F.NOZOMI
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全然出来なかった。
遅くまで自主稽古をしたけど、全然思うように出来なかった。落ち込んで足取りも重たい帰り道、明日もお稽古なのにできる自信がない。
「どうしよう」
通りがかった貴美さんの教室
こんな時間なのにまだ電気が付いてるのに気づいた。
思わず覗き込んだ教室に貴美さんの姿を捉えた私はこの前言ってくれたまた歌いに来て下さいねという言葉を思い出して涙が出てしまって顔を覆って思わずしゃがみこんだ。
上手く歌えない私にそんな資格ない。
扉が開く気配がしたけど顔を上げる勇気がなかった私に上から優しい声が降ってきた。
「真彩さん?」
見上げた貴美さんはもう寝るところだったのだろう、ネグリジェを纏っていた。顔を見て安心してしまったのか思わず抱きついて子供みたいに泣いてしまった。
「取り敢えず中に入りましょう」
背中をトントンと優しくあやすように撫でてくれて、自宅のある2階に上がらせてもらった。
「はい、どうぞ」
ローテーブルにココアを出してくれ、ソファーに座る私の横に腰掛けた貴美さん。
「まだ熱々ですからもう少し冷めるまでの間、どうぞ」
そう言って腕を広げて私を受け入れてくれた。
その温かさにまた涙が溢れてきて、泣いて泣いて全部を出し切る頃には頭が痛くなるくらいだった。貴美さんは黙って私を抱きしめ続けてくれた。
こんなに人の前で泣くなんて。しかもまだ一回しか会ったことないのに。
「すみません、お恥ずかしい姿をお見せして」
「いえいえ、今日も遅くまでがんばってらしたんですね」
「でも私、全然出来なくて」
俯いた私に貴美さんが立ち上がってそっと手を差し出してくれて。
その手を取れば部屋の奥にある防音ルームに連れて行ってくれた。
そこには大きなピアノ
「私も今日眠れなくてピアノを弾こうと思ってたんです。」
弾きたかった楽譜が一階の教室にあったからちょうど取りに行って戻ろうとした時にしゃがみ込む私が見えて声を掛けてくれたそう。
「今日は歌いたい気分じゃないでしょう?こないだ約束した事覚えてます?」
「貴美さんに歌ってほしいって言った事ですか」
「そう、真彩さんの元気の為に歌いますね」
ピアノの蓋を開けながらすぐ側の椅子を勧めてくれ、鍵盤にそっと手を置いた貴美さんは青い星の上でを弾いてくれた。
ゆっくり歌う一言一言が私の中に染み込んでくるようだった。
綺麗な声、望海さんが音楽の神に愛された人と言うのも頷ける。
すみれの花咲く頃を歌ってくれる頃には私も歌いたくなっちゃって思わず一緒に歌ってしまった。
「かなり遅くなっちゃいましたね。引き留めてしまってすみません。」
「いえ、私こそ遅くにお邪魔してしまって」
「そうだ、このまま泊まっていかれたらどうですか?」
思いついたように、ねっと促されるけどいいのかな、望海さんの恋のお相手だし、なんなら私のライバルなのよ。
でも、もしかして良いお友達になれたりする?
帰り道も危ないしというお気遣いも相まって泊めていただく事となった。
公演終わりにシャワー浴びたりするから下着とかはいつも持ってるけど流石にパジャマは持ってないから貸してもらった。
「お風呂ありがとうございました」
「いいえ」
お風呂から上がった私を待っててくれて、目が腫れちゃうといけないからと冷たいアイマスクを準備してくれた。なんて出来た人なんだろう。
「私、明日というか今日はお休みなので真彩さんはこちらで休んでくださいね」
ベットルームを勧めてくれるけど、そんな!私が泊めてもらう立場なのに。
「私がソファーで寝ます!泊めていただくのに」
真剣に遠慮しますと答えた私に貴美さんは思い出すように笑いながら望海さんともこんなやり取りをしたと。望海さんとお泊まりとかしてるんだ。
「じゃあ、一緒に寝ます?」
「へ?」
そう提案されて結局一緒に寝る事となった私達。
ダブルベットに小柄な私達が寝るのは十分なスペースがあるけど本当に私何してるの、ライバルさんと一緒のベットで寝るなんて。
「真彩さんは充分頑張ってます。おやすみなさい」
なんでこんなにすっと心に入ってくるんだろう。
おやすみなさいと答えた声は涙になって喉につかえて上手く出なかった。
朝目が覚めると貴美さんはいなくて、もしや私が寝てしまった後にソファーに移動してしまったとか。
慌ててリビングへの扉を開ければ美味しそうな匂いが立ち込めていた。
「おは・・・ようございます」
「真彩さん、おはようございます」
振り返った貴美さんは火を止めてパタパタと小走りで私のところまできて目、腫れなくて良かったです。と頬に手を当てて近距離で目元を見つめられて何だか心臓の音が聞こえそうな位。綺麗な瞳・・・って何ドキドキしてるの私。
「朝ごはん食べれそうですか?」
「はい。いっぱい泣いたからお腹空いちゃいました」
へへっと笑えば、じゃあ仕上げちゃうので準備どうぞと言ってくれたので洗面所を借りて顔を洗って荷物から化粧水を取り出してコットンに染み込ませていると貴美さんがあっと声をあげた。
「私もそれ使ってます」
「本当ですか!」
「じゃあ、今度は化粧水忘れちゃっても大丈夫ですね」
そう言いながら微笑んだ時、心臓が跳ねて一瞬思考が止まり閉めようとしていた化粧水の蓋を落としてしまい、落とした蓋は貴美さんの足元へと転がっていった。それってまたお泊まりしましょうってお誘い?
