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巨乳と汗と涙の結晶

っちゅーことで無事帰還!!!
帰って来たぞ高専、新しい女子は何処だ!!

本日は任務も無いため教室に行く。
横開きの扉をガラリと開けば、静かな教室には既に伏黒くんが居た。
朝早くから一番ノリとは、優等生ねキミ。

「伏黒くん、ただいま〜」
「…おかえり」
「これお土産の信玄餅ね」

現地じゃなくて途中の駅で買ったやつだけど。
でも信玄餅は美味しいから別に大丈夫だよね、食い辛いのが難点だが…。

伏黒くんは良い奴なので、ちゃんとお礼を言って受け取ってくれた。
時間はまだ朝早く、教室には二人きり。虎杖くんも新しい女子も居ないので伏黒くんに話掛けることを続ける。

「呪霊が絡むのは嫌だけど、山を歩くのは楽しかったよ、今度お弁当持ってハイキング行きたいな」
「ここも山ん中みたいなもんだろ」
「何をおっしゃいますか!」

あのねぇ、東京にある山は山じゃなくて丘だから、高尾山は丘、ハイジが高尾山連れてかれたってノイローゼは治らないから、むしろ「これは丘よ!!!」って泣いて発狂するよ。

もっと高みを目指そうぜ、3000メーター級行こう、私と伏黒くんなら登れるさ…友情パワーで!

「伏黒くんは私と山登りたくないの?」
「……別に、登りたくないとは言ってねぇ」

登りたくないとは言っていないが、登りたいとも言っていない、と…なるほどなるほど、難しいお年頃ってやつか。
仕方無い奴だな、でも私は君以外に誘える人がいないんだよ、何せ友達が君しかいないからね。


そんなことを話していれば、ガラリと教室の扉が開く音がした。
会話を中断し、そちらに目をやれば、現れたのは茶っこい髪をした女子であった。

しなやかな手脚に、気の強そうな表情、茶っこくサラサラした髪が朝日に照らされ美しい色合いを織り成す。
そんでもって、服の上から分かるくらいには胸がある。真希さんもそうだが、高専に居る女は胸がある奴ばかりなのは何故。

思わずジッ…と見てしまったが、挨拶をしなければ。ファーストインプレッションは大切である。

「あの、おは」
「…細っ!」
「エッ」

カツカツと私に向かって歩いてくるその女子があまりに迫力あり過ぎて、思わず席から立ち上がり、伏黒くんの座る椅子の影に隠れようとした。
しかしその前に腕を捕まれ、ジロジロと全身を何度も何度も見られる。

ひ、ヒェ〜〜!眼力が凄いよ〜!!
よく分からんが怖い、たすけて伏黒くん!!

ソロっと伏黒くんに視線を送るも、顔を背けてスルーされた。
そ、そんな薄情な…私達、友達でしょう?何でスルーするの…後で覚えてろよ…。

その間にも眼力のある女子は眉間にシワを寄せながら私の肩やら脚やらを触って来たりした。
なんだなんだ、何なんだ一体、何か言ってくれよ。

「アンタ…」
「は、はい…」

何か言えとは思ったが、もうちょい圧を控えた感じでお願いしたかった。
私は謎の圧力に屈するようにプルプルと震えて身を縮こませる。
なんでしょうか…出来れば優しくお話してほしい…。

「制服のサイズ合ってないわよ」
「……お、おさがりだから…」
「は、なんで?」
「わかんない…」

いや本当に分からないんですが、禪院家に何故か余っていた制服を頂いてそれを着てるんですよね、私。
これも多分、「粗食に耐えろ」の一環なんじゃないかなあ…でも大は小を兼ねる、だなんて言いますし。別に不便もしていないから困っていたりはしなくて…。

「ちょっとウエスト見せて」
「ピョッ」

ガバチョ。

制服の上を捲られ、スカートのウエスト部分が顕になる。
や、やめて下され!ウエストがサイズ違いすぎてベルトで締め過ぎてグチャグチャになってるから恥ずかしいのに!

「だからスカートに変なシワあったのね」
「う、うん…」
「丈も妙だと思ったのよね」

溜め息混じりに服を降ろされ、頭の痛そうな顔をされた。

ファッションに敏感な民であったか…それならばこの不自然に寄ったシワにも目が行くだろう。ついでに言われた通り、丈も変な丈である。
ぶっちゃけダセェ、あと上の服も袖が余ってるわ肩のとこあってないわで大変だ。

「せっかく細いんだから、それなりな格好しなさいよ」
「…もしかして私、褒められてる?」
「伏黒、アンタもそう思うでしょ?」

や、やだ…女の子に褒められちゃった!それも綺麗な子に!!
わあ〜!嬉しい!高専に来て良かったなあ…中学時代は「マチ針」「電柱」等と言われてたので恨めしく思っていた体型だったが…そうか、それなりな格好をすればそれなりになる体型だったのだな。新発見である。

思わず嬉しくなって伏黒くんを見て彼の言葉を待った。
ワクワク、ソワソワ、私のクールでチャーミングなフレンドは何と言ってくれるのだろう。

だが、しかし…

「…………………」
「……………ふ、伏黒くん?」
「は?何黙ってんだおい」
「…………………」

「………………………」
「伏黒くん?あれ……」

待てど暮らせど伏黒くんはダンマリを決め込むばかりであった。

な、な、何も言ってくれんかったが……。
しかも目線反らしたままだし、眉間にシワ寄ってるし…………も、もしかして、嫌われ…ちゃった?
や、ちょ……傷付く、泣く……。

「ウッ…グスッ……」
「は?ちょっと、何で泣いてんのよ」
「スンスンッ…」

もうむり………一気に心がショボショボになっちゃった……。
私が泣き出したタイミングで、また扉が開く。虎杖くんが挨拶する声が聞こえて来たが、返す元気はどこにも無かった。

「釘崎?」
「ちげーよ!」
「伏黒?」
「…………いや、」

私の横では何やら犯人探しが行われている模様。
違うんです伏黒くんは悪くないんです、私が私が〜!!

あ〜〜〜!!!

嫌だ〜〜〜!!!嫌われたくねえ〜〜!!!伏黒くんに嫌われる人生なら終わった方がマシだ、こんな人生に価値は無い、グッバイ友よ、今までありがとな。
ってことで、

「旅に出る!!!」
「「「は?」」」
「さらば、愛しき日々よ!!!」

思い立ったが吉日、私は荷物を引っ掴むと全力で駆け出した。
開きっぱなしの扉から教室の外へと出て、そのまま廊下を駆け抜ける。
悲しみを癒やすためには、新たな出会いで埋めるしかないのだ。

まあ大掛かりなことを言っているが、単にちょっと散歩してくるだけである。つまるところのサボタージュ、甘い物でも食べればセロトニンがぶわぁー!てなって気分も全回復するだろう、私は自分のご機嫌取りが上手いタイプの人間なのだ。

ああ、でも一応言ってから出た方が良いかな、よし職員室に寄ってからサボろう。
なんて優踏生なんだろうか…内申点上がること間違い無し!


こうして私は職員室に飛び込んで「サボる!!!」と吠えてから高専を飛び出した。

脳内の傑さんは何故か「いいね」と同意を示してくれた。

うん、たまにゃあいいだろう!そうだろ、ハム太郎!ヘケッ!!
ちなみにこの場合のハム太郎とは傑さんのことである。スグハムちゃん、一緒にサボタージュするのだ。
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