其の二
夢小説名前変更
夢小説名前変更この小説は夢小説です。
名前を入力すると、登場人物に自動変換できます。
主人公の名前を入力してください。
この小説では
・偶然にも下の名前が真名な主人公です。
・名前を名乗ると神隠しに遭う可能性大です。
審神者ネームは円[まどか](変換なし)
未入力の場合は
名前:五来 日和[ごく ひより]
真名:日和
になります。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ちょ、ちょっちょ、ちょっと待ってくださいえ、どゆこと私……死んで生き返った……?不老不死説……?」
「大将が混乱でおかしくなってるぞ、早く続きを聞かせてくれ」
『かしこまりました。まず箱というのはこれだね?』
と、そのデスクトップに移った箱を見て。
昨日見たのと瓜二つだった。
文字もそう、こんな感じのふにゃふにゃ感!
この白いお札ってやつを綺麗にはがしたんだった。
……少しだけあの時感じた手の痛みを思い出して、思わず身震いした。
『まずこの箱ですが、【12の追憶巡り】というものになります。本来は占いに使用されるモノですが、応用的に用いることで刀剣男士たちに折れても他の分霊の記憶を追憶、つまり思い出させるというものになります』
「みなさんが折れた自分の記憶を持っている、というのはこの箱のせいです。これが発動していると、最大で12回分の前の個体の記憶を思い出します」
「……そんなものがこの本丸にあったなんて」
「昨日感じた違和感はこれだったんだね」
「となれば……厚が記憶を思い出していないのは、この箱のまじないを主殿が解除してくださったから、と?」
その言葉に雲さんは頷く。
なるほど、そんなものだったのか。
理屈とかはよくわからないけど、それのせいで記憶の引継ぎが起こっていたとは。
しかもそれを知らない間に解除していたなんて。
私って思ってたよりもすごいのかもしれない。
なんて能天気なことを考えながら周りをみると、とても険しい顔をしていた。
ごめんくだらないこと考えて。
「……それで、こいつが下手すると死んでたっつーのは?」
『呪いの影響ですね。普通は解除してもそれほど見返りがないものなんですが、ここのはかなりの刀剣男士の記憶を保持させていた、つまりそれだけ呪いが強力になっていたという訳です』
「では主が死ななかったのはなぜだ?強力になっていたとなれば、解除したとして、あれだけでは済まなかったはずだ」
『まずは解除方が手順を踏んでいた、つまり箱に貼りついていた12枚を綺麗にはがすことを行っていたからです。1枚も、破ることなく。それだけで死ぬことは避けれますが、それでも全身に大けがくらいは負っていたでしょう』
「そしてもう一つは主さまの豊富な霊力と、類稀なる才能ですね!主さまは顕現や手入れ、浄化において全て無詠唱で行っています。無意識的に霊力を操作している、ということになりますので、恐らく呪詛返しを無意識的に無詠唱で行った、と考えられます」
『自分が生きるために無意識に自衛していた、ということにでも捉えてくれ。本当に、よくあれだけで済んだものだよ。ちなみにお札をびりびりに破っていたら即死だったんだからね?』
そういいながら、雲さんはやれやれとため息をつく。
そして手だけ怪我していたのは、その無意識に行った呪詛返しが完璧ではなかったから。
だから最後は雲さんが仕上げでやってくれたことになる。
……やばいね、無知って恐ろしい。
たまたま私が綺麗にはがしてやるといき込んで。
たまたま霊力の操作を無意識にやってたからそうなったってことでしょ?
……あれ、やっぱこれ、私すごくない?
道理で殺陣役者で才能開花しない訳だ、私の力が発揮される舞台はここだった。
ところでむえいしょうって何だろう、政府の働かない省のこと?
と、ここですかさず雲さんみたいに言葉を紡いで霊力を操作することを詠唱ということを、薬研くんが解説してくれた。
薬研くんも私のことわかってきたね。
なんか兄貴みたいだね博識だし、アニキって呼ぶことにしようかな。
「…………私ってすごいんだな」
「自分で言うな自分で」
「大将、そんな危ないことするなよな!俺はおかげで助かってるんだろうけど……それで大将が怪我するのは嫌だ」
ヤダ厚くん男前、ちょっとお姉さんきゅんと来たから抱きしめていい?
