T.SERIKA
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「貴美ちゃーん」
突然やってきた下級生、芹香斗亜。
「たーだーいーまー」
「・・・」
キキちゃんの家ではないよ、ここ。
完全に酔っ払っている。
真夜中、いきなりのインターホンにびっくりしてモニターを見れば目だけ映ってて。
この光景は見たことがある。もう驚かないからね、私。
ケラケラと笑いながらふらふら少しずつ後ろへ後ろへモニターから遠ざかって行く。
こんな所で倒れて怪我でもしたら大変。
仕方なく解錠して、またふらふらと自動ドアのこちら側に消えて行くのを見届ける。
酔っ払ったキキちゃんは面倒だ。
ここ最近何回かこういうことがある。
毎回登場方法が同じだから慣れが生じてきたけど、仮にも私上級生だからね?
部屋の前のインターホンを待ってドアを開ければぎゅっと抱きついてきた。
「んー。好き」
「うん、私もすきよー」
困った子だ。
まあ上級生として懐かれているのは悪くない。
取り敢えずリビングに連れて行こうとキキちゃんの腕を解こうとすれば更に抱きついて胸に顔を埋めて首を横に振る。
「いややー。離さんとって」
「ほらほらリビング行こう」
「やだ、貴美さん。私をリビングに連れ込んで何する気なん」
「はいはい、さやかちゃんを襲いましょうねー」
「いやん。明るいのはいややー」
やたらと可愛こぶるキキちゃんを適当に交わしながらリビングへ連れて行ってソファーに座らせる。
「はい、お水」
「んー。飲ませて」
お水を差し出せば首を振って力入らなくてコップ掴めないとか言い出し、目を閉じて顎を上げ唇を少し尖らせている。
こうなったらてこでも動かないだろうな。
キキちゃんの横に座り、口にお水を含んで口付ける。
「んっ・・・もっと」
唇の端からつうっと一筋水が流れる様が何とも色っぽい。
これ毎回せがまれるんだけど、こんな事して大丈夫なのかな。
「もう。あと1回だけだからね」
そう言って同じように口付ければ頭をがっしりと掴まれ、キキちゃんの舌が入り込んできた。
「んんっ・・・はぁっ」
絡め取られてるように暴れる舌に翻弄され力が入らなくなって押されるがまま後ろに倒れた。
「キキ・・・ちゃ」
「たまには明るい所でもありやな」
いつも大人しく水分摂取してたのに急に何するのよっ!
急に男らしくなり、にやりと笑うからクッションで一発。
ぱたりと私に倒れ込んだキキちゃんはぴたりと動かなくなった。
たまにはってなに?ほかの子ともしてるの?なんて馬鹿げた疑問は頭の隅に追いやった。
「あれ、うそっ。キキちゃん?」
揺すってもぐったりしたまま。
寝ちゃった?
「嘘でしょ。ちょっ起きて」
眠ってしまったキキちゃんは何があっても動かないから
このまま下敷きになっている訳にもいかず、何とか押し退けて脱出を試みる。
キキちゃんをベッドに運ぶのは断念してソファーにつっぷしてるキキちゃんをひっくり返してタオルケットを掛ける。
もう遅いし私も寝よう。
ベットに戻れば眠気が襲ってきて重い瞼を閉じた。
***
なんだか苦しくて目が覚めた。
枕元の時計を見ればもうあと5分でアラームがなるという時間。
キキちゃんがぎゅっうと胸のあたりに抱き着いていて、私の足の間にキキちゃんの足を絡めるようにしてすやすやと寝息を立てている。
「ふふっ。まったくもう」
毎回こう。
キキちゃんは来るなりそのままソファーで寝ちゃうんだけど、いつの間にかベッドに移動してきてて一緒に寝てる。
甘やかしてしまってるのは重々承知なんだけどまあなんせ4期も下の下級生、可愛くてつい許してしまう。
そっと抱きしめてみれば、頬を摺り寄せてくる。
あんな酔うほど飲まなきゃやってられないとか?
