其の一
夢小説名前変更
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この小説では
・偶然にも下の名前が真名な主人公です。
・名前を名乗ると神隠しに遭う可能性大です。
審神者ネームは円[まどか](変換なし)
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名前:五来 日和[ごく ひより]
真名:日和
になります。
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「…………で、一体ここはなんでっしゃろ、薬研さん」
「鍛刀部屋だな、新しく刀を打つことが出来る」
「なるほど。それで?なぜここに連れてこられたのかな、兼定さん」
「ここに来たってことは刀を打つんだろうが……なんせ連れてきたのは俺じゃねえからな」
「……やっぱりそういうことだよね」
そう言いながら、私の手の上に乗った彼を見つめる。
話しは数分前、こんちゃんに呼ばれたところまで戻る。
その後言われたとおりに手入れ部屋の妖精さん達のところへ行くと。
先程居た彼らは緑色の服だったのだが。
青色の服を着た子が3人ほど増えていた。
あれ?と思った直後に。
その青色の服の彼らにめちゃくちゃ指されて、ついてこい、と言われているようだったので。
めちゃめちゃ機敏だった彼らについていくと。
この部屋、薬研くんが言った鍛刀部屋とやらに連れてこられたのだ。
で、彼らが何か言っているようだったので。
めちゃくちゃ私のことを足元でべしべししていた彼を持ち上げてみたのだが。
さっきの子のように身振り手振りをしているが、何を言っているかがさっぱりわからない。
だって手をべしってして両手を広げてなんか投げるモーションだよ??
思わず首をかしげたくなるのも許してほしい。
と言う訳で、兼さんにここは何をするとこなのか聞いたところ。
刀を打つ、つまり新しい子をお迎えするってことらしい。
べしべしするのは私が嫌いなのか。
それなのに迎えに来て刀を打てとはどういうことか。
「でも刀を打ったら顕現する?だっけ。その作業が必要なんでしょ?他の元ここにいた子を先に顕現してからの方がいいと思うんだけど」
そういうと彼はまた私の手をぺしぺし叩く。
痛い痛い、地味に痛いから。
なになにどういうこと、さっぱりわからん。
どうしても今刀を打てと、なぜ。
理由を聞いてもさっきと同じモーションをとるだけだし、完全にお手上げだ。
誰か解説求む。
こんちゃんとか会話できないの?同じ式神なんでしょ??
そう思ってると意外にも加州くんが察したらしく、兼さんと小さい声で話す。
「私にも、私にも教えて、本当にわからんペルプミー!」
「へるぷみ……?」
「え、っと。多分、主の身を心配して刀を打てって言ってるんだと思う」
「…………と、言いますと加州くん、どういうこっちゃ?」
「一応ここ、審神者死すべしと思ってる刀がいっぱいいる訳じゃん?」
「とてつもなく物騒な言葉が聞こえたけど、まあそうだよね」
「だから、自分の守り刀として。自分で打った刀を1人でもいいから顕現しとけって、多分」
なるほど、私の身を案じての行動だったのか。
今の言葉を聞いて全力で首を縦に振り始めた彼らを見るに、そういうことであってたのだろう。
ナイス加州くん、君は彼らと話すとき毎回連れてこよう。
ところで青い妖精さん、あまりにもぶんぶんするから首取れそうだよ、どうどう。
あれ、でもここの刀ってみんな記憶持ったまま、また新しい体になって生まれてくる的なことを誰か言ってなかったっけ?
それじゃ敵を増やすだけでは?
そう聞くと加州くんは「あ、そっか……」と少しシュンとした。
あ、今の顔めっちゃ可愛い。
そう思えたのも一瞬で、今度は掌の上の彼がまた私の手を全力でべしべしする。
痛い痛い、地味に痛いってば。
と、また手入れ部屋で様子を見ていてくれてたはずのこんちゃんが。
部屋に入ってきて、そのまま彼らに資源を渡していた。
ん?渡した?
すると掌の彼が私の手から飛び降りる。
うわ、ちょ、危ないと思ったのもつかの間。
100点満点のポーズを決めた彼は、かまどの入り口を開けて何やら作業を始めた。
…………これって。
「鍛刀を始めましたぞ主様!時間は30分です!」
「何勝手に始めとんじゃこんの狐は!!!!!」
そう言いながら相変わらず丸いその頭を鷲掴みした。
これにも慣れたような気がするが。
始めたからには取り消しもできないようで、さっきまで私の手をばしばししていた彼も、ノリノリで作業をしている。
ちょっと待ってよ、本当にこんちゃんなんてことしてくれたのさ。
頭掴むのやめるって言ったけどこれは無理だ!
