其の一
夢小説名前変更
夢小説名前変更この小説は夢小説です。
名前を入力すると、登場人物に自動変換できます。
主人公の名前を入力してください。
この小説では
・偶然にも下の名前が真名な主人公です。
・名前を名乗ると神隠しに遭う可能性大です。
審神者ネームは円[まどか](変換なし)
未入力の場合は
名前:五来 日和[ごく ひより]
真名:日和
になります。
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「―――はにわ?」
「いえ、さにわ。審神者です」
―――某東京都心部のよくわからないでっかい建物。
煌びやかな装飾にレッドカーペット。
でかくてふわふわで抜群の座り心地を魅せるソファー。
そんな国のお偉いさんたちがいそうなところに。
私―――五来 日和は座っていた。
ちなみに私の格好はスーツ。
そう、只今絶賛就活中の、どこにでもいそうな大学生だ。
特技は護身術と走ること。
勉強は中の下でやればできる子だと思っている。
趣味は殺陣芝居。
こう見えて一時は舞台を目指したことがある。
目指したことがあるだけだから、結局実らずこんなところで就活生をしているのだけれど。
こんなどこにでもいそうな大学生に、政府のお偉いさんみたいな感じの人が一体何の用なのだろうか。
机を挟んだ反対側のソファーには。
髭の白い、いかにも偉いですっていうことが顔面に醸し出ている人と。
やけにデフォルト調の見た目をした、狐が座っていた。
するとその狐は話し出すし。
意味が分からない、ぬいぐるみがちゃんと受け答えするなんて。
そんなことを思ったのも束の間、誰もがしそうな聞き間違いをする。
それが先ほどの冒頭部分、と言う訳だ。
というかそれ私の聞き間違いとかじゃなくて、元のそっちの言う言葉を間違えたんじゃない?とでも思うほど。
さにわ、なんて言葉は生まれてこの方聞いたことがない。
するとその「こんのすけ」と名乗った狐は話を始めた。
―――西暦2205年。
歴史の改変を目論む「歴史修正主義者」によって、過去への攻撃が始まった。
時の政府は、それを阻止するため「審神者」なる者を各時代へと送り出す。
審神者なる者とは、眠っている物の想い、心を目覚めさせ、自ら戦う力を与え、振るわせる、技を持つ者。
その技によって生み出された付喪神「刀剣男士」と共に歴史を守るため、審神者なる者は過去に飛ぶ―――。
「…………全くをもって意味が分からない」
「ええと、つまりですね。我々時の政府は、『歴史修正主義者』なるものが歴史を変えようとしているのを阻止するために、霊力を持った人たちに声をかけ、『審神者』となって頂いております」
「歴史を変えるって言うと……信長が死ななかった、みたいなって事です?」
「そうです。そうして歴史を変えることを彼らは目的としています」
「ふむ。で、その対抗組織が時の政府で?その霊力とかはにわがよくわからないんですけど」
「『さにわ』です。具体的に言うと、霊力とは個々が生まれ持つ力で、人それぞれによって量や質が違います。その霊力を消費することで、『審神者』と呼ばれる者たちは、付喪神を生み出すことができます」
「付喪神って言うと、ゲームとかによく出てくるモノに宿る神様的な奴でしたっけ。ん?ってことは、今ここに呼ばれた私はその霊力を持ってるってことです?」
「そういうことです。その力を使って、五来様には『審神者』になって頂き。その力で生み出した付喪神『刀剣男士』と共に、『歴史修正主義者』と戦って頂きたいのです」
そのくだりでようやく少しわかった気がする。
つまり『審神者』になって、『刀剣男士』を生み出して、『歴史修正主義者』と戦い歴史が変わるのを阻止しろ、と。
そういうことか、ふんふんなるほど。
…………いやわかるか!
なに、その超絶ファンタジー。
急展開過ぎて訳わからん。
しがないただの大学生ですよ?
いやしかも時空越えるってドラ〇もんかい。
いやド〇えもんでも時空は越えても戦いはせんか。
いや、ドラえ〇んはどうでもよくて。
なんて私が混乱していると、その狐の横に座っているお偉いさんらしきおじさんが声をかけてきた。
「もちろん戦いに出るんだ。給料はそこらと比べ物にならない。加えて衣食住も全部別途で政府負担。刀剣男士なるイケメンの面々と生活を共にできる。これ以上の職場は、ないと思うがね?」
「…………そこまで言うなら、初任給は?」
「大卒手取り月100万、戦果を挙げるほど上昇する」
「のった」
「……決断の動機が不純すぎる……」
いやだって100万だよ100万?
加えて衣食住別途で完璧ときた。
それは命かかってもしゃーない職場ですわ。
ちなみに確認したら基本的に拒否権とかなかったらしい。
快く引き受けてくれて感謝するよ、と気持ちの悪い笑みを浮かべられた。
イラっとしつつも、まだ理解できないことが多くて質問しようとしたが。
これ以上は時間がないから、1週間で全て荷物などの身辺整理を行うよう告げられ。
未だによくわからない私は、とりあえず新幹線に乗って家まで帰った。
家に着く前にコンビニに寄り、お気に入りのカップ麺と飲み物とお菓子と、あと就職祝いにお酒とちょっとしたケーキを2個買って。
家につき次第、ベッドにごろっと転がり込んだ。
6畳半、大したものは何も置いてない。
1人暮らしのアパートには、生活に必要なものと。
ベッドの横に写真立てがあるくらい。
私はその写真立てに手をかけ上に持ち上げる。
「……とっちゃん、かっちゃん、私、はにわだって」
私が小さいころに交通事故で亡くなったとっちゃんとかっちゃん。
あまり記憶も残っていないけど、あの父の温かい背中と。
抱きしめてくれた母の体温だけは未だに忘れずにいる。
その後傍で私を支えてくれたじっちゃんばっちゃんも、3年前と2年前に亡くなってしまった。
貯金も大して残ってないので、どうしてもいいところに就職したかったのだが。
まさか、時空を越えて就職するとはねえ……
「……世の中、不思議なことばかりだねえ」
そう言って私は、カップ麺のお湯を入れるためにベッドから起き上がる。
……さにわ、とか歴史を変えようとする奴ら、とか。
これから生活を共にするイケメンとか。
……全然、これからどうなるかわからないが。
「ま、なんとかするしかないか」
そして私は、1人で祝杯を上げ。
お菓子もケーキもお酒も楽しんだ後。
不安に包まれながらも、深い眠りに落ちていく。
―――美味い話には裏がある、なんて当たり前のことを考えずに。