其の一
夢小説名前変更
夢小説名前変更この小説は夢小説です。
名前を入力すると、登場人物に自動変換できます。
主人公の名前を入力してください。
この小説では
・偶然にも下の名前が真名な主人公です。
・名前を名乗ると神隠しに遭う可能性大です。
審神者ネームは円[まどか](変換なし)
未入力の場合は
名前:五来 日和[ごく ひより]
真名:日和
になります。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
しばらく移動して、青い髪のお兄さんが足を止める。
ゆっくりとその前の扉を開くと、そこは随分埃っぽい部屋があった。
そこに入ったお兄さんは、ゆっくりとその背中の弟くんを下す。
それを見て一緒に付き添ったもう1人が補助に入った。
青い着物がよく似合う、気品あふれる姿の人だ。
「で、こんちゃん。白目向いてる場合じゃないよ。どうやったら治せるの?早くやり方———」
「否、待たれよ」
腕まくりをした私とその弟くんとの間に、青い着物の彼が立ちはだかる。
その目はとても冷たい目で。
まっすぐと私を捕らえたその目に、息を止めた。
やばいどうしよ、めっちゃ怖い。
まだ刀に手をかけてないだけましだと思うけど、そんなの関係なしにマジで殺される手前ともいえる。
……あれ、ちょっと待て。
私が戦うのって歴史を変えようとする奴らだよね?
なんで味方のはずの刀剣男士に殺されそうになってるんだろ。
「―――お主、真名は?」
「?ま、マナ?霊力とまた違う力かなんか?ってそれより」
「何か勘違いを、真名とはあなたの本当の名前です」
そういい青い髪の彼もこちらを向く。
え、名前?
「だから五来 日和って名乗ったじゃ―――」
「名も申さぬか。本当に何も知らんようではなさそうだが」
「は?」
いやいやちょっと待てむしろめちゃくちゃはっきり名乗ってるんですけど??
あ、耳遠い?
ひょっとして耳が遠いのかな、おじいちゃんかな?
そう思ったと同時に、こんちゃんが私の肩から降りる。
ようやく白目は落ち着いたらしい。
「誠に勝手ながら、真名隠しの術をかけさせて頂いております。まだ五来様は審神者業に慣れておりませんので」
「あなや、お前の仕業か。こんのすけよ」
「はい。この方の名前は少々特殊ですので」
???
あの、そういうわからない単語をポンポンだすのやめて頂けませんかね。
ますます混乱するじゃないそういうことするの。
いやマジでレジの使い方も知らないのにいきなり行列のスーパーのレジを任される気分だわ。
てか私の名前が特殊ってなんだ、ごく普通の一般的な名前じゃい。
そう思うと同時に、2人の会話をスルーして周りを少し見渡してみる。
と、何か奥の方で動いた。
んん???
なんか、ちっこいのが、ん?
なんだあれ、妖精さん??
不思議そうに眉をゆがめると、青い髪のお兄さんの視線に気づく。
それに目線を絡め、「何か?」と声をかけると。
少し無言でうつむいた後。
「―――貴方は、我々をどうするつもりですか?」
深刻そうな顔をしながら見上げられる。
いや、むしろそれは私が聞きたいんですが。
しいて言うなら手入れとかいうやつ、あれをすると言うと。
そうではなくて、これから先どうするつもりなのか、と言うことが聞きたいらしい。
「どうする?えっ、一緒に歴史変えようとする奴らと戦うって聞きましたけど」
「……我々は刀です。言わば物です。その物である我らを、貴方はどう扱うのか、それをお聞きしたいのです」
「……?もの、ですか」
そう聞かれて意味がいまいち理解できない。
でもかなり真剣に、それこそ殺されそうな勢いで見られてるものだから。
これ以上何かを聞き返すわけにもいかなそう。
ていうか物って言ってるけど付喪神でしょ?神様でしょ?
