其の二
夢小説名前変更
夢小説名前変更この小説は夢小説です。
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この小説では
・偶然にも下の名前が真名な主人公です。
・名前を名乗ると神隠しに遭う可能性大です。
審神者ネームは円[まどか](変換なし)
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名前:五来 日和[ごく ひより]
真名:日和
になります。
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<薬研藤四郎 Side>
「戻ったぜ……って、悪い、まだ寝てたのか」
「薬研か。いや、さっきまで一度起きてたんだ。眠たそうにしてたからもう一度寝ろと言ったらすぐ寝た」
「……まあ、あれだけのものを出現させたらな……」
「それで?結局何が起こってた。薬研が行ったのは本丸内だったか」
ああ、と返事を返してそのまま床に座る。
そこでは綺麗な顔をした大将が、そのまま布団の中ですやすやと寝息のみを立てて寝ていた。
息が聞こえなければ、まるで死んでいるかのように動かない。
先ほどのようなおどろおどろしい空気を醸し出すことなく、清々しいまであるこの部屋。
まさかこの部屋があの場所だと聞いたら、どんなふうに驚くのだろうか。
俺は本丸内の調査を行った後、やけに広くなった庭の方までを調査してきた。
本丸内に関しては、今までと全く構造が違うものになっていた。
場所がまるっきり変わっているところもあれば、鍛刀部屋や手入れ部屋など単純にきれいになったところもある。
とりあえず今まであった深い傷や、壊れた扉、縁側など。
全てが綺麗になっていた上に、ほぼ新しいものに成り代わっているのだから驚くしかない。
まるで家を引っ越ししたかのような、そんな感じの方が近い。
一番面白い変化はやはり風呂だろう。
7人がぎゅうぎゅうで入れるくらいの広さだったそれは、俺たちの兄弟全員で入っても全然余るほどの広さ、しかも露天風呂になっていた。
それから部屋もあちこちできていて、広い部屋もあればほどほどの部屋もある。
それから全員が入れるような部屋も。
執務ができるような部屋もあったりして、本当に信じられないくらいの広さだった。
加えて気付いたのが、手合わせができるような広い道場。
それも新しく建っていたことに一番驚いた。
無かったものまで出来上がるなんて、一体どんなことをすればこうなるのか。
仕組みは全くわからないものの、大将の力が生半可なものじゃないのはよくわかる。
そして本丸内の探索後庭に出たが、こちらも驚くことばかりで。
まず、本丸周りの囲いが明らかに広がっていて。
加えてその横に新しく囲いができてると来た。
とりあえず庭の探索を優先すると、かなり広い庭に穏やかに流れる川があり。
外にある厩や倉庫が綺麗に直っているのはもちろんのこと、井戸もどういう仕組みかわからないが、蛇口が付いていて簡単に水を出すことができるようになった。
更には今までなかった離れが出現していて。
中も人が住める環境に整っていたので驚きだった。
あとは花壇のような場所が増えていたり、倉庫の数が増えていたりと。
「……とんでもねえな、こいつ」
「おっと、これで終わりじゃないんだ。もう一つの囲いについてなんだが」
なんとそこには、広大な畑が出来上がっていたのだ。
既に芽が生えているものもあり、すぐにでも面倒を見なければ育たないだろう。
ちゃんといくつかのブロックにも分かれていたし、それぞれの土の感じも違う。
あれなら四季折々の色んな作物を育てられるだろう。
「全く、末恐ろしいな。大将は」
「……本当に無意識なんだろうな、だとしたらとんでもない霊力の持ち主だぞ」
「それは本丸中で満たされている、大将の霊力を感じれば簡単なことだ」
本当に、温かくて柔らかな。
とても優しいものなんだろう。
初めてされた手入れの時もそうだ。
感じられる霊力は、俺のことを心配するもので。
こんなに温かい気持ちになったのは初めてだ、と。
次の桜を咲かせたときに舞った花びらから感じた霊力もそうだ。
あの桜の花びらからは、大将の思い出を見ることができた。
じっちゃん、ばっちゃんと呼んでいる人物と楽しそうにお花見をする姿。
そしてその時感じた感動と興奮、それらを俺たちにも感じてほしいと。
……それを見た時は、気づかない間に涙を流していた。
幸い、周りの連中も桜に夢中になっていたおかげで、気づかれることはなかったが。
「……期待してるぜ、大将」
俺はそう呟くと、でかい声で「たっだいまーっと!」と厚の大きな声が聞こえたため。
大将を起こさないために、厚に注意をしに行く。
……厚のように、また他の兄弟たちとも会えるんじゃないかって。
笑い合える日が来るんじゃないかって、胸に込めながら。
無意識のうちに、口角を上げて笑っていた。