其の二
夢小説名前変更
夢小説名前変更この小説は夢小説です。
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主人公の名前を入力してください。
この小説では
・偶然にも下の名前が真名な主人公です。
・名前を名乗ると神隠しに遭う可能性大です。
審神者ネームは円[まどか](変換なし)
未入力の場合は
名前:五来 日和[ごく ひより]
真名:日和
になります。
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「なんでダメなのべっしーくん!君ならできるよ、あ、待ってイダダダダ!え、できるけどだめ?なんで!!?」
善は急げと移動して、早速べっしーくんに相談をする。
そこまではスムーズに言ってよかったのだ。
のんびりと資源をあれこれ確認していた彼らは、私の話を聞くなり全力で首を横に振り、頭の上でばってん印を作る。
最初はできないってことかと思ったけど、「できないのか」と言うとそんなわけあるかできるわ!といわんばかりに私の鼻先をつまんだ。
痛い、怪力なんだから手加減してほしい。
でもなんでダメなの?って聞くと、私に後ろの刀剣男士たちを指さし。
私のおでこに体当たりをかましてきた。
その衝撃で、私は後ろにのけぞりかえる。
昨日は尻餅デーで今日はおでこデーかもしれない。
思わず真っ赤になっていそうなおでこを押さえた。
「どゆこと?べっしーくんわかんないよ、私おでこも痛いのも相まって泣きそうだよ」
「見せてごらん……ああ、真っ赤になっているね」
「何か伝えたいのはわかるが、大将に怪我させちゃダメだろ」
みったださんが私の前髪をあげ様子を見てくれる。
やっぱり赤くなってんのかいべっしーくんよ、乙女の顔に傷付けちゃダメなんだぞ?
え?乙女?よし兼さん表へ出ろ、男らしく拳で語り合おうじゃないか。
その私のおでこをみったださんの横で見た薬研くんは、べっしーくんに注意をしているが、べっしーくんはそっぽを向いて完全に拗ねている。
あのなあ……と薬研くんがため息をつく中、みったださんが彼を持ってめっと言うと、べっしーくんはちょっとしょぼくれた。
なんだお前ら可愛いな。
みったださんのめってめっちゃ可愛い、私にもいつかしてくれないかな。
仲良くなった暁にはめっちゃいたずら仕掛けてやろう。
「それにしてもなんでダメなんだ。できるならいいじゃんか」
「そうだ、加州。お前ならわかるんじゃねえのか?こいつらなんて言ってる?」
「んーと。多分だけど、その鍛刀した刀が前みたいに恨みを持ったらどうするんだ、ってことだと思う」
「でも新しく鍛刀された刀の、記憶はなくなるんですよね。ならば問題ないのでは?」
「ひょっとすると、無意識的に審神者に嫌悪感を抱くとか、そういうことでしょうか?」
こんちゃんの言葉に、べっしーくんはこれまた首が取れそうな勢いで首を縦に振る。
だからとれる、取れるって。
やっぱりそう簡単にはいかないか、恨みを持たれていてもおかしくない。
なんて思ってしまい、何か手はないかと思ったのも、つかの間。
べっしーくん含む鍛刀部屋の妖精さんたちがわらわらと集まる。
そこで互いの顔を見合わせながら身振り手振りをしだした。
ひょっとして会議でも始まったのだろうか。
「めっちゃ不思議な子たちだな……昨日の厚くんの鍛刀といい、今日の否定っぷりと言い」
「それでも、主さまのことを思った行動です。彼らも彼らで、この本丸をよくしたいのでしょう」
「確かに。昨日急に鍛刀を言い出したのって、その12の箱?を解除したことに気付いて言い出したのかも」
「あ、なるほどそういうことか!それであの剣幕した顔だったと」
それはお礼を言わないと。
会議が終わったらちゃんと伝えよう。
それにしても彼らのジェスチャーは謎すぎる。
酔っぱらいのように左右とゆらゆら揺れたり。
猿のひたすらシンバルを鳴らすおもちゃみたいに手を打ちつけ合ったり。
高速回転をしてすたっとポーズを決めたり。
うん、君ら何の話してんの?
