夏油傑と思い出の子
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入寮後、夜蛾の説明を一通り受け 簡単に荷ほどきを簡単に済ませた後、軽く水分補給などを終えて時間の余った夏油は寮の外へ出た。
早く慣れるに越したことは無いと校内の出入り可能な箇所を見て回る。世話になるだろう保健室、しめ縄の巻かれたりっぱな神木、石の階段を上ったり坂道を下ったり。
外は日が陰りはじめ、もうじき夕暮れが迫ってくるであろう時間帯。肌寒さはやや感じるが、そこまで気にすることでも無い過ごしやすい一日であった。
さて、一日目から張り切り過ぎるのも良くないだろうと考え、適度な所で散策を切り上げ寮へと戻るため歩みを止めた。
どこからか、風に乗って音が聞こえる。
それは何だろうか、自然音では無かった。
自分の歩く小道より先、曲がった向こうくらいから音がする。「ゼー……ゼー……」それは、何処と無く聞き覚えがあるような音であった。何だろうか、この…今にも死にそうな、そうだこれは呼吸音だ。
記憶が呼び起こされる。
夏の日の思い出に住まう少女が良くしていた呼吸音だ、大体体力がほぼ尽きかけ、後数分で行き倒れる時に鳴りはじめる呼吸と同じ音である。
夏油はそれを思い出し寮へと戻る歩みを一旦止め、その曲がり角の先へと行き先の方向を変える。彼は真面目なので一応は見に行くのだ。
そして角を曲がったその先、夏油は思わず足を止めた。
揺れる影と共に見覚えのある三つ編み と、見ている人間が心配になる身体が視界に飛び込んでくる。
その身体からは重たく苦しい呼吸が続き、本人はきっと走っているつもりなのだろうが、歩いているのと然程変わらないであろう速度でヨタヨタフラフラ走っている。
…いや、走っているのか?あれで?本当に?
多分私が普通に歩いた方が早い、と夏油は冷静に考える。
そして思う、もっと…再会ってのは感動的なもんなんじゃないかな…と。
残念だ、実に残念だ。何がそんなに残念って、その姿が目に飛び込んで来た瞬間は確かに時が止まるかと錯覚したのだ。呼吸を忘れ、柔い三つ編みを食い入るよう見つめようとしたが、過去 あの夏の経験からそんな悠長に、感情に素直に浸っていてはアレは多分死ぬ。
というかもう限界であろう、多分アレ…その辺で寝はじめるぞ…と夏油は歩みを数秒止めて瞳を平べったくし、自分の真ん前を何とか足を上げて走る…走っているように見える少女を見やる。
先に気付いたのは影法師の方であった。いや、お前が先に気付くんかい。
影法師が夏油を認識すると「ハッ」とした表情をし揺れるままにその場に留まる。少女はそれに気付かず「ハヒー…ヒュー……」と死に絶えそうな呼吸をしながら前に進む。
夏油はガクリッと一度首を垂らすと、一呼吸を飲み込んだ後にソレに向かって歩みを進める。
揺れる三つ編みと距離が縮まる、影法師は近付いてくる夏油に向かってサムズアップを一つ決めてシュルリとただの影へと戻っていった。
感傷に浸る間も無く本当に、あっという間に追い付いた。
あれだけ何度も色褪せぬように脳裏に浮かび上がらせ、祈るように名前を口ずさみ、いつか会えるようにと日記を読み返していた日々であった。
海を見れば共に行きたいと言った君を思い出した。
秋が来れば美術館の展示案内ポスターが目に止まった。
冬がになれば星空を見上げてしまった。
春には君に会いたいと、少女はそう言った。
小道には直に芽吹くであろう花の蕾が並んで花開くのを待っている。早咲きの山桜がチラリチラリと小さく美しく咲いていた、穏やかな午後の風が春の香りと共にそよいでいる。
春だ、幼少の頃 夏油が愛した背中が前を行く。
「蚕」
名前を呼ぶ、幼き夏の日以来口にしなかった音を口にする。
その名を持つ少女が次の一歩を踏み出す前に立ち止まる。ヒィヒィと切なくなるような荒い呼吸をしながら立ち止まりゆっくりと振り返った。
細まっていた瞳が目の前に人間が居ることを認識する。目線の先に顔は無い、これは胸元か…と酸欠で回らない頭を何とか働かせ上に目線を持ち上げる。
誰だ、私の走り込みの邪魔をする奴は…止まったらな…死ぬ(寝ちゃう)んだぞ…。と蚕は内心思いながらその顔を見る。
夏油は困ったような、苦しそうに何かを堪えるかのように微笑みながら蚕を見つめていた。
それは何故か、理由は至って簡単である。別に沸き上がる思いに耐え忍んでいるわけでは無い。そう、目の前の肺からヒューヒュー音を鳴らしながらこちらを見上げる円城蚕があからさまに「誰だコイツ…邪魔しやがって…」というような顔をしているからだ。
いや、君の影は気付いたんだけどなあ?おかしくないかな?
