其の一
夢小説名前変更
夢小説名前変更この小説は夢小説です。
名前を入力すると、登場人物に自動変換できます。
主人公の名前を入力してください。
この小説では
・偶然にも下の名前が真名な主人公です。
・名前を名乗ると神隠しに遭う可能性大です。
審神者ネームは円[まどか](変換なし)
未入力の場合は
名前:五来 日和[ごく ひより]
真名:日和
になります。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「………………えっと、どちらさんで?」
『改めて。俺が雲です。さっきまでは、こんのすけの鈴から声を出してただけなんだけど、あまりにも君面白いから姿見せちゃった!』
「……あ、さいですか。雲さんちゃんと人間なんだ。にしてもこれ鈴にしか見えないね、通信機器だとは思わなんだ」
てっきり二重人格なのかと、と続けると雲さんは軽く噴き出して笑う。
そんなに面白いこと言ったか私?
って待てよ、ということはこのぼろぼろと泣いているこの狐は?
と思った瞬間、そのぬいぐるみみたいな狐は私の方へ飛びついてきた。
中身は、というより最初からこんちゃんか。
ただ喋んなかっただけなのかな?
あんまりにもぼろぼろと泣いてるもんだから、その小さな背中を軽くなでてやると。
決壊したかのように涙が止まらなくなっていった。
どうしたどうした、どうどう。
『君には全て話をさせてもらうよ。君の状況、これからのこと、そしてここの刀剣男士たちのこと。そのうえで、君がどうするかを決めてほしい」
え、また急に真面目モードに入るのやめてほしい。
そう思いつつも、その話は色々と聞かねばならないことだろう、と。
私はそのまま床……と呼べるかわからないところに座り。
彼の話に耳を傾ける。
時の政府、つまり私の就職先みたいなところ。
彼らは歴史修正主義者と戦うために、審神者の霊力を持って刀剣男士を生み出す。
ただし、その内情は随分と酷いもので。
刀剣男士である彼らの扱いは酷く、者ではなく物として扱われる。
彼らを戦わせに行かせ、怪我をしても手入れは行わない。
手入れをすると資源が枯渇するからである。
そのため、ボロボロになるまで使われ、物である以上、使い物にならなければ捨てられる。
その捨てる方法にも2種類あり、1つ目は先ほど青い髪のお兄さんの口から聞いた「刀解」。
そしてもう1つは刀として戦った暁に、刀の命ともいえる刀身が「折れる」通称刀剣破壊。
彼らはずっとこれらを繰り返しているとのことである。
その話を聞いて私はぞっとした。
折れる、のは命と言える刀身が、と言った。
つまり、彼らは折れることで、人間で言うと殺されて命を落とし、また同じ姿に生まれまた殺される。
……それを、繰り返しているということだ。
私が心臓を貫かれ死んだとしたら、またその記憶を持ったまま、もう一度生まれてまた首を絞めて殺される。
そんな地獄のようなことを、繰り返しているとのことだ。
それだけでももう頭がおかしいと思うのに。
他の審神者たちも沢山いるのだが。
彼らもそれが当然と思い、折れるまで戦わせる。
それに加え、自分の命に背く刀を殴ったり蹴ったり。
最終的には自分の手で折る人もいるというのだ。
……そんなのって。
『……最近は人間と体は変わらないからと言って、夜伽を強制するところも多い』
「?ごめんなさい話折ります、よとぎ?って?」
『……男女のまさぐり合い、とでも言えばわかるかい?』
「あっ、ハイすみませんした」
それもいわゆる強制、ということだから。
風俗でいやいや働くのと同義ってことだ。
いや、まださ、恋愛感情がお互いにあってそういうことになってるのなら100歩でも1000歩でも譲るよ?
種族を超えた恋愛ってやつなら、まだしもね?
それが、物扱いの上そんなことまで強制して、人間みたいなことしてる訳?
