こっちを向いて、愛しい人【RKRN】夢小説
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(伊作side)
「言い遅れましたが、今日も気分が優れないので休みに来ました」
「うん、どうぞ。……留三郎はどうしたの?」
キッと僕の方を向き、“察しろ!”と訴えてくる。
察してあげてもいいけど、僕は保健委員会としての仕事を放棄するわけにはいかない。
保健室に来たら、といったのは僕なのだけれど。
「俺は、まあ。……じゃあ俺も気分が悪い」
「はは、俺もって何よ、ひょっとしたらあなたも伊作に相談事?」
留三郎の投げやりなウソに恵ちゃんは笑っていた。もちろん留三郎はしばらく言葉にならない言葉を発しながらうめいている。
「あー、そう、です」
やっとこさ返した言葉は、普段の雄々しさからは想像もできないようなぎこちないものだった。
「伊作と一緒にいると友達が増えそうだね。やっぱり君は不運大魔王じゃなくて幸運を運ぶ保健委員会委員長なんじゃないの」
そんなことを言えるのは普段の僕を知らない君くらいのものだ。
正直、初めての称賛に僕自身どぎまぎしてしまう。ごめんよ、留三郎。他意はない。
「そうだったらいいんだけどね……」
「こいつが幸運を運ぶって、そりゃあねえだろう。いったいどれだけ俺が伊作の不運で苦労してきたことか……」
「あれ、そうでもないの?留三郎、……留三郎と呼んでもいい?」
少しずつ、少しずつ馴染んでいく。
「え、あ、どうぞ」
「ぎこちないなあ、戦う用具委員会委員長はどこへ行ったのさ」
「うるせえ!」
そんな僕たちの他愛もないやり取りを、恵ちゃんは心底愉快そうに笑っていた。
「はぁ、面白いんだね、あなたたち。腹がよじれるかと思った。ありがとう、お邪魔しました」
まだ話していてもいいのだけど、という本音は隠しておく。
「あ、待っ、……いや、なにも」
とっさに引き留めようとした留三郎は、自分の正直な行動を自覚して前言を撤回した。
「……わかってる。ぜひまた、ご一緒させて」
恵ちゃんはそっと微笑んで、保健室から立ち去った。
何を、どこまで“わかって”いるんだろうか。思えば昨日僕は恵ちゃんに同じようなことを言った覚えがある。
わざと?
それとも留三郎と何か暗黙の了解のある言葉なの?でも二人は互いに“初めまして”と言っていた。分からない。
あんまりいい心地はしない。二人とも、何か隠しているのなら教えてくれ、と切に願う。
単に好奇心。
嫌というほど聞かされた、まったく進展のない、留三郎の恋。僕だってあれだけ聞かされていればもう当事者と言っても過言ではない。
その“当事者同然”というのが変な矜持 になって僕を苦しめる。
これが例えば留三郎ではなくて文次郎だったら、もう少し冷静にかかわることができたのかもしれない。
「言い遅れましたが、今日も気分が優れないので休みに来ました」
「うん、どうぞ。……留三郎はどうしたの?」
キッと僕の方を向き、“察しろ!”と訴えてくる。
察してあげてもいいけど、僕は保健委員会としての仕事を放棄するわけにはいかない。
保健室に来たら、といったのは僕なのだけれど。
「俺は、まあ。……じゃあ俺も気分が悪い」
「はは、俺もって何よ、ひょっとしたらあなたも伊作に相談事?」
留三郎の投げやりなウソに恵ちゃんは笑っていた。もちろん留三郎はしばらく言葉にならない言葉を発しながらうめいている。
「あー、そう、です」
やっとこさ返した言葉は、普段の雄々しさからは想像もできないようなぎこちないものだった。
「伊作と一緒にいると友達が増えそうだね。やっぱり君は不運大魔王じゃなくて幸運を運ぶ保健委員会委員長なんじゃないの」
そんなことを言えるのは普段の僕を知らない君くらいのものだ。
正直、初めての称賛に僕自身どぎまぎしてしまう。ごめんよ、留三郎。他意はない。
「そうだったらいいんだけどね……」
「こいつが幸運を運ぶって、そりゃあねえだろう。いったいどれだけ俺が伊作の不運で苦労してきたことか……」
「あれ、そうでもないの?留三郎、……留三郎と呼んでもいい?」
少しずつ、少しずつ馴染んでいく。
「え、あ、どうぞ」
「ぎこちないなあ、戦う用具委員会委員長はどこへ行ったのさ」
「うるせえ!」
そんな僕たちの他愛もないやり取りを、恵ちゃんは心底愉快そうに笑っていた。
「はぁ、面白いんだね、あなたたち。腹がよじれるかと思った。ありがとう、お邪魔しました」
まだ話していてもいいのだけど、という本音は隠しておく。
「あ、待っ、……いや、なにも」
とっさに引き留めようとした留三郎は、自分の正直な行動を自覚して前言を撤回した。
「……わかってる。ぜひまた、ご一緒させて」
恵ちゃんはそっと微笑んで、保健室から立ち去った。
何を、どこまで“わかって”いるんだろうか。思えば昨日僕は恵ちゃんに同じようなことを言った覚えがある。
わざと?
それとも留三郎と何か暗黙の了解のある言葉なの?でも二人は互いに“初めまして”と言っていた。分からない。
あんまりいい心地はしない。二人とも、何か隠しているのなら教えてくれ、と切に願う。
単に好奇心。
嫌というほど聞かされた、まったく進展のない、留三郎の恋。僕だってあれだけ聞かされていればもう当事者と言っても過言ではない。
その“当事者同然”というのが変な
これが例えば留三郎ではなくて文次郎だったら、もう少し冷静にかかわることができたのかもしれない。