と有無を言わさず頭をなで回した。
抱きしめるのはやめておいた。
照れ臭そうにやめろよ、恥ずかしいなんて言っても逆効果だぞ。
なんだ加州くんと言い厚くんと言い。
刀剣男士はこんなかわいい子がいっぱいいるのか???
今朝から感じてただるさ全部吹き飛んだぞ。
「とりあえずお札は触るなという教訓を得ました。次から怪しいものには勝手に触りません。色々とすみませんでした」
「うむ、素直なのはよいことだ」
「……近侍の役割、こいつが危ないことやらかさない為の見張りになりそうだな」
誰がトラブルメーカーだ、誰が。
「と、反省会も終わったところで。今日は何をすればいいんでしょうか」
私がとんでも超人だったことがわかったところで。
既にお昼の時間を過ぎているという事実を知った私は。
今日やることについて決めることにした。
やること自体はありすぎるのだが。
ありすぎて何をしたらいいのやら困っている。
まずは残りの刀剣男士たちの顕現。
本丸の家の中を中心とした浄化。
生きていくために畑などの用意。
生活環境を整えることもそうだし、掃除や部屋の整理もある。
更には何もわかっていない身なので、審神者業についての勉強。
うわあマジでめちゃくちゃあるな、まだまだあるし。
もう何から手をつければいいのやら。
「そうだね、とりあえずは浄化を済ましてしまえばいいんじゃないかな。そうすれば、家の中も落ち着いて、最低限の環境が整うからね」
「そうか……あ、待って、そうだ。やりたいことがあったんだった」
「また何か壊すのか?」
「ちょっと嬉しそうにするのやめようか兼さん。…………あの、みんなに聞きたいことがあって」
その私の言葉にみんなが一斉に首をかしげる。
そう、第一優先でやりたかったことがある。
これに関しては執務室みたいに私の意志でやる訳にもいかない。
……あの、加州くんのいた部屋にいる他の刀のことだ。
その話を出すと、みんなの顔がこわばった。
厚くんも顔をこわばらせているということは、昨日の案内か私が寝ている間に誰かが教えたのだろう。
「……私には、どうしたらいいか見当もつかないから」
彼らは刀だと言っている。
こうして生活していると普通の人間のようにしか思えないが。
やはり刀と人間での価値感というものは違うのだろう。
私が友達のように仲良くしてほしいのに対し、彼らは主として私に接するあたりとか。
それに私の生きている時代には刀なんてもの、美術品として祭られているくらいだ。
そんな彼らがどんな思いをしてそこにいるのかなんて、わかるはずがない。
「私じゃ人間と同じようにして、土に還して弔うことしかできない。彼らがそれをどう思うのかも、私にはわからないから」
それだけ伝えると、私は口を閉じた。
できることなら彼らの要望に応えてあげたいが。
死を持って償え!は無理にしても。
血くらいなら上げれるかな。
そんなことを考えながら、彼らの顔を見た。
みんなが暗い表情をする中で。
1人だけ、まっすぐとこちらを見つめていた。
本人が何度も折れたことがあるという、薬研くんだ。
「俺たちにもよくわからない。でも、俺たち刀に共通して言えることが1つある」
「………何でしょう……」
「主に使ってもらいたいっていう、刀としての存在意義。それはどの刀でも思っていることだ」
まっすぐとこちらを見て答える薬研くん。
その言葉に、他のみんなも同意した。
でも、折れてしまった刀は元には戻らない。
つまりは戦えなくなる、それが刀にとって最も辛いことだと。
そして何より、存在していても扱ってもらえないことが苦しいと。
その思いを聞かせてもらった。
「……わかった。こんちゃん、どうにかしてそれ叶えられない?全く元に戻らないにしても、厚くんみたいに別個体?みたいな感じで」
「こんのすけにございます。はっきり申し上げますと無理です。折れてしまった刀は戻らない。これは刀剣男士の運命でもあります」
「うーんそうかあ……何か手はないのかなあ」
「……主殿、よろしいでしょうか」
軽く手を挙げてそういう一期さんにもちろん、と伝えると。
できるかはわかりませんが、と言葉を足される。
それは、鍛刀部屋にいる妖精さんに相談してみるというものだった。
刀といえど元は鉄。
再利用できないこともないかもしれないとのこと。
そうだね、本職に相談してみるのはありかもしれない。
その提案に乗った私は、すぐさまべっしーくんたちに会いに行くことにした。