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巨乳覇者列伝

地獄へ落ちる他に選択肢は無かった、なのに、あの日君は私の手を掴んだ、掴んでしまった。

何処か生前の自分に似ていると感じてしまうのは、彼女と私の術式が近しいからなのかもしれない。
呪いを飲んで使役する私と、呪いに身を浸して使役する君。
生前、幾人もの人間に仏様などと呼ばれた私よりも余程、君は人間として生きるのが下手くそな、神や呪いに欲しがられるヒトだった。
馬鹿なことを言って、突拍子も無いことばかりして、ろくなことを考えない君は、しかし、常に自分の背後にある視線を気にして生きている、それを私は知っている。
その視線が怖くて不可解で苦しいから、自分の表面上にある思考と行動を分かりやすく偽って、イカれた奴のフリをする。

臆病で、馬鹿馬鹿しい子だ、だが私の手を取り、私を神として成り立たせた。

だから、私は君の側で君を呪うことにしたのだ。

私という分かりやすい物差しで全てを計りながら、世界や、その先にある、君だけが見て感じられる物事と関わっていけばいい。
ボロボロになる前に救ってあげるから、消えたりなんてしないでくれ。

君の半分は透明な板の向こうに居る誰かじゃなくて、私だ。
もう君は私の物だ、そんなにすぐに逝かせてやれるものか。

私は君が思うほど、優しくて立派な神様にはなれやしないんだから。


「君が地獄は嫌だって、泣いて喚いて叫んでも離してなんてあげないよ」


私の声は果たして届いているだろうか。
汝、神の意思を知る者よ。

私の呪いを受けとるがいい。




___




保健室っぽい所で目が覚めた、瞬間、狂いそうな程の吐き気が襲い、側にあったガーグルベースを引っ付かんで胃の中の物をそこへ向けて盛大に吐き戻した。

「オ"ロロロロロロッ オ"エッ" オ"エエッ"」
「……起きたのか」
「ふ"、ふ"し"ぐろ"く"ん" オ"エッ」
「水持ってくる」

起き抜け早々最悪過ぎる、異性の友人に嘔吐現場見られるとか…どんな罰ゲーム?
胃液特有のツンッとした酸っぱい香りがして、目に涙が滲み、ついでに鼻水も垂れて来た。
やだよ~~~!伏黒くん来ないでくれ、北八ヶ岳に美味しい水を探しに行ってくれ、そのまま暫く帰ってこなくていい。

しかし、優しい彼はさっさとコップ片手に戻って来てしまった。
私の散々な様子を見て、顔をしかめながらも箱のティッシュを差し出してくれる。本当にいい奴だな……お前はこの世の宝だよ。

「あ"り"がと"」
「無理に喋るな」
「う"ん"」

ガラガラガラガラ…ペッ

吐瀉物を受け止めてくれた容器に、うがいをした水を吐き捨て、ベッドから出てそれを処理しに行こうとするも止められた。「寝てろ」と短く言われて容器を奪われそうになるも、それだけは流石にさせられないと、抵抗を見せる。
だが、ポンッと片手で押された私の身体は、簡単にベッドへと倒れてしまった。

嘘やん……いくら仲が良いからってゲロの後始末までするとか、感謝を通り越してコイツヤベェな…って思っちゃうんですが…。
これが漢気なの?そういうものなの?はえ~~、世の中乳のデカさが全てだと思ってたけど、そんなこと無いんやな……ちょっと考えを改めていきたいと思います。人間は日々成長する生き物、うん、発言が二転三転しても仕方ない!過去の発言なんて一々気にするな!

ということで、ゲロについては出ちゃったことは過去のことってことでね、気にしない方向性でやっていきたいと思います。

ベッドに寝っ転がって深呼吸をしながら意識を落とす前のことについて思い出そうとするも、何だかあやふやでハッキリとしない。
何があったんだっけ?えっと………学校で、呪いが……そうだ、伏黒くんが、えっと~~ムキムキの一般人と………そ、そうだ思い出してきたぞ!一般人によって伏黒くんがレ!!されそうになってたんだ!
あの一般人は結構な乳をしていたが、だが!私の親友候補代表である伏黒くんに狼藉を働こうとした不始末……許しておけぬ!
おのれ、一般人め!!

「死を持って償わせてやる!!!」
「おい、何処行くんだバカ!」
「伏黒くんは渡さないぞーーー!!!」
「…………何言ってんだアイツ」

布団を蹴りあげ、裸足のまま廊下に飛び出す。

首をよ~~く洗って待ってろよ一般人!!神が許そうと私が許さぬからな、最早生かしておくまい。
伏黒くんの貞操は、私が守る!!!
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