番外編
冬と言えばコタツである。
コタツ…日本人が生み出したとんでもない代物だ、誰であろうと抗えぬこの魅力、かの特級呪術師ですら取り込まれたら最後、抜け出すことは不可能だ。
高専にある雑談部屋に設置されたコタツには、生徒達がわんさか集まっている。
皆で揃ってぬくぬくしたいらしい、あの七海くんですらこたつに脚を突っ込み黙々と読書している。コタツと七海くん、案外合うぞ。
寒空の下、天青石片手に屋外で実験をしていた私であったが、灰原くんに「そろそろ休んで下さい!」と言われたため、共にコタツへやって来た。人間やめてるから寒さとかあんまり気になんないんだけど、感じないわけじゃ無いからコタツに入った瞬間ホッとした。
「みかんがある」
「補助監からの差し入れらしいですよ、僕が剥きます!」
「ありがとう、白いのあっても大丈夫だからね」
灰原くんは今日も今日とて甲斐甲斐しい。
そこまでしなくてもいいのになぁ…って思っても、彼が楽しそうにしているため口を噤む。
しかし、それを見ていた五条くんは嫌そうな顔をして口を開いた。
「よそでやれ、よそで」
「五条さんもミカン食べますか?」
「いらねぇし、自分で剥ける」
や、私も自分で剥けるけど。
てか五条くんこたつの中で攻撃してこないでよ!脚を蹴るな!
やられたらやり返すのは当たり前のことなので、私も五条くんの脚をグニグニと捏ねてやった。
フハハハハッ、パンのように捏ねて捏ねて捏ねまくってやる!
コネ、コネ…コネ、コネ…
うんしょ、うんしょ…コネ、コネ…
「ちょ、脚やめろ」
「…なんで顔赤くなってるの?」
「エロい気分になってきたから」
え、なんで?本当になんで???
五条くんは脚捏ねられて興奮する性癖をお持ちの方だったのか…へぇ、ふーん…。
そりゃいいことを知った。
「よし、もっとやってやろう」
「はあ!?おい灰原お前の夫だろ、早く止めろ!」
「先輩、あーん」
「あーん」
灰原くんに餌付けされながら、逃げる五条くんの脚を捏ねる。
いやぁ、実は前々から嫌味な脚だと思ってたんだよねぇ!長くて細くて、それを見せびらかすように投げ出して座ったりしてさ、そんで私の脚見て鼻で笑うんだもん。「俺の半分しかねぇじゃん」って指差したりしてさ、なのでこれは復讐ですよ。
デカくて長いってことは、何処へ逃げても意味が無いのだよ!ワハハッ!!くらえ、足の裏サワサワ攻撃!からの脛コネコネ!
「ンッ…ちょっ…とマジで、お前!」
「今の色っぽい声録音しといたからね、高値で売れるぞこれは」
「ふざけんな、売るな、責任取れ!!」
「私は既に妻を娶ってしまっている身でね…責任は取れないんだ、ごめんよ」
「「ねー!」」と仲良く灰原くんと顔を見合わせて言えば、とうとうコタツから出た五条くんは立ち上がって私の方へとやって来た。
ま、待て待て待て、コタツから出るのは反則じゃないかな!?我々はコタツの中という領土内にて戦っていたのであって、コタツの外で争う理由なんて無いでしょう!?
