そのはち(
24.これにて幕引き)にて本丸に帰った後の話
焔「そういえば紬さんめっちゃくちゃやばいくらいにいい匂いした」
堀川「主さん???」
清光「…………主……」
焔「ごめんでも本当めちゃくちゃかっこよかったし可愛かったしでちょっと紬さんのこと考えるだけで動悸が」
安定「わかる。昔と全然変わってないけど、確かに紬いい匂いしたよね」
清光「ええ……?俺は変わったと思うけどなあ……いや、確かにいい匂いはしたけどさ。それ、そんなはっきり言っちゃう?しかも昔馴染みだーっていう俺たちの前で」
焔「清光たちだしいっかなって。いや、それにしてもいい匂いでした本当に……」
安定「もしかして何か香水とかつけてたのかも。紬っぽい匂いした」
清光「いや紬っぽい匂いって何。もうちょっと具体的になんか言えないの」
堀川「少し甘さのある匂いでしたね。感覚的には梅かなあ……?儚さのある香りの中に、強い芯を感じる匂いだったと思うよ!」
焔「そうそうそうそうそんな感じほっかわ天才。なんかこう、飯食ってんのに全然あの香りが鼻から消えなくて困ってる。具体的に言うと毎秒紬さんを感じて気が狂いそう」
清光「せめて『推し』って言い方してほしいかな……主がそういう人だって言うのはわかってるけど、なんか知り合いでされると複雑な気持ちになるっていうか」
安定「清光〜、もしかして嫉妬?」
堀川「主さんが紬に抱えられてた時も、『いいな……』って呟いてたもんね!」
清光「ちょ、堀川なんで聞いて」
焔「清光、カモン」
そう言いながら隣に座る清光に向かって両腕を広げ、ハグの構えをとる。
そんな私の様子に清光は「食事中!」と言って軽いチョップをお見舞いしてくる。
「ちぇ、つれないの」と口を尖らせれば。
頭の上から降ってきた「どうやら説教だけではこと足りないらしい」という歌仙の声に思わず背筋を伸ばし。
急いで体ごと後ろを振り返り、畳におでこを押しつける勢いで土下座した。
ゲンコツが降ってきた。痛い。
―――と言うわけで、現在食事の席。
演練場襲撃事件があったその当日の夜。
全員の手入れを完璧にすまし、服も着替えて風呂にも入った。
今日の演練の振り返りと、これからの演練場襲撃事件の情報整理、それにこれからについては明日考えることにして。
今日はとにかく休養をとることを優先とし、本丸に残っていたメンバーたちも、私含む今回の演練メンバーを労ってくれて、今も美味しいご飯を用意してくれたものを食べている。
ちなみに私の近くには新撰組メンバーである清光、やっさだ、ほっかわがが座っていて。
他にも何人か座っていたが、早々に食べ終わった彼らはよほど疲れていたのか、船を漕いでいたのでむっちゃんやまんば、はっちたちが部屋まで送り届けた後である。
そのため偶然新撰組のみんなになったから、とふと紬さんを思い出して話題に出してみたのだ。
……まあ、話題の方向性があれだったかもしれないが。
だって紬さん超綺麗だったし超美人だったし、それに加えて可愛いし顔面も中身も最高とはどういうことだ。
しかも強くてかっこよくてさらに足も速い、戦場を舞う姿はさながら蝶のようで……
特に私は間近に紬さんの美しさも見ることができた上、抱えて飛び降りまでして頂いたのだ。
まさかそんな過激ファンに殺されるようなレベルのファンサをして頂いたのに話題に出さないことがあろうか、いやない。
それにしても本当綺麗なお顔だった。
全人類誰がみても同じような感想を抱くと思う、本当に。
その証拠に友達である蒼ちゃんもおなじような反応をしていたわけだし。
そんな美女から香ってくるとてつもなくいいかほりを私が忘れるだろうか、いや忘れるはずがない。
現にずっと鼻の奥に残っていて、全然消える気配がないのだから。
清光「ま、それは置いといて。でも紬が香水つけるとは思わないんだよね」
堀川「そうだね。あの本丸の様子もあるけど、元々男勝りというか……男所帯で暮らしてたから」
安定「僕はいいと思うけどな〜。紬も主みたいにおしゃれしたり、そういう女の子らしいこと楽しんでほしいもん!」
焔「……私の場合はみんなに着飾られるの間違いだよね……?でもめっちゃわかる。和音さんとかとおそろコーデしてほしい」
安定「あ!それもいいよね!服装もだし、後は髪型とかも変えてみてもいいと思う!」
清光「ま、そう言うことできるようになった余裕のある時代に顕現できたわけだし?それもいいかもね」
堀川「その時は僕にお手伝いさせてください!三人とも綺麗に着飾りますよ!」
焔「……あれ、これわし入ってない?いや新撰女性組でしてほしいだけだからね?私は和真さんと外野で写真撮りまくってるから」
きっとそう言う意味でも、和真さんとはいい師弟関係を築けると信じているので。
……というか紬さんって香水とかあんまりつけないのか。
だとするとあの匂いは一体どこから……いや待て、まさかとは思うけど素の香りとかそう言う話?
