其の二
夢小説名前変更
夢小説名前変更この小説は夢小説です。
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この小説では
・偶然にも下の名前が真名な主人公です。
・名前を名乗ると神隠しに遭う可能性大です。
審神者ネームは円[まどか](変換なし)
未入力の場合は
名前:五来 日和[ごく ひより]
真名:日和
になります。
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「………ああ”……クッソ………頭いてぇ……」
「……よーくわかった。アンタ、実は馬鹿だな?」
「あ”??」
「…………」
「………………ごめんなさいでした」
とまあ相も変わらず機嫌の悪い目覚めをした私は。
先ほど説明したおかげか、加州くんみたいに泣くことはなかったが。
明らかに表情が引きつった兼さんの姿を見て、徐々に覚醒し。
いつものように謝った。
ということは私はまた寝たのか馬鹿野郎。
しかも前と全く同じ霊力の消費のし過ぎで。
そりゃ寝起きの一発目でバカって言われても仕方ない。
と、周りの景色に違和感を覚える。
確かに部屋の中にいる。
いるのだが、なんというか。
見たことない綺麗な壁が広がっていて、本丸にこんな綺麗な場所あったっけ?と疑問に思うと同時に。
あれこれちょっと待て、さっきもあったなこんなこと。
起きて周りを見たらガラッと景色が変わっていたこの感じ。
…………まさか。
そう思った私はガバッと起き上がり。
そのまま立ち上がって部屋の外に出ようとする。
―――その時。
体が疲れているのだろうか。
思ったよりも足に力が入らず、何もないはずのところで盛大に躓き。
そのまま顔面強打待ったなし、と思わず本能的に察知したところ。
「……ったく、今言ったこと聞いてたのか?この馬鹿」
お腹に衝撃が走り、思わずぐえっと変な声が出る。
その代わりあるはずの顔の痛みはなく。
グイッと力強く持ち上げられ。
まっすぐに立ちなおした。
お腹には先ほどからバカバカ言ってくる彼の腕と赤い着物。
おおう、これはひょっとして助けてもらった?
ビックリしながら後ろを向くと、まさに黒髪美人と言える綺麗な顔が。
あろうことか、一瞬見惚れたが。
「なーにやってんだよ……お、なんだ?まさか……オレに見とれてる?」
イラっと来た。
すぐに眉をしかめたが、ありがとうだけきっちり伝え、彼の言動を思い出す。
そうだ、この人たくあん好きなんだよたくあん。
この顔で、一番最年少で。
わあいギャップ萌えだねって違うそうじゃない。
とにかく彼からすぐさま離れると。
足にうまく力が入らず、また同じようにこけそうになる。
それをまた「おっと」としか言わず支えてくれるのだから、なんだこのスマートイケメンなナルシストは。
あ、それだ、ナルシスト。
黒髪美人よりもしっくりくるわ。
「霊力使い切って動くのもままならねえんだ。少しここで横になってゆっくりしてろ」
「……ご迷惑をおかけします」
「まあ、それはいい。それよりも、気づいてるんだろ?」
「…………まさかとは思うけど、本丸作り替えました?」
「……それだけで済めばいいんだがな」
その言葉に首をかしげると同時に。
他のみんなの姿が見えないことに気付く。
一体どこに行ったというのだろうか、と思っていると。
本丸の中は、ほぼ今までの雰囲気が残ってない、と兼さんがはっきりと言った。
言うなれば、家そのものを立て直した構造になると。
「壊れた縁側や扉なんかもほぼほぼ全修復。確認したところだと、一昨日壊したあの部屋も、あの部屋も全てだ」
「…………うわーお」
そして鍛刀部屋、手入れ部屋もそうだといい。
更には、べっしーに連れられたあの部屋もを浄化したという。
加えて構造が大きく変わったものもあり、一例をあげるとただの風呂が大入浴場+露天風呂になったという。
やべえでっかい風呂入ってみたいとか思ったからか。
ってことは他にも考えたことが色々反映されてるかもしれない。
うん?それはそれでオラわくわくすっぞ。
本当にできるとは思わなんだ、思うだけならいいってばっちゃん言ってたんだけど。
それがじっちゃんみたいにできる訳ないじゃんとか思ったのに。
ってことは、加州くんの作った地図通りじゃなくなった可能性が高い。
うっわあまじか、また作り直しかあ。
