番外編
五条先生は変な人だ。
不審者みたいな格好してるし、七海さんにちょっかいかけてるし、生徒から敬われていない、何なら一部の先輩からは名前で呼び捨てにされている。
私から見た五条先生は不審者みたいな格好をしたひょうきん者だ、オモシロコンテンツとまでは行かないが、愉快な人である。
そして、傑さんにクソデカビックな感情を抱いている。
五条先生は何かにつけて、私の様子を見ることを口実に傑さんの様子を見に来ていた。
今日もそう、一人で寂しく自主練習をしていれば、先生が片手を上げながらやって来たのだ。
外は生憎の雨模様だったため、室内の道場というか体育館というか、まあ運動施設で傑さんに指示されるがままに、ひたすらに体力作りを行っていれば、五条先生が来て「調子は?」と聞いてきた。
私はそれには敢えて答えずに、「傑さんが暇過ぎてうるさい」と返す。
先生はほんの一瞬だけ難しい顔をして、パッと笑顔に戻ると、「難儀な奴だよね」とだけ言った。
あーあ、めんどっちい。
これだから執着の類は嫌いなんだ。
ニコチイとか、身内とか、そういう言葉ダイッキライ。
「で、調子は?」
「超、普通」
「ん、よしよし」
何が良いんだか分からないが、先生が頭に手を伸ばして来たのでサッと避けた。
先生はキョトンとした顔で「何で避けるのよ」と言うので、スンッと表情を無くしながら言葉を返す。
「先生の手がデカ過ぎて、頭掴まれると命を握られてる感覚に陥るから…」
「僕のこと何だと思ってんの?」
「五条悟…」
「五条悟のこと何だと思ってんの?」
「え〜〜〜?」
え〜〜〜、何って…別に……
「五条先生は五条先生だなあって思ってるよ」
私の言葉に首を傾げた先生は、どうやらイマイチ私の言わんとする言葉が伝わっていないらしい。
だが、私の中で居座る乳神様こと傑さんは理解したらしく、それまで黙っていたのに小さく笑い声を漏らしていた。
「どういうこと?強くて格好良くて頼りがいがあって最強で最高ってこと?」
「全部違うんだよなあ」
「違わないから、僕、最強で最高で完璧完全な男だから」
そう思いたいならそう思えばいいんじゃないすかね…私はそうは思わんって話なだけなんです。
まあ、世の中の評価として先生が最強だとか格好良いだとか言われているのは知っている。実際頼りになるのだろう、頼ったこと無いけど。
ただ、生憎と私から見た先生に抱く感想は全く違うものだ。
「私は先生のこと、人間臭い奴だなって思ってるよ」
「何それ?」
「傑さんも「本当にね」って言ってるよ」
「…ハ?」
はいはい、この話は終了でーす。
私は自主練に戻るからね、体力作りが目下の課題なんです、体力が無い事には何も始まらんらしいので。
訓練に戻る意思を見せた私の頭の中に、「じゃ、縄跳びから」と指示が飛ぶ。
縄跳びなんていつ振りだろう、小学生の時に交差跳びとか頑張ってた思い出がある、あ!二人跳びとかやったかも!今度伏黒くんを誘ってやって見ようかな。
縄跳びを手にしてピョンピョン跳ねていれば、固まっていた五条先生は再起動したかのように近寄って来た。
当たるよ、危ないよ、てかもう用は無いのならあっち行ってくれ、訓練を邪魔しないでくれ。
「他には?先生格好良い〜!とか」
「21、22、23……」
「ちょっとちょっと、無視はやめて傷付くから」
「他人の、持つ、傘の、尖った部分、が、目に、刺さり、そう!38!」
「最強だから刺さりませーん!」
それは良かったね!!