でも楽しく飲んでそうだもんな。
いつも笑顔で頑張っている彼女の心休まる場所に少しでもなればいい。
何だか自分がすごくおばちゃんに感じた。
いつか若くて可愛い子がキキちゃんの横に並ぶ日が来るんだろう。
彼女の拠り所が出来た時、私は笑って応援出来るだろうか。
「もうさ、酔っぱらって夜中来るのやめてよ」
「だってここなら絶対起きれるもん」
「私はあなたの目覚まし時計じゃありません」
「えへへー」
嬉しそうに見つめてくるキキちゃんに朝ごはんを作って一緒に食べるのがいつものこと。
なんだか人と食べる朝ごはんって幸せだなって思わせてくれる。
キキちゃんといると心が温かくなる。
私の方が拠り所にしてるんだろうな、きっと。
****
「たーだーいーまー」
「・・・キキちゃん今日は無理」
「なーんでなーん」
眉毛を下げて捨て犬みたいな顔をしてる。
今まで断った事とかなかったからね。
まあ、鳴ると思ってましたよ。
だってあなたと一緒に飲みに行ってたって言うあきらとあやちゃんがここにいるから。
2人もいるからもう寝る所ない。定員オーバーなの。
でもキキちゃんが来るんじゃないかってちょっとだけ期待してしまってた自分がいて笑っちゃう。
「貴美さんは私の物だー」
「いや、私のだから。あきらは引っ込んでで」
「いや、2人ともやめて」
横からモニターを見ながら私を押しのけてモニターに映るキキちゃんに叫んだあきらとあやちゃん。
君たちうるさいよ。声が通るんだから少し静かにしててもらえるかな。
「えっ、なんで風斗ちゃんとあきらさんが」
「先に帰ったと思ったでしょー。ここに来るために先に出たのだ」
予想外の先客に動揺を隠しきれてない。
モニター越しでも分かるくらい狼狽えている。
「なんなん貴美ちゃんは私よりその2人を取るん?」
「こうなったら正々堂々と勝負しようじゃないか」
モニター越しに揉められても困ると思ってたら勝手にあきらがオートロック解錠してた。
キキちゃんがモニターから消えて、いつもの比じゃないスピードで鳴った玄関のインターホン。
開ける前からドアノブをガチャガチャしてる音がする。
ちょっ、ちょっと待ってよ。
玄関の鍵を解錠すれば同じタイミングで扉を引かれたから勢い余ってキキちゃんの胸に飛び込んだ
「わっ」
「貴美ちゃんなんなん。私よりあの2人が好きなん?」
ぎゅっと私を抱きしめてめそめそしてる。
「もう、キキちゃん。取り敢えず上がって」
「私の事好きやって言ったやないですか」
「うん、好きよ。あやちゃんもあきらも」
「えー。同レベルっておかしない?」
ダイニングテーブルに座った私たち
私とキキちゃんは隣。私の向かいがあやちゃんで隣があきら。
取り敢えず落ち着いてもらおうと冷たいお茶を出してみたけど皆さん手を付ける気配もない。
「大体ですよ?お付き合いしてる私を差し置いて貴美ちゃん家に泊まろうなんざ酷い話ですよ。それを受け入れる貴美ちゃんも貴美ちゃんや」
「へ?」
「え、待って。2人付き合ってるの?」
「聞いてない」
突然びっくりな事を言い出したキキちゃんにみんな一瞬止まった。
あやちゃんはびっくりし過ぎてのけぞってる。
私も聞いてないよ、あきら。
「え?もうすぐ2ヶ月になりますよ。ねえ?」
ねえ?って当然のような顔で私に聞かれてもそんな話知らないよ。
今日はよほど飲んだんだろう。
「えっと・・・。酔ってるの?」
「はあ?」
私の返答にかなりムッとした表情で私を横目で睨んでくる。
「え?照れてるんですか?それともなに私とは遊びやったって事?」
「遊びも何も付き合おうとかの話になった事ないよね」
「何言ってるんですか。告白したら付き合ってくれるって言ったやないですか。嘘やん。なに?私だけ付き合ってると思ってたって事?」
えっと・・・そう言うことになると思います。
取り乱しだしたキキちゃんに私は逆にやたら冷静になっている。
「だってちゅーだって」
「あれはお水を飲ませようと」
「じゃあ、誰にでもするん?」