「また泊めてくださるんですか」
「もちろん、いつでも来てください」
そう言って手渡された蓋、触れた手。
もう、どうしよう。ただ友達になろうって言われただけなのに。
早くなった鼓動に私の方が動揺する。
朝ごはんを一緒に食べて、そろそろ準備をしないとと思った時に替えのワンピースにおっきなシミがある事に気付いた。いつの間に・・・
どうしよう。昨日と同じ服って訳にもいかないし、今から取りに帰る時間も無いし。
「あら、良かったら私のワンピース貸しましょうか?サイズが合うか分からないですけど」
ワンピースを見つめて固まっていた私に貴美さんが声をかけてくれお言葉に甘えて貸してもらう事になった。
どれでもどうぞとクローゼットを見せて貰い悩みに悩んだ一着を着てお暇する。
サイズもぴったり。
「本当にありがとうございました。今度返しにきます」
「いつでも大丈夫です。気をつけていってらっしゃい」
「い、行ってきます」
なんだか見送られるのも気恥ずかしくなって控えめに手を振って出かける。
「あれ?真彩ちゃん、なんかいつもと雰囲気違うね」
お稽古着に着替える前に望海さんに遭遇してしまった。
望海さんが物珍しげに私を眺める。
パステルカラーでシンプルだけど、綺麗めなワンピース。
貴美さんのおうちのクローゼットには素敵なお洋服ばかりで散々悩んだ。
お化粧してる間に髪までセットしてもらっちゃって。
「ん?待ってそのワンピース見たことある気がする」
近づいてきた望海さんに硬直する私。
探偵のように腕を組んで、片手を顎に当ててすんすんと私の周りを嗅ぐような素振りをした後、はっと目を見開いて物凄く不機嫌そうなお顔で一言
「貴美ちゃんとこ泊まったの?」
望海さんの鋭さが怖いです。
え?借りたワンピースのせい?
それともシャンプーの香りでばれたのかな。
「どういう事」
のっ望海さん怖いです・・・。
じりじりと近寄ってくる望海さんの顔が怖い。
でも怒ってる顔も、お美しい。
「ねえ」
「のぞさーん。」
「咲ちゃん、今忙しい、かなり」
キョトンとした顔してる咲さんに脇目もくれずにじり寄ってくる。
どうしよう、正直に言うべき?
