷりお礼せんとなぁ
あっ煽ってなんか
本気で私の我慢力試されてんのかと思ったわ
「全然。今日も可愛いなぁ」
付き合って初めてのデート。
わざわざ家まで車で迎えに来てくださった。
車に駆け寄れば開いた助手席の窓からサングラスをちょっと下にずらして私を見るさやかさん。
その仕草とさらっと褒めて下さるさやかさんにどきどきしながら、お邪魔しますと小さく声をかけて助手席へ乗り込む
「荷物いっぱいやね」
「お弁当作ってみました」
「ほんまー?嬉しい」
今日は自然があるところに行きたいという話になったので、張り切って早起きしてお弁当を作ってきた。
大きな公園でのんびりレジャーシート広げてお弁当でも食べて日頃の疲れを取ってもらいたい。
発進した車、チラッと横目で盗み見たさやかさんの運転する姿があまりにかっこよすぎて見てられなくて反対側、窓の外の景色に目をやった。
さやかさんの香りでいっぱいの車内はギュッと抱きしめられているみたいで鼓動が落ち着かない。
きゅっと力の入ったまま座っている私にさやかさんはにやりと笑う。
「どうしたん、しおらしくなっちゃって」
「なっ、いつもしおらしいです」
「ふふっ。なあ、貴美の後ろの紙袋開けてみて」
言われるまま後部座席の紙袋に手を伸ばして中を見れば可愛くラッピングされた袋。
リボンを解いて中を取り出せばすみれ色のひざ掛け
「これから出かけたりする時要るやろ」
「嬉しいです」
「ここに置いといてええから」
これからもお出かけ出来る。
またさやかさんの隣に座っていい、自分の私物がさやかさんの車にあるっていうだけで幸せすぎて涙が出そうだった。
「勿体なくて使えません」
「いやいや、使わな意味ないやん」
袋にしまいそうになる私の手を制止して信号待ちの間に膝に掛けてくれた。
「ありがとうございます」
「あ、なあそこのダッシュボードから飴ちゃん取ってくれん?」
ダッシュボードを開くと飴ちゃんボックスが入っていた。
その中から一つ摘んでさやかさんに手渡そうとしてふと気づいた。
運転中だし私が開けてお渡しすべき?
「あの、開けていいですか?」
「そこはあーんしましょうかやろ」
まっすぐ前を見たまま笑いだすさやかさん。
これが大人の余裕ってやつなのか。
袋から取り出してさやかさんの口元へ持っていく。
「あっ、あーん」
「あーん。ん、ありがと。貴美も食べてな」
嬉しそうに微笑んださやかさんのお言葉に甘えて一つ飴ちゃんを手に取った。
「あ、貴美それ貸して」
飴を手に取った瞬間止められた。
この味は食べたらだめだったのかな。
差し出された手のひらに飴ちゃんを乗せた瞬間、ぎゅっと手を握られた。
「へっ」
「ふふっ、手ぇ繋ぎたかってん」
さやかさんはずるい。そうやってすぐ私をドキドキさせて。
左手は私の右手を握ったまま器用に運転して走る事20分
目的地に着いた車は駐車場へと綺麗に停まった。
「ああ、離したくないけど仕方ない。降りようか」
きゅっと力を込めて握って下さり、名残惜しそうに離れていく手に私も切なくなる。
さやかさんの温もりが残った右手をそっと握りしめた。
目の前には辺り一面の菜の花畑、その横にはシロツメクサが広がる木の下にレジャーシートを敷く。
「あ、忘れ物してしもた」
車へ取りに戻ったさやかさんの背中を見送ってシロツメクサに手を伸ばす。
小さい頃よく作った花冠
意外と覚えてるもので綺麗な形で出来上がった。
「おっ、上手やなぁ」
さやかさんの声に見上げれば感心したような表情のさやかさんが私を上から覗いていた。
ふと振り返れば、夢中になり過ぎて気づけば陣取った場所からまあまあ離れたところにいた事に気づいた。
「お花畑にお姫様がおるんかと思ったわ」
「ふふっ、さやかさんお上手」
「本気で言ってるんやで」
座り込んでいる私の前にしゃがんださやかさんが私の手から花冠を取り、頭に乗せてくれた。
「ほら」
「じゃあさやかさんは王子様ですね」
「さあ、お手をどうぞお姫様」
片膝をついて手を出す仕草は王子様そのもの。
何てかっこいいんだろう。
そっと手を乗せればすっと薬指にはめられたシロツメクサの指輪。
そのままぐっと引っ張られて立ち上がる。
座り込んでたからお尻のところに草がついてたみたいで払ってくれる。
何から何まで完璧な人。
手を繋いだままレジャーシートの所まで戻って並んで腰掛ける。
「おべんと、おべんとー」
「味の保証は出来ませんけど」
「わっ。ほんま美味しいよ」
次々と口に運ばれるお弁当のおかず達
こんなに美味しそうに食べてくれたら私も嬉しい。
「指ばっか見てんとご飯食べよ」