「キキちゃんはするんだと思ってた」
言葉を失った絶望感漂うキキちゃんは遂にテーブルに突っ伏してしまった。
「嘘やん」
「キキ、どんまい」
「キキの妄想だったって事だな」
「他の子も泊めたりしたん?」
「たまに?だってみんな夜中に来るんだもん。追い返せないじゃない」
「もーいやや。貴美ちゃん嫌い」
別に泊めたからってなんかある訳じゃないし。
妄想だって笑ったあきらに、キキちゃんは手で顔を覆って泣き出してしまった
「だって言ったもん。勇気出して好きやって。それなのに」
「なんかごめん」
「本気で覚えてないの?思い出すまでもう絶対ここから帰らへん。てこでも動かんからな」
キキちゃんは嘘つくような子じゃないし、でも全然記憶に無くて首を捻る私に
逆ギレ?状態のキキちゃんはしがみついてくる。
「もう一回言ったら?覚えてるかどうかなんてもういいじゃん、もう一回始めれば」
真剣な顔でキキちゃんに諭したあやちゃん。
「あとは貴美が始める気があるかどうか」
「え、応援するんですか」
「大事な同期の幸せが一番だもん」
私に目を向けにこりと微笑んで、あきらを引き連れて消えていったあやちゃん。
2人が消えた部屋はシーンとした空気が流れている。
キキちゃんが真剣な面持ちで口を開く。
「貴美ちゃんにとって私はただの下級生?」
「キキちゃん」
「私にとって貴美ちゃんは上級生以上の存在なんやけど」
そっと私の唇に口づけたキキちゃん。
暖かく優しくてじんとした。
「もし、貴美ちゃんにその気がないならもうこんな事せん。ちゃんと下級生するから」
他の子のお家に行くの?
誰かの胸で眠るの?
そんなのいや。行かないで
そっとキキちゃんの手を包み込んで見つめる。
私の気持ちよ届け
「やめないで・・・キキちゃんがすき」
「私は貴美ちゃんがだーい好きや」
満面の笑みで抱きしめられる。
そしてそっとまた口付けが降ってきた。
「いつも飲んだ帰りにしか来ないからてっきり宿としか思ってないんだと思ってた。」
「だって大好きな人と家に2人きりって考えたら緊張しちゃうから緊張をほぐそうとお酒飲んで来てたの」
「飲みすぎだよ」
てへっと頭をかくしぐさも可愛いけどさ。
それより一個引っかかってた事がある。
「たまには明るい所でもありって言ったの覚えてる?」
「・・・ああ」
気まずそうに目をそらすって事はやっぱり他の子ともこんな事を・・・。
「いつも夜中目が覚めたら貴美ちゃんのところに行って一緒に寝てたんだけど」
「うん」
「布団に潜った後、眠る前に・・・その・・・ちゅーを」
「してたの?」
恥ずかしそうに頷くキキちゃん。
なにそれ。
知らないうちにキスされてたってこと?
「寝てる顔が可愛くて我慢できなくて」
そんなこと思われてたなんて恥ずかしい。
「いつも薄暗い中でしかちゃんとしたちゅーしてなかったから明るい所で顔見てするって幸せだなって。まあ付き合ってると思ってたのは私だけやったけど」
恨めしそうに見つめるキキちゃんに申し訳なくなりそうになるけど、そもそも論で全然そんな話した記憶ないよ。
「お家で一緒に飲んだ日があったじゃない」
「そういえばあったね」
キキちゃんがうちでご飯が食べたいって言ってやってきた日
一緒にご飯作ってワインを開けて、そんな事あったな。
「その時言った。付き合ってほしいって。」
そうだったかな。
目を閉じて懸命に記憶を辿る。
そういえばあの時衣装のアクセサリーの話になってお買い物に行こうって話して
・・・あ。付き合ってって言われた気がする。
「あれってお買い物の話じゃなかったの」
「・・・。いや、なんかあっさりおっけーされたとは思ってたんよ」
はぁ・・・と頭を抱えてしまった。
「あれじゃ分かんないよ」
「うー。これからは全力で愛を伝えるからいい。今日が始まりの日や」
さて、他にここに来た子たちを教えてもらおうか。
何する気?
私達の関係をちゃんと報告するだけや。あ、あと私ここに住むから
へ?