「すっ、すみませんっ」
「しかも貴美ちゃんのワンピースでしょ」
昨日の経緯を正直に話せばがっくりと肩を落とす望海さん。
「それで好きになったの?」
「まっ、まさか!」
一応私のライバルさんなのですよ、望海さん。
どこまでも貴美さんなんだな。
でも何だかそわそわする。
一応ってなによ、私。
歌ってもらった曲達はまだ望海さんも聞いたことないみたいで本気で拗ねた顔してらっしゃる。すみません・・・。
好き・・・?まさか。だって私の1番は望海さんで・・・。
そう思ってるのに浮かんでくるのは貴美さんの顔ばかり。
なんで。優しくしてもらったから。
弱いとこ見せてしまったり、抱きしめてもらったり、ご飯作ってもらったりしたりしたから。
きっとそう。でもこのドキドキはなんなの。恋なの?恋なのか。
「好き・・・かもしれません」
「もーやだ、真彩ちゃんが取ろうとするー」
「すみませんっ」
「ほらだから言ったじゃないですか。彼女、無意識に誘惑するタイプだって」
咲さんに泣きついた望海さん。
なんかすみません。
ミイラ取りがミイラになる?なんか違う気がするけど。
ライバル調査に行ったはずが、恋して帰ってくるだなんて。
まさか望海さんがライバルになってしまうなんて想像もしなかった。
遅くまで自主稽古をしたけど、全然思うように出来なかった。落ち込んで足取りも重たい帰り道、明日もお稽古なのにできる自信がない。
「どうしよう」
通りがかった貴美さんの教室
こんな時間なのにまだ電気が付いてるのに気づいた。
思わず覗き込んだ教室に貴美さんの姿を捉えた私はこの前言ってくれたまた歌いに来て下さいねという言葉を思い出して涙が出てしまって顔を覆って思わずしゃがみこんだ。
上手く歌えない私にそんな資格ない。
扉が開く気配がしたけど顔を上げる勇気がなかった私に上から優しい声が降ってきた。
「真彩さん?」
見上げた貴美さんはもう寝るところだったのだろう、ネグリジェを纏っていた。顔を見て安心してしまったのか思わず抱きついて子供みたいに泣いてしまった。
「取り敢えず中に入りましょう」
背中をトントンと優しくあやすように撫でてくれて、自宅のある2階に上がらせてもらった。
「はい、どうぞ」
ローテーブルにココアを出してくれ、ソファーに座る私の横に腰掛けた貴美さん。
「まだ熱々ですからもう少し冷めるまでの間、どうぞ」
そう言って腕を広げて私を受け入れてくれた。
その温かさにまた涙が溢れてきて、泣いて泣いて全部を出し切る頃には頭が痛くなるくらいだった。貴美さんは黙って私を抱きしめ続けてくれた。
こんなに人の前で泣くなんて。しかもまだ一回しか会ったことないのに。
「すみません、お恥ずかしい姿をお見せして」
「いえいえ、今日も遅くまでがんばってらしたんですね」
「でも私、全然出来なくて」
俯いた私に貴美さんが立ち上がってそっと手を差し出してくれて。
その手を取れば部屋の奥にある防音ルームに連れて行ってくれた。
そこには大きなピアノ
「私も今日眠れなくてピアノを弾こうと思ってたんです。」
弾きたかった楽譜が一階の教室にあったからちょうど取りに行って戻ろうとした時にしゃがみ込む私が見えて声を掛けてくれたそう。
「今日は歌いたい気分じゃないでしょう?こないだ約束した事覚えてます?」
「貴美さんに歌ってほしいって言った事ですか」
「そう、真彩さんの元気の為に歌いますね」
ピアノの蓋を開けながらすぐ側の椅子を勧めてくれ、鍵盤にそっと手を置いた貴美さんは青い星の上でを弾いてくれた。
ゆっくり歌う一言一言が私の中に染み込んでくるようだった。
綺麗な声、望海さんが音楽の神に愛された人と言うのも頷ける。
すみれの花咲く頃を歌ってくれる頃には私も歌いたくなっちゃって思わず一緒に歌ってしまった。
「かなり遅くなっちゃいましたね。引き留めてしまってすみません。」
「いえ、私こそ遅くにお邪魔してしまって」
「そうだ、このまま泊まっていかれたらどうですか?」
思いついたように、ねっと促されるけどいいのかな、望海さんの恋のお相手だし、なんなら私のライバルなのよ。
でも、もしかして良いお友達になれたりする?
帰り道も危ないしというお気遣いも相まって泊めていただく事となった。
公演終わりにシャワー浴びたりするから下着とかはいつも持ってるけど流石にパジャマは持ってないから貸してもらった。
「お風呂ありがとうございました」
「いいえ」
お風呂から上がった私を待っててくれて、目が腫れちゃうといけないからと冷たいアイマスクを準備してくれた。なんて出来た人なんだろう。
「私、明日というか今日はお休みなので真彩さんはこちらで休んでくださいね」
ベットルームを勧めてくれるけど、そんな!私が泊めてもらう立場なのに。
「私がソファーで寝ます!泊めていただくのに」
真剣に遠慮しますと答えた私に貴美さんは思い出すように笑いながら望海さんともこんなやり取りをしたと。望海さんとお泊まりとかしてるんだ。
「じゃあ、一緒に寝ます?」
「へ?」
そう提案されて結局一緒に寝る事となった私達。
ダブルベットに小柄な私達が寝るのは十分なスペースがあるけど本当に私何してるの、ライバルさんと一緒のベットで寝るなんて。
「真彩さんは充分頑張ってます。おやすみなさい」
なんでこんなにすっと心に入ってくるんだろう。
おやすみなさいと答えた声は涙になって喉につかえて上手く出なかった。
朝目が覚めると貴美さんはいなくて、もしや私が寝てしまった後にソファーに移動してしまったとか。
慌ててリビングへの扉を開ければ美味しそうな匂いが立ち込めていた。
「おは・・・ようございます」
「真彩さん、おはようございます」
振り返った貴美さんは火を止めてパタパタと小走りで私のところまできて目、腫れなくて良かったです。と頬に手を当てて近距離で目元を見つめられて何だか心臓の音が聞こえそうな位。綺麗な瞳・・・って何ドキドキしてるの私。
「朝ごはん食べれそうですか?」
「はい。いっぱい泣いたからお腹空いちゃいました」
へへっと笑えば、じゃあ仕上げちゃうので準備どうぞと言ってくれたので洗面所を借りて顔を洗って荷物から化粧水を取り出してコットンに染み込ませていると貴美さんがあっと声をあげた。
「私もそれ使ってます」
「本当ですか!」
「じゃあ、今度は化粧水忘れちゃっても大丈夫ですね」
そう言いながら微笑んだ時、心臓が跳ねて一瞬思考が止まり閉めようとしていた化粧水の蓋を落としてしまい、落とした蓋は貴美さんの足元へと転がっていった。それってまたお泊まりしましょうってお誘い?