「だって嬉しくて」
どんな高価な指輪より嬉しい。
だってさやかさんが作ってくれたんだもの。
「はぁー。お腹いっぱい。ご馳走様でした」
「お口にあったなら良かったです」
「ちょっとお散歩しよっか」
のんびりと歩き出した私たち。
「私も麦わら帽子かぶってみようかしら」
可愛い女の子みたいな声を出したさやかさんがるんるんで私の麦わら帽子を被って足取り軽やかに少し前を歩いていらっしゃる。
その男役さん的お洋服とつばの広い麦わら帽子のバランスの悪さに笑ってしまった。でもご本人は女の子の歩き方を誇張したような歩きをしてらっしゃるから余計面白い。
麦わら帽子の端を掴んで振り返って目をパチパチする仕草は完全に娘役そのものだった。
可愛い。
「可愛い」
「やだ、恥ずかしいわ」
思わず口から出ていた。
さやかさんは可愛いなんて言われ慣れていらっしゃるから何て事ない返事だけど。
緩やかな丘に差し掛かった時、ふわっと吹いた風が髪をさらっていった。
さやかさんが被っていた麦わら帽子も攫われそうになったけどぱっと押さえて頭から外して手に握ってまた歩き出した。
ふとさやかさんが振り返って左耳に髪をかけてくださる。
その手が頬に触れて顔が熱くなるのがわかる。
「そんな反応されたらキスしたくなるやん」
「なっ」
「ふふっ、さすがにこんなとこで出来んからお預けやけど」
笑ってまた前を向いて歩き出した。
私は歩く足が止まってしまい、さやかさんとの距離が離れてしまう。
歩かなきゃ。
「ほら、何してんの。行こう」
いつの間にか戻ってきてくれて手を引こうとしてくれるけどなんだか足が重くなっちゃって一歩を踏み出せずにいた。
これじゃキスして欲しいって言ってるようなものだ。
「キスしてもええって事?」
「えっ」
見上げた顔は真剣な顔をしていて。
思わず息を呑んだ。
「だめって言われてもするけどな」
握っていた麦わら帽子を私の頭に深くかぶせて屈んでくれてそっと触れた唇。
「これで歩ける?」
「あっ、あの」
「足りひん?」
そう言ってちゅっちゅっと軽く2回触れた後、深く口付けられてもう何も考えられなくなる。
「あかん、このままやと止まらんくなる。行こ」
少し余裕の無さそうな表情が見えたけど更に深く被らされた帽子のせいでさやかさんの表情は見て取れない。
そのまま手を引かれる。
「帽子はそのままやで。そんな可愛い顔誰にも見せたくない」
私、どんな顔してるんだろう。
さやかさんが好きって全面に出ちゃってるんだろうな。
手を引かれるまま歩いて元の木の下に戻ってきた。
「風が気持ちいいね」
「はい。さやかさんと居るから余計居心地がいいです」
「なあ、私の事試してる?」
「へ?」
「・・・何でもない」
帰りの車内、程よい揺れと疲れで瞼が重くなってしまう。
だめ、さやかさんは運転してくれているのに寝たりしたら。
睡魔と戦いながら一生懸命口を動かしてお話をする。
「貴美」
「ん、さやか・・・さん」
王子様の格好をしたさやかさんが私の顔の横に手をついて見下ろしている。
ああ、寝ちゃったんだ私。だめ、早く起きないと。
「お姫様は王子様のキスで目を覚ますんやで」
そういってさやかさんのお顔が近づいてきてそっと触れた唇。
キスで目を閉じた私は唇が離れた後、そっと目を開けると至近距離でさやかさんが見つめていた。
「ふえっ」
「ぷっ、貴美寝てしもてたから」
はっ、恥ずかしい。
キスする夢見るなんて。
しかもこんなご本人がいらっしゃる前で。
今日の私は変だ。さやかさんに触れたくて仕方ないみたい。
いつの間にか帰り着いていたようで車はさやかさんの家の駐車場に停まっていた。
「どんな夢見たん」
「いっ、言えません」
「何でよ」
「絶対に無理です」
何だか怪しまれている。
まさか変な寝言言ってたとか?
「あ、他の男が出てきたんやろー。やから言えんのや」
「ちっ、違いますっ」
頬を膨らませてぶーぶー言っている。
そんな訳ない。
変な誤解を生みたくなくて慌てて否定する。
「こんな夢やなかった?」
シートベルトを外してこちら側に身を乗り出してきたさやかさん。
身構える前にシートを倒され、私を見下ろす姿はまるで先程の夢の中の出来事みたい。
「お姫様は私のキスで目を覚ますんやで」
夢と同じ、そう思った時にはもう唇はくっついていて柔らかいその感触さえも同じ。
「可愛い。うちでお茶飲んで行くやろ」
「・・・はい」
その甘い罠へと落ちていく
抜け出せない甘い甘い罠へと
今日は襲えん場所で散々煽ってくれたからたっぷりお礼せんとなぁ
あっ煽ってなんか
本気で私の我慢力試されてんのかと思ったわ