……意味が分からなさすぎる。
そんなの、良いように扱っているとしか思えない。
なぜ、同じ人間……ではないらしいけど、そんなことができるのか。
「……待って、そういえば私勧誘されたときに」
刀剣男士なるイケメンの面々と生活を共にできる。
そういえばそう言っていたような気がする。
お金に気をとられてあんまり気にしていなかったけど。
……もし、それがそういう意味を含んでいたとしたら。
「……政府が、それを勧めている?」
『そうだ。刀剣男士は所詮物でしかない。だから死ぬまで戦わせて、折れれば新しいのを鍛刀……作ればいいと勧める』
「―――…………」
『……そして君が今いる本丸。そこは、今言ったことを全て受け。耐えきれなくなった一期一振が、そこの元主である審神者を斬り殺そうとした』
「……っ……!」
その言葉にここにいる彼らを見ると、青色の髪の人が特に反応する。
……なるほど、それで刀解してくださいって言っているのか。
その反応を一瞥した雲さんは、再度私を見て。
どうする?という目線を投げかけてきた。
つまり、人を殺した刀を傍に従えるのか聞いている、ってことなのか。
………ほう。
「私の好きに、していいんですよね?」
『ああ。政府は基本的に全て本丸の運営を審神者に任せているからな』
そう言われ、私は体を彼らに向ける。
胡坐をかいていたが、正座にして。
膝の上には未だぼろぼろと泣いているこんちゃんを置く。
近づきはしない、私も殺されたくはない。
でも、彼らと話をしなければ。
だって、思わず相手を殺してしまうだなんて。
―――何よりも、人間らしいじゃない?
「ごめんなさい、お名前忘れたので。弟くんのお兄さん。今の話は本当のことですか?」
「―――はい、私の不徳の致すところです」
「……何となく、察しはつきましたけど。何故か、あなたの口から教えてください」
「……私には、弟がたくさんいます。その弟たちを、何振りと折られました。私の、目の前で」
彼は表情を変えることなく淡々と語る。
覇気のない瞳。
その目の前で何人も、弟を殺され。
痛めつけられ、辱められ。
気付けば、自分は返り血に染まっていたという。
そのときに折られそうになっていたのは、今手入れをしている彼で。
……少し、彼の拳に力が入る。
「……刀解して、と言いましたね。どうしてですか?」
「……同じ死を選ぶのであれば、と。このような危険な刀を手元に置くなんて、ありえませんから」
「……なるほど。他の皆さんは?審神者に対しての思いを、お聞きしたい」
そういうと、黒髪ロングのお兄さんと、眼帯のお兄さんは怪訝そうな顔をしてお互いに顔をあわせる。
そんな中、冷たい目線をこちらにやったのはやはり青い着物の彼だった。
「刀は主に就き従う物。手を下せるものなら下してみたいが、主となれば自分では斬れぬ」
言い終わるとまっすぐにこちらを見つめてくる。
その目は確かに冷たかったが、先ほどとは違い切なそうな目をしている。
……まるで、自分が斬れるものなら斬ってやりたかった、と訴えるように。
そしてその言葉に唾をのみ込む音が聞こえたので、黒髪ロングのお兄さんを見ると。
その横の眼帯のお兄さんが小さく手を挙げた。
「僕も。……殺したいほど憎かった。兄弟ではないけど、仲のいい友人を折られたから。それでも主を殺してはいけないと、抑えていた」
「俺も、国広が、何本も折られていくのに耐えきれなかった。一度殴りそうになったが、他の刀剣に押さえられて最終的にその俺は折られた」
眼帯のお兄さんの次にそのまま間を入れず、黒髪ロングのお兄さんが話す。
……なるほど、どういうことが起こっていて、彼らがどれほど辛い思いをしたのか。
正直、私には何もわからない。