一緒に本丸探検しに行くか、本丸デートだよやったね。
なんて私がのんきなことばかり考えていると。
兼さんが少し俯いて寂しそうな眼をした。
急にどうした、情緒不安定か兼さんよ。
まあ、そうなってもおかしくはない境遇にいるのは事実だけれども。
そう思いながら、折角休めと言われているので。
兼さんに補助してもらいながら、布団に戻って座った。
……補助されるとばばあになった気分なんだけど。
「……あの部屋も、全く別物になった。刀はどういうことか回収されてからな」
「え、どゆこと。何?それも私の霊力がどうかしたってことです?」
そういうと兼さんは胡坐をかき、足の上に肘をついて。
目線は部屋の外の方に向けて軽くうなずいた。
詳しく聞くと、私が柏手を打った直後。
そこから超突風が巻き起こり。
兼さんたちみんなは外に叩き出されたらしい。
そして風が吹き抜けていくと同時に、本丸の様子が変わり。
徐々に綺麗になっていったという。
加えて大きく竜巻のようなものが起こり、それが収まると。
そこには部屋の中にいたはずの刀達が、そっと置かれたらしい。
まじかよ霊力、もうなんでもありだな。
それを自分がやってるとなれば、ますます何がなんだか。
本当に何もしている感覚がないのが困ったところだ。
これはどうにかした方がいいのでは。
毎回無意識で倒れるなら尚更困る。
一昨日会ったばかりなのにこうも倒れられては彼らは困るだけだろう。
「いやあ申し訳ない……初っぱなからめっちゃ迷惑かけて……」
「全く、その通りだな」
「返す言葉もございませぬ……」
「…………だが、そんなアンタに助けられてんのも……事実なんだよな」
少ししゅんとしながら、はっきりと言ってもらえてありがたい。
これからも精進しようと思ったのも束の間。
急に聞こえたその言葉に、ん?と顔を上げると。
兼さんは何も言ってないぞと言わんばかりに、顔をそっぽに向けている。
しかしながら、私は彼の長い黒髪の間から。
見える耳が真っ赤になっていることにすぐ気づく。
…………ほう、ほーう?
「やっぱりツンデレ属性だったか……ごちそうさまです」
「アンタは何を言ってるんだ?」
と、急にこっちを見た兼さんが、きょとんとした顔をするもんだから。
美人はどんな顔をしても美人だな、と思いながら。
素直じゃない人の例えだと伝えると、ものすごい顔で睨まれた。
やっぱり教えちゃダメだったか、しくじり。
「そういえば、その回収された刀たちはどうなりました?」
「あー……あれは鍛刀部屋の式神が、加州曰く『任せろ!』って言って持って行ったぞ」
「べっしーくんか。ん?ってことは使ってくれるってことなのかな?」
「それはわからないが、あの様子じゃ、一昨日みたいに鍛刀するくらいの勢いはあったな」
兼さんはやれやれと言わんばかりに首を振る。
それが本当なら嬉しい限りだが。
どうなるかまでは確認しに行くまでわからない。
動くくらいまで回復したら様子を見に行ってみてもいいかもしれない。
そうだ、べっしーくんの行方は分かったけど。
他のみんなはどうしたのだろうか。
先ほどから誰の姿も見かけていない。
それを兼さんに聞こうとしたその時。
鼻をくすぐるいい匂いが漂う。
これは……みそ汁の匂いに近いな。
なんだろう、と鼻をクンクンさせていると。
みったださんの声が聞こえてきた。
「あ!よかった、起きたんだね」
「みったださん!ご心配おかけしまして面目ない……」
「ふふ、それも僕たちのことを思ってくれてるから。責める気なんてないし、むしろ感謝してるんだよ」
そう言いながら部屋の中に入ってくるみったださん。
その手には大きめのお盆が。
何が乗ってるんだろうと目の前に下ろされるそれをみる。
ふわっとお味噌とおだしのいい匂い。
緑の葉っぱを軽く上に添えた、卵と味噌のおかゆだった。
「いい匂い、めっちゃ美味しそう!」
「雲さんに連絡を取ってもらって、床に臥せってる時はおかゆが一番って聞いたから」
「え、これ食べていいんです?みったださんが作ったの?」
「そうだよ。君のおかげで厨もきれいになったし……お昼の時の言葉で、君にぜひ食べてもらいたくて……ダメだったかな?」
「全然!むしろめちゃくちゃ嬉しいです頂いても!?」
「あ、熱いから取り分けるよ。もう少しだけ待ってて」
そういうとみったださんは、湯気が出ているお鍋からわざわざ用意してくれた小皿に取り分けてくれる。
これはめちゃくちゃ嬉しい!
