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二十五万カラットの憎悪

脚を蹴って来た悟に構っていたら、あの子に逃げられた。
さっきまで確かに居たはずなのに、気付くと教室から消えていて、またやってしまったと溜め息を吐く。

クラスメイトの女子二人、そのうちの一人から何故か避けられていた。
理由は不明、気付いたら「あれ…?私だけ避けられてる?」という状況で、現状打破をすべく なるべくにこやかに語り掛けたりしているつもりなのだが、未だによそよそしさは消えてくれなかった。

私以外の同級生二人とは仲良くしているらしく、休日に遊びに行ったという話すら聞く。
何が駄目なのかと硝子に聞けば、「ルックス、雰囲気、てか全部でしょ」との返答。
流石に全部は無いだろうと、先程のように話題に入ってみてもこの様だ。
もしかしたら本当に全部嫌われてるのかもしれない、どうしよう、私だって仲良くグミパしたい。悟から見せられた、大量のグミを口いっぱいに放り込んでひたすらモチャモチャ噛む彼女の動画めちゃめちゃ好きなのに。
だんだん険しくなる表情と、ゆっくりになる咀嚼が面白いんだこれが。
そういう下らないことを私も一緒にしたかった。

「あいつオタクだから、珍しい生き物とか石与えりゃ一発で懐くと思う」
「珍しい生き物…」

悟の提案に頭を悩ませる、珍しい…希少な存在。
確かに常日頃から、新種の蝶が見付かれば一目見るために海外出張を入れたり、質の良い希少鉱物を入手するために金を稼いだりとしているような子だ、その手はアリだろう。
しかし、希少な物はもう本人が粗方持っていそうな…私が用意出来るものなんてたかが知れている。

「最近は、呪力を持たない生き物が欲しいっつってた」
「それは難題過ぎないか?」


と、そんな話をしていたのが半年以上前。
事件は唐突に始まり、彼女の願いを叶えるチャンスがやって来ることとなる。
ある男との激闘の末に、果たして念願は届くのか。
そして私は彼女と仲良くなれるのか。
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