其の一
夢小説名前変更
夢小説名前変更この小説は夢小説です。
名前を入力すると、登場人物に自動変換できます。
主人公の名前を入力してください。
この小説では
・偶然にも下の名前が真名な主人公です。
・名前を名乗ると神隠しに遭う可能性大です。
審神者ネームは円[まどか](変換なし)
未入力の場合は
名前:五来 日和[ごく ひより]
真名:日和
になります。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「―――だ、れ」
彼の口が少しだけ動いた。
そしてその生気のない赤い瞳が、いつの間にかこちらに向けられている。
私はいつもの調子で名乗ろうとして、ちゃんと思いとどまった。
真名、は言わないように気をつけないと。
「私は円。丸の円でまどか。今日から審神者になりました」
「さに―――や、だ」
「おっとそう来たか。そりゃ嫌だよね。でもここにいる方が嫌じゃない?」
そういうと彼は口を紡ぐ。
だって最初に合った彼らですら、ここにいるのは無理だと言ったのだ。
しかもずっとここにいるなんて、色んな人の最後を見続けたに違いない。
特にやまとの、って言う人の最後を見たのであれば。
それがどんなに辛かったのか、本人が1番わかっているはずだ。
「―――っ、で、も」
「うん」
「っ……ごめ、うるさく、しないから」
ハッとした後、そう言って彼はまた視線をそらして黙り込む。
そっか、さっきの話ではうるさいからって言って。
大事な相棒を折られたと言っていた。
だから、話せば後ろにいる兼さんや三日月さんに被害があるのでは、と思ったのだろう。
お姉さん感動しましたよ。
この子も、とてもいい子じゃないですか。
お喋りできっと私とも楽しく話してくれるだろう。
こんな状態でも可愛いと思うのに、前の主は一体何が気に入らなかったのか。
「元気なくらいが可愛いよ」
「……え?」
「私ね、前ここにいた審神者の思考回路が全く理解できないんだよね。怪我なんて見続けれる訳ないし、自分の手で怪我させるなんてもってのほか。それに物扱いしてたって聞いたけど、みんな人間より人間らしいんだよね」
何より私はみんなと仲良くなりたい。
薬研くんはさっき私がつむじ押したみたいに、お互いすれ違ったときに小突き合えるくらいになりたいし。
兼さんはじゃんけんでお菓子かけるくらいのノリで接してみたい。
三日月さんはうちの元気ハツラツなじっちゃんとは違うだろうから、おじいちゃんらしく一緒に縁側でお月見するとかどうだろう。
みったださんもかっこよさを追求してたみたいだから、お互いコーディネートとかしてみたい。
一期さんはきっと弟さん思いだから、一緒にみんなが遊んでるのを見てほっこりしつつ、カメラでいい写真撮る勝負とかしたい。
「そうやってみんなでバカみたいなことして笑いたいんだよね。ちなみに君とはおしゃれするって聞いたから、服屋さんで買い物とかしてみたいって思ってるよ」
「……なん、で」
「どうせ生きるなら、楽しく生きなきゃね!」
『どうせ生きるなら死ぬまで楽しむ』
うちのじっちゃんの口癖だった。
それに対して私は、色んなことを体験させられた。
だからこそ、私の座右の銘は『なんとかするしかない、私の人生だから』なんだけど。
すごく楽しかったことも多かったし、それがじっちゃんと一緒だったから、ということもよくわかってる。
だからこそ誰かと何かを共有する楽しさを、彼らとも共有したい。
私が彼らと仲良くしたいのも、それが1番の理由だろう。
「と言う訳で、私と楽しくお喋りしてくれる元気な子大募集中なんだけど。どう?」
そう言って彼に目線を合わせて首をかしげる。
その私の様子に、彼は戸惑いを隠せていない。
きっとこれはどうしたらいいのか悩んでいるのだろう。
これは追撃を仕掛けるべきか、ゆっくり彼の答えを待つべきか。
そう思った矢先に、彼がまたゆっくりと口を開いた。
「……おれ、うるさいよ?」
「私の話す姿を見ても?今のとこ私の方がうるさいよ?」
「……おれ、か、わいくない、し」
「それは今何もしてないからでしょ?既に可愛いんだから磨けばもっと可愛くなる、あれこれアイドル勧誘してるみたい」
「……で、も。やすさだ、も……」
「私は誰も折らない。人を傷つけることはしない」
そういう私の目を彼は不安そうな目で見つめる。
無理もないけど、とりあえずここから出してあげたいのも山々だ。
ずっとこんなところに居たんじゃ気持ちも暗くなる。
……ずっと放置されている彼らも、どうにかしてあげたい。
「とりあえず外に出るのは無理?この部屋大掃除したい」
「……っ……ごめ、じゃまだ」
邪魔じゃないよ、と言おうとすると。
それよりも先に彼は急いで立ち上がろうとする。
けど全然動いてなかったって聞いてたし、立ち上がるのも久々だったんだろう。
あろうことか、バランスを崩した彼はそのまま座りっぱなしの私の目の前に倒れてきた。
「ぁっ」
「んえっ」
突然のことだったためか、うまく反応できなかった私は。
よけることもできず、その体を受け止めてしまった。
そして本日2度目の尻餅をついた。
と、その時。
急に体が熱くなる。
お尻いった、と思ったのもつかの間。
彼に触れているところから、何かが流れているような感じがした。
「………………」
それにしても、すぐに立ち上がると思った彼は何も反応しない。
どうしたんだろう、と思いながら頭にはてなを浮かべていると。
後ろの兼さんから声がした。
「加州、お前っ……!」
え、なに、どしたの?と声をかけても返事がない。
え?え?なに、どうなってんの?