確かに昔の面影が残っているかと言われると、自分でも悩んでしまう程ではあるが。それにしたって…コイツ、コイツ本当にこういうとこ…。
しかし最早コイツがそういった人間であると理解しつくしている夏油はあくまで優しく困ったように問いかける。
「蚕、私が分かるかい?」
息が未だ整わない少女は「チョト…マッテ…ハフー…」と上手く働かない頭に片手を置いて瞳を閉じる。
次第に呼吸が整ってきた蚕は目を開き、そのクリームソーダの色からやや濃くなった色合いのペリドットのような瞳で夏油を見上げた。
口を小さく開き彼女は固い表情で言う。
「……ヒントを」
瞬き二つ、夏油は今度こそ眉根を寄せて口元をヒクヒクとひきつらせた。コイツ…コイツ…。
右の拳を握りしめ感情を抑える、駄目だ落ち着け、よく考えろ相手はあの亀か蚕かと言われる程トロっちい人類代表に名を連ねる奴だぞ。思考も遅いんだ、仕方がない。
そう己に言い聞かせ、見上げてくる少女に向かって何を言おうか迷っていた。
そんな折角の再会を台無しにするようなことを言った本人は、固くした表情をゆるりと緩めて言葉を重ねる。
「名前がね…ミから始まって、シャで終わるとこまでは分かるのだけれど」
可愛い黒猫、子猫ちゃんだったのになあ…まあ、猫って小さな頃と成長してからではかなり表情や雰囲気が異なる個体も居るものね、と蚕は見上げた先、黒く逞しくスラリと成長を遂げた夏の思い出に住まう少年であった人物を見つめた。
「そこまで分かっていれば十分じゃないかな?」
夏油もその緩められた表情に合わせてフッと表情から力を抜き視線を合わせた。
「私、まだ訓練の途中なのよね」
「今のは何の訓練なんだい」
「分からないの?」
「酔っぱらいの歩き方みたいだった」
まあ酷い猫ちゃんね、と蚕は一つ笑うと三つ編みを猫の尾のように揺らめかし、クルリと背を向けて今度は走らずゆっくりと春を待つ大地を踏みしめ歩み始めた。
夏油はそれが正しい形であるかのように、蚕の手を後ろからすくってソッと壊れぬように繋ぎ 旋毛を眺めてから背中を見下ろし後ろをゆっくりゆっくりと付いて歩く。久しく忘れていたが、相変わらず生温かいような温度をした手であった。
訓練、今日くらいは勘弁して下さいねと心の中で夜蛾に向かって謝罪と言い訳を並べる。
己の手なんぞ簡単に包み込まれてしまう程に成長した夏油の手をクイクイッと軽く引っ張り首を少し傾けて無言で隣に来るようにとジェスチャーを送る。
それを正しく理解したのであろう夏油は柔らかい気持ちになりながら繋いでいた手を一度離し、大きな一歩で隣に並んでもう一度手を繋ぐ。
はじめて横に並んだ、蚕は「日除けに役立ちそう…」と大変失礼なことを呟いたので、夏油も「このままじゃ日が暮れるのが先かな」とお返しした。
蚕は繋いだ手をプラプラと揺らしてみたり、ニギニギと確認するように握りながら呟いた。
「君とだったら別に悪くないかもね」
ねえ、ミーシャ。君もそう思ってくれる?