いやむしろ私が仕える身であって扱うなんて滅相もない。
そもそも扱う、だなんて。
人間みたいな彼らがどう物扱いできようか。
いや、できる訳がない。
「よくわかんないです。扱いません、人間と変わんないんですから。人は扱う物ではないですし」
「なら、人としてどうするおつもりで?」
「ええ……?……とりあえず、怪我を治して……おなかがすいたので一緒にご飯作ってみんなで食べます」
「……は」
「な、」
こんちゃんの素っ頓狂な声が聞こえたのでそちらを見る。
青の着物の人に抱えられたその顔は、またしても意味が分からない、と言いたげな顔だ。
もう何回目かわからない、わからないけど。
いや、意味わからんのはこっちだわ。
ほんとこの状況をどうすればいいのか考えながら、軽くため息をつくと。
―――わらわらと、小さいのが奥の方から湧いてきた。
えっ、えっなんだこの子らちっさ、ちっさ!?
さっきふざけて妖精さんとか言ったつもりなのにマジもんの妖精か?
え、ここそんなファンタジーなの?
とか混乱してたらその子らは私の足元に集まる。
妙に人っぽい見た目の彼らは一生懸命に手を挙げている。
……ひょっとして私に何か言っている?
そう思ってとりあえずしゃがみ、少しでも彼らに近づく。
その様子を見て、彼らは軽く私から離れる。
少し顔が半泣きになっているのは、怖がらせでもしてしまったか。
しかし、そのうちの1人がキッとした顔になり一歩ほど前に出る。
その体は少し震えていた。
何事かわからずじっとその1人出てきた彼を見ていると。
彼はその小さい体のどこに持っていたのか、大きな鉄の塊を取り出す。
めっちゃ力持ちやん、小さいのにすごい。
いや、そうではなく。
すると彼はそれを地面に置いたかと思うと、両手をピンとだした。
思わず首をかしげると、その小さな彼は鉄の塊をトントンとして、もう一度んばっと両手を広げる。
「……ひょっとして、その鉄の塊をもっと下さい、って言ってる?」
その私の声に、彼は泣きそうな顔になりながらこくこくとうなずく。
そしてすぐに怪我をしている弟くんの方を見た。
……んと、つまり?
その鉄の塊をあげたら、弟くんが治るってこと?
そう尋ねたら、周りの妖精さんたちも一緒にこくこくと激しくうなずいた。
……ひょっとして、彼らが治してくれるのだろうか。
そう思って青い着物の人の腕にいる、まだ固まっていたこんちゃんを掴むと。
「こんちゃん、あれがいっぱいいるんだって」
「……は、はい!あ、いや、こんのすけにございます!」
そういいながら彼は私の手から離れ。
床にいる彼らにこれまたどこから取り出したのか。
鉄の塊以外にも、いくつか色んなものを渡した。
……あれが資源、という奴だろうか。
それを受け取るなり。
彼らは私にペコっと頭を下げ、弟くんの周りへと行き何やら白いものをポンポンし始めた。
……いや、私が上げたものではないんだけどな。
そう思いながらちらっと青色のコンビを見ると。
彼らも彼らで、不思議そうなものを見るようにこちらを見ていた。
いや何してるかは私が教えてほしいんだけど。
―――すると突然。
「はっはっはっは」
着物が青い方が笑い出した。
え、何、怖い。
さっきまであんなに睨みつけて、冷たい目を向けて、明らかに殺そうとしていたのに。
えっ、やば、めっちゃ怖い。
ちなみにその隣の髪が青い方は、頭に手を当てて小さくため息をついている。
いやため息つきたいのはこっちだわ。
けれど、着物の青い方が笑ったせいなのか。
先ほどまでの殺気のようなものはいつの間にかなくなっていた。
「これで薬研様の手入れが始まりました。彼は短刀なのでそれほど時間はかからないでしょう」
「へえ、これが手入れ。資源を使って怪我を治す、ね。よし覚えた。ところで、この小さい力持ちの妖精さんは?何者?」
「彼らは式神のようなものです。刀にまつわる作業は彼らが行います」
「式神?へえ……よくわからんけど小さいのにすごいね。ありがとう、しばらく忙しいと思うけどよろしくお願いします」
しゃがんで彼らの作業を見続けていた私は、軽く彼らに向かってお辞儀をする。
その私の声にその小さな妖精さんたちは、一斉にこっちを向いて驚いた顔をしたが。
私が顔を上げて首をかしげると、少し笑顔になり。
また白いものをポンポンする作業を始めた。
かわいい。
なんで驚いたかはあれか、まだ仕事あるの!?みたいな訴えだったんだろうか。
ごめんね、それは申し訳ないことをした。