K.TUKISHIRO
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「風邪ひきました」
「え?だいじょ・・・」
「お見舞い、きてくれますよね」
「え?」
休日、突然かかってきた電話。
いつもよりハスキーな声
私の大丈夫?発言を遮った強気な発言に絶句した。
「食べるものもない、薬もない可哀想な下級生を見捨てたりしませんよね」
「あのさ、れいこちゃん」
「待ってます」
一方的に言いたいことだけ言って切れた電話。
終話を告げる機械音を聞きながらため息をついた。
別に嫌なわけではない。
苦しんでる下級生を見捨てるわけにもいかない
でもさ、あまりに横暴じゃないかい。
可愛くない。そう思うのに結局行ってしまうのはほれた弱みか。
それと沢山いる上級生のなかから私を頼ってくれた事が少し嬉しかった。
買い込みすぎたかな
両手いっぱいの買い物袋
あれもこれもと張り切りすぎた。
でも治るまで買い物大変だから食材は多い方がいい。
そう自分に言い訳しながらスーパーかられいこちゃん家に急いだ。
重くて重くて歩き方が変なの自分でも分かる位。
もうすぐマンションというときに後ろから呼ばれた気がして振り返れば見知った顔が微笑んでいた。
「重そうですね、一個持ちましょうか?」
「ゆのちゃん」
「こんな所で会うなんて奇遇ですね」
そう言いながらゆのちゃんの手が買い物袋に伸びる。
「本当奇遇だね」
答えながらすっと手を引けばきょとんとした顔で見つめられる。
結構重いし、ゆのちゃんに持ってもらうなんて申し訳なさすぎる。
「れいこさんの所行くんですよね」
「うん、風邪ひいちゃったらしいね」
「一個持ちます」
「そんな、悪いよ」
もしかしてゆのちゃんも呼ばれたのかな。
なんだ、私だけなんて思った私恥ずかしい。
少しだけ沈んだ心に目を背けた。
ゆのちゃんとの抗争はどちらも一歩も引かず、結局言いくるめられてゆのちゃんに一個持って貰ってしまった。
「なんか、夫婦みたいですね私達」
「そう?」
「羨ましいなぁ、私も風邪ひきたい」
なんて事言い出すんだ。
体は健康な程よいに決まっている。
たわいもない話をしながられいこちゃんのマンションまで辿り着く。
一緒にれいこちゃん家に行くのかと思いきや、予定があるらしくマンションの前でバイバイしてインターホンを押す
「何してたんですか、もう1時間半も経ってますよ」
「れいこちゃんが好きそうな物買ってたの」
開口一番にそんな事言ってむっとした顔に思わず私も頬を膨らます。
折角れいこちゃんのために色々買ってきたのに。
大体、うちかられいこちゃん家だってそんなに近い訳ではない。
急いで準備してきたほうなのに。
大人しく寝て待ってなさいよ、なんて思いながら靴を脱ぐ。
それより熱で汗をかいたのだろうれいこちゃんは色っぽさが増してなんて言ったらいいんだろう。ちょっとしっとりとした前髪、赤めのほほ、見てはいけないものを見ているような気がする。
「買い込みすぎじゃないですか、重かったでしょう」
「ううん、大丈夫だよ」
病人に持たせるのは申し訳ないんだけど、お言葉に甘えて一袋持ってもらってリビングへ向かう。男役さんは皆どんな時でも優しい。
リビングへと続く廊下、前を歩くれいこちゃんが ふと口を開いた
「この1時間半、私の事考えてました?」
「ん?考えてたよ」
「・・・ならいいです」
なにそのカップルみたいな会話
一瞬怯みそうになったけど、意地悪なれいこちゃんは私を恥ずかしがらせようとしてるんだろう。
ストレートに返したら、振り返ったれいこちゃんの大きい目は更に大きくなってふっと顔を晒された。
照れてるな、きっと
れいこちゃんは仕掛けてくるくせにやり返されると恥ずかしがっちゃって可愛いんだから。
並んでキッチンに買い物バックを置いたあと、れいこちゃんの背中を押して寝室へと促す。
「ほら、横になってて」
「えー、一緒に寝てくれないんですか」
「それはオプションサービスになりますので高いですよー」
「払います」
