其の一
夢小説名前変更
夢小説名前変更この小説は夢小説です。
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主人公の名前を入力してください。
この小説では
・偶然にも下の名前が真名な主人公です。
・名前を名乗ると神隠しに遭う可能性大です。
審神者ネームは円[まどか](変換なし)
未入力の場合は
名前:五来 日和[ごく ひより]
真名:日和
になります。
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「もう、いいのです。審神者殿」
そういいながら、髪の青い王子様のような人が私の前で跪く。
突然のことで驚いたが、その顔はやつれにやつれ、折角のイケメンが台無しになっている。
……まさかと思うけど、彼らはずっとこの場所で放置されていたんじゃないか。
そんな嫌な予感が頭をよぎった。
「私を、私を刀解してください。どうか、お願いします―――」
東海?
急に何の話だ、と首をかしげるが。
彼以外の人の表情を見て、私がとらえた漢字変換ではないことだと勘付く。
……困ったな。
そうは言われても何が何だかわからない。
この本丸の中で一体何があって。
何をどうすればこんなに家もボロボロになるのか。
……わからないことが多すぎる。
「一期さん、そんなの、ダメに決まって―――」
「やめろ!いち兄を刀壊するなら俺にしてくれ!」
そしてさらに増える新しい声。
私はその姿を見て驚愕した。
……私より小さい男の子が、あちこちから血を流し。
今にも崩れ落ちそうな様子で家の中から出ようとしていた。
もう訳がわからない。
どうしてこんな状態で放置されているのか。
あまりにも残酷すぎるその光景に、私の頭は既に処理限界を超えていた。
「薬研!出てくるなとあれほど言ったのに!」
「いち兄は俺を庇ってあんなことになったんだ!だから……ぐっ!」
「薬研!」
そう呼び合う2人はきっと兄弟なのだろう。
お互いがお互いを思って、何かを必死に防ごうとしている。
私は何をすればいいのだろうか。
私が何かをすれば、彼らの怪我は治るのだろうか。
―――私の、為すべきことは何だ。
「こんちゃん、彼らを治す方法は?」
「こんのすけにございます!刀剣男士は本体である刀を手入れすることで傷が治ります。そのためには資源が必要となります」
「資源は?何をすればもらえるの?」
「主に出陣し歴史修正主義者と戦うことで、もしくは遠征で資源の調達を行うことで手に入ります」
「今、すぐに。あの子を治すために必要なの」
「……刀剣男士や刀装を解体することで手に入ります」
「もっと簡単なのは?言葉はわからなくても、それが微々たるものやよくない事なのはわかったから」
「……最も早いのは資金で購入することです。多額の出費になると思います」
「必要な分だけ全部、給料から引いといて」
「っ!!!?」
そう言って私は彼の元へと近づく。
それに対して他の刀剣男士も驚きつつ。
私のことを止めようとする。
特に青い髪の彼は、やはり兄弟なのだろう。
なにか勘違いをされてるような気がするも、私を止めようと必死だった。
「お願いです、薬研は、薬研にだけは手を出さないでください!」
「あなや、止まる気はないようだな。人の子よ」
「……もう、諦めるしかないのかな」
「そこの青髪のお兄さん、えっとなんだっけ?手入れ?できそうなとこに弟くん連れてってもらえます?私が触らない方がいいみたいだし」
「「…………え?」」
さすが兄弟、息もピッタリ。
ではなくて、とりあえずなんか色々誤解されてるのを解かないと。
何がどうなってるのか、これはこんちゃんより当事者の方が詳しいことに間違いないだろうし。
彼らから話を聞いた方が早い。
そう思ってそこにいる全員に向かって声を出した。
「私は五来 日和!審神者になってくれって言われたけどその他のことは何も聞いていない!本丸ってものがあることも今日初めて知った!だからこの状況の説明求む!!」
そこまで言って、一度大きく息を吸い込む。
彼らは全員なぜか私の顔を驚いた様子で見る。
ん?私変なことでも言ってる?
「というより先に!全員怪我してるの治すから!手入れとか言うやつのやり方教えて!!あと他にも怪我してる子いるなら治すから。連れてきて!!」
そういいふんっと息を吐くと、また新しく息を吸う。
その私の様子に、やっぱり私は変なことを言っているようで。
黒髪のお兄さんにすごく怪訝そうな顔をされる。
「……なんだ、アンタ。手入れするって言うのか?」
「いや、だって怪我してるじゃん。痛いでしょ?」
「こんなのはいつものことだ、慣れてる」
「ってことは痛いんじゃん」
「………………」
私は彼の無言を肯定ととる。
誰だって怪我をすれば痛いし早く直さないと後々困る。
とにかく一番怪我の様子がひどい弟くんをどうにかしてあげたい。
こんな小さな子にまで、こんな怪我のまま我慢させて。
一体ここはどうなっているのか腹立たしくて仕方ない。
「こんちゃん資源は?まだ?」
「こんのすけにございます!……本当に、よろしいのですか?」
「ダメならあーたの説明不足を恨みなさい。金で人を助けられるなら安いもん」
「……わかりました。ご用意します」
随分と含みのある言い方をするが。
そんなことは言ってられない。
少しでも早く痛みをとってあげたい。
……痛いのは辛いって、よく見てきたからわかるから。
「早く。他の人も、その弟くんが治し終わったら怪我の具合が酷い人から治すから。比較的元気そうな黒髪ロングのお兄さんは、ごめんけど他に人がいたら連れてきてくれる?」
「…………ちっ」
おいこら舌打ち。
しかしそれでちゃんと本丸の中に移動し始めたので。
探してくれるだろうと信じたい。
「兄弟のお兄さんの方は弟くんを手入れしやすい場所に運んで。さすがにこんな外ではやらないだろうし。あと残りの2人はどっちか黒髪のお兄さんを手伝って、もう1人は私の見張り!」
「……見張り?なぜ?」
「理由は知らないけど何か私のこと警戒してるでしょ。ならいっそ見られた方がまし!私の分からないこと説明してもらう係だと思ってくれればいいから!はい移動開始!」
そういい私は兄弟のお兄さんの方とこんちゃんを急かす。
弟くんは私の顔をすごく見ている。
何かついているのか、それとも警戒しているのか。
どちらにせよ早くそのやつれた顔をどうにかしてあげたい。
他のみんなもせっかく綺麗な顔をしているのに、どこか疲れていて台無し。
イケメンには真顔と笑った顔が似合うというのに。
それにしてもここの家…本丸は酷い。
どこもかしこも壊されているし。
廊下のあちこちには刀が置かれていて物騒だし危ない。
ほとんどの扉も破壊されていてどこもかしこも筒抜けで。
なかなかに広い割に人が少なくて空気が重い。
何をどうしたらこんな状態になるというのか。
お姉さん不思議でたまらないよ弟くん。
そう思いながら今一度彼の方を見ると、傷口が痛むのか苦痛そうな表情を浮かべながら目を閉じていた。
「……時の政府マジ滅ぶべし」
おっと、一応上司がいるところで思わず口が滑った。
そろり、と肩にいるその顔色を窺うと、つぶらだった黒い瞳が完全に白目をむいていた。