もう誰も泊めたらだめ
突然やってきた下級生、芹香斗亜。
「たーだーいーまー」
「・・・」
キキちゃんの家ではないよ、ここ。
完全に酔っ払っている。
真夜中、いきなりのインターホンにびっくりしてモニターを見れば目だけ映ってて。
この光景は見たことがある。もう驚かないからね、私。
ケラケラと笑いながらふらふら少しずつ後ろへ後ろへモニターから遠ざかって行く。
こんな所で倒れて怪我でもしたら大変。
仕方なく解錠して、またふらふらと自動ドアのこちら側に消えて行くのを見届ける。
酔っ払ったキキちゃんは面倒だ。
ここ最近何回かこういうことがある。
毎回登場方法が同じだから慣れが生じてきたけど、仮にも私上級生だからね?
部屋の前のインターホンを待ってドアを開ければぎゅっと抱きついてきた。
「んー。好き」
「うん、私もすきよー」
困った子だ。
まあ上級生として懐かれているのは悪くない。
取り敢えずリビングに連れて行こうとキキちゃんの腕を解こうとすれば更に抱きついて胸に顔を埋めて首を横に振る。
「いややー。離さんとって」
「ほらほらリビング行こう」
「やだ、貴美さん。私をリビングに連れ込んで何する気なん」
「はいはい、さやかちゃんを襲いましょうねー」
「いやん。明るいのはいややー」
やたらと可愛こぶるキキちゃんを適当に交わしながらリビングへ連れて行ってソファーに座らせる。
「はい、お水」
「んー。飲ませて」
お水を差し出せば首を振って力入らなくてコップ掴めないとか言い出し、目を閉じて顎を上げ唇を少し尖らせている。
こうなったらてこでも動かないだろうな。
キキちゃんの横に座り、口にお水を含んで口付ける。
「んっ・・・もっと」
唇の端からつうっと一筋水が流れる様が何とも色っぽい。
これ毎回せがまれるんだけど、こんな事して大丈夫なのかな。
「もう。あと1回だけだからね」
そう言って同じように口付ければ頭をがっしりと掴まれ、キキちゃんの舌が入り込んできた。
「んんっ・・・はぁっ」
絡め取られてるように暴れる舌に翻弄され力が入らなくなって押されるがまま後ろに倒れた。
「キキ・・・ちゃ」
「たまには明るい所でもありやな」
いつも大人しく水分摂取してたのに急に何するのよっ!
急に男らしくなり、にやりと笑うからクッションで一発。
ぱたりと私に倒れ込んだキキちゃんはぴたりと動かなくなった。
たまにはってなに?ほかの子ともしてるの?なんて馬鹿げた疑問は頭の隅に追いやった。
「あれ、うそっ。キキちゃん?」
揺すってもぐったりしたまま。
寝ちゃった?
「嘘でしょ。ちょっ起きて」
眠ってしまったキキちゃんは何があっても動かないから
このまま下敷きになっている訳にもいかず、何とか押し退けて脱出を試みる。
キキちゃんをベッドに運ぶのは断念してソファーにつっぷしてるキキちゃんをひっくり返してタオルケットを掛ける。
もう遅いし私も寝よう。
ベットに戻れば眠気が襲ってきて重い瞼を閉じた。
***
なんだか苦しくて目が覚めた。
枕元の時計を見ればもうあと5分でアラームがなるという時間。
キキちゃんがぎゅっうと胸のあたりに抱き着いていて、私の足の間にキキちゃんの足を絡めるようにしてすやすやと寝息を立てている。
「ふふっ。まったくもう」
毎回こう。
キキちゃんは来るなりそのままソファーで寝ちゃうんだけど、いつの間にかベッドに移動してきてて一緒に寝てる。
甘やかしてしまってるのは重々承知なんだけどまあなんせ4期も下の下級生、可愛くてつい許してしまう。
そっと抱きしめてみれば、頬を摺り寄せてくる。
あんな酔うほど飲まなきゃやってられないとか?
