夏油傑と思い出の子
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いやあ…昨夜は激しかったわね…(言葉通りの意味で)
気だるさを抱えつつ眠りから徐々に覚醒し、ボケーとしていると何かがおかしいことに気付く。
はて、私 何故座りながら眠っているのか。
何故、両手首をガッツリ何かで固定されているのか。
「んええ」と言う絶妙に可愛くない声を思わず上げてしまうが気にしてなんていられなかった。
何??ここ???新しいタイプのユニバーサルなスタジオのイベントかしら?
なるほどこれが寝起きドッキリってやつか~ はじめての体験だな。
円城蚕、あまりに世界に興味が無さすぎて危機感が仕事を辞めていた。
部屋の四方を貼り固めるはおどろおどろしい貼り札の山々、達筆な字でぬらぬらと書かれた現代を生きる若人(わこうど)には理解し難い文字の有り様であったが、蚕はそもそも認識すらまともにしていない。寝起きなものでして、頭ぽやぽやである。
足の先、地を這うは密教の楼閣を模したかのような曼陀羅に似たそれらが蚕を中心に円を描くようにぐるりと周りを固めている、足先から伝わる温度は底冷えしそうなほどに冷たく 天を仰げばそこには立派なしめ縄と共にお経がつらつらと書かれている。それと共にやはり札。
空気は酷く乾いており、耳が痛くなるほどに音が無い。すきま風すら存在せず、空気が重く、淀んでいるようだ。
ぐるりと首を回せるだけまわし、見れるかぎりの一面を見渡したのち、正面に位置していた扉が ギィ…と重たい音を立ててゆっくりと開いてくる。
視線を前に投げ掛ける。
声も掛けずに部屋に入ってきたのは老人達とガタイの良い男。
無音を割り開くように、目が覚めたか、と誰かが口にした。
「名前を言えるか」
あまりに突然の質問、蚕は瞬きを一つし、思う。
これ、もしやユニバーサルなスタジオじゃないのでは?と。
寝起きドッキリでもないな?どゆこと?私の身には一体何が起きて……ハッ!もしや…これは……!!
「マトリックス!!!」
蚕は目を輝かせ元気良くお返事出来た。
和制版マトリックスじゃんこんなの!今から絶対改造手術を受けるのだ、どうしよう。楽しみ過ぎるぞ…。そして美女の相棒が出来て、仲間が出来て…そして…ああ、黒いロングコートをはためかせ グラサンをかけて闘うのだ。メタファー、信仰、哲学…映像革命のごとき世界に私も…どうしよう、どうしよう。蚕はいつに無く元気になった、だってそういうお年頃、最近見た映画には両腕に半分ずつ魔方陣が書かれた主人公が悪魔とドンパチしていた。それにずっと憧れていたのだ。
カッケェ……ヤベェよ…。
そんな脳内ふわふわスポンジ状態の蚕の元気いっぱい、お名前言えるかなー?ぼく、マトリックスー!! な返事にその場にいる誰もが口を継ぐんだ。
誰やねんマトリックス。
おじいちゃん達の心の声をまとめるとこんな感じである。
ガタイの良い男、夜蛾正道だけが 何か絶対この子勘違いしてるな…どうしよっかな…と真面目な表情を保ったまま考えを巡らせる。
夜蛾は一度場に流れる生あたたか~い空気を脱ぎ払うべく、ゴホンッとわざとらしい咳を一つし、もう一度 今度は「"自分"の名前は言えるか?」と問いかけた。
蚕は ああ、これは初っぱなが大事だなと身構える。心無しかいつもより凛々しい表情をし、口元にフッと笑みを浮かべてキリリッと答える。
「私の名前は………円城蚕よ」
ネオ リスペクトである。
まあしかし伝わらない、やたら溜めて自己紹介するなあ と思われた。スベッスベのツルッツルに滑りまくりである。
うーん…何だろうこの、残念極まれりな感じは。
まず、この部屋に入っているとはそういうことである。『秘匿死刑』簡単に説明すると、呪術界の上の席に座っている偉いおじいちゃんおばあちゃんが この子危ないから消しちゃお~。あ、秘密にね~。というようなものである。
この部屋はそんな秘密裏に処刑される人間を隔離しておくための部屋であるはずなのだが、この少女にはこの部屋の異質で穏やかではない空気が伝わっていないのだろうか。
何に夢を抱いているのか知らない…いや、理解したくないが、瞳をきらめかせこちらの反応を隠しきれないワクワクを抱えながら見つめてくる。