先生はその後も「ねぇねぇ」と暫く話し掛けて来た。
私は適当に喋りながら縄跳びを必死に飛んだ。
先生は多分、距離の測り方が下手くそなんだと思った。
私はそんな先生のことを、やっぱりこんなに強くても人間は人間なんだなあと感じていた。
不審者みたいな格好してるし、七海さんにちょっかいかけてるし、生徒から敬われていない、何なら一部の先輩からは名前で呼び捨てにされている。
私から見た五条先生は不審者みたいな格好をしたひょうきん者だ、オモシロコンテンツとまでは行かないが、愉快な人である。
そして、傑さんにクソデカビックな感情を抱いている。
五条先生は何かにつけて、私の様子を見ることを口実に傑さんの様子を見に来ていた。
今日もそう、一人で寂しく自主練習をしていれば、先生が片手を上げながらやって来たのだ。
外は生憎の雨模様だったため、室内の道場というか体育館というか、まあ運動施設で傑さんに指示されるがままに、ひたすらに体力作りを行っていれば、五条先生が来て「調子は?」と聞いてきた。
私はそれには敢えて答えずに、「傑さんが暇過ぎてうるさい」と返す。
先生はほんの一瞬だけ難しい顔をして、パッと笑顔に戻ると、「難儀な奴だよね」とだけ言った。
あーあ、めんどっちい。
これだから執着の類は嫌いなんだ。
ニコチイとか、身内とか、そういう言葉ダイッキライ。
「で、調子は?」
「超、普通」
「ん、よしよし」
何が良いんだか分からないが、先生が頭に手を伸ばして来たのでサッと避けた。
先生はキョトンとした顔で「何で避けるのよ」と言うので、スンッと表情を無くしながら言葉を返す。
「先生の手がデカ過ぎて、頭掴まれると命を握られてる感覚に陥るから…」
「僕のこと何だと思ってんの?」
「五条悟…」
「五条悟のこと何だと思ってんの?」
「え〜〜〜?」
え〜〜〜、何って…別に……
「五条先生は五条先生だなあって思ってるよ」
私の言葉に首を傾げた先生は、どうやらイマイチ私の言わんとする言葉が伝わっていないらしい。
だが、私の中で居座る乳神様こと傑さんは理解したらしく、それまで黙っていたのに小さく笑い声を漏らしていた。
「どういうこと?強くて格好良くて頼りがいがあって最強で最高ってこと?」
「全部違うんだよなあ」
「違わないから、僕、最強で最高で完璧完全な男だから」
そう思いたいならそう思えばいいんじゃないすかね…私はそうは思わんって話なだけなんです。
まあ、世の中の評価として先生が最強だとか格好良いだとか言われているのは知っている。実際頼りになるのだろう、頼ったこと無いけど。
ただ、生憎と私から見た先生に抱く感想は全く違うものだ。
「私は先生のこと、人間臭い奴だなって思ってるよ」
「何それ?」
「傑さんも「本当にね」って言ってるよ」
「…ハ?」
はいはい、この話は終了でーす。
私は自主練に戻るからね、体力作りが目下の課題なんです、体力が無い事には何も始まらんらしいので。
訓練に戻る意思を見せた私の頭の中に、「じゃ、縄跳びから」と指示が飛ぶ。
縄跳びなんていつ振りだろう、小学生の時に交差跳びとか頑張ってた思い出がある、あ!二人跳びとかやったかも!今度伏黒くんを誘ってやって見ようかな。
縄跳びを手にしてピョンピョン跳ねていれば、固まっていた五条先生は再起動したかのように近寄って来た。
当たるよ、危ないよ、てかもう用は無いのならあっち行ってくれ、訓練を邪魔しないでくれ。
「他には?先生格好良い〜!とか」
「21、22、23……」
「ちょっとちょっと、無視はやめて傷付くから」
「他人の、持つ、傘の、尖った部分、が、目に、刺さり、そう!38!」
「最強だから刺さりませーん!」
それは良かったね!!
先生はその後も「ねぇねぇ」と暫く話し掛けて来た。
私は適当に喋りながら縄跳びを必死に飛んだ。
先生は多分、距離の測り方が下手くそなんだと思った。
私はそんな先生のことを、やっぱりこんなに強くても人間は人間なんだなあと感じていた。