いつかの夏のように同意を得ようと首を上向かせ見上げるように微笑んだ。その笑みは、あの夏に記憶する これからの夏休みの楽しい日々に期待を膨らませるようなそんな眩い笑顔であった。
だから夏油もあの夏に帰ったように言葉を返す。
「…うん、まあね そう思うよ」
そうすれば、蚕はうんうんと頷きながら「知ってた、ありがとう」と口元をニンマリとし、瞳を弓なりにしてこちらを見つめて視線を前に戻していく。
互いの日常にあの夏の思い出が戻って来た。
時を重ね、夏油傑は子猫から立派な青年へ、思い出の日々の中に生きていた少女はトロっちくても影を伴い呪術師へと道を進む。
夏油傑には忘れられない夏がある。
その夏には、この世のありとあらゆる美しい物が詰め込まれた夏であった。
その思い出は今尚瞼の裏で星と共に流れ行く。
そして、瞼を開けば隣には 今度は宝物をくれた少女が春と共に居る。
春が終われば また夏が来る、今度は共にその次の秋も冬も時間をゆっくり重ねていけるのだ。
二人は春が芽吹き始めたばかりの小道をゆっくりゆっくり歩みを進める、なるべく長く この時間が続くようにと。
そう願って、夜が来るまでには帰ろうと同じ時を重ねるのだった。
_____
拝啓あの夏の思い出達よ、君が愛しいよ。
早く慣れるに越したことは無いと校内の出入り可能な箇所を見て回る。世話になるだろう保健室、しめ縄の巻かれたりっぱな神木、石の階段を上ったり坂道を下ったり。
外は日が陰りはじめ、もうじき夕暮れが迫ってくるであろう時間帯。肌寒さはやや感じるが、そこまで気にすることでも無い過ごしやすい一日であった。
さて、一日目から張り切り過ぎるのも良くないだろうと考え、適度な所で散策を切り上げ寮へと戻るため歩みを止めた。
どこからか、風に乗って音が聞こえる。
それは何だろうか、自然音では無かった。
自分の歩く小道より先、曲がった向こうくらいから音がする。「ゼー……ゼー……」それは、何処と無く聞き覚えがあるような音であった。何だろうか、この…今にも死にそうな、そうだこれは呼吸音だ。
記憶が呼び起こされる。
夏の日の思い出に住まう少女が良くしていた呼吸音だ、大体体力がほぼ尽きかけ、後数分で行き倒れる時に鳴りはじめる呼吸と同じ音である。
夏油はそれを思い出し寮へと戻る歩みを一旦止め、その曲がり角の先へと行き先の方向を変える。彼は真面目なので一応は見に行くのだ。
そして角を曲がったその先、夏油は思わず足を止めた。
揺れる影と共に見覚えのある三つ編み と、見ている人間が心配になる身体が視界に飛び込んでくる。
その身体からは重たく苦しい呼吸が続き、本人はきっと走っているつもりなのだろうが、歩いているのと然程変わらないであろう速度でヨタヨタフラフラ走っている。
…いや、走っているのか?あれで?本当に?
多分私が普通に歩いた方が早い、と夏油は冷静に考える。
そして思う、もっと…再会ってのは感動的なもんなんじゃないかな…と。
残念だ、実に残念だ。何がそんなに残念って、その姿が目に飛び込んで来た瞬間は確かに時が止まるかと錯覚したのだ。呼吸を忘れ、柔い三つ編みを食い入るよう見つめようとしたが、過去 あの夏の経験からそんな悠長に、感情に素直に浸っていてはアレは多分死ぬ。
というかもう限界であろう、多分アレ…その辺で寝はじめるぞ…と夏油は歩みを数秒止めて瞳を平べったくし、自分の真ん前を何とか足を上げて走る…走っているように見える少女を見やる。
先に気付いたのは影法師の方であった。いや、お前が先に気付くんかい。
影法師が夏油を認識すると「ハッ」とした表情をし揺れるままにその場に留まる。少女はそれに気付かず「ハヒー…ヒュー……」と死に絶えそうな呼吸をしながら前に進む。
夏油はガクリッと一度首を垂らすと、一呼吸を飲み込んだ後にソレに向かって歩みを進める。
揺れる三つ編みと距離が縮まる、影法師は近付いてくる夏油に向かってサムズアップを一つ決めてシュルリとただの影へと戻っていった。
感傷に浸る間も無く本当に、あっという間に追い付いた。
あれだけ何度も色褪せぬように脳裏に浮かび上がらせ、祈るように名前を口ずさみ、いつか会えるようにと日記を読み返していた日々であった。
海を見れば共に行きたいと言った君を思い出した。
秋が来れば美術館の展示案内ポスターが目に止まった。
冬がになれば星空を見上げてしまった。
春には君に会いたいと、少女はそう言った。
小道には直に芽吹くであろう花の蕾が並んで花開くのを待っている。早咲きの山桜がチラリチラリと小さく美しく咲いていた、穏やかな午後の風が春の香りと共にそよいでいる。
春だ、幼少の頃 夏油が愛した背中が前を行く。
「蚕」
名前を呼ぶ、幼き夏の日以来口にしなかった音を口にする。
その名を持つ少女が次の一歩を踏み出す前に立ち止まる。ヒィヒィと切なくなるような荒い呼吸をしながら立ち止まりゆっくりと振り返った。
細まっていた瞳が目の前に人間が居ることを認識する。目線の先に顔は無い、これは胸元か…と酸欠で回らない頭を何とか働かせ上に目線を持ち上げる。
誰だ、私の走り込みの邪魔をする奴は…止まったらな…死ぬ(寝ちゃう)んだぞ…。と蚕は内心思いながらその顔を見る。
夏油は困ったような、苦しそうに何かを堪えるかのように微笑みながら蚕を見つめていた。
それは何故か、理由は至って簡単である。別に沸き上がる思いに耐え忍んでいるわけでは無い。そう、目の前の肺からヒューヒュー音を鳴らしながらこちらを見上げる円城蚕があからさまに「誰だコイツ…邪魔しやがって…」というような顔をしているからだ。
いや、君の影は気付いたんだけどなあ?おかしくないかな?