親を亡くした気持ちならわかるけど、恨む相手はいない。
自分が殺されたこともない。
だからこそ、彼らの気持ちを聞けて良かった。
私は雲さんの方を向き、はっきりと述べる。
「よし決めた。全員、このまま、私と戦ってもらいます。手入れとか、難しい話はあとにしますけど。人間の体持ってるし人間と同じ感じで過ごす、ということで」
「…………!!!」
『……本当にいいのかい?』
「むしろこっちのがよくないですか?」
『……やはり君は、僕の求めていた人物だ!よし、そうと決まればさっそく行動だ!!』
「いやいやいやちょっと待て!!!」
雲さんと2人でえいえいおー!と拳を上げれば。
黒髪ロングの彼がすぐさま止めに入った。
はいはいなんでっしゃろ。
出血大サービスでなんでも答えるぞ☆
なんてのは冗談ですけども。
「人間を殺したんだぞ!?今も殺したいくらい、憎んでんだぞ!?!」
「でも今は殺してない。私に手を出してこない。前の人間とは違うって、わかってるってことじゃないです?」
「……殺す機会をうかがってるかもしれないのに?」
「上等、かかってこいや。むしろそれくらいの方が緊張感あっていいじゃないですか」
「……なぜ、あなたは、刀である私たちに、そんな」
「やっぱり。そこらの人間よりよっぽど人間らしいんですよね。怒りに任せてやっちゃうあたりとか、特に」
そう言い、ぐっと拳を構えた。
そう、彼らは人間じゃない、物だと先ほどからずっと言っている。
けれど、私はそれで納得がいかないのだ。
だって感情もある、痛みも感じる、他人のことを思える。
理由なんて、それで十分。
私たちと同じように感情があって、痛いものは痛いし、他人のことを気に掛ける。
この際人間かどうかはどうでもいい。
私が、個人的に仲良くなりたい、もうそれでもいいと思うんだ。
それに、もし私がそういう間違った方向に進んだ時に。
一度反旗を起こした彼らなら、ちゃんと止めてくれる。
そう思ったからだ。
「ところでさっきからの話で雲さんは味方と思ってるけどそれであってます?」
『もちろん。俺はこの政府を立て直したいと思っているからね。そうやって政府に対抗してくれるような審神者を探していたんだ!』
「ってことは、審神者にはほぼ味方がいない、かあ。なら、これから頼らせてもらいますよ」
『もちろん。こちらこそ、よろしく頼むよ』
「主さま!こんのすけも、こんのすけもおります故!ぜひともお手伝いさせてくださいませ!」
そう言って先ほどまでぼろぼろと泣いていたこんちゃんが顔を上げた。
そうか、この子もきっとあまりいい扱い受けてこなかったんだろうか。
てかさっきまで五来様、って呼んでなかったっけ?と考えたところで。
雲さんがこんちゃんは刀剣男士と同じ立ち位置のものだから。
政府も審神者もあまりいい扱いをしてくれていない、とのことだ。
こんなモフモフまでそんな目に合わせるとは。
本当にこの世界の住民は、根から腐っているのだろう。
とりあえず頭を掴むのはやめることにしようと思う。
「あ、そうだ。私みんなと戦うって言ったけど、もちろん強制はしないから。どうしても嫌って人は言ってくださいね」
私はそう刀剣男子たちに告げる。
その言葉にまた驚く彼ら。
まさかと思うけど、意見とかも許されてなかったのだろうか。
前の審神者どんな扱いしてたんだよ本当に。
「意見があるときはどんどん聞くし、積極的に取り入れるんで。質問もよろしく。一緒に頑張って戦いまっしょい」
頼りにさせてもらいます、頼りない人間だけどよろしくね。
そう述べると、彼らは困った顔でお互いを見始めた。
……波乱万丈、紆余曲折、狂瀾怒濤。
上等じゃん、売られた喧嘩は買うのが道理。
納得するまで、拳をぶつけさせてもらいまっせ。