「は、話し合おうよ!ね!ね!」
「やめろっつったのに無視したのお前じゃん、なあ?」
ひぃ…"ガチ"な目をしている…。
思わずピルピルと震えながら灰原くんの方に身を寄せようとするも、その前に手を伸ばして来た五条くんが私の腹へと指先を触れさせた。
コショコショコショコショ……コショコショコショコショ……
両手の指が私の腹やら脇やら首やらに這う、が、しかし。
「いや、なんで何も反応しねぇんだよ!」
「うーん…元々神経も可笑しかったから、鈍いんだよねぇ」
「足出せ足!足の裏!」
「えー…」
まあいいけど…よいしょとコタツから脚を引っこ抜き、靴下を脱いで足の裏を出せば、先程と同じようにコショコショと指先が這い回った。
うーん…触られてる感覚はあるが、それだけだ。別に快、不快を感じることもない。
「クソ、脚短ぇ癖に」
「五条くんと比べたら誰だって短いよ!」
「小指ねぇ癖に」
「あるよ!ちゃんと見て!!」
なんで毎回小指の存在無視するの!あるから、爪だって小さいけどあるから、いずれ人間は足の小指が無くなるとかの話があるけど、私はまだあるタイプのヒューマンなので。
五条くんに足を突き付け、足の小指をピコピコ動かしてやれば、五条くんはつまらなそうな顔をした後に目線を下にさげて鼻で笑った。
「今日は黄緑ね」
「パンツ見て笑うな!」
「もうちょいエロいの穿けよ」
「君の趣味なんて知らないよ、バカ」
瞬時にコタツに脚を突っ込み直し、顔を突っ伏して不貞腐れてやった。これお気に入りなのに、燐灰ウラン石みたいな色で気に入ってるのに、チクショウ。
「クリスマスプレゼントにパンツ買ってやろうか」
「いらないもん」
貰っても絶対穿かないからね、あと七海くん、さっきからずっと無言で本読んでるけど、全くページが進んでないことバレバレだから。灰原くんも「僕もプレゼントしたいです」とか目で訴えて来ないでくれ、君のは純粋な気持ちだと分かってるから断り辛いんだ。
…
ってなことを話したのが数年前の話。
クリスマスに突然研究室にやって来た五条くんが、プレゼントをくれたので、その場で喜びハシャいで包を開けば出て来たのは黒いレースの下着セットだった。
「お前どうせまだあの可愛いだけのパンツ穿いてんでしょ?だからさ、プレゼントしてやろうと思って」
「なんでサイズしってるの」
「僕、最強だから」
最強なのとブラのサイズを知ってるのは関係無い話ではないかな???
最近、唯一の友人が距離感をバグらせててちょっと可笑しいことに気付いた。これを硝子ちゃんに相談したら「今更?」とマジトーンで言われたので、今更な話だったらしい、今まで気付かなかった。だって五条くん友達少ないから…夏油くんがあんなんなっちゃって寂しいのかなって思って…野放しにし過ぎたらしい。
「着てね♡」
「え、え〜〜?これを〜?」
こんな布面積少ないやつを?うわぁ…よく見たらレースめちゃめちゃ細かいじゃん、五条くんってこういうのが好きなの?私はもっとフワフワした方が好きなのになぁ…。
渡すだけ渡して満足したのか五条くんは何処かへ行ってしまった。
とりあえず、どうしよう…研究室に置いといたら忘れそうだから夏油くんの病室にでも置いておこうかな。枕元に置いといてあげたら良い夢見れるかもしれないし、うん、私からのクリスマスプレゼントってことでそうしよう。
メリークリスマス、早くお目々覚ましてね。
コタツ…日本人が生み出したとんでもない代物だ、誰であろうと抗えぬこの魅力、かの特級呪術師ですら取り込まれたら最後、抜け出すことは不可能だ。
高専にある雑談部屋に設置されたコタツには、生徒達がわんさか集まっている。
皆で揃ってぬくぬくしたいらしい、あの七海くんですらこたつに脚を突っ込み黙々と読書している。コタツと七海くん、案外合うぞ。
寒空の下、天青石片手に屋外で実験をしていた私であったが、灰原くんに「そろそろ休んで下さい!」と言われたため、共にコタツへやって来た。人間やめてるから寒さとかあんまり気になんないんだけど、感じないわけじゃ無いからコタツに入った瞬間ホッとした。
「みかんがある」
「補助監からの差し入れらしいですよ、僕が剥きます!」
「ありがとう、白いのあっても大丈夫だからね」
灰原くんは今日も今日とて甲斐甲斐しい。
そこまでしなくてもいいのになぁ…って思っても、彼が楽しそうにしているため口を噤む。
しかし、それを見ていた五条くんは嫌そうな顔をして口を開いた。
「よそでやれ、よそで」
「五条さんもミカン食べますか?」
「いらねぇし、自分で剥ける」
や、私も自分で剥けるけど。
てか五条くんこたつの中で攻撃してこないでよ!脚を蹴るな!
やられたらやり返すのは当たり前のことなので、私も五条くんの脚をグニグニと捏ねてやった。
フハハハハッ、パンのように捏ねて捏ねて捏ねまくってやる!
コネ、コネ…コネ、コネ…
うんしょ、うんしょ…コネ、コネ…
「ちょ、脚やめろ」
「…なんで顔赤くなってるの?」
「エロい気分になってきたから」
え、なんで?本当になんで???
五条くんは脚捏ねられて興奮する性癖をお持ちの方だったのか…へぇ、ふーん…。
そりゃいいことを知った。
「よし、もっとやってやろう」
「はあ!?おい灰原お前の夫だろ、早く止めろ!」
「先輩、あーん」
「あーん」
灰原くんに餌付けされながら、逃げる五条くんの脚を捏ねる。
いやぁ、実は前々から嫌味な脚だと思ってたんだよねぇ!長くて細くて、それを見せびらかすように投げ出して座ったりしてさ、そんで私の脚見て鼻で笑うんだもん。「俺の半分しかねぇじゃん」って指差したりしてさ、なのでこれは復讐ですよ。
デカくて長いってことは、何処へ逃げても意味が無いのだよ!ワハハッ!!くらえ、足の裏サワサワ攻撃!からの脛コネコネ!