「また泊めてくださるんですか」
「もちろん、いつでも来てください」
そう言って手渡された蓋、触れた手。
もう、どうしよう。ただ友達になろうって言われただけなのに。
早くなった鼓動に私の方が動揺する。
朝ごはんを一緒に食べて、そろそろ準備をしないとと思った時に替えのワンピースにおっきなシミがある事に気付いた。いつの間に・・・
どうしよう。昨日と同じ服って訳にもいかないし、今から取りに帰る時間も無いし。
「あら、良かったら私のワンピース貸しましょうか?サイズが合うか分からないですけど」
ワンピースを見つめて固まっていた私に貴美さんが声をかけてくれお言葉に甘えて貸してもらう事になった。
どれでもどうぞとクローゼットを見せて貰い悩みに悩んだ一着を着てお暇する。
サイズもぴったり。
「本当にありがとうございました。今度返しにきます」
「いつでも大丈夫です。気をつけていってらっしゃい」
「い、行ってきます」
なんだか見送られるのも気恥ずかしくなって控えめに手を振って出かける。
「あれ?真彩ちゃん、なんかいつもと雰囲気違うね」
お稽古着に着替える前に望海さんに遭遇してしまった。
望海さんが物珍しげに私を眺める。
パステルカラーでシンプルだけど、綺麗めなワンピース。
貴美さんのおうちのクローゼットには素敵なお洋服ばかりで散々悩んだ。
お化粧してる間に髪までセットしてもらっちゃって。
「ん?待ってそのワンピース見たことある気がする」
近づいてきた望海さんに硬直する私。
探偵のように腕を組んで、片手を顎に当ててすんすんと私の周りを嗅ぐような素振りをした後、はっと目を見開いて物凄く不機嫌そうなお顔で一言
「貴美ちゃんとこ泊まったの?」
望海さんの鋭さが怖いです。
え?借りたワンピースのせい?
それともシャンプーの香りでばれたのかな。
「どういう事」
のっ望海さん怖いです・・・。
じりじりと近寄ってくる望海さんの顔が怖い。
でも怒ってる顔も、お美しい。
「ねえ」
「のぞさーん。」
「咲ちゃん、今忙しい、かなり」
キョトンとした顔してる咲さんに脇目もくれずにじり寄ってくる。
どうしよう、正直に言うべき?
「すっ、すみませんっ」
「しかも貴美ちゃんのワンピースでしょ」
昨日の経緯を正直に話せばがっくりと肩を落とす望海さん。
「それで好きになったの?」
「まっ、まさか!」
一応私のライバルさんなのですよ、望海さん。
どこまでも貴美さんなんだな。
でも何だかそわそわする。
一応ってなによ、私。
歌ってもらった曲達はまだ望海さんも聞いたことないみたいで本気で拗ねた顔してらっしゃる。すみません・・・。
好き・・・?まさか。だって私の1番は望海さんで・・・。
そう思ってるのに浮かんでくるのは貴美さんの顔ばかり。
なんで。優しくしてもらったから。
弱いとこ見せてしまったり、抱きしめてもらったり、ご飯作ってもらったりしたりしたから。
きっとそう。でもこのドキドキはなんなの。恋なの?恋なのか。
「好き・・・かもしれません」
「もーやだ、真彩ちゃんが取ろうとするー」
「すみませんっ」
「ほらだから言ったじゃないですか。彼女、無意識に誘惑するタイプだって」
咲さんに泣きついた望海さん。
なんかすみません。
ミイラ取りがミイラになる?なんか違う気がするけど。
ライバル調査に行ったはずが、恋して帰ってくるだなんて。
まさか望海さんがライバルになってしまうなんて想像もしなかった。