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番外編

任務先で出会ったカッチョイイお姉さんに男の趣味を聞かれたが、そのお姉さんがカッチョ良すぎてデレデレしまくっていたので質問をちゃんと聞いておらず「おかぼ?陸稲ですか?育てたことは…ちょっと無いですね…」と頓珍漢な答えを返してしまった。

「おかぼじゃなくて、好きな男の好みを聞かせてくれないか?」
「あ、おとこ……男か…」

君のまわりには色んな男が居るだろう?ぶっちゃけ誰がタイプなのかな?
お姉さんは私の瞳を覗きこみながらそう聞いてきた。

「タイプ……」

私は言われるがままに自分の周囲に居る異性について整理する。
同級生に二人、後輩に二人、先生と親戚と兄と……確かに十人十色、様々な異性が居る、けどぉ…誰がタイプかと聞かれると、ぶっちゃけ別に誰のことも男として好きにはなったことが無い。
だから私は理想の男性像を思い浮かべて語ることにした。

「んー、私のこと可愛がってくれて、趣味や研究に理解を示してくれて、適度な距離感を保ってくれて……あ、これ硝子ちゃんじゃん」

硝子ちゃんだったや、私の好きなタイプ。
全部当てはまるじゃん、全部当てはまるついでに硝子ちゃんは私が周りから奇行だと言われることも「可愛い」で流してくれる…もしかして、ベストパートナーかな?

結局カッチョイイお姉さんは聞くだけ聞くと何処かに行ってしまった、私はこの日の報告書に「自分の好きなタイプが判明しました」とちゃんと報告した。


………
……



「ってことがあったんだよね」
「そこは俺じゃねぇのか」

部屋で鉱物をキュッキュッと磨いていたら、猫のように私の膝にゴロンと頭を置いてきたお兄ちゃんは、私のカッチョイイお姉さんに出会ったエピソードをめっちゃつまらなそうに聞いていた。

そこは俺じゃねぇのかって言いますけども、お兄ちゃんがタイプってそれは私でさえも「趣味悪いなあ」って思うよ。
まずプロヒモってなんだよ、ヒモにプロもアマチュアも無いよ。それにお金すぐ溶かすし、別に何か家事とかするわけでも無いし……お兄ちゃんのこと好きになって肉体関係を持ってしまった全ての女性に言いたいもん、世の中には他にもっといい男が沢山いるぞって。七海くんとか七海くんとか七海くんとか……。

「よく考えてもお兄ちゃんは私の好きなタイプと掠りもしないよ、まず私のこと可愛がってくれないじゃん」
「………頭撫でてやろうか?」
「必死か」

でも頭は撫でて貰いまーす!!よしよし大好き、沢山してほしいです。
ずずいっと頭を差し出せば、撫でるというにはあまりにもグチャグチャに掻き回してくるので口からは無意識に「あぅあぅ」と声が漏れ出た。
ああ~~~髪がグチャグチャになっちゃうよ~~!!私は別にグチャグチャでも構わないんだけど、ボサボサになった髪をほったらかしにしてると一部の方々に色々言われるんだよ。歌姫先輩とか夏油くんとか七海くんとか……あの辺りのママみのある方々がこぞって仕方無い子を見る目で見てくるんだ。私、赤ちゃんじゃないのに……。

「じゃあ髪整えてやるから、こっち座れ」
「えー…いいよ」
「なんでだよ」

なんでって…別にお兄ちゃんにそういうこと望んで無いし、そういうことしてくれるお兄ちゃんは別に居るから、そっちに甘えるからいいよ。
甚壱お兄ちゃんは私の面倒を見ることが仕事の一つだから、私の面倒を沢山見ないと駄目だけど、甚爾お兄ちゃんは私の面倒を見なくていいから。それより報告書を書く練習して欲しいな、毎回私が書くの嫌なんですが。

「別に無理に甘やかそうとしなくたって……」

私は磨いた鉱物を電気に照らして透かし見ながら言う。

「私の一番はいつだってお兄ちゃんだよ」
「それは知ってる」
「週一で言ってるからね」
「ノルマか?」

今週のノルマ達成!!
磨いた鉱物を棚に戻して、あくびをしている兄に飛び掛かるように腕を広げてダイブする。
軽々と私を抱き留めた兄はそのまま私を抱き枕にして寝る体制に入った。

「何なら毎日言うよ!」
「流石にいいわ」
「お兄ちゃん好き~!大好き~!!」
「おう」

おう、じゃないよ、返事を面倒臭がるな、コミュニケーション頑張ってよ~。

もうちょっとくらい、お兄ちゃんも私のこと大切にしてくれたら嬉しいのになあ………ああ…私、本当に趣味悪いなぁ…。
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