こっちを向いて、愛しい人【RKRN】夢小説
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「失礼します、くノ一教室の恵です。気分がすぐれないので休養を取りたいのですが」
中から漂う薬草の独特の香りに、なぜだか心が落ち着いた。
「はーい、どうぞ」
間の抜けた返事が返ってくる。障子を開くと同学年の忍たま、善法寺伊作が薬棚の整理をしていた。
「僕、ここで作業をしているけど、気にせずにそこで休んでていいよ」
「ありがとう」
初めて喋った相手ではあるが、一応同級生だから敬語は使わなかった。敬語はともすると、相手に距離を感じさせてしまう。
「……ちなみに、気分が優れないって、例えばどんな症状?風邪じゃないのなら深くは追及しないけど」
「え?あー……。むしろ深く追及してほしかったんだけど。……いや、いいよ、今更」
伊作は優しいらしい。「暇だし聞くよ、それで楽になるなら」と穏やかに微笑んでくれた。
「そう、ありがとう。……ちょっとだけ、寂しかったから。保健室に行ったら誰かはいるし、それに病状を伝えなくてはいけないのだから、いやが上にも喋らなくてはいけないじゃない?ごめんね、勝手に私の寂しさを紛らわすのに付き合わせて」
「はは、いいよ」
「良かったら、もう少しお喋りにお付き合いいただける?」
「うん、聞くよ」
私は本当にうれしくて、しばらくその幸せに浸って静かに微笑んでいた。
何だ、もっと早く保健室に来ていればよかった。
そうは言ってもいきなり喋っていいよ、と言われると何を話せばいいか、すぐには思い浮かばないものである。
「……何、話そう。伊作、あー、伊作って呼んでいい?」
「うん。君は、恵ちゃんでいいのかな」
「さっき名乗ったの覚えてたんだ、嬉しい」
利用者の記録つけなきゃいけないし、初めて聞いた名前だったから、と言っていた。保健委員会は大変そうだ。
「君……えーと、ごめん。恵ちゃんこそ何で僕の名前を知っていたの?」
「はは、君でいいよ。私もそっちの方が気が楽かもしれない。君は有名だよ、優しい不運大魔王として」
「何だ、酷いなあ。まあ、よく散々な目に合うけどさ……。優しいっていうのはうれしいよ、きっと皆はただの不運大魔王としか思っていないだろうから」
「いや、きっと君の友人たちは君の優しさに慣れてしまっただけだよ。優しい、と思ったことはあると思う、みんな。それか君がいつも優しいから、毎回優しいっていうのが面倒になったのかもね」
「優しいのはどっちさ。ありがとう」
中から漂う薬草の独特の香りに、なぜだか心が落ち着いた。
「はーい、どうぞ」
間の抜けた返事が返ってくる。障子を開くと同学年の忍たま、善法寺伊作が薬棚の整理をしていた。
「僕、ここで作業をしているけど、気にせずにそこで休んでていいよ」
「ありがとう」
初めて喋った相手ではあるが、一応同級生だから敬語は使わなかった。敬語はともすると、相手に距離を感じさせてしまう。
「……ちなみに、気分が優れないって、例えばどんな症状?風邪じゃないのなら深くは追及しないけど」
「え?あー……。むしろ深く追及してほしかったんだけど。……いや、いいよ、今更」
伊作は優しいらしい。「暇だし聞くよ、それで楽になるなら」と穏やかに微笑んでくれた。
「そう、ありがとう。……ちょっとだけ、寂しかったから。保健室に行ったら誰かはいるし、それに病状を伝えなくてはいけないのだから、いやが上にも喋らなくてはいけないじゃない?ごめんね、勝手に私の寂しさを紛らわすのに付き合わせて」
「はは、いいよ」
「良かったら、もう少しお喋りにお付き合いいただける?」
「うん、聞くよ」
私は本当にうれしくて、しばらくその幸せに浸って静かに微笑んでいた。
何だ、もっと早く保健室に来ていればよかった。
そうは言ってもいきなり喋っていいよ、と言われると何を話せばいいか、すぐには思い浮かばないものである。
「……何、話そう。伊作、あー、伊作って呼んでいい?」
「うん。君は、恵ちゃんでいいのかな」
「さっき名乗ったの覚えてたんだ、嬉しい」
利用者の記録つけなきゃいけないし、初めて聞いた名前だったから、と言っていた。保健委員会は大変そうだ。
「君……えーと、ごめん。恵ちゃんこそ何で僕の名前を知っていたの?」
「はは、君でいいよ。私もそっちの方が気が楽かもしれない。君は有名だよ、優しい不運大魔王として」
「何だ、酷いなあ。まあ、よく散々な目に合うけどさ……。優しいっていうのはうれしいよ、きっと皆はただの不運大魔王としか思っていないだろうから」
「いや、きっと君の友人たちは君の優しさに慣れてしまっただけだよ。優しい、と思ったことはあると思う、みんな。それか君がいつも優しいから、毎回優しいっていうのが面倒になったのかもね」
「優しいのはどっちさ。ありがとう」