確かに昔の面影が残っているかと言われると、自分でも悩んでしまう程ではあるが。それにしたって…コイツ、コイツ本当にこういうとこ…。
しかし最早コイツがそういった人間であると理解しつくしている夏油はあくまで優しく困ったように問いかける。
「蚕、私が分かるかい?」
息が未だ整わない少女は「チョト…マッテ…ハフー…」と上手く働かない頭に片手を置いて瞳を閉じる。
次第に呼吸が整ってきた蚕は目を開き、そのクリームソーダの色からやや濃くなった色合いのペリドットのような瞳で夏油を見上げた。
口を小さく開き彼女は固い表情で言う。
「……ヒントを」
瞬き二つ、夏油は今度こそ眉根を寄せて口元をヒクヒクとひきつらせた。コイツ…コイツ…。
右の拳を握りしめ感情を抑える、駄目だ落ち着け、よく考えろ相手はあの亀か蚕かと言われる程トロっちい人類代表に名を連ねる奴だぞ。思考も遅いんだ、仕方がない。
そう己に言い聞かせ、見上げてくる少女に向かって何を言おうか迷っていた。
そんな折角の再会を台無しにするようなことを言った本人は、固くした表情をゆるりと緩めて言葉を重ねる。
「名前がね…ミから始まって、シャで終わるとこまでは分かるのだけれど」
可愛い黒猫、子猫ちゃんだったのになあ…まあ、猫って小さな頃と成長してからではかなり表情や雰囲気が異なる個体も居るものね、と蚕は見上げた先、黒く逞しくスラリと成長を遂げた夏の思い出に住まう少年であった人物を見つめた。
「そこまで分かっていれば十分じゃないかな?」
夏油もその緩められた表情に合わせてフッと表情から力を抜き視線を合わせた。
「私、まだ訓練の途中なのよね」
「今のは何の訓練なんだい」
「分からないの?」
「酔っぱらいの歩き方みたいだった」
まあ酷い猫ちゃんね、と蚕は一つ笑うと三つ編みを猫の尾のように揺らめかし、クルリと背を向けて今度は走らずゆっくりと春を待つ大地を踏みしめ歩み始めた。
夏油はそれが正しい形であるかのように、蚕の手を後ろからすくってソッと壊れぬように繋ぎ 旋毛を眺めてから背中を見下ろし後ろをゆっくりゆっくりと付いて歩く。久しく忘れていたが、相変わらず生温かいような温度をした手であった。
訓練、今日くらいは勘弁して下さいねと心の中で夜蛾に向かって謝罪と言い訳を並べる。
己の手なんぞ簡単に包み込まれてしまう程に成長した夏油の手をクイクイッと軽く引っ張り首を少し傾けて無言で隣に来るようにとジェスチャーを送る。
それを正しく理解したのであろう夏油は柔らかい気持ちになりながら繋いでいた手を一度離し、大きな一歩で隣に並んでもう一度手を繋ぐ。
はじめて横に並んだ、蚕は「日除けに役立ちそう…」と大変失礼なことを呟いたので、夏油も「このままじゃ日が暮れるのが先かな」とお返しした。
蚕は繋いだ手をプラプラと揺らしてみたり、ニギニギと確認するように握りながら呟いた。
「君とだったら別に悪くないかもね」
ねえ、ミーシャ。君もそう思ってくれる?
いつかの夏のように同意を得ようと首を上向かせ見上げるように微笑んだ。その笑みは、あの夏に記憶する これからの夏休みの楽しい日々に期待を膨らませるようなそんな眩い笑顔であった。
だから夏油もあの夏に帰ったように言葉を返す。
「…うん、まあね そう思うよ」
そうすれば、蚕はうんうんと頷きながら「知ってた、ありがとう」と口元をニンマリとし、瞳を弓なりにしてこちらを見つめて視線を前に戻していく。
互いの日常にあの夏の思い出が戻って来た。
時を重ね、夏油傑は子猫から立派な青年へ、思い出の日々の中に生きていた少女はトロっちくても影を伴い呪術師へと道を進む。
夏油傑には忘れられない夏がある。
その夏には、この世のありとあらゆる美しい物が詰め込まれた夏であった。
その思い出は今尚瞼の裏で星と共に流れ行く。
そして、瞼を開けば隣には 今度は宝物をくれた少女が春と共に居る。
春が終われば また夏が来る、今度は共にその次の秋も冬も時間をゆっくり重ねていけるのだ。
二人は春が芽吹き始めたばかりの小道をゆっくりゆっくり歩みを進める、なるべく長く この時間が続くようにと。
そう願って、夜が来るまでには帰ろうと同じ時を重ねるのだった。
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拝啓あの夏の思い出達よ、君が愛しいよ。