T.SERIKA
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「ゆりかさん助けて」
「どうした」
慌てた様子でお稽古場に入ってきた芹香ちん
「だって私とキャンディちゃんどっちが好きやなんて聞かれても選ばれへんやん」
「選ばれへんのやなくてさやかはキャンちゃんを取ったの」
我が同期で芹香ちんの彼女でもある月組娘役の貴美は
お稽古場の入り口で腕を組んで芹香ちんを一睨みした。
普段使いもしない関西弁で真似までして。
「だってどっちも可愛いし、どっちも好きやもん」
「じゃあキャンちゃんと私が川に流されてたらどっち助ける」
「そら、キャン・・・いやどっちも助けるに決まってるやんか」
どっちも可愛いし、好きって言っちゃってる時点でだいぶ甘いものを見せられてるんだけど。
これまた不毛な問いかけに正直に答えたらだめだって。
「キャンディちゃんはあんなに小さい体で懸命に生きてんねんで」
「分かった」
「へ?」
「分かった」
ふっと笑ってくるりと踵を返した。
あまりにあっさりした貴美の返事に焦り出した芹香ちんをよそにこってぃの腕を掴んだ。
「ことね、ご飯行こう」
「貴美さん。でもキキさんは・・・」
「さやかはキャンディちゃんの写真見ながらご飯食べるからいいの」
貴美はこってぃの手を引いて食堂へと行ってしまった。
組違うのにこってぃとも仲良しだったんだ。
知らなかった。出て行った二人を呆然と見つめてるけど・・・。
もうさ、そんな事で喧嘩しないでくれないかな。
***
「なんなん!なんでそんな意地悪するん」
地団駄踏んでも遠くに行ってしまった2人には届かないことくらい分かってる。私が悪いん?だってどっちとも大事やもん。選べるわけないやんか。
とぼとぼと私も食堂へ向かう。
2人して仲良くご飯なんて食べちゃってさ。
ええよ?じゃあ私かてキャンディちゃん見ながら食べるから。
携帯の中の写真を見るけど、結局気になってしまって2人に視線が向いてしまう。
くっつきすぎやろ、ほんまなんなん。
ご飯も全然味せえへんしもう嫌や。
***
「ねえ、ことねー」
「近くてドキドキしちゃいますって」
「嫌なの?」
「嫌というかキキさんの視線が」
完全に当てつけだと思うんだけどお昼に誘っていただいて食堂に来たはいいけど、遠くから物凄い圧を感じる。
その圧を放っておられるキキさん、ご飯食べながら手元見ずにこっち見てらっしゃるんだもん。
ああ、掬うたびにお箸からお米こぼれ落ちてて全然口に運ばれてないですよ。
「気のせいよ」
「気のせいな訳ないじゃないですか。睨まれてますって」
「無視無視」
挙句にあーんとかされちゃって、反射的に口を開けた私も悪いんだけど凄い勢いで立ち上がったキキさん。後ろに怒りの炎が見える。
お陰様で味がしません。
貴美さんは組が違うからいいかもしれないけど、私この後お稽古あるんですけど。
**
さやかが私達より少し後に食堂にやってきたのはわかってた。
でも目が合いたくなくてことねの方を向いて意識をさやかから逸らす。
目が合いたくないというより、さやかが全然私の事なんて気にしてなくて目が合わないのかも知れないのが怖かった。
あんな事聞いて呆れられただろうな。
「本気でキャンちゃんを超えたかった訳じゃないの。ただ、ちょっと言われたかったの。私が1番だって」
「え、可愛すぎます」
思わず本音をことねにぶつけた。
ことねがむふっと笑ったから思わず頬を膨らます。
「ばかにしてるでしょ」
「まさか!でもそれはキキさんに言った方がいいと思います」
「まあどっちにしても重いのに変わりはないんだけどね」
あーあと椅子の背もたれに寄りかかって天を仰いだ時、視界の片隅に入った金色の髪。
勢いよく振り返ればすごく優しい顔したさやかが立っていた。
え、もしかして聞かれた?