えっ紬さんそんないい匂いが元々してるってことです?やばない?
あの色気のある雰囲気の甘い匂いが???素???
……ちょっと私成仏してきた方がいい気がしてきた。
あんなクソ間近でそんないい匂い嗅がせて頂いたの?
大丈夫?紬さん親衛隊とかに殺されたりしない?私ならするかも、ごめん冗談そんな過激派にはなりません。
焔「あーあ紬さんうちの本丸にも来てくれんかな……来てくれたら意気揚々に本丸全員の総力を上げて着飾りたい」
清光「絶対嫌がると思うけどなあ……というか、紬ってバグで顕現されたんでしょ?だったらうちの本丸にくる可能性もほぼゼロだよね」
安定「僕は他の本丸でも、紬に会えて嬉しかったよ!また会いに行きたいなあ」
堀川「僕は大丈夫だと思うよ。紬もなんだかんだで、みんながあれこれしようとすることに反対したりはしないと思うし」
安定「あ、そういえば紬じゃないけど。刀剣女子って他にもいるの?ほら、紬は他に顕現すら確認されてないからさ」
清光「むしろ刀剣女子の方が聞く、かな。今まで本丸に顕現される刀剣男士って一応、本体の本霊から分霊されて顕現してるからさ」
堀川「つまりこの戦いに参戦しますって参加表明をしてから、こう言った形で顕現してることになるんだよね」
焔「つまり紬さんの場合は、本霊にあたる刀剣からの参加表明がないってこと?」
清光「今の所はまだね。というかあの紬が本霊かもしれない。聞いてないからどっちかは知らないけど……ま、いずれ参戦することになるだろう刀剣が、先行的に顕現してしまう例もあるみたいだし。紬も例外じゃないかも」
堀川「そうだとしても、刀剣男士としての実装になるだろうから……全く別の形での顕現になるんじゃないかな」
焔「なるほど、つまり紬さんは唯一無二の存在であると」
安定「僕の刀剣女子もいたりするのかなあ。ちょっと会ってみたいかも」
清光「さーね。あれだけ本丸の数もあるんだし、いる可能性は十分にあるんじゃない?俺は会いたくないけど」
安定「えー!なんで!?やっぱり自分とは別の分霊って気にならない?」
清光「だって絶対俺より可愛いじゃん。紬があんだけ可愛いんだからさ。俺より可愛い俺がいたら困るのー」
焔「大丈夫清光はどんな清光に会ったとしても私の清光が世界で一番可愛いから」
清光「へへ、知ってるー」
堀川「加州さん、今完璧に言わせましたね……」
私の清光が世界一可愛いのはこれから先も絶対に変わらない世界の理だから。
これ私調べなのでこれから先も変わることないですご安心ください。
……そんなこんなで束の間の休息とも言えるご飯タイムは終了し。
清光やほっかわ、やっさだも寝るために部屋を移動し始める。
私もすっかり眠たくなったので、半分寝ながら歩いているとお小夜がそれに気づいたのか、部屋に誘導してくれて。
そのまま部屋で滑り込むようにして布団に入る。
本当、今日という日がめちゃくちゃ長かった。
こんなに一日が長く感じられたのはいつぶりだろう。
本当、色々大変だった。
もう語彙力なんてクソくらえだ、本当、我ながら頑張ったしみんなも頑張った。
明日はみんなを労って、私もしっかり休んで―――なんて考えていれば、いつ寝たのか気づけば朝で。
いつものように起こされ、ご飯を食べて部屋に戻って身だしなみを整え。
まずは洗濯物―――と昨日の着物を抱えれば。
―――まさかの紬さんの香りがふわりと漂ってきて、思わず叫んでしまったのだった。
ちなみにあまりにいい匂いだったので洗濯を拒否したが。
まんばも自分の布の洗濯を拒否していて、歌仙の「勝者のいうことを聞くとしよう」の一言によりカバディ対決が始まり。
お互い本気で戦い、夢中になりすぎたのかまんばに勝った時には既に歌仙の手によって綺麗さっぱり洗われていたのだった。
7/9 推し香水の話花丸映画月の巻を見る直前に月居氏から紬さんの推し香水をかがせて頂いた直後に勢いで書き終えた短編でした……
紬さん、本当にいい匂いがした……びっくりした……
絶対本編でも
焔さん反応してるよなって勢いが止まらんかった……
気になる方は
月居 糸雨 様のHP
雨に浅黄に月に青しに推し香水レポがありますので、そちらをぜひご覧ください。
むしろ購入してください、リアルに紬さんを感じることができます……
ちなみに香りのお試しもできるらしいので、そちらでお試しして頂くのもおすすめです!