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深淵巨乳伝説

夏油傑、16歳、JK。

凄い字面だ…しかし事実なのだから訂正しようがない。

私は現在、色々あって憑依先の少女の肉体を預かる立場となってしまっていた。
残念なことに、身体の本来の持ち主とは交信が全く上手く行かずにいる。
毎日毎日、何度も何度も。彼女の残滓を探してみてはいるものの、一向に影を捉えることすら叶わない現状だ。
はてさて、私の可愛い信者は一体全体どこで油を売っているのやら。

そんな私が信者不在の今何をしているかと言えば、高専の自室…もとい、少女の部屋にて、担任であり私の親友でもある男、五条悟の指示により経過観察のために軟禁状態となっていた。

あの後、私はすぐに高専へと戻り、具合が悪いから今すぐ悟を呼ぶように周りに指示をした。
そしてやって来た悟は状況をすぐに把握し、私に何をしたのかと睨みを効かせてきた。
なので私は事のあらましを私視点から話すこととした。


我々に起きた事件は、以下のような内容である。

某日、私の信者は高専の授業をサボって渋谷へと向かった。何故渋谷に行ったのか理由は不明だが、恐らく大したことは考えていなかったのだろう。
しかし、何処からつけて来ていたのかは不明だが、その渋谷の裏路地で我々は襲撃にあった。
真人と名乗った人間の見た目をした呪霊は、私の信者を恐らくは懐柔する目的で接触してきた。しかし、こちらの方が一枚上手なやり口で一応は撃破した。

しかし、その撃破のやり方がまずかった。

私としては中々に良い技を思い付いたと思ったのだが、一つだけ考慮すべき点を見落としていたのだ。
彼女に手を出そうとする神々との間に煙は必要不可欠なことだったのだ。

あれは捧げるための煙などではなく、ただの目くらましのための煙だった。

神々から魂を隠すための、直に触れさせないための。そのための煙。
そうとは知らず、ただの捧げ物だと解釈していた私はその過程をすっ飛ばしてしまったわけである。
そのせいで、彼女はまんまと剥き出しの魂を簡単に連れ攫われてしまった。

面白いことに、彼女に蔓延る者共は私には見向きもしなかった。
異物とすらカウントされず放置状態。そのお陰で今、私は少女の身体を使えているのだが…。

流石の私でも、こんな状況下で下手に動こうとは思わない。
そもそも今の私は少女の信仰ありきで成り立つ存在だ、いつまでこの状態が保つのかも分からない。

とても危うい状況だ、ピンチと言っても過言では無いだろう。
しかし、ピンチはチャンスと言うものだ。
私はこのピンチを逆手に取って、やるべきことをやることにした。

それが何かと言うと……


「悟、頼んでいた物は?」
「持ってきたよ、はい」
「ありがとう、助かるよ」

部屋を尋ねてくれた親友から手渡された品を受け取り、私はほくそ笑む。
ああ、良かった。本当に良かった。
どうしてもこれが必要だったんだ。

そう、裁縫道具が。

「これでやっと制服の丈を直してあげられるよ、本当にありがとう」
「お母さんじゃん、もしかしてこの子…お前が産んだ?」
「いや、私はこの子の神であって母では無いよ」

と、言いながら針に糸を通し、玉留めを作り縫い始める。
前々からずっと気になっていたし、本人にも言ってはいたんだが…中々時間が作れずに制服の直しが出来ずにいたのだ。
合わないサイズの制服もそれはそれで可愛いが、やはり戦う時には身体にあった物を使うべきだろう。
ということで、暇すぎる私は可愛い可愛い信者のために縫い物をし始めたのだった。

スカートの長さを私が可愛いと思う丈に直し、上着の袖丈を詰める。
こうして針仕事をしていると、本当に母親になったかのような気持ちになってくる。
そういえば世の中には母神と呼ばれる神も様々な神話に登場していたな、もしかしたら私は母神の才能もあるのかもしれない。

「やっぱり私は母親だったかもしれない」
「いや違うから、母性に目覚めないで」


愛する信者が深淵に攫われてから一週間と二日。
私はきっと彼女が帰って来ると信じて針仕事と美容に精を出していたのだった。




___




荘厳なる闇を抜け、出口を求め、歩みを続ける。
深い深い星の彼方から一体どれ程歩いて来ただろうか、私は己が肉体へと精神を戻すために地獄で汚され重たくなった魂を捨てて、精神だけの状態で何処とも知れぬ場所をひたすらに歩き続けた。

微睡みの丘を越え、囁きの聞こえる運河を渡り、星降る夜の下を歩けば、次第に白い世界が見えてくる。

その眩しさに目を細めながら、私はフラフラと電灯に近寄る蛾のように明るい方へと向かっていった。

足を踏み出せば、一気に視界が開ける。
睨める視線も下卑た声も、延ばされた指先までもが白の世界の中では消え失せた。
明かりに慣れない目をギュッと瞑り、それでもフラフラと前へ前へ進めば、ポヨンッ…と突然何かに顔がぶつかった。

………ポヨンッ?

