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番外編

さおや~~さおだけ~~~。
物干し~~~二本で千円~~。

普通の住宅街で流れる物干し竿販売のトラックとすれ違った私は思わず口走ってしまった。

「さおだの、もの欲しいだの、二本で千円だの……昼間からなんてはしたない!」
「はしたないのは貴女の方です」

ハッ!いかん…ここ最近夜なべして官能小説を書いていたせいで脳がふわふわピンクになってしまっている!
呆れた顔で私を見る七海くんの視線が痛い、違うんだよ~!私はただ芸術性を高めているだけで、はしたないことをしているんじゃないんだ、本当なんだ、信じてくれ!

「うぅ……日常の全てにエロスを見出だす脳になってしまった…」
「それはもう病気です」
「助けて……」

本気で駄目かもしれない。
最近はプロセスチーズにまでエロを見出だしてしまった、「避ける」だの「とける」だの「6P」だの…いやらしいったらありゃしない!………じゃないよ!
うわあ!違う違う違う!こんなのは芸術性であるエロチシズムでは無い!たんなる品性の無いオヤジギャグだ…。
何故、どうしてこんなことに……。

昨日なんて相談をした灰原くんにニコニコしながら「欲求不満なんですか?」って聞かれちゃったよ、私は後輩になんて言葉を言わせているんだ、最悪最低な先輩だよ、あの…これ……セクハラになりますか?

「……暫く灰原に近寄らないで貰えますか?」
「うわーん!ごめんなさい!距離を取らないで!先に歩いて行かないでよー!」

置いてかないで!お願いだから他人のフリをしないでー!
私が悪かったよ、浅はかでした。17そこらの娘がこんなもんに手を出したのが悪かったです。というかよくよく考えてもみれば、私は彼氏も彼女も出来たことが無いし、そういう経験も無いんだから書けるわけが無いんだよな。最早書いてる内容がファンタジー小説だもん、喘ぎ声とかどう表現すれば良いか分からないから「うわー!」とか書いちゃってるし、やられてると言えばやられてるけど、殺られてる方の声なんだよな。
はあ…芸術ってのは奥が深いもんだね……。

「先輩の得意なことを元に普通の小説を書けばいいじゃないですか」
「私の得意なこと……」

特技、他人に迷惑をかけること。

「……もう書くのやめろ」
「な、七海くん怒ってる……?」

うわーん!ごめんね七海くん!でも私の得意なことって…あ、得意なことというか持ってるスキル的な意味合い!?だったら色々あるよ、知識は片寄ってるけどわりと豊富だ、鉱物の研磨やカッティングなんかも出来るし……よし!なるほどね、これを元に書けってことだね!


……ってことで出来上がったのがこちらです、とクラスメイト三人に渡して読んでもらった。

「小説ってか…」
「論文だね」
「私は面白かったけど?」

硝子ちゃん優しい、だいすきー!
ありがとう、この論文は硝子ちゃんにプレゼントしちゃう。

「じゃあもうAVは貸さなくていいんだね?」
「うん、私には面白さが理解出来ないからいいや」
「そっか、また興味が出たら私に言ってくれ」

夏油くんがまたニチャァ……て顔してる。
その顔やめた方がいいよ、可愛くないから。
当分アダルトコンテンツはいりません、ていうかそもそも私はアダルト担当じゃないので、アダルトはお兄ちゃんの担当なので。
あとアダルトコンテンツを見ると普段から可笑しい頭がさらに可笑しくなると分かったから、二度と摂取しません。

さよなら私の芸術性……私は機能性と生きていきます。アーメン。
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