でも楽しく飲んでそうだもんな。
いつも笑顔で頑張っている彼女の心休まる場所に少しでもなればいい。
何だか自分がすごくおばちゃんに感じた。
いつか若くて可愛い子がキキちゃんの横に並ぶ日が来るんだろう。
彼女の拠り所が出来た時、私は笑って応援出来るだろうか。
「もうさ、酔っぱらって夜中来るのやめてよ」
「だってここなら絶対起きれるもん」
「私はあなたの目覚まし時計じゃありません」
「えへへー」
嬉しそうに見つめてくるキキちゃんに朝ごはんを作って一緒に食べるのがいつものこと。
なんだか人と食べる朝ごはんって幸せだなって思わせてくれる。
キキちゃんといると心が温かくなる。
私の方が拠り所にしてるんだろうな、きっと。
****
「たーだーいーまー」
「・・・キキちゃん今日は無理」
「なーんでなーん」
眉毛を下げて捨て犬みたいな顔をしてる。
今まで断った事とかなかったからね。
まあ、鳴ると思ってましたよ。
だってあなたと一緒に飲みに行ってたって言うあきらとあやちゃんがここにいるから。
2人もいるからもう寝る所ない。定員オーバーなの。
でもキキちゃんが来るんじゃないかってちょっとだけ期待してしまってた自分がいて笑っちゃう。
「貴美さんは私の物だー」
「いや、私のだから。あきらは引っ込んでで」
「いや、2人ともやめて」
横からモニターを見ながら私を押しのけてモニターに映るキキちゃんに叫んだあきらとあやちゃん。
君たちうるさいよ。声が通るんだから少し静かにしててもらえるかな。
「えっ、なんで風斗ちゃんとあきらさんが」
「先に帰ったと思ったでしょー。ここに来るために先に出たのだ」
予想外の先客に動揺を隠しきれてない。
モニター越しでも分かるくらい狼狽えている。
「なんなん貴美ちゃんは私よりその2人を取るん?」
「こうなったら正々堂々と勝負しようじゃないか」
モニター越しに揉められても困ると思ってたら勝手にあきらがオートロック解錠してた。
キキちゃんがモニターから消えて、いつもの比じゃないスピードで鳴った玄関のインターホン。
開ける前からドアノブをガチャガチャしてる音がする。
ちょっ、ちょっと待ってよ。
玄関の鍵を解錠すれば同じタイミングで扉を引かれたから勢い余ってキキちゃんの胸に飛び込んだ
「わっ」
「貴美ちゃんなんなん。私よりあの2人が好きなん?」
ぎゅっと私を抱きしめてめそめそしてる。
「もう、キキちゃん。取り敢えず上がって」
「私の事好きやって言ったやないですか」
「うん、好きよ。あやちゃんもあきらも」
「えー。同レベルっておかしない?」
ダイニングテーブルに座った私たち
私とキキちゃんは隣。私の向かいがあやちゃんで隣があきら。
取り敢えず落ち着いてもらおうと冷たいお茶を出してみたけど皆さん手を付ける気配もない。
「大体ですよ?お付き合いしてる私を差し置いて貴美ちゃん家に泊まろうなんざ酷い話ですよ。それを受け入れる貴美ちゃんも貴美ちゃんや」
「へ?」
「え、待って。2人付き合ってるの?」
「聞いてない」
突然びっくりな事を言い出したキキちゃんにみんな一瞬止まった。
あやちゃんはびっくりし過ぎてのけぞってる。
私も聞いてないよ、あきら。
「え?もうすぐ2ヶ月になりますよ。ねえ?」
ねえ?って当然のような顔で私に聞かれてもそんな話知らないよ。
今日はよほど飲んだんだろう。
「えっと・・・。酔ってるの?」
「はあ?」
私の返答にかなりムッとした表情で私を横目で睨んでくる。
「え?照れてるんですか?それともなに私とは遊びやったって事?」
「遊びも何も付き合おうとかの話になった事ないよね」
「何言ってるんですか。告白したら付き合ってくれるって言ったやないですか。嘘やん。なに?私だけ付き合ってると思ってたって事?」
えっと・・・そう言うことになると思います。
取り乱しだしたキキちゃんに私は逆にやたら冷静になっている。
「だってちゅーだって」
「あれはお水を飲ませようと」
「じゃあ、誰にでもするん?」