そう思いながら彼らの観察をしていると。
何の前触れもなく全員が急にこっちを向いた。
え、何怖い、私怖い。
すると彼らの中央らへんにいたべっしーくんがため息をついた。
なんだ、私に不満でもあるのかべっしーよ。
「あ、そうそう。昨日のは呪いを解除したことに気付いて鍛刀しろって言ってくれたんだよね。ありがとう、みんな」
そうだと思って私は忘れないうちにそれを伝える。
私忘れっぽいからそういうの早めにするようにしてるんだよね。
というより急にじっちゃんに巻き込まれたりしてそれがそんなに重要じゃなくなるから気づいたらもう頭の中にいない、みたいな。
それを伝えると、べっしーくんは一瞬ぽかーんとした顔をしたが。
その後鼻を擦りながらへっと不敵に笑う。
思わずそれにつられて私もニヤッと笑うと。
べっしーくんはこちらへ来て、抱っこをせがむようなモーションをとった。
うん、初めて伝わるやつきたねべっしーくん。
そのまま彼の前に座って手を差し出すと、その手の上に乗る。
彼を顔の近くまで持ってくると、肩まで飛び乗った。
そして座るのかと思いきや。
そのまま髪をよじ登っていき、頭の上にいる感覚がした。
そこがいいのか、と思ったのでとりあえず立ち上がると。
目の前に1束ほど長い髪の毛がゆらゆら揺れ始めた。
「なになにべっしーくん、髪の毛気になる?」
「多分部屋から出てくれって。進行方向を示してる」
「加州くん、君はべっしーとの意思疎通役としてぜひ、毎回鍛刀部屋に来るときは同行願います」
「……いいよ」
加州くんにありがとう、と伝えると。
べっしーが髪の毛を引っ張ったので。
痛い痛い、と言いながらその部屋を後にする。
君結構な馬鹿力なんだから出力押さえて押さえて。
そんなに引っ張ったら根元から抜けて禿げちゃうから。
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「ここって……あれだよね、あの部屋」
「……開けろ、って言ってるよ」
「急に連れてこられると思ってなかった。深呼吸していい?」
その言葉にずっとゆらゆらしていた髪の毛が止まったので、肯定とみていいだろう。
一度大きく息を吸い、ゆっくりと吐き出す。
そして自身の頬を思い切り叩く。
ひりひりするくらいがちょうどいい。
そして私は、ゆっくりと扉を開ける。
この部屋は扉も閉めてたせいか、対して浄化できていないのだろう。
空気が他の所に比べてなんだかどんよりとしていた。
これがいわゆる穢れ、というやつなのだろうか。
それにしてもここに連れてきて、何をするんだべっしーくん。
そう思ったのも束の間、彼は私の頭から降りて部屋の中を進む。
それにつられて、私も部屋の中へと一歩踏み出した。
他のみんなはそのまま外で待機している。
と言っても、私も一歩しか進んでいない。
あまりここには居るべきじゃない、と本能みたいなものが告げている。
すると中央あたりでべっしーくんは歩くのをやめてこちらを振り返る。
そこで私の方をじっと見つめると、急に手をパァン!と鳴らした。
「……びっくりした」
「これは……彼はひょっとすると、柏手を打て、と言っているのかもしれませんね」
「柏手っつーと、霊とかを払うって言われているやつか」
薬研は何でも知ってるね、やげペディアだね。
そういえばよく漫画とかの描写で、数珠を持ったお坊さんが派ッ!!!とか言いながら両手を合わせてる除霊のシーンを見たな。
……ん?ちょっと待って、つまりこの部屋には幽霊がいるとかそういうこと?
うわーお急にホラーだね、そんなに怖くはないけど。
『柏手は誰でも簡単にできる浄化方法だ。俺がしたように文言もいらないし、穢れも払えるから、君の霊力を乗せて打ってみるといい』
「ええ投げやり……そもそも霊力を乗せるってどうやってやるんです?昨日の桜さんの浄化も、厚くんの顕現も私何もせずにできてるし」
「桜の木に関しちゃ何か考えてたんだろ?満開の桜のこと思ってたとか」
「それもよくわかんないんですよね。確かに私の記憶の中で一番きれいだった桜はどれだろうとか考えたけど……後半とかみんなとお花見したいなあとか、花見酒って美味いんだろうかとかそんなこと考えてましたし」
三日月「となれば、今の状態を良くしたいと思う気持ちが勝手に霊力を操作してるやもしれん。ここの空気を今よりいい状態にしたいと思いながら、柏手を打ってみるのはどうだ?」
なるほど一理ある。
で、柏手ってやつはただ一回手を叩くだけでいいの?と確認すると。
目を閉じて一度呼吸をし、手を一回打つとのこと。
それだけ聞けば簡単なんだけどなあ。
そう思いながら、一度部屋の中を見渡してみる。
嫌な感じがひしひしと伝わってくるような、黒く濁ったような空気。
これがよくなった状態が全然想像付かない。
それにここの空気が綺麗になったとして、みんながこの部屋を使うだろうか。
…………いや、使わないだろうなあ。
もう一回燃やして建て直す?
なんて迷走もほどほどになんて思ったが。
いや、意外といいんじゃない?
ほら、お葬式でもよく燃やしてるじゃん。
そういう意味がきっとあるんだよ、知らんけど。
だからもう綺麗とかじゃなくて全然別物にしてしまおう。
そうだ、それがいい。
なんて馬鹿なことを考えた私は。
私が離れで生活している姿や、他の刀剣男士たちのことを考え。
本丸の中の構造を頭の中で全て考え。
ついでに外も川とか海があるといいな、なんて考えながら。
よしこれで完璧、と思ったところで。
一息深呼吸をし。
パアン!と乾いた音を立てて手を打った。
もちろん、そんなバカなことを考えたもんだから。
私の回復段階の霊力は、また根こそぎ持っていかれ。
周りの空気の様子を確認することなく。
そのまま、意識を失った。
ちなみに目が覚めたのは、次の日の夕方だった。