風邪っぴきのくせに口が達者なれいこちゃんに翻弄されていては心臓が何個あってももたない。
ちょっとだけ添い寝をする姿がよぎった私の心臓はうるさいくらいに鼓動を刻んでいる。本当に綺麗な顔して恐ろしい事言うんだから。
「食べ物もない、薬もない可哀想な下級生なんでしょ?ほらご飯作るから寝て」
「ちぇー。貴美さんが1番の栄養なのに。まあ、後でのお楽しみにしときます」
「はいはい」
しぶしぶ離れていったれいこちゃんは寝室に向かうのかと思いきや、ぽすんとソファーに腰掛けた。
熱で頭が重いのだろう、ソファーの背もたれにぐったりと寄りかかっている。寝てなさいって言ったのに本当に言うこと聞かないんだから。
取りかかろうとしていたご飯作りを中断してぐったりしているれいこちゃんの所へ向かう。
「こんなところ座ってたら風邪ひどくなるよ」
「んー」
目を瞑って眉間に皺を寄せてるれいこちゃんのおでこに冷えピタをぺたりと貼れば、その手を掴まれてそのまま頬に当てられる。
「冷たくて気持ちいい」
「こう言う時は役に立つね、冷え性も」
「ここで横になりたい」
「じゃあ、かけるもの持ってくるから」
ずるずるとそのまま横になりだしたのでかけるもの持って来ないと。
ベットに連れて行きたいけどれいこちゃんをお姫様だっこなんて出来ないし。
寝室に入らせてもらってブランケットを引っ掴んでリビングに戻る。
しっかり被せてキッチンに戻る。
ご飯作りながらも様子が気になってちらちらと振り返りながら作業する。
まあ、背もたれで影になって姿は見えないんだけど。
温まれるものをとおうどんにしてみた。
うどんを乗せたお盆をテーブルに置いて、声をかければゆっくりと開いた瞳。
本当に綺麗な目してる。
その瞳にぽけっとした顔の私が映っている。
「かっこいいなぁって思ったでしょう」
「自惚れないで」
にやりと弧を描いた口
ゆっくりと起き上がって前髪をかき上げる姿は確かに見とれてしまう美しさ。
「自分じゃ食べれません」
どんぶりと別で取り皿まで持ってきてあげたのにさらに食べさせろというのだろうか。なんだか病気に託けてやりたい放題されている気がしてきた。
「ふーふーしてください」
「ふふっ、大きい子供みたいだね」
何だか呆きれを超えて可愛く思えてきた。
仕方なく、テーブルの横の床に座ろうとすれば隣に座るよう促されて取り皿に少量分けて冷ます。
至近距離で見つめられるから緊張しちゃうよ
「あーん」
「それって普通私から言うんじゃ」
「ほら、早く」
「はいはい」
口元へ取り皿と箸を持って行けば、ぱくりとおうどんをすする姿は本当に子供みたいで普段の男役姿からは想像つかない。
「食べたらお薬飲んで寝る、いい?」
「はーい」
お腹をさすりながら満足そうにしているれいこちゃんに声をかければゆるい返事が返ってきた。
温まって眠くなってきたかな
お薬も飲んで布団に横になったれいこちゃんに掛け布団をきちんとかけてあげる。しばらくしてうとうとと目を閉じたのでそろそろお暇しようと立ち上がった時、れいこちゃんの手が伸びて私の手首を掴んだ。
「オプション、お願いしてたはずです」
「え?だから高いって」
「払いますって言ったじゃないですか」
ぐっと引っ張られてあっという間に布団に引き摺り込まれる。
ぎゅっとくっついたれいこちゃんの体はとっても熱かった。
「れいこちゃん熱あがっちゃったんじゃない」
「そうですね、誰かさんのせいで」
「人のせいにしないでよ、大人しく寝てないのが悪いんだよ」
胸に閉じ込められてしまって身動き取れないんだけどせめてもの抵抗でぽんと軽く胸を叩いた。
「貴美さんといるとずっと熱が出ちゃいます」
「なにそれ」
「意味分からないんですか」
「休めないって事?」
大きいため息が頭の上で聞こえる。
なによ。
「ドキドキするからに決まってるでしょう」
へえ、ドキドキするんだ私にでも。
れいこちゃんはいつも揶揄ってくるし、私なんてなんとも思われてないと思ってた。
「え、無視ですか」
「いや、ありがとう」
「それで終わりですか」
