其の一
夢小説名前変更
夢小説名前変更この小説は夢小説です。
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この小説では
・偶然にも下の名前が真名な主人公です。
・名前を名乗ると神隠しに遭う可能性大です。
審神者ネームは円[まどか](変換なし)
未入力の場合は
名前:五来 日和[ごく ひより]
真名:日和
になります。
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「道理で廊下に刀落ちてて危ないと思ってたんだよね。人の形を保てなくなった人たちだったのか」
そう、最初に屋敷に入った時の第一印象。
とんでもなく破壊された家のあちこちに見た刀たち。
これが元は人の形をとっていたということになる。
……人間で言う餓死に近いのかもしれない。
そう思うとぞっとしたが。
「人間で言う食事は彼らに必要ないので、そのように苦しいものではありませんよ」
その言葉にほっとした。
とは言え怪我をしている事実は変わらない。
早く治してあげなきゃ。
そう思いつつ、一緒に来てもらった彼らに刀剣を集めてもらう。
私?触りたいのは山々だけど嫌悪感を抱いてる相手に触られたいとは思わないでしょ?
なので周りをきょろきょろしながら現状確認しつつ。
意外と狭いところに隠れてたりしないかを探した。
他のみんなは三日月さんがふらりといなくなり。
薬研くんと兼さんは、兼さんが大きい方担当で、薬研くんは小さい方担当でそれぞれ回収しだした。
おじいちゃんどこ行ったんだろう。
実はマイペースなのかな?
そういえばうちの3年前に亡くなったじっちゃんも、とんでもないマイペースだったな。
じじいは万国共通、マイペースなのかもしれない。
部屋には広間だったり、かまどのある部屋だったり。
厨房のような場所や、寝具などがまとめられた部屋などもあった。
うーんいろんな部屋があるんだなあ。
ちゃんと風呂とかもある。
そういえば改築してもらいたいんだけど、どうなるか雲さんに聞くと。
霊力を消費して浄化を行うと自然に直る、と聞いたので。
なら手入れの次は浄化かなと、どんよりした空を覗いた。
「ん?なんだこの白い紙みたいなやつ」
ふと書庫のような場所で、白い箱を見つけた。
よく漫画とかである謎の文字が書かれた紙が、何重かに張られている。
そして今、こんちゃんたちはみんなの方に行っているのでいない。
……箱ってさ、あると中身が気になるよね。
そう思ってその白い紙を一枚一枚はがしていった。
こう見えて私は、封筒とか届くとできるだけきれいにはがそうとする類の人間だ。
お菓子のラッピングとか、お中元の外の紙包装とか。
そんな感じでシールみたいにくっついたそれをゆっくりはがす。
11枚はがし終え、最後の12枚目。
これを綺麗にはがせればコンプリート。
そんな感じでゆっくり丁寧に最後の1枚をはがす。
と、フラグっぽかったのに何も起こらず綺麗にはがし終えた時だった。
「よし、おーわーりっ!!?」
バチッと大きな音がする。
めっっっちゃ痛い。
右手ははじかれ思わず箱を手放し。
その右手を押さえながらも箱の方を見る。
はがし終えるまで普通の木と同じ色だったそれは。
軽く発火してプスプス、と黒くなり燃え尽きる。
そこには箱ではなく、黒い灰のような粉だけが残った。
…………え?
今の、なんだったの?
