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巨乳と汗と涙の結晶

選ばれたのはクルルプちゃんでした。
うーん、最適解!

我らが偉大なる姉妹クルルプちゃん、別名「堕落した知恵」。
私が自分で出した短絡的かつ無謀なアイデアを「天才的では!?」なんて思ったからだろうな、知恵に関する旧き神々の系譜に列なるクルルプちゃんを呼べた理由は。

ちょっとスキを作れればいいやって思ってたらクルルプちゃんが呪いを呑み込んでしまったので、任務は終わりである。
そして私も人権終了、もう限界、吐きます。

「オエ"ッオ"ェェエエ"エ"ッオ"ロロロロ"ッ」

ノルマ達成。
本日も素敵なリバース日和。

傑さんが背後から背中を擦ってくれているのを感じ取る。
うぅ…呪力がカラカラで傑さんが省エネモードになっとる…ボイスがオフされとる……すみません、多分寝れば回復します…。

「ウ"ッウゥッオエ"ッ」
「大丈夫ですか」
「な、ななみ"…しゃん"……オエ"ッ」

どう見ても大丈夫じゃないやろ、分かりきったこと聞くな…。
てかあの、見ないで貰えますか…人並に恥じらいがあるので、吐いてる姿見られるの恥ずかしいな…。

とか思っていれば、七海さんは腕時計を確認しながら「少し休んでから下山しましょう、今から戻れば夕方には着きます」と予定を決めてくれた。
この人本当しっかりしてらっしゃる、何処かの返品不可なスタンドとは大違いだ。

あ、今喋れないんだっけ?じゃあ今のうちに言いたいこと言っとこ。

傑さんのこと調べたんだけどさ、私と同い年くらいの娘さんが居るらしいじゃないですか。娘と同い年くらいの子供に寄生して四六時中干渉してくるのはどうなんですかね?恥ずかしくないんですか?
あと私の行動に一々口出しして…お前はロッテンマイヤーさんかよ。
でも…まあ、乳はデカいからな……乳がデカいとやっぱり全て許せてしまうな…。ちょっと小言が多いお節介な彼女だと思えば、うん……乳デカ世話焼き彼女、絶対恋愛ゲームの攻略キャラに一人は居るよね。
もしかして私、ギャルゲーの主人公だったりする?
だったらやっぱり幼馴染みを攻略したいんですが、私はドラクエで宗教上の理由からビアンカしか選べない人間なんだよ。

若干キマっているのか、グルグルと目を回しながらどうでも良いことを考えていれば、風に乗って微かに腐臭が漂って来たのを感じた。
この死体が腐ったような臭いは…そんな、待て、だってさっきやっつけたじゃないか。

慌てて顔をあげた瞬間であった。

ビュンッと頭上を何かが高速で過ぎていき、そして…

「あ………」
「ッ!」

ハラリ。

花弁が舞うように、目の前に落ちて来たのは服の残骸。
舞い散る布を目で追ってから、上へと視線を戻す。

…………………??
………………????
…………????……………!?!??!?

見上げた先に存在する立派な頂きは、白く、艷やかで、ムキムキとしていた。

それを人は胸と…否、巨乳と呼ぶ。

な、なんという光景だ、まるで偉大な山脈のように雄々しく広がる胸板からは、確かに神々しさと神秘性を感じざるおえなかった。

これが、これこそが…人が山々を崇拝する気持ち、山岳信仰。


「グランドキャニオン様!??!?」
「残党が残っていたようです、注意を」
「七海さん、グランドキャニオンが!??!?」
「ッチ、術式を使うとラリる話は本当だったか」


違うの!!これは!!ラリってるんじゃないの!!!素なの!!!!

そ、そんなまさか………呪霊退治、ポロリもあるよ!が実現してしまうなんて………巨乳信者とグランドキャニオン、何も起きないはずがな……く………って…

胸元から流れる赤いスジに目を奪われる、そんな………な、七海さんの…白い肌に傷が………

「世界遺産に傷がついちゃったじゃん!!!!」
「落ち着いて下さい、深呼吸を、」
「クソが!!許せねえ!!!俺の俺の俺のグランドキャニオン様に!!!!」

貴様、死して償え!!!

怒りにより自分でも自分の行動を止められなかった、衝動的に地面に手をつき呪力を流す。
全身の血が沸き立ち、目の奥が熱くなる。
瞬く星々を思考の奥で捉え、強引にその一つと繋がった。


許すまじ呪霊、この至極の乳は貴様如きが触れていいものでは無いぞ。


指先の上で星が弾け、吐き出す息は重く、甘く、巻き上がる髪が紅く染め上がっていく。
煩悩を打ち砕き、円満の意を唱える光輪が頭上に輝く。
背には稲妻よりも白く強く美しく照らす光を背負い、煙るキセルからは祝福の鐘の音が響き出す。

聖なるかな、聖なるかな。

救済の日よ、来たれり。


「我、神の意志なるや」


天におわす御主に変わり、我が身我が呪いを持ってして、汝に鉄槌を下そうぞ。


「全ての巨乳は……私が護る!!!」


遠くで、傑さんが「格好いいシーンが170文字で終わった」と嘆く声が聞こえた気がした。







またこの子は……

七海の胸筋を傷付けられてブチギレたと思ったら超サイヤ人みたいなことになった。
神々しい円光を背負った瞬間、ああ本当にこの子は妙な者達に愛されていると苛立ちを覚えたが、次の瞬間には真顔にならざるおえなかった。

本当に胸のことしか頭に無い、悲しいくらいに格好付かない。

しかも、雑魚相手に覚醒モードになって力の無駄遣いにも程がある。帰ったらよく言い聞かせ…いや、さっき散々なことを言われたし、少しばかりキツくお仕置きしてやろうか。


ちゅどーん!
ぐわぁーん!


目の前では山を削る勢いで呪霊を消し炭にしている信者が一人。
信じる力って凄いんだな、信じる対象はアレだが。
そして背後では唖然と立ち尽くす成長した後輩の姿。

すまないね七海、この子には後でちゃんと分からせておくから、帰り道はよろしく頼むよ。

本当に私が付いててあげないと駄目な子なんだから、全く。
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