顔に熱が集まるのを感じた。
「1番に決まってるやん」
「キャンちゃんには勝てないもん」
「なんなん。ほんまに可愛いな」
「ばかにしないで」
言ってて虚しくなって目を逸らせば横に座ってきたさやか。
その手がそっと私の頬に触れてさやかの方を向かされる。
見つめる綺麗な漆黒の瞳から目が離せない。
「あかん。そんな顔したら」
熱っぽい表情、頬に触れた手が熱い。
「こってぃ。目瞑って耳塞ぐ」
「へ?はっ、はい」
後ろでことねが慌ててぎゅっと目を瞑って耳を塞いだ気配がした後、さやかの唇に息ごと飲み込まれる。
「さっ、さや」
「ん、足りひん。もっと」
「だっ、だめ。ここじゃ」
「そやな。おいで」
さっきまでの不安だった気持ちはどこかへ吹き飛んでしまったように胸が熱くなる。
差出された手を振り解くことなんてできない。
だっていつだってあなたが一番であなたの虜なんだもの。
あの。いつまで目瞑ってたら?・・・ってあれ?えー。いない。
「どうした」
慌てた様子でお稽古場に入ってきた芹香ちん
「だって私とキャンディちゃんどっちが好きやなんて聞かれても選ばれへんやん」
「選ばれへんのやなくてさやかはキャンちゃんを取ったの」
我が同期で芹香ちんの彼女でもある月組娘役の貴美は
お稽古場の入り口で腕を組んで芹香ちんを一睨みした。
普段使いもしない関西弁で真似までして。
「だってどっちも可愛いし、どっちも好きやもん」
「じゃあキャンちゃんと私が川に流されてたらどっち助ける」
「そら、キャン・・・いやどっちも助けるに決まってるやんか」
どっちも可愛いし、好きって言っちゃってる時点でだいぶ甘いものを見せられてるんだけど。
これまた不毛な問いかけに正直に答えたらだめだって。
「キャンディちゃんはあんなに小さい体で懸命に生きてんねんで」
「分かった」
「へ?」
「分かった」
ふっと笑ってくるりと踵を返した。
あまりにあっさりした貴美の返事に焦り出した芹香ちんをよそにこってぃの腕を掴んだ。
「ことね、ご飯行こう」
「貴美さん。でもキキさんは・・・」
「さやかはキャンディちゃんの写真見ながらご飯食べるからいいの」
貴美はこってぃの手を引いて食堂へと行ってしまった。
組違うのにこってぃとも仲良しだったんだ。
知らなかった。出て行った二人を呆然と見つめてるけど・・・。
もうさ、そんな事で喧嘩しないでくれないかな。
***
「なんなん!なんでそんな意地悪するん」
地団駄踏んでも遠くに行ってしまった2人には届かないことくらい分かってる。私が悪いん?だってどっちとも大事やもん。選べるわけないやんか。
とぼとぼと私も食堂へ向かう。
2人して仲良くご飯なんて食べちゃってさ。
ええよ?じゃあ私かてキャンディちゃん見ながら食べるから。
携帯の中の写真を見るけど、結局気になってしまって2人に視線が向いてしまう。
くっつきすぎやろ、ほんまなんなん。
ご飯も全然味せえへんしもう嫌や。
***
「ねえ、ことねー」
「近くてドキドキしちゃいますって」
「嫌なの?」
「嫌というかキキさんの視線が」
完全に当てつけだと思うんだけどお昼に誘っていただいて食堂に来たはいいけど、遠くから物凄い圧を感じる。
その圧を放っておられるキキさん、ご飯食べながら手元見ずにこっち見てらっしゃるんだもん。
ああ、掬うたびにお箸からお米こぼれ落ちてて全然口に運ばれてないですよ。
「気のせいよ」
「気のせいな訳ないじゃないですか。睨まれてますって」
「無視無視」
挙句にあーんとかされちゃって、反射的に口を開けた私も悪いんだけど凄い勢いで立ち上がったキキさん。後ろに怒りの炎が見える。
お陰様で味がしません。
貴美さんは組が違うからいいかもしれないけど、私この後お稽古あるんですけど。
**
さやかが私達より少し後に食堂にやってきたのはわかってた。
でも目が合いたくなくてことねの方を向いて意識をさやかから逸らす。
目が合いたくないというより、さやかが全然私の事なんて気にしてなくて目が合わないのかも知れないのが怖かった。
あんな事聞いて呆れられただろうな。
「本気でキャンちゃんを超えたかった訳じゃないの。ただ、ちょっと言われたかったの。私が1番だって」
「え、可愛すぎます」
思わず本音をことねにぶつけた。
ことねがむふっと笑ったから思わず頬を膨らます。
「ばかにしてるでしょ」
「まさか!でもそれはキキさんに言った方がいいと思います」
「まあどっちにしても重いのに変わりはないんだけどね」
あーあと椅子の背もたれに寄りかかって天を仰いだ時、視界の片隅に入った金色の髪。
勢いよく振り返ればすごく優しい顔したさやかが立っていた。
え、もしかして聞かれた?
顔に熱が集まるのを感じた。
「1番に決まってるやん」
「キャンちゃんには勝てないもん」
「なんなん。ほんまに可愛いな」
「ばかにしないで」
言ってて虚しくなって目を逸らせば横に座ってきたさやか。
その手がそっと私の頬に触れてさやかの方を向かされる。
見つめる綺麗な漆黒の瞳から目が離せない。
「あかん。そんな顔したら」
熱っぽい表情、頬に触れた手が熱い。
「こってぃ。目瞑って耳塞ぐ」
「へ?はっ、はい」
後ろでことねが慌ててぎゅっと目を瞑って耳を塞いだ気配がした後、さやかの唇に息ごと飲み込まれる。
「さっ、さや」
「ん、足りひん。もっと」
「だっ、だめ。ここじゃ」
「そやな。おいで」
さっきまでの不安だった気持ちはどこかへ吹き飛んでしまったように胸が熱くなる。
差出された手を振り解くことなんてできない。
だっていつだってあなたが一番であなたの虜なんだもの。
あの。いつまで目瞑ってたら?・・・ってあれ?えー。いない。