「私もれいこちゃんかっこいいからドキドキするよ」
さらに盛大なため息をつかれてしまった。
なにもっと切々とれいこちゃんのかっこよさを語った方がよかったのかな。
「風間にもドキドキしますか?」
「ゆのちゃん?んー、そうだね」
男役さんはみんな素敵だと思う。
まあ、れいこちゃんが1番素敵だと思うけど。
「私とどっちがドキドキします」
「なにそのカップルみたいな会話」
少しだけれいこちゃんの体に力が入った気がしてふっと笑い飛ばせば緩められた腕。
視界いっぱいに険しい表情のれいこちゃん
「カップルになりたいんですよ、分からないんですか」
「え?」
完全に思考が止まるとはこの事を言うんだなと思った。
固まっている私をよそに頬をほかほかした両手で包まれ、綺麗なお顔が近づいてくる
待って待って。
思わず手でその唇を抑えて制止すればさらに眉間に皺が寄った。
「ノーって事ですか」
「そっ、そうじゃなくて」
自覚ないんだろうけど、破壊力が凄すぎて無理。
これ以上近づいたらしんじゃう。
「れいこちゃんは好きだよ、でも色気が凄すぎて今は無理」
「好きって恋としてですか?」
「・・・うん」
「良かった。独りよがりだったらどうしようかと思ってました」
表情が緩んだれいこちゃんに見惚れていたら唇を奪われていた。
しかもがっちり頬を抑えられているので逃げれない。
しばらく、いや体感でかなり長い間くっついていた唇
「熱上がっちゃうよ」
「ずっと下がる気がしません」
嫌味のつもりで言ったのに
私がドキドキさせられて何だか熱が出てきたのかもしれない。
顔が熱くて仕方ない
遅い遅いと思ってたら私の家に来る前に浮気してたらしいじゃないですか
浮気?何のこと
風間と2人で仲良くお買い物袋ぶら下げて歩いてたんですよね
たまたま近くで会っただけ
私が風間にあなたを呼んだ事言ったんです。まさか待ってるだなんて。しかもそれを隠してましたよね
隠したりとかしてないよ、聞かれなかったから
聞かれなけりゃなんでもしていいんですか
なにもしてないって
しょうがない、その口塞ぎましょうかね
「え?だいじょ・・・」
「お見舞い、きてくれますよね」
「え?」
休日、突然かかってきた電話。
いつもよりハスキーな声
私の大丈夫?発言を遮った強気な発言に絶句した。
「食べるものもない、薬もない可哀想な下級生を見捨てたりしませんよね」
「あのさ、れいこちゃん」
「待ってます」
一方的に言いたいことだけ言って切れた電話。
終話を告げる機械音を聞きながらため息をついた。
別に嫌なわけではない。
苦しんでる下級生を見捨てるわけにもいかない
でもさ、あまりに横暴じゃないかい。
可愛くない。そう思うのに結局行ってしまうのはほれた弱みか。
それと沢山いる上級生のなかから私を頼ってくれた事が少し嬉しかった。
買い込みすぎたかな
両手いっぱいの買い物袋
あれもこれもと張り切りすぎた。
でも治るまで買い物大変だから食材は多い方がいい。
そう自分に言い訳しながらスーパーかられいこちゃん家に急いだ。
重くて重くて歩き方が変なの自分でも分かる位。
もうすぐマンションというときに後ろから呼ばれた気がして振り返れば見知った顔が微笑んでいた。
「重そうですね、一個持ちましょうか?」
「ゆのちゃん」
「こんな所で会うなんて奇遇ですね」
そう言いながらゆのちゃんの手が買い物袋に伸びる。
「本当奇遇だね」
答えながらすっと手を引けばきょとんとした顔で見つめられる。
結構重いし、ゆのちゃんに持ってもらうなんて申し訳なさすぎる。
「れいこさんの所行くんですよね」
「うん、風邪ひいちゃったらしいね」
「一個持ちます」
「そんな、悪いよ」
もしかしてゆのちゃんも呼ばれたのかな。
なんだ、私だけなんて思った私恥ずかしい。
少しだけ沈んだ心に目を背けた。
ゆのちゃんとの抗争はどちらも一歩も引かず、結局言いくるめられてゆのちゃんに一個持って貰ってしまった。
「なんか、夫婦みたいですね私達」
「そう?」
「羨ましいなぁ、私も風邪ひきたい」