「キキちゃんはするんだと思ってた」
言葉を失った絶望感漂うキキちゃんは遂にテーブルに突っ伏してしまった。
「嘘やん」
「キキ、どんまい」
「キキの妄想だったって事だな」
「他の子も泊めたりしたん?」
「たまに?だってみんな夜中に来るんだもん。追い返せないじゃない」
「もーいやや。貴美ちゃん嫌い」
別に泊めたからってなんかある訳じゃないし。
妄想だって笑ったあきらに、キキちゃんは手で顔を覆って泣き出してしまった
「だって言ったもん。勇気出して好きやって。それなのに」
「なんかごめん」
「本気で覚えてないの?思い出すまでもう絶対ここから帰らへん。てこでも動かんからな」
キキちゃんは嘘つくような子じゃないし、でも全然記憶に無くて首を捻る私に
逆ギレ?状態のキキちゃんはしがみついてくる。
「もう一回言ったら?覚えてるかどうかなんてもういいじゃん、もう一回始めれば」
真剣な顔でキキちゃんに諭したあやちゃん。
「あとは貴美が始める気があるかどうか」
「え、応援するんですか」
「大事な同期の幸せが一番だもん」
私に目を向けにこりと微笑んで、あきらを引き連れて消えていったあやちゃん。
2人が消えた部屋はシーンとした空気が流れている。
キキちゃんが真剣な面持ちで口を開く。
「貴美ちゃんにとって私はただの下級生?」
「キキちゃん」
「私にとって貴美ちゃんは上級生以上の存在なんやけど」
そっと私の唇に口づけたキキちゃん。
暖かく優しくてじんとした。
「もし、貴美ちゃんにその気がないならもうこんな事せん。ちゃんと下級生するから」
他の子のお家に行くの?
誰かの胸で眠るの?
そんなのいや。行かないで
そっとキキちゃんの手を包み込んで見つめる。
私の気持ちよ届け
「やめないで・・・キキちゃんがすき」
「私は貴美ちゃんがだーい好きや」
満面の笑みで抱きしめられる。
そしてそっとまた口付けが降ってきた。
「いつも飲んだ帰りにしか来ないからてっきり宿としか思ってないんだと思ってた。」
「だって大好きな人と家に2人きりって考えたら緊張しちゃうから緊張をほぐそうとお酒飲んで来てたの」
「飲みすぎだよ」
てへっと頭をかくしぐさも可愛いけどさ。
それより一個引っかかってた事がある。
「たまには明るい所でもありって言ったの覚えてる?」
「・・・ああ」
気まずそうに目をそらすって事はやっぱり他の子ともこんな事を・・・。
「いつも夜中目が覚めたら貴美ちゃんのところに行って一緒に寝てたんだけど」
「うん」
「布団に潜った後、眠る前に・・・その・・・ちゅーを」
「してたの?」
恥ずかしそうに頷くキキちゃん。
なにそれ。
知らないうちにキスされてたってこと?
「寝てる顔が可愛くて我慢できなくて」
そんなこと思われてたなんて恥ずかしい。
「いつも薄暗い中でしかちゃんとしたちゅーしてなかったから明るい所で顔見てするって幸せだなって。まあ付き合ってると思ってたのは私だけやったけど」
恨めしそうに見つめるキキちゃんに申し訳なくなりそうになるけど、そもそも論で全然そんな話した記憶ないよ。
「お家で一緒に飲んだ日があったじゃない」
「そういえばあったね」
キキちゃんがうちでご飯が食べたいって言ってやってきた日
一緒にご飯作ってワインを開けて、そんな事あったな。
「その時言った。付き合ってほしいって。」
そうだったかな。
目を閉じて懸命に記憶を辿る。
そういえばあの時衣装のアクセサリーの話になってお買い物に行こうって話して
・・・あ。付き合ってって言われた気がする。
「あれってお買い物の話じゃなかったの」
「・・・。いや、なんかあっさりおっけーされたとは思ってたんよ」
はぁ・・・と頭を抱えてしまった。
「あれじゃ分かんないよ」
「うー。これからは全力で愛を伝えるからいい。今日が始まりの日や」
さて、他にここに来た子たちを教えてもらおうか。
何する気?
私達の関係をちゃんと報告するだけや。あ、あと私ここに住むから
へ?
もう誰も泊めたらだめ