兼さん?三日月さん?
そう戸惑っていると、三日月さんがふむ、と声を上げた。
「主、加州はな、泣いておるのだ」
……え?
泣いてるの?無言で?どゆこと?
全然肩揺れたりしないし完全に固まってるようにしか思えないけど。
とはいえそれを聞いてしまってはべりっとはがすのも申し訳ないが。
ど、どうしたらいいんだろう、と完全に戸惑っていると。
先ほどまで何も反応がなかった彼の腕が、私の背中へと伸びた。
そのままなぜか抱きしめられる。
んん?どゆこと、何が起こってんの???
加州くん?なぜ泣くなぜ抱きしめる?????
「……あったかい」
そのままさらに腕に力が入る。
首元にすりすりされて、少しくすぐったい。
私も久しぶりの人肌に心地よさを感じつつも。
「……腕が、限界」
「あ、ごめん……」
そういいながら彼はようやく離れる。
よかった、このままだと今度は頭ゴチンの未来しか見えなかった。
尻餅2回もついて痛かったからもう痛いのはごめんだ。
そう思いながら座り直して、もう一度彼を見た。
今の間にいったい何があったのかが全然わからない。
が、間違いなく。
間違いなく、赤い瞳が輝きを取り戻しつつあった。
本当今の一連の流れの中で何があったの君。
「どうやら、主の霊力に触れたようだな」
「…………うん」
正座をしながら私の方を見た彼は、ゆっくりとうなずく。
そう言えば誰かが私の霊力があったかいとかなんとか言ってたような。
そう思いながら、霊力に触れるってどういう事なんだろう、と考える。
手入れじゃなくてもそういう感じで勝手になんかなるのかな。
そんなことを考えたが。
「ほんとに、おれを、あいしてくれる?」
そう尋ねられた。
愛する、かあ。
うーんそれがどういう意味をさしているのか。
恋愛的な意味では、この場合はなさそうだし。
さっき兼さんが言ってた感じだと、刀として大事にしてくれるかどうか、ってことになるのかな。
……そう考えると少しもの扱いみたいで嫌なんだけど。
人としてってことであれば、全員共通で仲良くさせて頂くつもりなので。
「……君の愛して、がどういう意味か分からないけど。これから色々知っていきたいと思ってるし、仲良くなるチャンスが欲しいって思ってる。……これじゃ答えにならない?」
「なら、なくない……」
「そっか、よかった」
そう言うと、私は立ち上がる。
加州くんにニコッと微笑むと、一度外に出るように声をかけ。
三日月さんと兼さんも外に連れ出す。
兼さんの顔色を見るに、あまりにも長居をするのは良くないだろう。
するとすぐ近くで待機していてくれたのか、先に離れた彼らもすぐに駆け寄ってきた。
「主、加州くんも!」
「今日から友達になりました、よろしく。ところでお名前聞いてもいい?嫌なら言わなくてもいいけど、変なあだ名がつきます」
「あ、えっと……川の下の子です。加州清光。扱いづらいけど、性能はいい感じってね。よろしく、主」
「主は認めてからでいいよ。皆も強制するつもり無いのに勝手に言い出しただけだから。嫌なことは嫌って、意見もはっきり言ってくれると助かる」
「…………ううん、呼ばせて、欲しい、です。」
「……そう言うことならしゃーないか。と言う訳で、よろしくね、加州くん、って呼んでもいいかな?」
加州くんがうなずいてくれたので、改めてよろしくとお辞儀をする。
やっぱり主呼びなのか、これは刀剣男士共通っぽいな。
まあ仲良くなれるならそれもよし。
と、私は先程より加州くんの顔色が良くなっていることに気づいた。
あれ?服もなんだか綺麗になったような……?
そんなことを疑問に思っていると、手入れ部屋にいたはずのこんちゃんの声がした。
「主さま!その様子ですと大丈夫みたいですね!」
「こんちゃん。手入れ終わった?」
「こんのすけにございます!今し方最後の刀の手入れに入りました!」
そう言いながらこんちゃんは、私の肩に乗る。
まだ半日しか経ってないのに、こんちゃんが肩にいるのにすっかり慣れてしまった。
そう言えばお腹が空いた話をするんだった。
そう思って話をしようとしたのも束の間、先に話を始めたのはこんちゃんだった。
「ところで主さま!彼らが呼んでおりました!」
「彼ら?」
「手入れ部屋にいる、式神の彼らです」
ああ、妖精さんか。
一体彼らが何の用なのか。
あ、ひょっとして資源足りなかった?
いや、それならこんちゃんに言うし最後の手入れもできないか。
まだあの部屋に残った彼らの対処を考えてないんだけど。
まあしょうがない、先に聞きにいってみることにしよう。