この空間にはあまりに似合わないそれに、夜蛾は大変微妙な気持ちになってしまった。
報告によると、彼女はとんでもないモノを引き連れている。
一番はじめにそれを観測し、出会ってしまった者は言う。
「あれは理を超えている」
聞こえたし見えた、だが理解は出来なかったのだ。認識はした、しかし自分が何を認識しているか分からない。磨りガラス一枚向こうで途方もなく巨大でまばゆい闇が辺り一面を蹂躙し、そこだけ世界を別の存在へと変貌させてしまう。
その闇に彩られたさざめく影の間をキラリと星屑の如く乙女が駆ける。
それだけが理解出来た、その乙女だけがその"世界"で唯一我々と同一存在であると理解出来たのだ。
他は何もかもが分からなかった、きっとこの星に住まう数多の生命にはまだ早いものなのだと結論付ける。
つまり、少女は今現在、この文明にとって不必要な存在を抱えている。
我々の理の外に存在するソレ、こちらは認識出来ずにいるのに ソレはこちらを闇を引き連れ夜を纏わせ書き換える。
それを少女の指示一つであの晩あの公園でやり遂げたのだ。
それがどれだけ人類にとって恐ろしいことなのか、脅威足り得るものであるか、きっと円城蚕はおよそ理解していない。
だからこそ、呪術界上層部は秘密裏に消すことにしたのだ。新たな世界を孕む影を従える少女を。
そんなことなど知らない蚕は固い表情で自分に事情を説明する大人達の説明を最初は真面目な顔をして聞いていた。しかし、段々と内容の雲行きが怪しくなるにつれて蚕の表情も冷めていく。
最終的には全ての説明の終了時に「あ、そう」とだけ冷たく言って、沈黙した。
脳内ではこうである。
寝起きドッキリ(死刑)ふざけるな
な~~~にが秘匿死刑じゃ、こっちは新世界の育ての親やぞ???
私が死ぬことごときでどうにかなる事情だと思っているのか?多分というか、八割確信を持って言えることは、私が拾って育てた神の影はまずもって私がこんなところでくたばるのを許さないだろうし、仮に今ここで私が死んだら世界がひっちゃかめっちゃかになるだろう。
そもそもが前提として間違ってるのだ、確かにはてなは私の影であるが別に従えているわけでは無いのだ。しいて言うなら『ツレ』という奴である。私が育てました の生産者の顔写真には私の顔が載るが、別に私の物ではない。この影は自分の意思でどうにだってなれるし、どこへだって行けるのだ。今は私の影に住み付いているが、それは単純に共存関係が成り立っているからである。
私は私の全てを持ってして、この世界の始まりを今の形に育てて保っているのだ。
はてなも自分が解放されたらどうなるか理解しているだろうから、今は一緒に楽しんでくれているだけなのだ。それを忘れてはならない。
つまり、今ここで私を殺すという選択を受け入れてしまえば 良くてここら一帯の辺り一面が向こう数百年別の理とやらに蝕まれてこの星の生命が生活出来なくなるような事態となる、もしくはそれ以上の到底受け入れることが出来ないようなどうしようも無い事態が文明を襲うであろう。
だから私はこれ見よがしにため息を吐いてから何処かに居るだろう相棒に声を掛けた。
「ねえ君、私が死んだらどうするのよ」
すると、どこからかガラスを叩くような音が聞こえはじめた。
コツ コツ
コツリ コツリ
次第に、その音は大きく、激しくなっていく。
ドンッ ドンッ
ゴンッ ゴンッ
音に合わせて何かがきらめいた。
それは『声』であった。
夜蛾は音を認識する、次の瞬間には脳がそれを声と認識した。
硬いものを無理やりに引き裂いたような声であった、それが笑う。けたたましい声量で、愉快に 否、苦しそうに声を上げる ケラケラケタケタと笑い続ける。
空間にちっぽけな人類を嘲笑う声がこだます。
肌をビリビリと揺らすその音は次第に耳を塞がずにはいられない暴力的な大きさへとなって部屋へ干渉を続ける。
そうせずには居られなくなって少女を見やる、少女はただ目を瞑ってこの状況の中じっとしていた。
しかして、次第に音は途切れ途切れになっていく。
肌を揺らすその笑い声は徐々に大人しくなり、最後にケケケッと笑うと音を止めた。
止まった、のか?終わったのか?
