私が忍術学園に入学したのはちょうど五年前。最後の一年をどう過ごそうか。
考えながら、まだ肌寒い春休み初日の校庭を歩いていた。
私は忍者やくノ一になりたいから、この学園に入ったわけではない。ただ、仲間がほしかった。本を読んで、知識を手に入れたかった。この乱世を生き抜くために。

死ぬことだけは絶対にご免こうむりたい。痛いのも苦しいのも大嫌い。そんな私がよく五年間もこの学園に残ることができたものだ。

辛い鍛錬を続け、幾多の危機を乗り越え、ここに五年間も居続けた。
それでも心の許せるような友はできなかった。私の目的は、まだ半分しか達成されていない。
知識は手に入れた。しかし友人も知り合いと呼んでも差し支えのない相手も、結局まだ見つけられていない。

これを変えたい。私は寂しい。日々が退屈だ。友達が、話し相手がほしいんだ。

ずっと一人で本を読み、鍛錬し。もうこんな単調な日々はいい加減飽きた。

長期休みでも上級生はほとんど学園に残って鍛錬や勉学に励む。私はそんな気分になれなかった。この一年で最後だというのに、挨拶する相手もいない。

別にくノ一として生きていく気はないのに、こんなところにいる理由。友達。

ちなみに、忍たまの友は除外する。あれは教科書だ。本を友達に計上してもよいのなら、たくさんいるが。

わびしい気分になったから、保健室で休養しよう。部屋にこもってても気分は晴れない。
こういう時は場所を変えよう。

私は初めて、保健室を訪ねた。