意味が分からない、とただその箱だったものを見つめていると。
どたどた、と急ぐ足音が聞こえた。
「主さま!?一体何を―――」
「何をした!!?」
「テメェ、やっぱり知らないふりしてたのか!?!」
その鬼のような形相で入ってきた3人、いや1匹と2人に驚きつつ。
それは私が知りたいと思いながらも驚きで声が出ない。
それに手の痛みでうまく頭が回らない。
こんな痛み、喧嘩してた頃にも味わったことがない。
私はなぜか、自分の手を見ることができなかった。
『———!!こんのすけ、結界!』
「!しょ、承知!!」
そう言いながらこんちゃんが私の周りに何か四角いものを張る。
それに兼さんと薬研くんが私に近づこうとしたが。
バチッと大きな音を立てて2人ともがはじかれた。
痛そうと思ったが、全然ぴんぴんしていたので。
少しホッとしたせいか、手の痛みがより鮮明になってきた。
「……………い、た」
「主さま……!なぜこのような無茶を……!」
『……呪詛の一種か。こんのすけ、御札を。これならすぐ治る』
「……承知」
そう言いながら、こんちゃんが私の手の上にぺた、と何かを張る。
きっと優しい手だったであろうそれは、今の私にはとても激痛だった。
思わず顔を歪ませながら視界に入った私の右手を見る。
―――その手は、かろうじて手の原型はとどめていたものの。
さっきの一瞬だけで、赤黒い血の色に染まり上げていた。
「おい!何をしやがった!結界を解け!」
「……信じてもいいと思っていたが、さっきまでの行動は嘘だったのか?」
薬研くんと兼さんの声が聞こえる。
他にも足音がいくつか聞こえる。
こんちゃんや雲さんの声も聞こえる。
けれど、私にはどれ1つと入ってこなくて。
ただただ手の痛みに耐えることしかできなかった。
何となく察しがついている人もいるかもしれないが、私はいわゆる元ヤンだ。
喧嘩上等、売られた喧嘩は必ず買う。
そんなバカなことをしていたので、さすがに本当に強い人には勝てなかったが。
中学や高校で学校一強い姉御、として名声を上げた黒歴史もある。
だからこそ、痛みにも耐性があるつもりだし。
血を見てもたいして動揺することはない。
……殴っても、殴られても。
こんな痛みは感じたことがなかったのに。
なんだ、これは。
「主さま……!もう少しの辛抱ですぞ!」
『―――六根清浄・呪符退魔・祓い給え、清め給え―――』
冷や汗が止まらない。
体が震えて、血の気がどんどん引いていく。
私、これ、死ぬの?
いや、これくらいなら死ぬことはない、大丈夫。
そんなことをふと考えた時。
ぱああっ、と白い光に視界が包まれる。
けれど眩しくて目を瞑るようなものではなく。
よくわからないけど、あたたかな光だった。
その光が収まると。
驚いたことに、手の色は普通の肌色に戻っていて。
手の甲に大きく切り傷のようなものが現れた。
幸いもう血は出てない。
何が起こったのかわからず、目をぱちくりさせていると。
「主さまあぁぁ……こんのすけは泣きそうですぞ……!よくぞご無事で!!」
『よかった、遠隔操作でもなんとかなった……本当に目の離せない新人だなあ……』
そう言いながら、こんちゃんは既に泣いていて胸に飛び込んでくるし。
雲さんも安堵の表情を見せてくれたから。
とりあえず何とかなったのか、ともう一度自分の手を見つめた。
今のは、一体、何だったのか。
まるで血まみれになっていたことが嘘のように治り。
代わりに血は出ないものの、大きめの傷口が出来上がっていた。
既に治って傷が残ってしまった感じの見た目だった。
「…………なに、が」
目をずっとぱちぱちとさせながら。
私はふと気配を感じて顔をまっすぐ上げた。
するとそこに、まっすぐと立った三日月さんと。
後ろからのぞき込む兼さんと薬研くんの姿。
更に声がしたのでそちらを見ると。
みったださんと一期さんもこちらに来ていた。
「ふむ、その様子だと無意識に、なのだろうな」
「さっきの手の怪我……もう治って……なにが、あったんだ」
「おーい!何があったんだい?何か変な感じがしたけど」
「まさか、この方が禁術をかけて―――」
「……いち兄。違う。その逆だ」
そういう彼らの、私を見る目は様々で。
複雑そうな表情で私を見つめていたり。
最初と同じような殺気を向けている人もいれば。
何が起こったのかわからない困惑の表情もある。
狐につままれたように驚いた顔もあり。
ただ、まっすぐと私の方を見つめる目もあった。
「今しがた、己の身にあったこと……申してみよ。そのままで構わん。不穏な動きをすれば斬り捨てると思え」