大人達は誰もが耳から両手を離し、周りを警戒する。
お互いの呼吸音のみが聞こえる静寂が戻ってくる。
だが、次の瞬間であった。
それは言った、呟くように 掠れた音で鳴くように言葉を作る。
「サイチャウ」
次いで笑い出すのはこの状況下で沈黙を貫いていた少女であった。
アハハッと愉快そうに、軽やかに笑い出す、すると先ほどの言葉に返すように笑いを堪えながら言った。
「そう、それは大変ね」
閉じられていた瞼をゆるりと開き、口の端を上にあげてそれはもう楽しそうに言った。
「そうしたらその世界で一緒にパーティーをしましょうね、人類を花に変えて、私と君だけのとびっきりのパーティーをしましょ」
ミーシャだけは誘ってもいいけれど。
だなんて、人類に呆気の無い終わりを突きつける。
夜蛾含めた大人達は唖然呆然とその世界終了の選択をする会話を聞いていた。
後ろで、閉めたはずの扉の開く音がした。
気だるさを抱えつつ眠りから徐々に覚醒し、ボケーとしていると何かがおかしいことに気付く。
はて、私 何故座りながら眠っているのか。
何故、両手首をガッツリ何かで固定されているのか。
「んええ」と言う絶妙に可愛くない声を思わず上げてしまうが気にしてなんていられなかった。
何??ここ???新しいタイプのユニバーサルなスタジオのイベントかしら?
なるほどこれが寝起きドッキリってやつか~ はじめての体験だな。
円城蚕、あまりに世界に興味が無さすぎて危機感が仕事を辞めていた。
部屋の四方を貼り固めるはおどろおどろしい貼り札の山々、達筆な字でぬらぬらと書かれた現代を生きる若人(わこうど)には理解し難い文字の有り様であったが、蚕はそもそも認識すらまともにしていない。寝起きなものでして、頭ぽやぽやである。
足の先、地を這うは密教の楼閣を模したかのような曼陀羅に似たそれらが蚕を中心に円を描くようにぐるりと周りを固めている、足先から伝わる温度は底冷えしそうなほどに冷たく 天を仰げばそこには立派なしめ縄と共にお経がつらつらと書かれている。それと共にやはり札。
空気は酷く乾いており、耳が痛くなるほどに音が無い。すきま風すら存在せず、空気が重く、淀んでいるようだ。
ぐるりと首を回せるだけまわし、見れるかぎりの一面を見渡したのち、正面に位置していた扉が ギィ…と重たい音を立ててゆっくりと開いてくる。
視線を前に投げ掛ける。
声も掛けずに部屋に入ってきたのは老人達とガタイの良い男。
無音を割り開くように、目が覚めたか、と誰かが口にした。
「名前を言えるか」
あまりに突然の質問、蚕は瞬きを一つし、思う。
これ、もしやユニバーサルなスタジオじゃないのでは?と。
寝起きドッキリでもないな?どゆこと?私の身には一体何が起きて……ハッ!もしや…これは……!!
