其の一
夢小説名前変更
夢小説名前変更この小説は夢小説です。
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主人公の名前を入力してください。
この小説では
・偶然にも下の名前が真名な主人公です。
・名前を名乗ると神隠しに遭う可能性大です。
審神者ネームは円[まどか](変換なし)
未入力の場合は
名前:五来 日和[ごく ひより]
真名:日和
になります。
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次の日からの身辺整理は早かった。
具体的にはガスとか水道とかに連絡したり。
アパートを出る準備のためにいろんなものを売ったり人に譲ったり。
大学も特例で卒業が認められるらしく。
書類を提出して証明書やらなんやら色々手続きした。
さすがは政府、国家権力ってやばい。
1週間後には既に寝るための布団しかもっていなかった。
これも明日の朝には捨てる。
いるものは簡単な生活用品と。
家族の写真立てに、お気に入りの小説2冊。
連絡用のスマホとデータ用のタブレット、色々データの入ったPC。
そしてじっちゃんとばっちゃんの形見のカメラで以上だ。
他にも服なんかもあったけど。
向こうで買って政府負担に思い切り乗っかろうと思っている。
なので最低限の枚数だけ用意した。
おかげさまで就活用に買った大きめのスーツケース1個で余裕だった。
現世で過ごす最後の夜、何もない部屋でゆっくり瞳を閉じる。
……何もわからず不安しかないが。
急に始まろうとしている突発的な新しい生活。
何はともあれ不安しかないけれど。
なんとかするしかないもんね。
―――そして迎えた次の日。
布団を処分し、ビジネスカジュアルな服を身に着け。
軽く化粧をして身辺整理ののち家を出た。
最後に大家さんに頑張ってきな!と激励という名の張手をくらい。
新幹線へと乗り込み、しばらく仮眠をとった後到着駅で降りる。
そこからタクシーで言われた場所に移動すると、そこにはあのデフォルメ狐だけがいた。
……ちょっと他の場所とは違う空気のまとった神社だ。
「えっと……なんだっけ……こんちゃん」
「こんちゃ……こんのすけです!」
そういうとこんちゃんは、私の肩に乗りに来る。
重さはぬいぐるみとさほど変わらないが。
急に乗られるとさすがにびっくりする。
しかし本物のような毛並みをしている。
……いったいこの狐は何なのだろうか。
「早速ですが、百聞は一見にしかず。参りましょう!」
「はい?参るってどこに―――」
そう聞こうとしたとき。
私の視界が白く包まれる。
思わずまぶしくて目を瞑り。
何が起こっているのか困惑する。
幸い荷物はちゃんと持ってるし。
こんのすけがいることも感覚で分かる。
そう思っていると今度は重力がなくなって体が浮くしで。
もう訳が分からん。
そんなことを思って一人でパニックになっていたところで。
今度は急に重力が復活したようで、思い切り尻餅をついた。
「いった!!!」
「到着しましたぞー!」
「いやちょっと待てこの狐。何が起こるか説明ぐらいしてから―――」
そう言うこんのすけに、思わず激怒しそうになった時。
閉じていた目を開いて、周りの景色に驚く。
さっきまで超でっかい建物に囲まれていたのに。
目の前にはやたら古風な家。
後ろには東京にはあり得ないだろう山。
後ろはただただ広い荒野。
―――なに、ここ。
何が起こったん?
いやというかどこやねん。
訳も分からずそのまま尻餅をついていると。
「何をぼーっとされているのですか?ささ、早くこちらに」
なんてこの狐は先行して屋敷に入ろうとする。
…………いや、いやいやいや。
「ちょっと待てこの狐」
「こんのすけにござ―――」
「いや待て?私何も聞いてない。付喪神と一緒に悪いやつらをしばくことしか聞いてない。急にファンタジーかまされてもわからんでしょ?ここどこ?今さっきのはなに???」
思わずそのデフォルメな丸い頭をそのままわしづかみにし。
顔を近づけ若干キレ気味で喋る。
いや超ファンタジーじゃんそんなこと慣れてないのこちとら。
いや確かに漫画とかアニメとかは好きだった。
ファンタジーも読むのは好きだった。
しかしそれは二次元での話。
現実世界にないからこそのファンタジー。
そこらへん理解していただけます?