『ははは、君のとこのこんのすけは結構強引なんだね』
「いや笑ってる場合じゃないですよ。他の刀を顕現してないのに新しいの打っちゃって。確かに守り刀になるかもですけど、敵が増えるだけですよ!」
『敵って……俺はその考え賛成なんだけどな。最初はどの刀もみんな審神者と仲良くしたがるし、1人くらいは確実な君の味方がいる方が安心だ』
「え、いやいやいや、折られた恨みを持って出てくるんじゃむしろ顕現した瞬間に殺されかねないというか」
『え、折られた恨み?いや、それはないよ。だって折れた刀は記憶をなくして新しく、完全に別個体として顕現するんだから』
「ん?ちょっと待って、どゆこと?あれ、でも一期さん」
「ええ。我々は、折れる前の記憶を持って顕現しております。……私は折られたことがないので何とも言えないですが……」
「言ったろ?俺は一度殴りそうになった時に、その俺は折られたって。その時の記憶も、国広が目の前で折られた記憶も鮮明に覚えてる」
「え??……一体、なぜ」
どうにも雲さんとこんちゃんと話がかみ合わないと思って、確認したところ。
どうやら、普通刀剣男士が折れた場合、その意識?は消滅する。
そしてまた新しく顕現されるときは、別個体として。
つまり全く新しい、真っ白な状態で顕現されるとのこと。
だから前の記憶も残るはずがない、と2人は言うけれど。
今ここにいる兼さんや薬研くん、みったださんは、記憶があるという。
他の3人は折れたことがないから何とも言えないようだけど。
「えぇぇ……どゆことだよ私もうキャパオーバーお陀仏さいなら」
「惜しい人材を亡くしたな、南無南無」
「いや殺すな生きとるわ」
兼さん少し私との接し方わかってきたかな、そうそうこういう感じになりたいわけで。
というか惜しい人材って言ったな?喜ぶぞ?
いや、それどころではないんだけども。
とりあえずもうやっちまったものは致し方なし。
そんな事情があるとは知らず、勝手に資源を渡してしまったこんちゃんは大反省をしているようなので、しゃーないと頭をなで。
私のためを思ってしてくれたことは素直にありがとうと伝えた。
……さて、問題はここからだ。
鍛刀してしまったものはしょうがない。
なんにせよ、うちの一員になることは間違いないのだ。
問題は顕現した時の対応だ。
これは妖精さんがその時の気分で鍛刀するらしく、誰が出てくるかはランダムなのだとか。
つまりわんちゃん、今まで顕現したことがない子が来るかもしれない。
そうなれば雲さんたちの言う通り、守り刀として顕現するべきだが。
……一度でも顕現したことがあるのであれば、私に敵意を持ってる可能性が高い。
そうなったらどうしよう、でもそのまま置いといてもよくはないよね。
顕現されるのをきっと待ってると思うしなあ。
そんなこんなでみんなでどうするべきか話していたら、結論が出ないままに30分経過したようで。
「いだっ、あ、え?もしかして終わった?」
足をまた叩かれたので、べっしーくん(足をべしべしでべっしー)の仕業かと足元を見ると。
その前に視界に1本の刀が目に入る。
……ひょっとして、新しい刀になるのだろうか。
私はべっしーくんを手元に持ってきて、ドヤ、としている彼にお礼を言い。
肩に乗せるとそのまま大人しく座ったため。
そのまま少しだけその刀に近づいた。
「………………」
「……大将、その刀は、顕現したことがある。どうする」
その薬研くんの声にみんなの方を見ると。
険しい顔になっている人が多く、特に一期さんと薬研くんは表情が暗い。
長さ的に薬研くんの本体に近いので、ひょっとすると一期さんと薬研くんの兄弟なのかもしれない。
かなり悩むところではあるが。
兄弟なら、きっと会いたいって思ってるよね2人とも。
そう思って、私は不敵に笑って見せた。
「女は度胸。いざ参る。……もし死にそうになったら助けてね」
そう言ってその刀に手を伸ばそうとしたとき。
「……あれ、そういや顕現って何するの?」
全員がこける勢いでズルッとなった。
あはははー、と笑うとやれやれと、という顔をみんながする。
するとこんちゃんが今度は左肩に乗り、右足を前に出した。
「主様はセンスはずば抜けていらっしゃいますので。恐らく手をかざすだけでも問題ないでしょう」
「ほんと?セリフとかないの?さっきの雲さんみたいに」
『大丈夫大丈夫、いけるよ。本当はあるけど』
ぼそっと何か最後に呟いた気がするけど聞こえなかったので気にしない。
そしてそのままこんちゃんみたいに右手を出して「こんな感じ?」と聞いてみる。
―――次の瞬間。
「え」
どこかで見たような、真っ白で明るく温かな光。
そのまま目を閉じる間もなく一瞬で消えた光はどこへやら。
今度はどこから出てきたのか、桜の花びらがぶわっと舞う。
そして、私が右手を出したその先には。
「よっ……と。オレは、厚藤四郎。兄弟の中だと鎧通しに分類されるんだ」
薬研くんと同じくらいの身長の、元気そうな男の子が笑って立っていた。