其の一
夢小説名前変更
夢小説名前変更この小説は夢小説です。
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主人公の名前を入力してください。
この小説では
・偶然にも下の名前が真名な主人公です。
・名前を名乗ると神隠しに遭う可能性大です。
審神者ネームは円[まどか](変換なし)
未入力の場合は
名前:五来 日和[ごく ひより]
真名:日和
になります。
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「……なあ、主よ。じじいの頼みを聞いてはくれぬか?」
「あの木ですか?できるなら断りませんよ」
「そう来なくては。実はな、あれを最初に直せばメリットもあるのだぞ?」
メリット?お花見できるとかですか?と聞くと。
はっはっは、と陽気な笑い声を返すおじいちゃん。
お花見しながら月を見ながら、酒を飲むのもいいよねえと思いながら。
それもよいが、と三日月さんは言葉を続けた。
「あの木はな、この本丸中に根を張っておる。それに風の吹く方向が桜の木がある方からなのだ」
「……えっと、つまり?」
「ああ、なるほど。桜の木がこの本丸の霊力の基盤と言っても過言じゃない。あの桜の木を浄化すれば、自然と君の霊力をあちこちに送ってくれると言う訳さ」
「……霊力を送れば?浄化ができる?ということでしょうか」
「そうです。今ある瘴気というものは、前の審神者の霊力のようなもの。それを主殿の霊力で書き換えることで、瘴気が祓え綺麗になりますからな」
三日月さんの話を聞いていると、こっちの会話が気になったのか。
みんながいつの間にかこっちの話に入ってきた。
じゃあ私はニスみたいなもんか、上から塗って綺麗にする奴、え、違う?
じゃあ赤色で塗られたペンキの上から黄色を塗るってことか。
え、その例えがまずわからない?
いや完璧でしょこの例え、超わかりやすいでしょ。
「と言う訳で。善は急げじゃレッツ浄化」
そう言いながら、桜の木の目の前でえいえいおー!と拳を上げる。
即決断即行動、これ私の習性みたいなもんだから覚えてね。
私が純情ピュアガールであることと共にテストに出ますので。
それでさっそく浄化のやり方なんだけど。
詳しくは彼らも知らないらしく。
さっきの厚くんを顕現した時みたいにとりあえず触ってみたが。
特に反応がなかったため、何かいい方法がないかと考えてみる。
「うーん……前の審神者の時は浄化、自分でやってたみたいだからなあ……詳しくはわからないや」
「舞や歌、演奏などの音とともに行う方法もあるが……後は雲のように言霊に乗せる方法か」
「主殿の場合も考えると、先ほどの厚の顕現と同じ要領で大丈夫かと思ったのですが……」
「こういう時はイメージが大事らしいぞ。国広がそう言ってた」
「イメージ……えっと、桜がぶわっと満開で咲いてる感じ?あ、でも今の季節は秋だから葉桜じゃない?」
「どっちでもいいからやってみてくれよ、大将!俺、満開の桜が見てみたいんだ!」
「そう言われたら頑張るしかない!大将頑張ります!!」
なんてチョロいのだろうかと自分でも思うが。
厚くんにぜひ桜を見せてあげたい。
もちろん厚くんだけではなくみんなにも。
そうやってさっきの兼さんみたいに笑顔あふれる本丸にしたい。
やっぱイケメンには笑った顔が似合うと思い知らされたので。
私の思い出に残っている一番満開の桜を頭からひねり出す。
……やっぱり、そういう思い出と言ったら。
じっちゃんとばっちゃんと行ったあの桜が思いつく。
私が友達と大喧嘩して大泣きして帰ったとき。
次の日学校に行きたくないと言った私に、急にじっちゃんが花見に行くと言い出して、ばっちゃんとおにぎりを握りいざ参る。
と、意気揚々に連れていかれたのだが。
めちゃくちゃ遠い場所にあるわ山の上の方だわ、歩きだわ元々の機嫌悪いわで。
帰るとめちゃくちゃに大騒ぎをしたのにも関わらず無理やり連れていかれた山の頂上で。
満開の桜を見て、子供ながらに感動したのをよく覚えている。
歩き疲れてお腹がすいていたせいか、おにぎりはただの塩むすびなのにめちゃくちゃ美味しくて。
桜の下でじっちゃんと鬼ごっこをして走り回って。
ちなみに木登りもして木を折ったせいで、ばっちゃんにカンカンに怒られた。
じっちゃんが。
帰りはあまりにも疲れておにぎりも食べてお腹いっぱいだったせいか。
全く帰り道のことを覚えていない。
あれほどに感動した桜は生涯であれだけだろうと、断言できるほどだった。
だからこそ、私はじじいでも超元気なじっちゃんにあこがれたし。
優しくも悪いことには厳しく𠮟ってくれるばっちゃんのことが大好きだった。
もう2人には会えないけれど、思い出なら大量にもらった。
次は私が、誰かを楽しませる番だって。
じっちゃん言ってたもんね。
「よっし、満開の桜……満開の桜……」
目を瞑って、あの日見た桜を思い出す。
本当に満開のタイミングだったであろうあの桜。
学校の入学式とかでもたくさん見てきたけど。
あれ以上の感動を覚えたことはない。
なんでじっちゃんあんな穴場知ってたんだろうかね?
