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灰原雄と外宇宙産生命

封印がなんぼのもんじゃーい!と屈強な封印をぶち破ること早5回。大人達は「もうコイツ放置でいいんじゃね?」と言う雰囲気であった。

だってなんたって遠い宙の果てから神として星に干渉しようとして来た相手だ。人間には宇宙の95%は見ることが出来ないが、この宇宙人には5%以上の物が見えている。
見えているのならば干渉出来る。だって宇宙人とか言っているが、所謂星の核を宿したエネルギー体だ、レベルが違う。材料も違う。ルールも違うのだ。

封印飽きちゃったな……とチラチラ術師に視線を投げてアピールするも、術師は自分の術を打ち破られることに嘆き悲しんでいた。おお、破られてしまうとは情けない。

「こんな不毛なことはもうやめにしないか?私は君たちに危害を加え無い」

いかにも宇宙人っぽいことを宇宙人が言ったが、大人達は全員「こう言ってるしもういいかな…」と思った。今、いがみ合って来た者達の心が一つに重なった…。

そんなこんなで、灰原&七海と離れてから4日後には解放されることになり、それと引き換え条件で人類の平和に貢献するようにと言われ軽くOKを出し、見事呪術界へ仲間入りを果たした。
呪術界のニューフェイス宇宙人 と言うニュースは日本の呪術界へすぐに行き渡り、様々な人間が宇宙人に接触しようと躍起になっていた。世はまさに大宇宙人拉致時代、ありったけの夢をかき集めて何とか我が物にせんとする人に溢れ返った。いやあ、モテちゃってモテちゃって。

しかしそんなことを気にする星クズでは無いため、会いに来る人間に謎の怪電波をユンユンユンと飛ばして酷い耳鳴りをさせたりなどの地味な嫌がらせをして撃退し、灰原にくっついて元気に毎日地球のこと…否、高校生のことを勉強している。

そして現在はファッションについて勉強していた。

「やっぱりスカートにしない?似合うと思うよ、七海はどう思う?」
「短いものよりロング丈の方が…」
「動き辛そうだな、やはり君達と同じで良いだろう」

やんややんやと互いに意見を譲らず星クズと灰原&七海は、星クズに着せる制服のデザインを考えていた。
ちなみに星クズ、ずっと死装束を着ていたが、それをとくに誰にも何も言われず解放されてから数日過ごしていた。それを発見した夏油が「流石に」と、いきなり何処に隠し持っていたのか知らない良心を取り出して星クズに服を与えていた。こういう所がモテる理由である。しかし相手は宇宙人なので何も響かず「着方が分からない」とグチャグチャになっていた。
夏油は小さい子どもを相手にするかの如く母親のように丁寧に着せてやり、似合っているよと褒めてあげたが、所詮は外宇宙産の星のクズ、「へぇ」と言う無感情極める言葉しか無かった。夏油は文句を言っていい。

なので、今着ているのはやっすいピラッピラのメイド服である。夏油は一体どうしてこんな物を持っていたのか……それは誰にも分からない…。古代アステカ文明に匹敵するレベルの謎。

「白いエプロン似合ってるし、エプロンも用意しておこうよ!」
「確かにこの白い布は便利だ、収納スペースがある」
「だったらやはり丈はロングにすべきです」

三人は仲良く新衣装を考えていた。

「と言うか、私はメスでは無い。この身体は構造上性別と言う概念は無く、私は繁殖の必要が無い単一存在であるため…」
「分かりやすく言って?」
「女の子じゃないのに女の子の服着るの恥ずかしいな…」

女装をしたことの無い男子が、友人に女装をすすめられて「いや、でもぉ…」となっているのと一緒である。
つまりは……

「嫌では無いんだ?」
「嫌とかでは無く、だな……」
「似合うんだから良いじゃないですか、今着てる服の方を恥じるべきだ」
「これは恥ずかしい服だった…?」

スペース宇宙人。スペース宇宙人ってなんだ、宇宙人はスペース(宇宙)だ。
思考を彼方に飛ばした星クズは、どうして恥ずかしい格好をさせられているんだ……?から始まり、因果率の断絶された宇宙とは…?ペルム紀のテチス海に住んでいた生命は…?銀河の始まりは…?と迷走していた、ちなみに全て星クズにとっては解明済みの問題であるため、これらの問題よりも夏油にメイド服を着せられたことの方が難しい問題であった。星クズは夏油が怖くなった。

しかし、死装束はもう手放してしまったので今着れる物はこれしか無い。この星の文明通りに生活するように、と偉い人と約束したため脱ぐことも出来ない。早急に制服を用意しなければいけなくなった。

「よし、君達の意見に従おう。私はまだこの星の文化を良く知らないからな」

星に二言は無い。
よって、この数日後に届いた制服がロング丈のワンピース型だったり、それに白エプロンを身につけたせいで上質な生地で作ったメイド服みたいになってしまっても文句は言わなかった。
文句は言わなかったけれど恥ずかしがった。

「恥ずかしい格好じゃないか……」
「そんなこと無いよ!」
「よくお似合いですよ」

こうして東京呪術高専にメイド姿の宇宙人が仲間入りした。
メイド姿の宇宙人って誰に需要があるジャンルなんだ?特殊性癖です。
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