「マトリックス!!!」
蚕は目を輝かせ元気良くお返事出来た。
和制版マトリックスじゃんこんなの!今から絶対改造手術を受けるのだ、どうしよう。楽しみ過ぎるぞ…。そして美女の相棒が出来て、仲間が出来て…そして…ああ、黒いロングコートをはためかせ グラサンをかけて闘うのだ。メタファー、信仰、哲学…映像革命のごとき世界に私も…どうしよう、どうしよう。蚕はいつに無く元気になった、だってそういうお年頃、最近見た映画には両腕に半分ずつ魔方陣が書かれた主人公が悪魔とドンパチしていた。それにずっと憧れていたのだ。
カッケェ……ヤベェよ…。
そんな脳内ふわふわスポンジ状態の蚕の元気いっぱい、お名前言えるかなー?ぼく、マトリックスー!! な返事にその場にいる誰もが口を継ぐんだ。
誰やねんマトリックス。
おじいちゃん達の心の声をまとめるとこんな感じである。
ガタイの良い男、夜蛾正道だけが 何か絶対この子勘違いしてるな…どうしよっかな…と真面目な表情を保ったまま考えを巡らせる。
夜蛾は一度場に流れる生あたたか~い空気を脱ぎ払うべく、ゴホンッとわざとらしい咳を一つし、もう一度 今度は「"自分"の名前は言えるか?」と問いかけた。
蚕は ああ、これは初っぱなが大事だなと身構える。心無しかいつもより凛々しい表情をし、口元にフッと笑みを浮かべてキリリッと答える。
「私の名前は………円城蚕よ」
ネオ リスペクトである。
まあしかし伝わらない、やたら溜めて自己紹介するなあ と思われた。スベッスベのツルッツルに滑りまくりである。
うーん…何だろうこの、残念極まれりな感じは。
まず、この部屋に入っているとはそういうことである。『秘匿死刑』簡単に説明すると、呪術界の上の席に座っている偉いおじいちゃんおばあちゃんが この子危ないから消しちゃお~。あ、秘密にね~。というようなものである。
この部屋はそんな秘密裏に処刑される人間を隔離しておくための部屋であるはずなのだが、この少女にはこの部屋の異質で穏やかではない空気が伝わっていないのだろうか。
何に夢を抱いているのか知らない…いや、理解したくないが、瞳をきらめかせこちらの反応を隠しきれないワクワクを抱えながら見つめてくる。
この空間にはあまりに似合わないそれに、夜蛾は大変微妙な気持ちになってしまった。
報告によると、彼女はとんでもないモノを引き連れている。
一番はじめにそれを観測し、出会ってしまった者は言う。
「あれは理を超えている」
聞こえたし見えた、だが理解は出来なかったのだ。認識はした、しかし自分が何を認識しているか分からない。磨りガラス一枚向こうで途方もなく巨大でまばゆい闇が辺り一面を蹂躙し、そこだけ世界を別の存在へと変貌させてしまう。
その闇に彩られたさざめく影の間をキラリと星屑の如く乙女が駆ける。
それだけが理解出来た、その乙女だけがその"世界"で唯一我々と同一存在であると理解出来たのだ。
他は何もかもが分からなかった、きっとこの星に住まう数多の生命にはまだ早いものなのだと結論付ける。
つまり、少女は今現在、この文明にとって不必要な存在を抱えている。
我々の理の外に存在するソレ、こちらは認識出来ずにいるのに ソレはこちらを闇を引き連れ夜を纏わせ書き換える。
それを少女の指示一つであの晩あの公園でやり遂げたのだ。
それがどれだけ人類にとって恐ろしいことなのか、脅威足り得るものであるか、きっと円城蚕はおよそ理解していない。
だからこそ、呪術界上層部は秘密裏に消すことにしたのだ。新たな世界を孕む影を従える少女を。
そんなことなど知らない蚕は固い表情で自分に事情を説明する大人達の説明を最初は真面目な顔をして聞いていた。しかし、段々と内容の雲行きが怪しくなるにつれて蚕の表情も冷めていく。
最終的には全ての説明の終了時に「あ、そう」とだけ冷たく言って、沈黙した。
脳内ではこうである。
寝起きドッキリ(死刑)ふざけるな
な~~~にが秘匿死刑じゃ、こっちは新世界の育ての親やぞ???