なんて事言い出すんだ。
体は健康な程よいに決まっている。
たわいもない話をしながられいこちゃんのマンションまで辿り着く。
一緒にれいこちゃん家に行くのかと思いきや、予定があるらしくマンションの前でバイバイしてインターホンを押す
「何してたんですか、もう1時間半も経ってますよ」
「れいこちゃんが好きそうな物買ってたの」
開口一番にそんな事言ってむっとした顔に思わず私も頬を膨らます。
折角れいこちゃんのために色々買ってきたのに。
大体、うちかられいこちゃん家だってそんなに近い訳ではない。
急いで準備してきたほうなのに。
大人しく寝て待ってなさいよ、なんて思いながら靴を脱ぐ。
それより熱で汗をかいたのだろうれいこちゃんは色っぽさが増してなんて言ったらいいんだろう。ちょっとしっとりとした前髪、赤めのほほ、見てはいけないものを見ているような気がする。
「買い込みすぎじゃないですか、重かったでしょう」
「ううん、大丈夫だよ」
病人に持たせるのは申し訳ないんだけど、お言葉に甘えて一袋持ってもらってリビングへ向かう。男役さんは皆どんな時でも優しい。
リビングへと続く廊下、前を歩くれいこちゃんが ふと口を開いた
「この1時間半、私の事考えてました?」
「ん?考えてたよ」
「・・・ならいいです」
なにそのカップルみたいな会話
一瞬怯みそうになったけど、意地悪なれいこちゃんは私を恥ずかしがらせようとしてるんだろう。
ストレートに返したら、振り返ったれいこちゃんの大きい目は更に大きくなってふっと顔を晒された。
照れてるな、きっと
れいこちゃんは仕掛けてくるくせにやり返されると恥ずかしがっちゃって可愛いんだから。
並んでキッチンに買い物バックを置いたあと、れいこちゃんの背中を押して寝室へと促す。
「ほら、横になってて」
「えー、一緒に寝てくれないんですか」
「それはオプションサービスになりますので高いですよー」
「払います」
風邪っぴきのくせに口が達者なれいこちゃんに翻弄されていては心臓が何個あってももたない。
ちょっとだけ添い寝をする姿がよぎった私の心臓はうるさいくらいに鼓動を刻んでいる。本当に綺麗な顔して恐ろしい事言うんだから。
「食べ物もない、薬もない可哀想な下級生なんでしょ?ほらご飯作るから寝て」
「ちぇー。貴美さんが1番の栄養なのに。まあ、後でのお楽しみにしときます」
「はいはい」
しぶしぶ離れていったれいこちゃんは寝室に向かうのかと思いきや、ぽすんとソファーに腰掛けた。
熱で頭が重いのだろう、ソファーの背もたれにぐったりと寄りかかっている。寝てなさいって言ったのに本当に言うこと聞かないんだから。
取りかかろうとしていたご飯作りを中断してぐったりしているれいこちゃんの所へ向かう。
「こんなところ座ってたら風邪ひどくなるよ」
「んー」
目を瞑って眉間に皺を寄せてるれいこちゃんのおでこに冷えピタをぺたりと貼れば、その手を掴まれてそのまま頬に当てられる。
「冷たくて気持ちいい」
「こう言う時は役に立つね、冷え性も」
「ここで横になりたい」
「じゃあ、かけるもの持ってくるから」
ずるずるとそのまま横になりだしたのでかけるもの持って来ないと。
ベットに連れて行きたいけどれいこちゃんをお姫様だっこなんて出来ないし。
寝室に入らせてもらってブランケットを引っ掴んでリビングに戻る。
しっかり被せてキッチンに戻る。
ご飯作りながらも様子が気になってちらちらと振り返りながら作業する。
まあ、背もたれで影になって姿は見えないんだけど。
温まれるものをとおうどんにしてみた。
うどんを乗せたお盆をテーブルに置いて、声をかければゆっくりと開いた瞳。
本当に綺麗な目してる。
その瞳にぽけっとした顔の私が映っている。
「かっこいいなぁって思ったでしょう」
「自惚れないで」
にやりと弧を描いた口
ゆっくりと起き上がって前髪をかき上げる姿は確かに見とれてしまう美しさ。
「自分じゃ食べれません」
どんぶりと別で取り皿まで持ってきてあげたのにさらに食べさせろというのだろうか。なんだか病気に託けてやりたい放題されている気がしてきた。