「ああ、ああ!そうでした!五来様はこちらですることについて何もお話ししていませんでしたよね」
「いやそもそもの問題だよ。こちらって何?というよりさっきの現象についての説明が先だよね??」
こちらが若干キレ気味なのに対し、この狐は全く反応しない。
そうか、こいつは狐だから人間の感情とかわからんか。
今すぐにでもぶん回して目の1つくらいでも回させてやりたい。
とそこまで思ったのだが。
……そういえば、この狐って何になるんだろう?
案内してくれるってことは?直属の上司?
狐だから何も考えなかったが。
……そういうことになるのだろうか。
なんて私が考えていることもつゆ知らず。
こん……たろう……やばい忘れた、こんちゃんはこの場所について説明を始めた。
先ほどのはいわゆるタイムトリップのようなもの。
それで先ほどまでいたところから移動してきたということになるらしい。
そしてこの移動先の場所は本丸と呼ばれる場所。
これから私が住み、刀剣男士と共に戦い抜くための本拠地のようなものらしい。
そういえば衣食住全部負担だったな。
ちゃんと住まいが用意されているということか。
それにしてもこんなに古風なのはなんでだろうか。
周りも建物なんかは一切ない。
タイムトリップと言っていたし、過去にでも飛んだのかな……?
そこまで聞いて、私はようやくここが何なのかを理解できたような気がする。
いや、まだ全然わからないけど。
だってまだ、刀剣男士と戦うということしか聞いておらず。
肝心の仕事内容について詳しい話は全く聞けていない。
こんのすけにその説明を求めようとしたのも束の間。
「それに関しては実際にやりながら覚えることが早いでしょう!どちらかというと体で覚えるタイプの方でしょうし」
「いや遠まわしにバカって言ったな。しばくぞ」
思わず素が出てしまう。
いや、もう上司でもなんでもいいや。
今のところ怒られてないから多分ちがうっぽい。
そもそも私たちの世界にいないもののような気がするし。
ひょっとすると刀剣男士、とかいうのと同じで。
この世のものではないのかもしれない。
そりゃそうか、だって喋る狐だもん、何が来てもおかしくない。
そう思いつつ、こんちゃんの後ろに付いて入る前に庭を覗く。
一体どんなものかと見たところ。
……正直に言って、あまり綺麗なものではなかった。
ひょっとして手入れとかされてない?
そう思いつつ、家を改めて確認すると。
……何かにえぐられたような傷、刃物で傷ついた壁。
バキバキになった縁側、2つ折りになっているふすまなど。
立派なのは外からの見た目だけで、近づくとその酷い有様が露になった。
これはひどい。
これに住めと?いやふざけるな住めるかこんな家。
改築を速攻で要請します。
そんなことを思いながら、本丸とか言う家の門らしきものを通ると。
―――なにか体に、変な感じがした。
なんだこの感じ?
それに急に感じられるようになった人の気配。
いや、普通は感じないけど。
何かそこにいる、ということがはっきりとわかるような。
そんな不思議な感覚が私の体を駆け巡っていた。
「早速反応がありますね!特に何もされていないのに…センスはずば抜けているということでしょうか?」
「ちょくちょく棘のある言い方するよねこんちゃん。変な感じがするんだけどこれ何?何かが家にいるのを感じるような……」
「こんのすけにございます!それが霊力の流れ、とでも言えばわかりやすいでしょうか」
こんちゃん曰く。
この家、もとい本丸は。
審神者の霊力をもってしてここに顕現しているらしい。
つまり、ついさっきまで審神者がいなかったこの本丸に、新しく審神者である私が来たことで。
本丸に霊力のパスがつながり、消失しようとしていたここが復活している、とのことらしい。