こっちを向いて、愛しい人【RKRN】夢小説
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(伊作side)
僕にはわからない。留三郎が恵ちゃんの事をどうしてこれほど知っているのか。いつの間に会話をしていたんだ?
「……俺の、勝手な想像だけどな」
そんな僕の疑問はすぐに消えた。
「想像って……。違ったらどうすんのさ」
「違わねえよ、たぶん。いや、違ったって良い。……俺も何でこんなにあいつが好きなんだかわかんねえ。助けろよ、いつもの事だけど」
留三郎が“恵ちゃん”の事を話すときは決まって最期に“助けろ”という。
僕だって助けてやりたいが、何分関わりがないものだから助けようがない。
今日は違う。今日からは。
「明日来るかどうかはわかんないけど、留三郎も保健室に居ればそのうち会えるんじゃない?」
「あー……。心の準備ができたら、そうさせてもらうか」
正直に言って、僕には留三郎の趣味がよくわからなかった。知りたい。何があってほとんどかかわったこともないあの子を好きになったんだろう。
さっきの留三郎の要領を得ない回答を反芻しながら、僕なりに想像力を働かせた。
全く解決の糸口は掴めなかったが。
「で、今日二人で何話したんだよ」
「ああ、そうだねえ……留三郎に関係することは特に何も。ああ、でも留三郎の事、名前だけなら知っているみたいだよ?」
たったそれだけで、留三郎は顔を真っ赤にほころばせてうれしそうにしている。
恋って、良いもんなんだろうな。
____________
翌日、留三郎は僕よりも早く保健室に向かっていた。心の準備早すぎないかい?
同室としては二人の関係が進展することを切に願いたい。
しかし、腑に落ちない恵ちゃんと留三郎の昨日までの関係性を明らかにしたい、という思いもあり、朝食後、僕はすぐに留三郎を追った。
保健室の前で恵ちゃんに出会った。頃合いを見計らったかのように同時だった。
「ああ、おはよう伊作」
「おはよう、恵ちゃん」
ひとまず中に入ろうと障子を開けると、期待に目を輝かせた留三郎が座っている。僕と一瞬目が合った。しかしその視線はすぐに隣にいた恵ちゃんに向けられる。分かりやすいなあ、相変わらず。
三人の間にぎこちない沈黙が下りる。
「えーと、ほら、これが昨日言っていた留三郎だよ」
「これじゃねえ!あー、初めまして、食満留三郎です」
後輩の前ではあれほど堂々としている留三郎が、ほんのりほほを赤く染めて、くノたまに自己紹介をしている。文次郎が見たら捧腹絶倒するだろうなあ……。
恵ちゃんは僕の隣にそっと正座をすると、目すら合わせずうつむいている同室に初めまして、と微笑みかけた。
僕にはわからない。留三郎が恵ちゃんの事をどうしてこれほど知っているのか。いつの間に会話をしていたんだ?
「……俺の、勝手な想像だけどな」
そんな僕の疑問はすぐに消えた。
「想像って……。違ったらどうすんのさ」
「違わねえよ、たぶん。いや、違ったって良い。……俺も何でこんなにあいつが好きなんだかわかんねえ。助けろよ、いつもの事だけど」
留三郎が“恵ちゃん”の事を話すときは決まって最期に“助けろ”という。
僕だって助けてやりたいが、何分関わりがないものだから助けようがない。
今日は違う。今日からは。
「明日来るかどうかはわかんないけど、留三郎も保健室に居ればそのうち会えるんじゃない?」
「あー……。心の準備ができたら、そうさせてもらうか」
正直に言って、僕には留三郎の趣味がよくわからなかった。知りたい。何があってほとんどかかわったこともないあの子を好きになったんだろう。
さっきの留三郎の要領を得ない回答を反芻しながら、僕なりに想像力を働かせた。
全く解決の糸口は掴めなかったが。
「で、今日二人で何話したんだよ」
「ああ、そうだねえ……留三郎に関係することは特に何も。ああ、でも留三郎の事、名前だけなら知っているみたいだよ?」
たったそれだけで、留三郎は顔を真っ赤にほころばせてうれしそうにしている。
恋って、良いもんなんだろうな。
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翌日、留三郎は僕よりも早く保健室に向かっていた。心の準備早すぎないかい?
同室としては二人の関係が進展することを切に願いたい。
しかし、腑に落ちない恵ちゃんと留三郎の昨日までの関係性を明らかにしたい、という思いもあり、朝食後、僕はすぐに留三郎を追った。
保健室の前で恵ちゃんに出会った。頃合いを見計らったかのように同時だった。
「ああ、おはよう伊作」
「おはよう、恵ちゃん」
ひとまず中に入ろうと障子を開けると、期待に目を輝かせた留三郎が座っている。僕と一瞬目が合った。しかしその視線はすぐに隣にいた恵ちゃんに向けられる。分かりやすいなあ、相変わらず。
三人の間にぎこちない沈黙が下りる。
「えーと、ほら、これが昨日言っていた留三郎だよ」
「これじゃねえ!あー、初めまして、食満留三郎です」
後輩の前ではあれほど堂々としている留三郎が、ほんのりほほを赤く染めて、くノたまに自己紹介をしている。文次郎が見たら捧腹絶倒するだろうなあ……。
恵ちゃんは僕の隣にそっと正座をすると、目すら合わせずうつむいている同室に初めまして、と微笑みかけた。