「ふーふーしてください」
「ふふっ、大きい子供みたいだね」
何だか呆きれを超えて可愛く思えてきた。
仕方なく、テーブルの横の床に座ろうとすれば隣に座るよう促されて取り皿に少量分けて冷ます。
至近距離で見つめられるから緊張しちゃうよ
「あーん」
「それって普通私から言うんじゃ」
「ほら、早く」
「はいはい」
口元へ取り皿と箸を持って行けば、ぱくりとおうどんをすする姿は本当に子供みたいで普段の男役姿からは想像つかない。
「食べたらお薬飲んで寝る、いい?」
「はーい」
お腹をさすりながら満足そうにしているれいこちゃんに声をかければゆるい返事が返ってきた。
温まって眠くなってきたかな
お薬も飲んで布団に横になったれいこちゃんに掛け布団をきちんとかけてあげる。しばらくしてうとうとと目を閉じたのでそろそろお暇しようと立ち上がった時、れいこちゃんの手が伸びて私の手首を掴んだ。
「オプション、お願いしてたはずです」
「え?だから高いって」
「払いますって言ったじゃないですか」
ぐっと引っ張られてあっという間に布団に引き摺り込まれる。
ぎゅっとくっついたれいこちゃんの体はとっても熱かった。
「れいこちゃん熱あがっちゃったんじゃない」
「そうですね、誰かさんのせいで」
「人のせいにしないでよ、大人しく寝てないのが悪いんだよ」
胸に閉じ込められてしまって身動き取れないんだけどせめてもの抵抗でぽんと軽く胸を叩いた。
「貴美さんといるとずっと熱が出ちゃいます」
「なにそれ」
「意味分からないんですか」
「休めないって事?」
大きいため息が頭の上で聞こえる。
なによ。
「ドキドキするからに決まってるでしょう」
へえ、ドキドキするんだ私にでも。
れいこちゃんはいつも揶揄ってくるし、私なんてなんとも思われてないと思ってた。
「え、無視ですか」
「いや、ありがとう」
「それで終わりですか」
「私もれいこちゃんかっこいいからドキドキするよ」
さらに盛大なため息をつかれてしまった。
なにもっと切々とれいこちゃんのかっこよさを語った方がよかったのかな。
「風間にもドキドキしますか?」
「ゆのちゃん?んー、そうだね」
男役さんはみんな素敵だと思う。
まあ、れいこちゃんが1番素敵だと思うけど。
「私とどっちがドキドキします」
「なにそのカップルみたいな会話」
少しだけれいこちゃんの体に力が入った気がしてふっと笑い飛ばせば緩められた腕。
視界いっぱいに険しい表情のれいこちゃん
「カップルになりたいんですよ、分からないんですか」
「え?」
完全に思考が止まるとはこの事を言うんだなと思った。
固まっている私をよそに頬をほかほかした両手で包まれ、綺麗なお顔が近づいてくる
待って待って。
思わず手でその唇を抑えて制止すればさらに眉間に皺が寄った。
「ノーって事ですか」
「そっ、そうじゃなくて」
自覚ないんだろうけど、破壊力が凄すぎて無理。
これ以上近づいたらしんじゃう。
「れいこちゃんは好きだよ、でも色気が凄すぎて今は無理」
「好きって恋としてですか?」
「・・・うん」
「良かった。独りよがりだったらどうしようかと思ってました」
表情が緩んだれいこちゃんに見惚れていたら唇を奪われていた。
しかもがっちり頬を抑えられているので逃げれない。
しばらく、いや体感でかなり長い間くっついていた唇
「熱上がっちゃうよ」
「ずっと下がる気がしません」
嫌味のつもりで言ったのに
私がドキドキさせられて何だか熱が出てきたのかもしれない。
顔が熱くて仕方ない
遅い遅いと思ってたら私の家に来る前に浮気してたらしいじゃないですか
浮気?何のこと
風間と2人で仲良くお買い物袋ぶら下げて歩いてたんですよね
たまたま近くで会っただけ
私が風間にあなたを呼んだ事言ったんです。まさか待ってるだなんて。しかもそれを隠してましたよね
隠したりとかしてないよ、聞かれなかったから
聞かれなけりゃなんでもしていいんですか
なにもしてないって
しょうがない、その口塞ぎましょうかね