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番外編

珍しくアイドルが出るようなテレビ番組を見たせいか、私の今のテンションはアイドルである。
ファンサ?とかいう、あのパフォーマンス私もやってみたい~!
お兄ちゃんとかにやっても「は?」って顔されて終わりそうだから、喜んでくれる相手限定でやってみたい!

と、いうことで私は一人歩いている灰原くんを見つけたため、おーい!と声を掛ける。
少し遠くを歩いていた彼はこちらに気付き、パッと表情を明るくさせた。

よし、今だ!

私は口元に片手を当てて、チュッと離す。
そう、これこそは最強のファンサービス……投げキッスである!!

受け取れ、私の投げチュー!という思いを込めて放たれた投げキッスに灰原くんは目を見開いて固まった…後、空中の何かを掴む仕草をしてそれを口元へと運び、口を大きく開いてパクっと食べた。

食べた……?
え、何を?ん??おっと…これは…私の投げチューを食べた…ということであっているだろうか。
なるほど、食べるのもありなのか…また一つ賢くなってしまったな。

ふむふむと灰原くんの行動について考えていれば、今度は彼が「せんぱーい!」と元気いっぱいに呼び掛けて来たので、顔を挙げそちらを見やる。
そうすれば、今度は彼が口元に両手を当ててこちらに向けてチューを放って来た。
そしてやった後に恥ずかしかったらしく、照れたように頬をかき出した。

「か………か、可愛い……!!!」

可愛い!!!
なんて可愛いんだ灰原雄!!!
高専の宝!!お前がナンバーワン!!メインヒロインの風格!!アンケート一位おめでとう!!!

私は衝動のままに走り出す。

両手を広げ、勢いそのままにどうにかなりそうな程可愛い後輩を抱き締めた。
ムギューッ!可愛いぞ灰原雄ーーー!!そんなに可愛くてイインカ帝国ーーー!!!

「君のチューで狂いました、責任を取れ灰原くんよ」
「えっ!責任取っていいんですか!?」

いいって何が?と聞く前に、灰原くんは突如私を抱えると走り出した。
なんだなんだ、どうしたというのだ。

「え?これ何処向かってるの?」
「先輩の家にご挨拶しなきゃ…!」
「どんな発想!?」

そもそも私の家京都なんだが!?ここから京都まで大分あるよ、走って行ける距離では無いぞ。
落ち着け落ち着け、むしろ責任を取らなければならないのは私の方だからね、私ったら君の身体を滅茶苦茶にしてしまったし。
まあそれは置いといて、灰原くんは今日も元気で可愛いことを確認し、その可愛さを堪能出来たので私としましては満足です。

可愛い投げチューご馳走さまでした。
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