「ンッ…ちょっ…とマジで、お前!」
「今の色っぽい声録音しといたからね、高値で売れるぞこれは」
「ふざけんな、売るな、責任取れ!!」
「私は既に妻を娶ってしまっている身でね…責任は取れないんだ、ごめんよ」
「「ねー!」」と仲良く灰原くんと顔を見合わせて言えば、とうとうコタツから出た五条くんは立ち上がって私の方へとやって来た。
ま、待て待て待て、コタツから出るのは反則じゃないかな!?我々はコタツの中という領土内にて戦っていたのであって、コタツの外で争う理由なんて無いでしょう!?
「は、話し合おうよ!ね!ね!」
「やめろっつったのに無視したのお前じゃん、なあ?」
ひぃ…"ガチ"な目をしている…。
思わずピルピルと震えながら灰原くんの方に身を寄せようとするも、その前に手を伸ばして来た五条くんが私の腹へと指先を触れさせた。
コショコショコショコショ……コショコショコショコショ……
両手の指が私の腹やら脇やら首やらに這う、が、しかし。
「いや、なんで何も反応しねぇんだよ!」
「うーん…元々神経も可笑しかったから、鈍いんだよねぇ」
「足出せ足!足の裏!」
「えー…」
まあいいけど…よいしょとコタツから脚を引っこ抜き、靴下を脱いで足の裏を出せば、先程と同じようにコショコショと指先が這い回った。
うーん…触られてる感覚はあるが、それだけだ。別に快、不快を感じることもない。
「クソ、脚短ぇ癖に」
「五条くんと比べたら誰だって短いよ!」
「小指ねぇ癖に」
「あるよ!ちゃんと見て!!」
なんで毎回小指の存在無視するの!あるから、爪だって小さいけどあるから、いずれ人間は足の小指が無くなるとかの話があるけど、私はまだあるタイプのヒューマンなので。
五条くんに足を突き付け、足の小指をピコピコ動かしてやれば、五条くんはつまらなそうな顔をした後に目線を下にさげて鼻で笑った。
「今日は黄緑ね」
「パンツ見て笑うな!」
「もうちょいエロいの穿けよ」
「君の趣味なんて知らないよ、バカ」
瞬時にコタツに脚を突っ込み直し、顔を突っ伏して不貞腐れてやった。これお気に入りなのに、燐灰ウラン石みたいな色で気に入ってるのに、チクショウ。
「クリスマスプレゼントにパンツ買ってやろうか」
「いらないもん」
貰っても絶対穿かないからね、あと七海くん、さっきからずっと無言で本読んでるけど、全くページが進んでないことバレバレだから。灰原くんも「僕もプレゼントしたいです」とか目で訴えて来ないでくれ、君のは純粋な気持ちだと分かってるから断り辛いんだ。
…
ってなことを話したのが数年前の話。
クリスマスに突然研究室にやって来た五条くんが、プレゼントをくれたので、その場で喜びハシャいで包を開けば出て来たのは黒いレースの下着セットだった。
「お前どうせまだあの可愛いだけのパンツ穿いてんでしょ?だからさ、プレゼントしてやろうと思って」
「なんでサイズしってるの」
「僕、最強だから」
最強なのとブラのサイズを知ってるのは関係無い話ではないかな???
最近、唯一の友人が距離感をバグらせててちょっと可笑しいことに気付いた。これを硝子ちゃんに相談したら「今更?」とマジトーンで言われたので、今更な話だったらしい、今まで気付かなかった。だって五条くん友達少ないから…夏油くんがあんなんなっちゃって寂しいのかなって思って…野放しにし過ぎたらしい。
「着てね♡」
「え、え〜〜?これを〜?」
こんな布面積少ないやつを?うわぁ…よく見たらレースめちゃめちゃ細かいじゃん、五条くんってこういうのが好きなの?私はもっとフワフワした方が好きなのになぁ…。
渡すだけ渡して満足したのか五条くんは何処かへ行ってしまった。
とりあえず、どうしよう…研究室に置いといたら忘れそうだから夏油くんの病室にでも置いておこうかな。枕元に置いといてあげたら良い夢見れるかもしれないし、うん、私からのクリスマスプレゼントってことでそうしよう。
メリークリスマス、早くお目々覚ましてね。