まあ、大体は聞いても「おじじは何でも知ってるのさ!」としか言わなかったけど。
そういえば私と花見酒飲むのを楽しみにしてたなじっちゃん。
先に亡くなったから叶わなかったけれど。
その分、飲める年になってすぐじっちゃんの墓の傍で、じっちゃんの好きなワンカップ開けて飲んだ。
あれは正直言ってまずかった。
おかげでじっちゃんの墓にひっくり返して、頭から浴びせてしまってばっちゃんにめちゃめちゃ怒られた。
正直じっちゃん浴びるように飲めて喜んでそうだけど。
……じっちゃんとできなかった分、みんなと花見ついでに花見酒してみたいな。
短刀たちはきっと飲んじゃダメなんだろうけど……いや、兼さんが最年少って言ってたし関係ないのか?
まあ、飲まなくても食べたりはしゃいだりでも全然いいか。
そんな感じで、ゆるくこれからやっていきたい所存でございます。
どうぞよろしくお願いしますこの本丸の桜さん。
桜さんってかわいいねなんか、これからそう呼ばせてもらおう。
というか兼さん若いって言ってたし、お酒弱そうだよね。
加州くんもあんまり強くなさそう。
どっちかって言うとすぐに寝そうだな。
逆に顔色1つ変えなさそうなのはおじじとみったださんかなあ……
一期さんとかはほわほわしてくれると和みそうだよね。
薬研くんと厚くんは……絵があまりよろしくないけど。
正直薬研くんめっちゃ強そう、一周回って最早似合うよね。
……おつまみ何がみんな好きかな。
私はダントツでなすびの素揚げなんだけど。
ん?そもそもお酒飲めるのかって?
これでもじっちゃんの影響なのか日本酒が好きなんです。
墓の上にぶちまけたのはまだアルコールの苦さを知らなかったから!
それ以降は飲み方学んで美味しく飲むようになったから!
特に熱燗で飲み比べするの好きなんだよね。
強いわけじゃないから大量には飲めないけど。
やっぱみんな飲むなら日本酒かなあ……
みったださんは個人的にカクテルとか作ってそう。
というかシャンパン似合う。絶対。
一期さんもカラフルな奴似合いそうだな、持ってもらいたい。
三日月さんは日本酒のイメージしか湧かないけど。
って、めっちゃお酒の話ばかりになってる。
違う違う、本丸のイメージだったわ、ごめん桜さん。
でもそうやってみんなでわいわいすることやりたい。
春はお花見、夏は……スイカ割り!
秋は色々あるよね、芸術でも運動でも、ああ、紅葉めぐりとかいいかもしんない。
冬はもちろん雪合戦!
……それくらい楽しいことを、ワイワイやれるといいな。
厚「おおおーーー!!!」
なんてあれこれ考えながら、桜さんとこの本丸についての話をさらにしようとした時だった。
急に厚くんの叫び声が聞こえたため、思わず目を開けて振り返ると。
みんなが驚いた顔をして上を見ていたため。
私もその目線の先を見ようとすると。
その前に、鼻の頭のところに何かが触れた感覚。
何かと触ると、それは桜の花びらで。
……まさか、と顔を上げると。
そこには、あの日見た桜と変わらないくらい満開の桜が。
いつの間に夜になっていたのか、月明かりに照らされて。
とてもきれいに、咲いていた。
「…………綺麗」
それはまるで、夢のようだった。
そう呟いたと同時に。
急に手足の力が抜ける。
ああ、こんな桜の木の下で。
お昼寝したら気持ちいいだろうな。
なんて状況に合わないようなことを考えたのち。
私はみんなの声が聞こえる中で意識を手放してしまった。