私が死ぬことごときでどうにかなる事情だと思っているのか?多分というか、八割確信を持って言えることは、私が拾って育てた神の影はまずもって私がこんなところでくたばるのを許さないだろうし、仮に今ここで私が死んだら世界がひっちゃかめっちゃかになるだろう。
そもそもが前提として間違ってるのだ、確かにはてなは私の影であるが別に従えているわけでは無いのだ。しいて言うなら『ツレ』という奴である。私が育てました の生産者の顔写真には私の顔が載るが、別に私の物ではない。この影は自分の意思でどうにだってなれるし、どこへだって行けるのだ。今は私の影に住み付いているが、それは単純に共存関係が成り立っているからである。
私は私の全てを持ってして、この世界の始まりを今の形に育てて保っているのだ。
はてなも自分が解放されたらどうなるか理解しているだろうから、今は一緒に楽しんでくれているだけなのだ。それを忘れてはならない。
つまり、今ここで私を殺すという選択を受け入れてしまえば 良くてここら一帯の辺り一面が向こう数百年別の理とやらに蝕まれてこの星の生命が生活出来なくなるような事態となる、もしくはそれ以上の到底受け入れることが出来ないようなどうしようも無い事態が文明を襲うであろう。
だから私はこれ見よがしにため息を吐いてから何処かに居るだろう相棒に声を掛けた。
「ねえ君、私が死んだらどうするのよ」
すると、どこからかガラスを叩くような音が聞こえはじめた。
コツ コツ
コツリ コツリ
次第に、その音は大きく、激しくなっていく。
ドンッ ドンッ
ゴンッ ゴンッ
音に合わせて何かがきらめいた。
それは『声』であった。
夜蛾は音を認識する、次の瞬間には脳がそれを声と認識した。
硬いものを無理やりに引き裂いたような声であった、それが笑う。けたたましい声量で、愉快に 否、苦しそうに声を上げる ケラケラケタケタと笑い続ける。
空間にちっぽけな人類を嘲笑う声がこだます。
肌をビリビリと揺らすその音は次第に耳を塞がずにはいられない暴力的な大きさへとなって部屋へ干渉を続ける。
そうせずには居られなくなって少女を見やる、少女はただ目を瞑ってこの状況の中じっとしていた。
しかして、次第に音は途切れ途切れになっていく。
肌を揺らすその笑い声は徐々に大人しくなり、最後にケケケッと笑うと音を止めた。
止まった、のか?終わったのか?
大人達は誰もが耳から両手を離し、周りを警戒する。
お互いの呼吸音のみが聞こえる静寂が戻ってくる。
だが、次の瞬間であった。
それは言った、呟くように 掠れた音で鳴くように言葉を作る。
「サイチャウ」
次いで笑い出すのはこの状況下で沈黙を貫いていた少女であった。
アハハッと愉快そうに、軽やかに笑い出す、すると先ほどの言葉に返すように笑いを堪えながら言った。
「そう、それは大変ね」
閉じられていた瞼をゆるりと開き、口の端を上にあげてそれはもう楽しそうに言った。
「そうしたらその世界で一緒にパーティーをしましょうね、人類を花に変えて、私と君だけのとびっきりのパーティーをしましょ」
ミーシャだけは誘ってもいいけれど。
だなんて、人類に呆気の無い終わりを突きつける。
夜蛾含めた大人達は唖然呆然とその世界終了の選択をする会話を聞いていた。
後ろで、閉めたはずの扉の開く音がした。