幸い寝ていてもお腹は鳴りそうなほど空いている。
いやあこれは匂いだけでもわかる、絶対に美味しい。
そう思いながらみったださんから小皿とれんげを受け取ると。
軽く息を吹きかけ、頂きますを言ってからゆっくり口に頬張った。
「………………」
「……ど、どう、かな」
「……なにこれ……」
「……っご、ごめ」
「めっちゃうまい!!!」
美味しさのあまり思わず顔が溶けそうになる、いやもう溶けてる。
おかゆという割にはさらっとしていて食べやすく。
卵もふわふわ、おだしが効いてて味噌とよく合い甘さをさらに引き立たせる。
なんだこれびっくりしためっちゃおいしい。
みったださんこんなに料理上手なのか、やはり見立ては間違いじゃなかった!
「ほおー。そんなにうまいのか?それ」
「うまいってもんじゃないよ、やばいよこれ!何杯でも食べれる!無限おかゆ!」
「何言ってんだか……どれ、俺も一口」
私があまりにも美味しそうに食べるせいか、兼さんも興味を持ったのだろう。
そのまま豪快に鍋からお玉を持って、それですくって食べる。
ああ、そんな食べ方したらやけどす「あっち!!!」……いわんこっちゃない。
こうふーふーして食べるんだよ、と教えればそれに素直に従い。
ひりひりしているであろう口にもう一度入れてみると。
兼さんも顔がぱあああっと明るくなったため、思わず笑った。
「みったださん、超おいしいよ!もうそれしか言葉でないくらい!」
そう言いながら、改めてみったださんの方を見ると。
かなり驚いたままの表情で硬直していた。
あれ?みったださーん?と改めて声をかけると。
はっと戻ってきたかと思えば、少し照れ臭そうに笑った。
「……ありがとう」
「いやそれこっちのセリフ。みったださんも食べようよ。兼さん、本当はそれお行儀悪いからね。小皿とれんげとっておいで」
そうだ、他のみんなも呼んで食べない?と声をかけると。
実は他のみんなは少し用事があって席を外してるとのこと。
こんちゃんも帰ったようで、今この本丸にいるのはこの2人と私だけのようだ。
ならこれは3人で分けて食べて、夕食にまた別の物を作ってみんなで食べようと提案すると。
これまたみったださんが嬉しそうに笑った。
それにしてもみったださん料理作るのうますぎでしょ、私びっくりだよ。
「それで、他のみんなはどこに行ったの?おかわりください」
「あー……それがだな、なんつーか、説明が難しいというか」
「はいどうぞ。そうだね、僕たちも理解できてる訳じゃないし……」
「ありがとうございます!……まさかと思いますけど、本丸だけじゃないとこも何かしました?」
そういいながら取り皿に分けられたおかゆをふーふーすると。
2人の動きが止まり、顔を見合わせる。
今いるところは本丸の裏しか見えない、つまり昼に見た色とりどりの山がよく見える。
他のところは見えないし、そもそもここがどこの部屋だったかも怪しい。
そもそも普通の風呂が大入浴場しかも露天になってるって言う説明の時点でもう十分。
つまりだ、下手をすると地形まで変えてしまったんじゃないか、というのが私の予想である。
そこまで行くと霊力云々ってよりも本丸ってなんだ、となるからますます謎が増えるだけだが。
そんなことを考えながら、それから話題をそらして2人の元々の主や刀の特徴を聞き。
みったださんが作ってくれたご飯を食べ終わってごちそうさまをする。
それからみったださんが食器を片付けに行ったときに、兼さんに地形を変えたんじゃないかと聞くと。
少しだけ躊躇った後、そんなところだ、と返事をした。
つまり他のみんなはそれを確認しに言ってくれてるのか、なるほど。
重ね重ね申し訳ない、大変なことをやらかしたようだ。
霊力の操作や力加減のようなものは、追々こんちゃんや雲さんに聞くことにして。
これは色々とやらかしまくっている気しかしない。
とりあえず後で歩けるくらい回復したら、自分の足であちこち回ってみるとしよう。
そして自分のやらかしたことを自分で見て、自覚しよう。
適当に思いつきでやるもんじゃねえぞ、ってことを。
そこまで考えながら、兼さんとあーだこーだ話していると。
お腹が満たされたせいか急に睡魔が襲ってきた。
兼さんがそれを見て、少しくらいは寝るといいと言ってくれたので。
普段感じない強烈な睡魔に従うことにする。
みんなが帰ってくる頃には起こしてくれ、と兼さんに言えたかは定かではないが。
そのまますとんと落ちるように、私の意識は夢へと奪われていった。