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番外編

オシャレに興味があるかと聞かれると然程…と言える程度であるし、男が欲しいかと聞かれると首を捻る。
食に感心がある方でも無いし、芸術にも運動にも人並みくらいにしか関わりは無い。
随分つまらない人生を歩んでいるとは我ながら思う。
そんな中で唯一ハマっていると言えるものがそう、無趣味な現代人の味方…ソシャゲであった。
端末と指先さえあれば基本お金も掛からず、誕生日になれば友達のいない私でもキャラクター達に祝って貰える。
凄い文化ですよこれは、ただしソシャゲには欠点もあった。

それは………ガチャ沼。

欲しいキャラを手持ちに加えるために、キャラを引けるガチャを回す。
貯めた石を砕いて回す。

回す、回す、回す………


「だが、出ないのだ!!!!!」
「またそんなものにお小遣い使って、本当に君はバカだね」
「バカな子程可愛いって言うじゃん!!!!」
「はいはい、可愛い可愛い」


スマホを砂浜に投げ捨て、夏油(偽)(ママ)が寝っ転がるビーチチェアに顔を突っ伏した。足元には無駄金となった課金カードの山が死体のように何枚も無造作に転がっている。

爆死した、もう生きていけない。

深い絶望感に心がいっぱいいっぱいになり、私はベショベショに泣きながらソシャゲを恨んだ。

私ね…思うんだ、そのうち日本はソシャゲで爆死した者達の悲しみから産み出された呪霊によって終わるんじゃないかって。
絶対特級呪霊になるでしょ、なんなら私がなるまである。
『星の呪い』『寿蝕』の異名を捨てて『ソシャカスの呪い』『ガチャ蝕』になります、さよなら。

「で、今日は誰に私があげたお金を注ぎ込んだんだい?」
「こ、この子……」
「こういう子がタイプなんだ?」
「いや、強いから……」

やっぱ世の中強さこそ全てなワケ。

性能でガチャを引くか選ぶタイプのソシャカスな私は、造形的には全く興味の無いキャラクターに金を費やしていた。
青い瞳に白い髪、整った顔立ちの男性キャラ……。

「一枚は引けたんだ、でもどうせなら重ねたい…必殺技が強いんだよ、ねぇママ~~~」
「残念だけど、今は君に任せたい仕事はとくに無いんだ」
「本当なんでもいいから!なんでもするから!!」
「そんな軽々しく"なんでも"だなんて言ったらいけないよ」

それに……と夏油は私のスマホ画面に指を差す。

「このキャラクター、ちょっと五条悟に似てないかい?」

……………………………。

……………………………。

……………………………。

「冷静になりました」
「それは良かった」
「変わりに花御ちゃん推してくるね」
「行ってらっしゃい」


やっぱ推すべき者は画面の向こうの強キャラより、会いに行ける距離に居る呪霊だよね!!!

私、学びました!
ちなみに私てき花御ちゃんの推しポイントは、巻いてる布のせいで寄せて上げてるみたいになってる胸元だよ、エッチだ……。
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