このポヨンッとした感触を私は覚えている。
地獄の底で深淵探求を終え、名も無き真なる者となった私だが、この感触の正体を愛する心だけは決して捨てたりなどしていなかった。

何故ならば、私はこれを深く、強く、何よりも求め愛しているからだ。

そう、これこそは我が愛にして人間性の欠片……その名を…


「光のおっぱいじゃん!!!!」
「おい、離れろガキ」
「凄い!凄い!!なんて大きくて偉大なおっぱいなんだ!!新たな惑星かな!?決めた、私この星に住む!!」
「揉むんじゃねえ、離れろ」


すっげ!!!デッケ!!!
闇に慣れきった視界では未だ明るすぎるこの場所では目は閉ざしたままだが、だからこそ視覚という感覚を得られない状態で揉みしだくおっぱいはとても良いものだった。
手のひらから伝わる温かな柔らかさと弾力に、私は荒れ切った心を癒やされる。
素晴らしい、世界が平和になるためにはおっぱいしか無いのかもしれない。新たな政党として「おっぱい世界平和党」を立てよう、選挙に出ればきっと当選間違い無しだ。
みんなー!!おっぱいは好きかーー!!乳を愛して平和になろうーーー!!!清き一票をよろしくお願いします!!!

「このおっぱいを我が党のシンボルとして崇めてもいいですか?」
「一から百まで何言ってるか分かんねぇ」
「大好きってことです、ありがとう見知らぬおっぱいよ…」
「帰っていいか?」

ダメダメダメダメダメ!!!帰っちゃダメ!!ダメってか、一人にしないで!今、本当にまともに目を開けられないんです!!
これ、明る過ぎて目が開かないと思ってたけど、もしかして何らかのデバフ付与されてたりする?私が完全に✝闇の者✝になってしまったから、明るい所でちゃんと生きられないとかそういう?
え、じゃあここからどうやって帰ったらいいんですか?勘に頼れと?なんだこのクソゲー、二度とやらんわ。


ここで皆様にも分かるように改めてお伝えしよう。

私ことおっぱい世界平和党党首はこの度ヘマをやらかし魂が地獄に堕ちた。
そして地獄で何かすげぇ奴等にすげぇ歓迎されて、なんかもう魂をクチャクチャ暗黒ドブ漬け状態にされてしまい、どうにもならなくなったので「お前達より私の方が神に愛されてて偉いんだが???」と"分からせ"を行いその場を支配した。

そして闇の支配者(笑)となった私の魂はちょっともう有り得ないくらいクソヤバ激重うんち状態になってしまったので、魂を地獄の底に放置して精神だけでどうにかこうにかここまで来たわけである。

マジありえないんだが???
JKにさせることじゃないんだが???
本気でキレそう、でもおっぱいがあるから我慢します。私ってほんと可哀想。


私は唯一の寄る辺である目の前の身体にセミのように引っ付き、逞しいお胸に頬をムギュムギュッとくっつけ離れることを拒否した。

絶対離さん、私はこの乳と添い遂げるぞ!!一生一緒や!!これが最後の救いなんや!!

「帰らないで!!置いてかないで!あと名前と生年月日と身長体重バストサイズ好きな下着のブランド、それからお風呂では何処から身体を洗うか、好きなボディーソープの種類などを教えて下さい!!」
「そういうお前はなにもん何だよ」
「私は恵まれし者、名も無き霧の娘子です!」
「さっぱり分かんねぇな」

何かめっちゃ古い神様(良い神ではない)と魂の一部を共有する、神様から落とされた生命体だと思ってほしい。あまり難しいことを真剣に悩むと神経がすり減るからサラッと流して下さい。
私は最早深淵にて永久狂気に囚われてしまったので関係無いけど、普通の人間の精神にこの話はあまりに苦痛過ぎる。

私は一先ず名前と好きな下着ブランド、そしてお風呂では何処から洗うかを語った。

「足先から順繰り上に向かって洗っていくタイプです!好きなボディーソープはニベアの桃の匂いがするやつ!」
「でもお前獣くせぇけど」
「それはさっきクッセェとこに居たせいなのでお気になさらず、普段は女の子の可愛い匂いするから!」
「分かったから一旦離れろ、手は繋いでてやるから」

え………やさし……好きになっちゃうんだけど……。

言葉通りに一度身を離せば、大きなゴツゴツした手で私の手を握ってくれた。
なんだかそれに無性に安心してしまい、少しだけ泣きそうになった。

彼は自分の名を「甚爾」と名乗った。
気付いたらここに居て、私がフラフラと何処からともなくやって来たらしい。
偶然とは思えぬ出会いについてあれこれ考えながら、私は自分のことについてもう少しだけ詳しく話した。

高専に通っていること、術式を正しく使わなかったせいで魂が深い世界に堕ちてしまったこと。
何とか這い上がり、山あり谷あり乗り越え今ここにいること。
だからそう、我々は互いに生身の人間ではなく、魂と精神だけの存在だということを…纏まらない思考をどうにかこうにか整理しながら話した。

彼は私の話を聞き終えると、「なるほどな」と何かに納得したかのようなことを言った。
私はそれに首を傾げ、どういうことかと問い掛ける。

「俺は恐らくお前に引張られてここに来ちまったんだろうな」
「じゃあ、私が元に戻れば貴方も元の場所へ戻れるのかな?」
「さあな、それは分からねぇ」

でもまあ、行けるとこまでは一緒に行ってやるよ。

そう言って彼は私の手を引き歩き出した。
ゆっくりと、ゆっくりと。目の見えていない私が転ばない速度で歩いてくれる。
姿は全く見えないけれど、この地獄の出口で優しさを与えてくれた甚爾さんという人は、うんと素晴らしい大人なのだろうな。そうじゃなければ、こんな得体の知れないクッセェ子供を助けてくれるはずがない。

良い人に巡り会えて良かった。
おっぱいに乾杯。乾杯におっぱい。

おっぱい世界平和党の未来は明るいぞ、支持者諸君。この政党で政治界に殴り込み、私は呪術総理大臣候補になります!
皆様の清き一票お待ちしております!!
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